商社で活用する販売管理システムに必要な機能とは?詳しく解説

 2023.03.08  株式会社システムインテグレータ

販売管理業務を効率化するために有効とされているのが「販売管理システム」の活用です。
この記事では、商社における販売管理システムの活用方法に焦点を当て、今後システムを導入しようと考えている方向けに、販売管理システムの概要や導入するメリット、基本的な機能を解説します。また、商社ならではの必須機能についても紹介します。

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販売管理システムとは

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販売管理とは、企業が顧客に注文された商品を届けるまでの「お金」と「商品」の流れを管理することです。例えば、自分で作ったものを商品として個人的にネット販売していたとします。顧客から注文が入った場合、次のような工程が必要です。

  1. 「何を」「いつまでに」「いくつ欲しいのか」といった注文内容の確認をする
  2. 注文を受けた商品の在庫を確認する
  3. 注文を受けた金額で請求をかけて支払いを確認する
  4. 期日までに商品が届くように出荷を手配する
  5. 適宜、在庫の追加(生産)をする

上記を企業が行う場合、さらにスケールが大きくなりますが、基本的に行うことは同じです。これらの業務をこなしていく上で、「業務の負担が大きい」「情報の共有が正しくできない」「集計に時間がかかり対応が遅れてしまう」「ミスが多い」といった問題にぶつかることは少なくありません。

この問題を解決するのが販売管理システムです。お金や商品に関わる業務を自動化することで、さまざまなメリットが期待できます。

なお、販売管理そのものについては、こちらの記事で詳しく解説しております。
販売管理とは?業務の基本から効率化するシステムまで徹底解説

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商社が販売管理システムを導入するメリット

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では、商社が販売管理システムを導入するメリットを見ていきましょう。主に「販売管理業務の効率化」「情報の一元管理」「データの活用」という点で大きなメリットがあります。

販売管理業務の効率化

販売管理で取り扱う情報は、商品・期日・請求額・支払額・点数・在庫状況・原価など多岐にわたり、部門を超えて共有しなくてはなりません。情報を共有するための手段も、メール・電話・Excel・各専門システムなどさまざまで、都度データの入力作業が必要です。また、顧客に対しても見積書・注文書・請求書・検品兼検収書といった書類の発行作業が必要で、その度に稟議を上げて承認を受けなければなりません。顧客の注文内容に変更があれば、はじめから手順をやり直すことになるため、大変な手間がかかるのです。

販売管理システムを導入すれば業務の効率化を図ることができ、負担を大幅に軽減できます。例えば、あらかじめ商品名や商品コード、原価、販売価格、在庫状況などを登録しておけば、ボタン一つで情報を呼び出せます。一度登録した情報は各部門に共有されるため、何か変更があっても、その都度修正や承認をする必要がありません。確認作業も必要なくなるため、業務の負担軽減と効率化が期待できます。

情報の一元管理

従来の販売管理では業務のほとんどを人の手でおこなっていたため、記録漏れや記載ミスといったヒューマンエラーが発生することが少なくありませんでした。「在庫が足りなくなってしまった」「請求漏れが発生してしまった」などの社内トラブルに加えて、「注文したものと違う商品が届いた」「事前に伝えられた期日に遅れている」といった顧客からのクレームにつながるケースもあったのです。

販売管理システムなら導入することで一部業務や運用を自動化することができます。例えば、受注の確定と同時に経理部門や出荷部門といった関連部署に自動でメール通知することで、通知漏れの防止が可能です。また、従来は多くの商社が月末に請求書と納品書を照合していましたが、販売管理システムの導入により工数を削減できます。情報を一元的に管理できるため、人為的なミスの削減にも繋がります。

データの活用

商品がどのくらい売れたかを示すデータは、経営者・管理者にとって非常に重要です。しかし、情報を紙やExcelなどで管理していると集計に時間がかかってしまい、入力ミスやタイムラグが生じるだけでなく、在庫切れなどのトラブルが発生する恐れがあります。

販売管理システムを導入すると、複数店舗を展開していてもリアルタイムで各店舗の売上の把握が可能となり、常に最新情報が確認できます。情報をもとに仕入れ等行うことで、在庫切れといったトラブルの防止につながります。また、販売システムを通じて「どの顧客が・いつ・どんな商品を・どれくらい購入したか」という顧客データも取得できるため、将来の受注予測や販売予測にも役立つでしょう。

販売管理システムの基礎的な機能

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販売管理システムにはさまざまな機能があります。ここでは、販売管理システムに備わっている基礎的な機能を7点紹介します。

受注・発注機能

受注機能は、見積情報と連携して受注情報の修正や追記をする機能です。顧客マスタや商品マスタを呼び出し、検索して表示できるため、入力の手間が省けます。

中には、受注した商品が在庫切れだった場合や、受注が設定した粗利率を下回った場合に、アラートを出す機能が備わっている販売管理システムもあります。

発注機能は、必要に応じて仕入先に対する発注情報を入力・出力する機能です。仕入れに関しては定量発注方式などで自動化できるものもあります。仕入れや発注を正しく管理することで、売上と関連づけて粗利額を把握することが可能です。

見積もり機能

見積もり機能は、顧客マスタや商品マスタを効果的に活用しながら見積書を作成できる機能です。作成した見積もりは共有でき、簡単に検索・表示ができます。一部の販売管理システムは、作成した見積書を印刷したり、そのまま電子メールで送信したりできる機能が搭載されています。

仕入れ管理機能

仕入れ管理機能は、商品の原材料や部品などを仕入れ・入荷する際の業務をサポートする機能です。具体的には「発注情報や仕入情報の入力」「発注状況や仕入状況の一覧表示」「仕入れにかかる債務管理」といった機能があります。

在庫管理機能

在庫管理機能は、販売業務における在庫の動きを管理する機能です。製品そのものの在庫だけでなく、原材料の在庫や仕掛品の在庫などの管理が可能です。また、セット商品の在庫管理やロットナンバーと関連づけて、商品の生産から消費までの過程を追跡できる販売管理システムもあります。データ収集用の携帯端末と連携すれば、出荷・倉庫間の在庫移動・棚卸しに伴う在庫数の調整業務のさらなる効率化が図れるでしょう。

関連ブログ:在庫管理とは?運用からシステム化のポイントを解説

売上管理機能

売上管理機能は、売上や売掛の管理を行う機能のことを指します。以下は売上管理機能の具体的な内容です。

売上入力

売上や売掛情報を入力します。システム内に蓄積されている受注データやPOSシステムを連携させ、売上データの作成が可能です。

売上検索

商品名やコード、取引先などから売上情報の検索ができます。

売上データの出力

売上情報を集計し、ExcelやCSVで出力する機能です。また、集計した情報を分析して売上予測ができるシステムもあります。

請求管理・入金管理機能

請求管理機能は、取引に応じた請求書の発行ができます。あらかじめ設定しておくことで、取引先からの指定伝票がある場合にも帳票出力が可能です。入金管理機能はその名の通り入金・未入金の管理ができます。未回収の売掛金を効率的に管理できるため、回収漏れの防止につながるのです。

なお、「受注」「見積もり」「売上管理」「請求・入金」といった一連のプロセスの管理機能をまとめて「販売管理機能」と呼ぶこともあります。

分析機能

分析機能は、販売管理システムに入力された情報を基に分析を行う機能で、今後の戦略を練る際に役立てられます。視覚的に分かりやすいレポーティング機能が付いており、経営層が必要としているデータを可視化できるのです。最近では、データを出力してより高度な分析にも対応できる機能を提供するケースも多く見られます。

また、販売管理システムの中にはBIツールと連携できるものもあり、経営分析を行って経営戦略に生かすことが可能です。

商社の販売管理システムに必要となる機能

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商社には商社ならではの業務があります。そのため、販売管理システムを選ぶ際には商社特有の業務に対応したものを選ばなければなりません。

ここでは、商社ならではの業務とそれに必要となる販売管理システムの機能を解説します。

多様な取引形態への対応

商社の取引形態は「基本契約を締結し、その契約情報に基づいて売買を行う取引形態」や「基本契約を締結せずに売買から始まる取引形態」などさまざまです。

なお、売買は直送取引や在庫取引などと区別されます。また、伝票処理についてはそれぞれの取引形態に対応した機能が必要となるため、販売管理システムを選ぶ際は判断材料の一つにすると良いでしょう。

海外取引の対応

海外から商品を輸入し、国内で販売する業務形態の場合、輸入取引に対応した購買処理機能が必要です。

国内取引とは別に海外取引の機能が用意されているシステムであれば、取引時に為替予約を指定し予約レートで伝票を入力できます。また、為替予約の残高管理もでき、海外取引に関わる各種帳票の出力が可能です。

サンプル品の無償受注処理

商社の中には、新商品などのサンプル品を無償でユーザーに提供し、商品の評価をしてもらった後、正式に受注に至るという取引形態もあります。そのような商社の場合、サンプル品の無償受注処理機能が備わっている販売管理システムを選ぶと良いでしょう。

得意先と複数納入先の紐付け管理

得意先と複数納入先の紐付け管理ができるかどうかも、販売管理システムを選ぶ上では重要なポイントです。例えば日用品などの場合、大手家電量販店が得意先になっているケースがあります。大手家電量販店は複数の店舗展開がされているケースが多いため、注文に対する請求などは本社に紐づけ、納品先は複数の店舗に紐づけて管理する場合などがあります。

そのような場合は得意先(法人)と複数納入先(店舗)が管理可能なマスタ体系になっていると便利でしょう。

外部委託倉庫とのデータ連携

外部委託倉庫とのデータ連携が可能かどうかも、販売管理システムを選ぶ際の判断材料となるでしょう。以下のような機能があると業務の効率化につながります。

  • 外部委託倉庫への出荷指示
  • 入荷予定データの送信
  • 外部委託倉庫からの出荷実績や入荷実績データを受信し、在庫の受払データを作成

外部委託加工の対応

例えば繊維専門商社では、糸・テキスタイル・服などを外部の加工業者に加工委託するケースがあるでしょう。その際、加工賃の計上、自社商品在庫(原材料)の払出、加工品の受入といった処理を行う必要があります。ただし、外注加工が多く発生するとその都度処理を実施しなければならないため、業務の負担が大きくなります。

外部委託加工が多く発生する商社の場合、一括して処理ができる機能を備えた販売管理システムを選ぶと良いでしょう。

諸掛の管理

諸掛(しょがかり)とは、商品の仕入れや販売の際に発生する運送費用や送料のことです。仕入れ時の費用は「仕入諸掛」、販売時の費用は「売上諸掛」といいます。各諸掛は、伝票単位や伝票明細単位、または単独諸掛として諸掛伝票を起票するといったように、複数の登録方法に対応します。

特に商社では仕入​​諸掛、売上諸掛の管理は重要です。取引の採算管理を行う際には、売上原価として諸掛金額を含めて費用計算をする必要があるため、取引単位にかかる諸掛を正確に管理しなくてはなりません。そのため、諸掛の管理機能が備わっている販売管理システムを選ぶのがおすすめです。

損益管理

損益とは、「損失」と「利益」を合わせた言葉で、売上によって得た収益から経費などを差し引いた金額を指します。金額がプラスなら利益を得ていることになり、マイナスなら赤字になります。

商社においては、売買取引単位の採算状況を把握可能にし、不採算取引の発生を予防する目的があるため、取引単位での損益管理の徹底が必須要件です。

与信管理

与信管理とは、売掛金が回収不能になるリスクを管理することです。取引先の与信調査や与信審査を実施して取引するか否かを決定したり、取引先への販売額に限度額を設けたりします。

与信管理が適切に行われていない場合、取引先から代金を回収できなくなる恐れがあります。そのため、商社によっては得意先向けの売与信に加え、仕入先に対する買与信、在庫寄託先に対する寄託与信の管理を行う必要があるのです。

与信管理が必要な商社は、リアルタイムでの与信チェックや与信残高の照会が可能な販売管理システムを選びましょう。

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

販売管理とは、企業が顧客に注文された商品を届けるまでの「お金」と「商品」の流れを管理することであり、販売管理システムはその管理業務を自動化して管理するシステムです。

管理業務をこなす上で「業務の負担が大きい」「情報の共有が難しい」「対応が遅れてしまう」「ミスが多い」といった問題は避けられません。販売管理システムを導入することで業務を効率化し、これらの問題の解消につなげましょう。

とくに商社には商社ならではの業務があるため、販売管理システムを選ぶ際は商社特有の業務に対応したものを選ぶ必要があります。商社の業務に適していないものを採用してしまうと、別のシステムを併用することとなったり、Excelなどでの管理が必要になったりと手間が増えてしまうため、システム選定の際は注意しましょう。

こちらの資料では、商社や卸売業に向けた販売管理システムの導入モデルについて解説しています。記事内に登場した販売管理に活用できるWeb-ERP「GRANDIT」をご利用いただく場合のポイントや、標準的なシステム構成についてまとめていますので、ぜひご覧ください。

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