オムニチャネルとは?マルチチャネルとの違いを解説

 2017.07.31  株式会社システムインテグレータ

オムニチャネル”という言葉を耳にするようになってから数年が経過しました。初のオムニチャネル企業として知られる米国百貨店Macy's(メイシーズ)がオムニチャネル宣言をしたのが2011年のことです。

海外同様に日本国内でもオムニチャネル化は進んでおりセブンアイホールディングスや資生堂などの大手企業がオムニチャネル化への取り組みを加速しています。


オンラインとオフライン、2つの世界に存在するあらゆるチャネルを統合することは、企業にとって大きな利益をもたらします。しかし、オムニチャネル化を実践する上で、マルチチャネルとの違いを明確に理解しないまま、取り組んでいる企業も少なくありません。さらに言えば、O2O(オンライン to オフライン)と混同しているケースもあります。


オムニチャネル化への取り組みを成功させるためには、まずマルチチャネルとの違いを理解し、正しいオムニチャネルについて知る必要があるでしょう。今回は、オムニチャネルとマルチチャネルの違いについてご紹介します。


オムニチャネルの正しい定義

“オムニ”という言葉には「全」や「総」、「あらゆる」といった意味があります。そこから考えるに、オムニチャネルとは「あらゆるチャネル」という意味なのかというと、そうではありません。大切なのはあらゆるチャネルを活用して、何を行うかにあります。また、オムニチャネルとマルチチャネルの違いも、そこにあります。


企業とお客様の間には、さまざまなチャネルが存在します。実店舗、PC、スマホ、SNS、コールセンターなどなど、実に多様です。ちなみに“チャネル”とは集客・販売するための経路や媒体を意味します。


オムニチャネルの目的とマルチチャネルとの違い


企業によって保有しているチャネルは様々ですが、オムニチャネルはそれらチャネルを「統合管理し、今までにない新しい購入体験を提供すること」が目的です。


例を挙げてみましょう。実店舗を訪れた顧客が、気に入った商品はあるものの、自分に合ったサイズの在庫が無いということはよくあります。このときスタッフは手持ちのタブレットから顧客に合ったサイズのネットショップ在庫を確認します。求めていたサイズが見つかったため、顧客はその場で決済をして、後日実店舗に訪れることなく、自宅にその商品が届く。これは、オムニチャネルです。


この例では顧客は実店舗とネットショップの境を気にすることなく、目的のものを購入できています。


では、次の例はどうでしょう。上記同様に実店舗において顧客に合うサイズが無く、結局は顧客が自分からネットショップで購入します。


これは、ネットショップと実店舗の繋がりがないためオムニチャネルとは言えず、マルチチャネルということになります。


これら2つの例から、オムニチャネルとはあらゆるチャネルを統合した上で、チャネルごとの壁を意識させない購買体験を提供すること。マルチチャネルとは、単に複数のチャネルを保有することだと定義できます。


さらに補足すると、オムニチャネルと混同されがちなO2Oは、「オンラインからオフライン」あるいは「オフラインからオンライン」へ顧客を誘導するためのマーケティング手法です。なので、必ずしもオムニチャネルである必要はありません。


新規CTA
新規CTA

オムニチャネル化の課題

「あらゆるチャネルを統合し、チャネルごとの壁を意識させない購買体験を提供する」。このオムニチャネルを実践するだけで購入体験は大幅に改善されるため多くのメリットがあることは理解していただけるかと思います。


しかし、これを実践するためには多くの課題があることも事実です。では、オムニチャネル化にはどういった課題が存在するのでしょうか


物流の課題

大きな課題の一つに物流があります。オムニチャネル化を促進することで、企業は多様な流通経路を持つことになります。流通経路自体を整備することは難しくありませんが、問題は物流リソースです。オムニチャネル化によって物流にはこれまで以上の負荷がかかるため、リソースの拡大が不可欠と言われています。


従って物流リソースを確保すること、あるいは、省人化により物流リソース不足をカバーするといった対策が求められます。


また店舗受取や店頭在庫の出荷などのサービスを提供する場合、これまでの物流リソースの増加と合わせて店舗スタッフの負荷が高まるといったことも考慮する必要があります。


人材評価の課題

オムニチャネル化の課題はそれだけではありません。人材評価においても、様々な課題が存在します。たとえばアパレルファッション業界の場合、主な販売チャネルは実店舗とネットショップです。これらのチャネルを統合管理し、壁を取り払った購買体験を提供できれば、高い効果を期待できます。


では、実店舗での人材評価はどうなるのでしょうか。通常、実店舗での人材評価は個人の“売上”によって下されます。また、No.1店舗など表彰されることもあるでしょう。売上が高ければ高いほど、評価されるというわけです。しかし、オムニチャネル化を実現した場合、スタッフはタブレットを使用して、実店舗にはない商品を販売することもあります。


このとき、スタッフの接客がきっかけになったとしても、顧客自らネットショップで購買をしてしまっては、結局誰の手腕が効いたのかがわからなくなってしまいます。マルチチャネル化には現場の人材評価の仕組みを一変してしまい、スタッフのモチベーション維持が出来なくなってしまう、というリスクもよく聞く話です。


全社戦略としてオムニチャネル化を掲げることの難しさ、戦略に沿った組織・評価制度の改変を進めることの難しさに悩むEC事業者は少なくありません。


システムの課題

多くの企業がECサイトを構築しマルチチャネル化を実践してきました。そして、オムニチャネルという概念がなかった時に構築されたシステムの多くはサイロ化されており単独で存在しています。在庫の状況は在庫管理システム、売上はERPなどの財務会計システム、顧客情報はCRMといったようにサイロ化され繋がっていないケースが多々あります。

これらが繋がっていないと統一された顧客体験の提供ができずにオムニチャネルは成功しません。 [RELATED_POSTS]



オムニチャネル化を実現するEコマースシステムの選び方

もし、あなたがすでにEコマースを運営しているのであれば、利用しているEコマース環境がオムニチャネル化できるのかを確認してみましょう。

しかし、昔に導入した商用Eコマースパッケージ製品の多くはオムニチャネルに対応していないことがほとんどでしょう。また、フルカスタマイズで作成したEコマースシステムの場合には、大規模な追加コストがかかるため現実的ではないかもしれません。


そのようなことを考慮すると、現実問題として既存のEコマースシステム環境を刷新し、新たな基盤を整えることが不可欠になります。


そこで、オムニチャネル化を実現するEコマースシステムの選び方として3つのポイントをご紹介します。



1.サーバ台数やユーザー数にライセンスコストが依存しない、サイトライセンス型(1サイト1ライセンス)を選ぶ


オムニチャネル化するとあらゆるチャネルからアクセスされるため、自ずとシステムに負荷がかかります。そのためサーバーリソースの増設などが必要になります。その時にソフトウェアライセンスが利益を圧迫しないようなEコマースパッケージを選定すると良いでしょう。



2.オムニチャネル化に最も重要な外部連携が強化されている製品を選ぶ

オムニチャネル化には外部システムとの連携が必要不可欠です。物流システム、在庫管理システム、顧客管理システム、コールセンターシステム、マーケティングシステム、POSシステム、ERPなどあらゆるシステムとの連携が考慮されたものを選択するべきでしょう。


3.将来的な追加開発を想定して、フレームワークに対応している製品を選ぶ

あらゆるシステムとの連携にも関係しますが、オムニチャネル化には少なからずカスタマイズが発生します。その場合、ソースコードが提供されていることは最低限必要ですが、それ以外にもフレームワーク化された綺麗なシステムが作れるかがポイントになります。強引に他システムと連携してソースコードがスパゲティ化したりすると、いつ何時システムが停止するかわからないですしシステム拡張のたびにヒヤヒヤすることになります。このようなことからソースコードが公開されており、かつフレームワークがしっかりしている製品を選ぶべきでしょう。


まとめ

これから大企業はもとより中堅・中小企業においてもオムニチャネル化が強く求められていきます。国内を見ると少子高齢化による人口減少など多くの問題を抱えており、益々競争が激化していく中で、いかに顧客との接点を最適化するかが企業成長を大きく左右してきます。


これを機に、ぜひオムニチャネル化を具体的に検討していただきたいと思います。

OMO・オムニチャネルを実現させる 小売業のためのスマホアプリ活用ガイド

RECENT POST「オムニチャネル」の最新記事


この記事が気に入ったらいいねしよう!
ECサイト構築パッケージ選定 7つのポイント
ブログ購読のお申込み

RANKING人気資料ランキング

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング

ec-research
ec-rpa
comparison