在庫管理の改善事例をご紹介!具体的な改善ポイント

 2021.07.30  株式会社システムインテグレータ

販売する予定の商品を保管する「在庫管理」。在庫管理には様々な課題がつきものですが、課題を改善できなければ多くの経営資源を無駄にしてしまいます。今回は在庫管理における課題とその改善方法、在庫管理を効率化させる方法のひとつである「在庫管理システム」について詳しくご紹介します。

また、在庫管理システムの導入事例から、どのように課題が解決できるのかについてのプロセスを読み解いていくので、ぜひ参考にしてみてください。

在庫管理とは?

在庫管理の改善事例をご紹介!具体的な改善ポイント

倉庫や拠点に確保・保管する商品は、将来的に利益を生み出す資産です。そのため、在庫管理は将来的に得られる利益を適正に管理することを意味します。

ただ、一口に「在庫管理」といってもその種類はさまざまで、小売業及び物流業と製造業では在庫の意味が異なるケースもあります。例えば、小売業や物流業における在庫は、販売前に倉庫などに商品が保管されている状態のことを指すのが一般的です。

対して製造業では、将来の使用に備えて保管する原材料・部品・仕掛品・半製品及び製品を在庫とみなします。これは、原材料や部品がその状態では販売できないとしても、将来的には利益を生み出す資産にあたるためです。

在庫管理の必要性

在庫管理の改善事例をご紹介!具体的な改善ポイント-1

企業の資産である在庫は適正な状態に管理し、状況を常に把握する必要があります。

適正な在庫管理を行うことで、以下のような効果が期待できます。

キャッシュフローの維持

在庫商品は企業が資金を使って調達したもので、在庫を販売することで利益を獲得します。

つまり、売上になっていない限りは調達した在庫の数だけの資金が会社から減少することを意味します。在庫が余剰在庫になってしまうと、調達に要した資金投資分が未回収となる可能性が高まります。

健全な会社経営のためには過不足なく在庫数をコントロールするための在庫管理が非常に重要です。

機会損失の防止

過不足なく在庫数量をコントロールすることは機会損失の防止につながります。

必要な在庫数を揃えることができていない場合、顧客から受けた注文に対応できません。再び顧客が注文を入れてくれる保証はなく、一度の失注が継続的に得ることができたはずの売上をゼロにしてしまう恐れすらあります。

逆に在庫が過剰に存在していると、保管自体の費用がかかったり、売れ残ったり保管期限が過ぎてしまって破棄しなければならなかったりという可能性もあります。

在庫の過剰・不足によって発生する機会損失のリスクを未然に防止し、顧客と継続的な関係を維持して売上を高めるためには、常に在庫の状態を把握し、適切な数量にコントロールしなければなりません。

顧客満足度の向上

顧客生涯価値が重要視される近年のビジネスにおいて、リピーターの獲得は重要です。顧客が必要としている商品を必要なときに必要な分だけ供給することで、顧客満足度を向上させることにつながります。

そのためには、在庫に過不足がないことは当然として、正確な在庫状況を即座に提供できる管理体制が求められます。顧客と信頼関係を構築することは簡単ではありませんが、顧客の要求に対応できる在庫管理によって顧客満足度を高めていけば、決して不可能なことではないでしょう。

在庫管理の基礎については、以下の記事でも詳細に解説しています。あわせてご覧ください。

在庫管理の基礎|管理方法やコツ、手順まで徹底解説

在庫管理でよくある課題

在庫管理の改善事例をご紹介!具体的な改善ポイント-2

ここからは、在庫管理でよくある課題についてご紹介します。

在庫管理における入出庫業務や管理業務には、さまざまな課題があります。こうした課題は取り扱う品目や数量が多い大規模事業だけでなく、少ない商品数の在庫管理を行っているような小規模事業でも起こり得ます。では、具体的な内容を項目ごとに確認してみましょう。

在庫過不足の発生

在庫数量を把握していないと、どの商品がどれくらい足りていないのか、また十分に在庫が存在しているのかわからないため、適切な量の発注ができず、在庫の過不足が発生しがちです。

余剰在庫があると管理スペースや管理コストが増大するなど、さまざまな経営資源を消費増加につながります。また、在庫が不足している場合は顧客からの注文に即座に対応できないなどの機会損失を生み出します。

データと実際の在庫数が合わない

倉庫や拠点にある在庫数量を「実在庫」と呼び、在庫管理を行っている帳簿上の在庫数量を「理論在庫」と呼びます。商品が入庫したときと出荷したときに正しく処理をしていれば、実在庫と理論在庫の数量に差異が出ることはありません。しかし、実際にはさまざまな原因によって実在庫と理論在庫の誤差が発生します。

在庫の入出荷数量の数え間違いや帳簿への入力ミス、入荷数と伝票に差異があるがそのまま帳簿へ入力してしまったなど、どんなに慎重に在庫管理を行っていたとしても実在庫と理論在庫の数量の差異は起きてしまうでしょう。

ヒューマンエラーの発生

在庫管理が一定のルールによって行われていないと、ヒューマンエラーが発生する原因となってしまいます。入出庫数の数え間違いや記帳の重複など、在庫管理の方法が曖昧のままだと様々なミスを生み出す要因となります。膨大な数の在庫管理を行う現場ほどヒューマンエラーは発生しやすく、そのミスによって生まれる損失は大きくなってしまうでしょう。

また、在庫管理の現場では入出庫のたびに情報が更新されるため、人の手だけでは全てを管理することが難しく、ヒューマンエラーが起こりやすい業務と言われています。もし、在庫数量の誤差などを生じさせてしまうと、不良在庫や廃棄などを引き起こす原因となり大きな損失へとつながる恐れがあるでしょう。

属人化の発生

在庫管理の方法が定義付けられていない場合、業務が属人的になり、一部の従業員だけにしか在庫管理が行えない状況に陥ってしまいます。在庫管理に専任担当者を設けて業務を最適化すること自体に問題はありませんが、担当者個人の能力に頼り切った在庫管理はリスクを生みます。

業務を担当していた従業員が配置換えや、退職によって在庫管理業務から離れてしまえば、それまでと同様の在庫管理を行うことが難しくなります。

また、全体の在庫管理は共通の方法で行われていたとしても、特定の商品に関しては限られた従業員しか在庫情報を把握していない、入出庫の手順が他と異なるため属人化している、といったケースも少なくないようです。属人化してしまった在庫管理業務は、業務体制そのものを見直す必要があるため、早急な課題解決も難しい課題でしょう。

在庫管理の改善方法

在庫管理の改善事例をご紹介!具体的な改善ポイント-3

前章でご説明した在庫管理の課題が発生している場合、どのような方法を用いて解決へと導けばよいのでしょうか。

現状の在庫数を確認する

在庫過剰は投げ売りによる価格下落や廃棄などの損失に、在庫不足は販売機会損失につながります。

これを改善するためには、倉庫や拠点に保管している在庫数の現状を正確に把握することが第一歩です。在庫数の現状を把握する目的は「何がどれだけあるのか」「どのように取り扱うべきか」を明確化しましょう。

そして、そのためには「残材在庫量の把握」「整理・整頓」「入出庫管理」といったステップが必要になります。現状の在庫を正しく把握・管理することで、生産状況や市場の動向に応じた過不足のない管理体制の構築へとつながります。

適正在庫数を定義する

「適正在庫数」とは在庫が不足する状況にならない最低限の在庫数のことです。適正在庫数を定義するには、現在の在庫数量が過剰なのか不足しているかの判断を行う必要があります。

まずは、過去の販売実績や入出庫管理データからおおまかな必要数量を把握し、月次・年次の需要変動を取り入れながら適宜修正を行うことで、正確な適正在庫数を割り出してみましょう。

業績に基づいた適正在庫数で在庫数をコントロールすることで、欠品による機会損失や、余剰在庫による保管コストの増加を防止することが可能です。

作業の標準化を行う

在庫管理の属人化は、作業の標準化で解消しましょう。作業を標準化することで担当者の知見に依存することなく、一定の業務レベルを担保できるようになります。

作業の標準化を実現するためにはICTを活用した在庫管理システムやツールの導入が最も効果的です。最も属人化が発生しやすい受発注や入出荷の管理においても、システムを利用すれば複雑なデータ処理能力を必要としないため、誰でもスムーズな在庫管理を実現できるでしょう。

在庫の動きを見える化する

ヒューマンエラーの主な原因は手作業で記帳するといった、アナログな在庫管理方法にあります。

数え間違いや重複などのミスを防ぐ場合には、バーコードと読み取り端末を使用した管理システムの導入で在庫の動きを可視化することが最も効果的です。バーコードで読み取った在庫情報はリアルタイムで共有され、在庫管理に関するあらゆる情報は可視化されます。これにより、数え間違いなどのヒューマンエラーは防止され、予定した入出庫数量と差異が生じている場合にはアラートを発して在庫数量の異常を未然に防げます。また、遠隔地の倉庫や拠点の在庫の動きもリアルタイムに把握できるようになり、需要変動や市場の状況に応じた適切な経営判断が行えるでしょう。

在庫管理システムとは?

在庫管理の改善事例をご紹介!具体的な改善ポイント-4

在庫管理システムとは、在庫管理における様々な課題を解決し、在庫管理業務の効率化を図るためのシステムです。在庫管理システムを利用すれば、品目や在庫数を受発注データと検品データの照合を行うなど、正確なデータを軸にした在庫管理が実現できます。

在庫管理システムには主に以下のような機能が搭載され、在庫管理業務の効率化・生産性の向上に寄与します。

  • 在庫数量管理機能
  • 入出庫管理機能
  • 検品管理機能
  • 返品管理機能
  • 棚卸機能
  • 在庫分析機能

在庫管理システムと機能の詳細については以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

在庫管理システムとは?基本機能や導入メリット、おすすめシステムまで解説!

ERPで実現する在庫管理

在庫管理システムは最小限のパッケージで効率的な在庫管理を実現できるシステムです。

一方で独立した在庫管理システムではなく、調達管理システムや販売管理システムと連携させた高度な在庫管理を行いたい場合、在庫管理機能を有する「ERP(統合基幹システム)」の導入が効果的です。

ERPは財務会計、経費管理、生産管理、そして在庫管理などの複数のシステムが連携することを前提にした基幹業務システムです。在庫管理システムではなくERPを導入すれば、複数のシステムで相互データ共有を可能にし、一気通貫の業務システムを構築できます。

在庫管理と生産管理のデータを共有することによって、適切な生産数の調整と在庫数量のコントロールが可能です。さらに販売管理機能のデータをフィードバックさせれば、市場や景気変動による需要変動にも細かに対応することもできます。基幹業務システムは大規模事業向けのシステムと思われがちですが、小中規模の事業においても有効です。

在庫管理に課題を抱えている、且つ生産管理から販売管理まで効率的な連携を実現したい場合は、ぜひERPの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

在庫管理の改善に成功した事例

在庫管理の改善事例をご紹介!具体的な改善ポイント-5

在庫管理システムは小売業から製造業まで幅広く用いられるため、どのような導入効果があるのか想像しづらいかもしれません。

ここからは、在庫管理システムの導入によって在庫管理業務の課題を改善した事例を2パターンご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

<事例①>在庫過多の改善とピッキング作業の効率化が実現

小売業を営むA社はWebショップから100件/1日の注文があるにもかかわらず、特定の従業員だけが在庫ロケーションを把握している状況が生産性を低下させていました。他の従業員を配置しても在庫ロケーションを指示する時間が無駄になり、ピッキング作業が著しく滞ってしまう状態だったそうです。

一度は、物流事業者に出荷業務を委託するものの、倉庫と拠点で多くの在庫を抱えていることが原因で、キャッシュフローの悪化を招いてしまいます。そこで外部委託からはすぐに手を引き、次に導入したものが既存の受注管理システムと連携可能な在庫管理システムです。

在庫管理システムの導入後はロケーション管理によって誰でもピッキング作業が行えるようになり、システム導入以前よりもピッキング作業にかかる時間が大幅に改善されました。

さらに、在庫管理システムによってピッキング作業が標準化されたことで、ピッキング業務をパートタイマーに割り当て、従業員はコア業務に集中できるようになったそうです。

<事例②>在庫情報のリアルタイム共有が実現

製造業B社は製造工場と本社が離れているため、製造状況をリアルタイムで把握できるのが本社のみという状況でした。また、一部製造工程だけ管理を行っていたため、商品名ごと、ロット番号ごとに工程進捗を把握することは非常に困難です。こうした課題から仕掛り品・半完成品・製品の在庫管理が不十分になり、具体的な生産計画の立案が不可能な状況に陥ります。そこで、在庫管理システムの導入による改善が行われました。

在庫管理システムの導入によって、製造工場と本社のシステムをプライベートなネットワークで接続、在庫情報をリアルタイムに共有し、生産管理から在庫管理までのスピードが向上。さらに、商品ごとに生産工程や現在のステータスを設定し、各工程における予定納期と進捗状況、そして商品の状態ごとの在庫状況を管理が可能になりました。これにより、クライアントからの問い合わせがあっても、システムを見れば在庫状況が一目瞭然になり、誰でもスピーディーに対応できる体制が実現しました。

また、在庫状況と出荷実績を詳細に管理・把握したことによって、正確で具体性のある生産工程の立案もできるようになったそうです。

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

在庫管理は必要不可欠な業務ですが、データと実際の在庫数が合わなかったり、管理方法が属人的になっていたりと、課題を抱えていると適正な管理がしづらいだけでなく、業務負荷も増えてしまいます。そこで今回は、在庫管理の改善のポイントと改善成功事例をテーマにご紹介してきました。

ご紹介した通り、在庫管理を改善するのであれば在庫管理システムやERPの導入がおすすめです。

弊社が提供する純国産ERP「GRANDIT」では、お役立ち資料も公開中です。ぜひお気軽にご活用ください。


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