O2Oとは?事例と成功のポイントについて解説

 2021.08.31  佐藤 嘉彦

こんにちは。
システムインテグレータの佐藤です。

市場的にはEC化率は上昇していますが、みなさんはECでモノを買う機会増えていますか?
私は元々ECばかりでモノを買っているタイプだったので、これ以上私個人のEC化率が増えるのかというと、そうでもない気がしています。

同じように情報にどうやってアクセスするかのタッチポイントも、市場としてはどんどんデジタル化していますが、私個人で考えると右肩上がりかどうか微妙です。
改めて紙の新聞、雑誌のほうが読みやすいなと、デジタル離れがちょっぴり進んでいるくらいです。
デバイスが進化して、紙並みの使い勝手になればまた違ってくるのかもしれませんが、最近はスマートフォンやタブレット側でも見過ぎの防止機能が実装されるくらいですから、とにかくデジタルシフトすればそれで良いのだ、というのはもしかするとちょっと違うのかもしれません。

すなわち、オンラインとオフライン両方のタッチポイントを考慮することが大切だよね、ということにつながってくるわけですが、今回はそんなオンラインとオフラインの行き来であるO2Oについて考えて行きたいと思います。

O2Oと一緒に検討されるマーケティング手法OMOについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:OMOとは?意味やマーケティング施策の事例、O2O・オムニチャネルとの違いについて解説

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O2Oとは?

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O2Oとは、「Online to Offline」を略したワードで、Webサイト・Web広告・SNSといったオンライン上の媒体から情報発信を行い、オフラインの実店舗へと誘導したり、購買を促したりする施策のことです。「On 2 Off」と略されることもあります。

O2OはWebやSNSの閲覧・位置情報・アプリを搭載したスマートフォンとの親和性が高く、スマホの普及により実店舗での販促施策に高い効果性・有用性が認められたことから、実店舗を持つ企業が積極的に活用しています。

O2Oの施策にはさまざまな種類があるため、代表的な施策について以下にご紹介します。

ECサイトの活用

営業時間の制約を受けないECサイトから実店舗の商品情報や在庫情報を提供したり、広告宣伝をしたりして販促に結び付けます。

ECサイトの店頭受け取りを行って、実店舗でのクロスセルにつなげるといった施策もあります。

SNSでの情報発信

情報拡散性や双方向コミュニケーションに優れたSNSの特性を利用して、店舗の情報を発信したり、問い合わせ対応を行なったりして、実店舗への来店や販促へとつなげます。 

オンラインクーポンの配布

SNS・メルマガ・スマホアプリ等のオンライン媒体を活用して、実店舗で使えるオンラインクーポンを配布します。多くの店舗が活用しているO2Oの代表的な施策です。 

位置情報活用

スマホに搭載されたGPSを活用して、エリア内の顧客にキャンペーンやセールの情報をプッシュ通知したり、来店ポイントを自動付与したりといった施策があります。 

QRコードからの会員登録促進

実店舗の目立つ場所や紙媒体の販促物にQRコードを掲載して、SNSアカウントや店舗アプリへの登録を促す施策もO2O施策の一種です。積極的に登録者数を増やすことで、クーポン配布や情報提供による販売促進へとつなげます。

このようなO2O施策は、登場してから比較的年月が経過していますが、小売業や飲食店で積極的に活用されているため、いつの間にか生活の一部として利用している方も多いのではないでしょうか。

O2O施策は、単一で活用しても効果が期待できますが、店舗の状況や方針に合わせて組み合わせることで、より高い効果を発揮することが可能です。

また、O2Oは近年トレンドとなっているオムニチャネル・マルチチャネルといった複合的な施策に組み込むことも可能であり、実店舗を含む施策を実施している企業では実際に活用されています。

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O2Oとオムニチャネルについて

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O2Oとオムニチャネルは両者ともオンライン・オフラインを併用する施策であるため、混同される場合もあります。具体的に何がどのように異なるのか分からない方もいるのではないでしょうか。

ここでは、オムニチャネルの概念ならびにO2Oとオムニチャネルの違いについて解説します。各用語が示す意味を明確に把握してビジネスに役立てるためにも、ぜひ参考にしてみて下さい。 

そもそも「オムニチャネル」とは?

O2Oとオムニチャネルの違いを知るためには、まずはオムニチャネル単一の概念について正しく理解しておくことが重要です。

オムニチャネルとは、ECサイト・実店舗・SNS・カタログ・メール・DMなど、集客・販売・流通を行うあらゆるチャネルを統合して、顧客に対して包括的にアプローチしようという戦略です。

顧客情報・在庫情報・受注情報などの情報を一元管理することで、顧客にチャネル間の障壁を感じさせないシームレスな顧客体験を提供することが特徴です。

顧客側は購買の自由度・利便性・満足度が高まり、販売側は単価アップ・LTV向上・売上拡大といった多くのメリットが期待できます。 

O2Oとオムニチャネルの違い

O2Oとオムニチャネルの最も大きな違いは、施策の目的・内容です。O2Oではオンラインからオフラインの店舗への誘導を目的としていますが、オムニチャネルではあらゆるチャネルを統合することで、多方面から顧客にアプローチできるようにすることが目的です。

オムニチャネル戦略の中には、オンラインからオフラインへの誘導を行う場合も少なくないため、戦略の一環としてO2Oが含まれるケースも多くあります。

また、O2Oは主に新規獲得を中心とした短期的施策の性質を持つのに対して、オムニチャネルでは顧客満足度を高めて顧客のファン化・囲い込みを行う中長期的施策の性質を持つ点も大きな違いです。

オムニチャネルはあらゆるチャネルを統合して大規模に行う必要があるため、施策の難易度もO2Oより遥かに高くなります。

関連記事:オムニチャネルとは?マルチチャネルとの違いを解説

O2Oを導入するメリット

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O2Oはオムニチャネル・マルチチャネル以前に話題を集めた概念ですが、現在においてもマーケティングを行う上で重要な概念として注目を集めています。

ここでは、O2Oを導入することで得られるメリットについてご紹介します。O2Oをビジネスに活用したい方は、どのようなメリットが得られるかを確認しておきましょう。  

新規顧客を獲得しやすい

O2Oの主な目的であり最大のメリットが、新規顧客の獲得に適していることです。

オフラインの店舗がチラシやDMといった従来の方法で新規顧客を行う際には、販促物の数量・配布エリア・広告掲載場所といったさまざまな制約を受けるため、新規顧客獲得は容易ではありません。

一方、オンライン上のWebサイトやSNSを活用するO2Oでは、従来の新規顧客方法のような制約を受けることなく、広範囲に渡って施策を展開することが可能です。コストパフォーマンスにおいても非常に優れています。

オフラインの実店舗にとって新規集客は店舗運営上大きな課題であるため、O2Oの特性を活用するメリットは非常に大きいと言えるでしょう。 

既存顧客のリピートを促せる

O2Oは、告知やキャンペーンといった施策を実施することで、新規顧客獲得だけではなく既存顧客のリピート促進にも活用できます。

特に、SNS・アプリ等は顧客との接点を維持するのに非常に適しているため、定期的に情報提供・告知・クーポン配布等の施策を実施すれば、既存顧客を固定客化することも可能です。

過去に実施したO2O施策のデータを基に、パーソナライズした施策も実施すれば、リピーター化・ファン化できる可能性を更に高めることもできます。

定期的に来店して商品・サービスを購入してくれる顧客を増やせば、売上拡大・売上安定化が期待できるため、オフライン店舗にとってO2O施策によるリピート促進のメリットは非常に大きいといえるでしょう。 

即効性が期待できる

O2O施策の大きな特徴として、オフラインを対象とした施策でありながら、即効性が期待できることが挙げられます。

Web広告・Webサイト・SNS・アプリ等のO2O施策は、設定を済ませてオンライン上で実施すれば、すぐにでも顧客に届けることができます。また、実施した施策のレスポンスも速やかに得ることができます。

そのため、オフラインで実施する突発的なキャンペーンや、セール・スポットでの企画等にも柔軟に対応することが可能です。

従来活用されてきたチラシ・DM・ポップ等のオフライン施策は準備にも配布にも多大な時間・労力を必要とするため、即効性が期待できるO2Oのメリットは非常に大きいといえるでしょう。 

効果測定が可能

O2Oは、集客や販促に有効であるだけでなく、効果測定を容易に行えるというメリットもあります。

一般的にオフライン(実店舗)での販促施策の効果測定は、オンラインと比べて多くの時間や労力が必要となります。しかし、O2Oで活用するクーポンやSNSといったオンラインを契機とした施策であれば、Webマーケティングと同じように計測することが可能です。

また、実施した施策の効果測定を分析することで、次回のO2O施策に生かすことも容易であるため、より効果性・有用性の高いO2O施策へとつなげることができます。

オフラインの施策でPDCAを効率良く回せることは大きなメリットであるため、O2Oの導入を検討している方は、ぜひ覚えておきましょう。 

O2Oが浸透した背景

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前章でご紹介したように、さまざまなメリットが期待できるO2O。そんなO2Oは、どのようなきっかけがあり、業界に広く浸透したのでしょうか。

ここでは、O2Oが浸透した背景をいくつかご紹介します。

スマホの普及

O2Oが普及した最も大きな要因は、スマートフォンの普及です。多くの人々がスマホを所持するようになったことで、スマホ向けのECやサービスも積極的に活用されるようになりました。

スマホにはWebサイト閲覧・SNS・アプリ・GPSといったO2O実践に必要な機能が充実していることもあり、O2Oを実践する環境が整ったことが普及の背景として挙げられます。

SNSの普及

スマホの普及と同時に急速にユーザー数を伸ばしたのが、Twitter・Facebook・Instagramといった各種SNSです。

拡散力の高さ・ユーザー数の多さ・簡単な操作といったSNSの特徴はビジネスにも適しており、O2Oを含むオンライン施策にも積極的に活用されるようになりました。

実店舗への意識の高まり

毎年成長を続けているECに反して、オフラインの実店舗の売上低迷やショールーム化が目立ち始めたのもO2Oが普及を始めた時期と重なります。

実店舗を保持・運営している企業が状況を打破する施策としてO2Oに注目しはじめたのも、O2Oが普及した大きな要因といえます。

スマホ・SNSの普及は年々加速しており、オムニチャネル・マルチチャネルによる実店舗活用も進んでいるため、O2O施策は一過性のトレンドではなく今後も長期的に活用されることが考えられるでしょう。

O2Oはもう古い?

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現在、広く浸透したO2Oですが、最も注目を集めていたのは、2012年頃です。

実際Googleトレンドで見てみると、ピークは2013年で、その後は検索する人が少なくなってきており、今流行っている言葉かというとそうではありませんが、違う言葉に置き換わりつつも、その概念は今なお大切な概念として残っていると思っています。
消費者はオンライン、オフラインを問わず、複数のデバイス、タッチポイントを行き来しながら、買い物を体験するというのはもはや常識です。

O2Oの言葉の後に「オムニチャネル」というキーワードで、複数のタッチポイントでの購入体験を考えるようになり、O2Oの概念は「オムニチャネル」の登場によりその中に吸収されていったと言えます。
一方で、「オムニチャネル」という言葉も今はあまり使われないようになりましたが、デジタルマーケティングの進化が進み、運用者が成熟するに連れ、「マーケティングにデジタルもアナログもない」というくらい横断的に考えることが一般的になりました。

もちろん流行りもあったと思いますが、O2Oの考え方が廃れたわけではなく、もはや当たり前になった結果、検索される回数も減ってきたのかなと考えています。

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近年のO2Oの事例

ここでは、近年のO2O事例を2つご紹介します。

事例① 

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(引用元:https://paypay.ne.jp/promo/10billion-campaign/)

ご存知の方も多いかと思いますが、どんなキャンペーンかというと、PayPayというスマートフォン用のQRコード決済アプリで買い物すると、総額100億円分のポイントが還元される、というものです。
キャンペーンの詳細はリンクの引用元を見て頂くとして、第一弾でも決済アプリから実店舗へ多くのお客様が送り込まれたキャンペーンでした。

このキャンペーンはキャッシュレス決済市場の中の、とりわけQRコード決済市場における陣取り合戦という文脈で見られることが多いのですが、オンラインきっかけで店舗へ大量のお客様を送客したという観点に置いてO2Oとしてもかなりの規模のキャンペーンであったということができます。

事例②

Ponta Friendsとは、共通ポイントサービス「Ponta」の利用促進を目的に作られた、スマホを対象としたブラウザゲームです。スマホに搭載された位置情報を活用して、現実世界と連動した地図上に指定されたスポットへ向かうことで、Pontaポイントをゲットすることができます。

ゲーム内で開催されるイベントや、特定のスポットへチェックインすることでボーナスが貰える企画、SNSと連動した企画など、楽しみながらポイントを貯めることができるゲームとなっています。

ゲーム自体も作り込まれており、従来のポイントサービスにはない高いエンターテインメント性で利用者増加・利用促進を図っていることが、Ponta Friendsの特徴です。

付与されたポイントはもちろん全国のPonta提携店で使用できるため、顧客のゲーム利用を通じてPontaポイント使用促進ならびに提携店の販売促進といった効果が期待できる施策となっています。

PontaFriends(ポンタフレンズ)公式サイト

O2Oを成功させるポイント

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O2Oは新規顧客獲得に適した性質を持つ施策となりますが、多くの成功している企業が実践しているのは、短期的施策と長期的施策を組み合わせるという方法です。つまり、新規顧客だけでなく、リピート促進も並行して行っているということです。

ビジネスの売上の多くはリピート顧客から発生するため、新規顧客獲得ばかり行っていても投下した時間・労力に見合う反応は得られません。反対に、上質なビジネスを行っていても顧客は一定の割合で償却するため、リピート施策ばかり行っていては売上が低下してしまいます。

そのため、短期的施策である新規顧客獲得と長期的施策であるリピート促進を併用していくスタンスが、O2Oで成功するための重要なポイントです。また、一時的な成功ではなく成功し続けるためのポイントとなります。

今後のO2O

デジタルの接点からアナログの接点へ、あるいはその逆がO2Oですが、今後はその境界線はどんどん曖昧になっていくかもしれません。
どういうことかというと、AR(拡張現実)で何が出来るかを考えてみるとわかりやすいかもしれません。
ちょっと変わった事例を見ていきたいと思います。

FC WOW@25 CAMPAIGN - AN AUGMENTED REALITY APP from Blink Digital on Vimeo.

こちらはインドのケンタッキーフライドチキンで行われたキャンペーンです。
アプリをダウンロードし、アプリ上で手持ちの紙幣にカメラを向けると、その紙幣で購入できる商品がスマホ上に表示される、というものです。
当時インドではケンタッキーは高いというイメージがあったそうで、これだけ買えるんだよ(そんなに高くないんだよ)というのを楽しく表現するために作られたキャンペーンだったそうです。

このような事例におけるチャネルの行き来を考えてみると、 

  1. アプリを知る(オフラインorオンライン)
  2. アプリを入れる(オンライン)
  3. ARを表示する対象の前に行く(オフライン)
  4. 紙幣をアプリで映す(オンライン)
  5. 商品を購入する(オフラインorオンライン)

みたいなことになっています。

どこまでがオンラインでどこからがオフラインなのか、ARを使うと途端に曖昧になります。
ARは拡張現実の名の通り、これまでのアナログだったコミュニケーションを拡張することの出来る技術です。
AIによる画像認識の精度向上と合わせて、スマホのカメラを通した新しい体験が今後産まれてきそうですし、キャンペーンにもどんどん活かされていきそうだと思っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
O2Oの概念自体は一般化したものの、プロモーションを考える上で重要な概念であることは変わりません。
そして、重要な概念ではあるものの、オンラインとオフラインの垣根がどんどん曖昧になっていきそうなので、デジタル・アナログを超えた戦略立案、実行が今後求められて行きそうというところで、まとめとしたいと思います。

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