在庫管理におけるバーコードやQRコードの活用|種類やメリット・デメリットまで徹底解説

 2021.09.01  株式会社システムインテグレータ

バーコードやQRコードは商品情報や属性などが表されており、商品を管理・販売するさまざまな場面で利用されています。
バーコードをはじめとする自動認識技術は、煩雑な入出荷、受発注、検品、ロケーション管理などの業務を、大幅に効率化する役割があるのです。在庫管理に広く普及しているバーコード・QRコードは、在庫管理システムと連携してデータ管理を行うことで在庫管理業務に関する課題の解決・改善に効果を発揮します。

本記事では、在庫管理で活用されているバーコードなどの画像認識技術の詳細から、バーコード・QRコードと在庫管理システムのメリット・デメリットまで詳しくご紹介します。

(※)QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です

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在庫管理におけるバーコードやQRコードの活用

在庫管理におけるバーコードやQRコードの活用|種類やメリット・デメリットまで徹底解説 1

近年、バーコードやQRコードなどの自動認識技術が活用され、在庫管理業務の効率化が図られています。

バーコードやQRコードから読み取った商品の情報は、在庫管理システムに集約。システム上の在庫情報は何が・どこに・いくつあるかを可視化し、正確な在庫管理体制を構築可能です。

在庫管理を紙媒体の在庫管理表やエクセル集計から、バーコードやQRコードを活用したシステムに移行するメリットは非常に大きく、収益改善だけにとどまらず新たなビジネスの掘り起こしにも効果を発揮します。

また、バーコード・QRコードを活用した在庫管理は大規模倉庫で利用されるイメージが強いかもしれませんが、実際は小規模ECサイトの倉庫などさまざまな業種・業態に広く普及しています。

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在庫管理に活用される自動認識の種類

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バーコードやQRコードなどの自動認識技術には、それぞれ特徴が存在し、管理対象によって使い分けが行われています。自動認識技術には光学的に情報を取得するものから、電波で情報を取得するものまで数多くの種類があり、さまざまな場面で活用されています。

ここからは、在庫管理に活用されている自動認識技術の種類をご紹介します。

バーコード(一次元シンボル)

バーコードは、縞模様状に配置した線の太さによって数値や文字の情報を表すものです。情報は一定のルールに従って太さが異なる黒のバーで構成された縞模様に置き換えられます。

このバーコードを光学スキャナで読み取ることで商品情報などを読み取ることができます。

コンビニエンスストアでの販売管理から倉庫での在庫管理までバーコードは広く普及した自動認識技術の一つで、読み取りスピードが早く誤認識も少ない点が特徴です。

JANコード

JANコードは、主に小売店舗など市販されている商品に用いられます。世界共通規格のバーコードとして広く知られています。JANコードは「どのメーカーのどの商品を販売した」など、在庫管理や売上管理に活用できる情報を記録可能です。

ITF

ITFは主に梱包用ダンボールに印刷され、物流関係で利用されるケースが多いバーコードです。バーコードには商品名や個数が記録されており、ダンボールを開封することなく内容物の情報を把握できます。

CODE39

CODE39は品番管理に最適な特徴を持ち、自動車産業など工業・産業の領域で広く普及しているバーコードです。CODE39の特徴は利用可能な文字数が比較的多く、バーコードに変換できる情報が豊富な点です。

工業用以外では、社内でのみ管理する独自バーコードに利用されます。

NW-7

NW-7は、他の種類と比較すると単純な構成と、印刷時の精度が低くても使用できる点が特徴のバーコードです。単純な構成であることから古くから使用されています。

主に血液管理、宅配便の伝票管理、図書館の蔵書管理、書留郵便の管理などに用いられます。

CODE128

CODE128は数字、アルファベット大文字・小文字、記号、制御コードの全てをバーコードに変換可能で、コンピュータとの親和性が高いバーコードです。漢字、ひらがな、カタカナは入力できませんが、それ以外のキーボードから入力できる文字を表せるため、高密度バーコードの作成が可能です。

CODE128を用いることで、製造年月日、ロット番号、重要、寸法、出荷先といった多くの情報をバーコードに記録できます。

QRコード

QRコードは、大容量の情報を表すことが可能な2次元コードです。縦方向の黒いバーのみで表すバーコードに対して、QRコードは縦方向と横方向で情報を表します。

そして、QRコードはバーコードと同じ情報量のとき、表示スペースを約10分の1しか使用しません。さらに、360°あらゆる方向から高速で読み取りが可能で、汚れや破損があっても情報の復元性に優れている特徴があります。

QRコードはバーコードよりも多くの情報を扱えるため、在庫管理に必要な製造年月日やロット番号から、細かな商品属性まで詳細を詳細に管理することが可能です。

RFID

RFIDは、電波を使ってICタグに記録されたデータの読み書きを行う自動認識技術です。

バーコードやQRコードのようにコードを一つずつ読み取るのではなく、電波を用いて一度に複数のタグを読み取れることが特徴です。

複数の商品がダンボールにまとめて梱包されている場合でも、RFIDであれば開封することなく、一度の読み取りで全ての商品のタグを読み取れます。そして、タグがスキャナの電波受信範囲にあれば読み取り可能なため、在庫管理の自動化などでの活躍が期待されています。

画像認識

画像認識は、カメラの映像や撮影した画像から商品名や商品点数を自動認識する技術です。

画像認識を用いた在庫管理ではバーコードやタグを管理対象に付与する必要がありません。在庫管理システムに接続したカメラがあれば、自動で在庫管理可能な体制を構築可能です。

しかし、管理対象が見えていなければ、正確な処理が行われない点や、梱包されている状態では認識できない点には注意が必要です。

在庫管理にバーコード・QRコードを活用するメリット

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バーコードやQRコードを読み取る光学スキャナ(ハンディターミナル)と在庫管理システムの活用は、紙の台帳やエクセルを使用した在庫管理にはない多くのメリットがあります。在庫は企業や組織にとって利益を生み出す資産であり、適正な在庫管理がビジネスにさまざまな影響を与えます。ここからはバーコード・QRコードを使った在庫管理のメリットをご紹介します。

業務効率の改善

システムを使った在庫管理業務は、紙媒体ベースでは煩雑になりがちだった業務を大幅に効率化・改善します。バーコード・QRコードと在庫管理システムを連携させることで、在庫管理業務の高精度化と簡便化を実現できます。

入出荷業務をはじめとする在庫管理業務の指示を事前に登録すれば、担当者はハンディターミナルの指示に従い業務を進めることができます。正規の指示と違うコードが読み取られた場合にはアラートの通知があり、業務上のあらゆるミスを防止可能です。

「バーコード検品」と呼ばれるこの仕組みがあれば、担当者個人の能力に頼った管理体制が必要なくなります。これにより現場に配置する人材は標準化され、在庫管理業務の効率化はもちろん、コア業務に人員を集中させて組織全体の効率化につなげることもできるでしょう。

そして、バーコードとシステムを連携させた在庫管理体制では、商品名や数量以外の情報も同時に管理可能です。在庫状況を管理すると同時に、ロケーション管理、ロット番号管理、入出荷管理などさまざまな在庫情報を一元管理すれば、在庫管理業務の効率化につながります。また、使用期限・消費期限、製造ロットなどの先入先出法で管理しなければならない在庫もシステムで徹底管理され、安定した商品提供が可能です。

リアルタイム管理の実現

ハンディターミナルで読み取られたバーコード・QRコードの情報は通信ユニットや無線LANなどを通じて連携する在庫管理システムとリアルタイムで同期されます。システムでは入出荷で変動する在庫量の変化をリアルタイムで監視することができ、「情物一致」の在庫管理を実現します。

店舗や倉庫にある「実在庫」と帳簿やシステム上の「理論在庫」は受発注、入出荷、移動、返品などの際に逐一入力を行っていれば数字の差異が発生することはありません。しかし、管理体制の不備など、さまざまな要因で実在庫と理論在庫の差異は発生してしまいます。バーコードとシステムを使った在庫管理の場合、在庫状況はリアルタイムで監視され、バーコードで読み取った在庫情報はリアルタイムでシステムに反映されるため、実在庫と理論在庫が一致した状態を保つことが可能です。

また、正確な在庫管理が可能な状態は、適切に資産管理ができていることも意味します。倉庫や拠点が複数あったとしても、システムを使ってリアルタイムで在庫状況を把握できれば、市場や需要の変化に応じた最適な入出荷の判断を下すことができます。

ヒューマンエラーの防止

倉庫管理で発生する多くのミスは、ヒューマンエラーに起因するとされています。PCへの手入力、棚札による在庫管理体制など手作業の在庫管理はヒューマンエラーが起こりやすく、在庫の過不足が生じやすい管理方式です。

なお、倉庫管理業務でのヒューマンエラーは複数のミスが積み重なって起こるケースが多く、局所的に対処してもミスを完全防ぐことは難しいとされています。そのため、人の手による作業を極力少なくすることで、手作業によるミスを減らす管理体制の構築が重要です。

バーコードとシステムを活用した在庫管理は、ヒューマンエラー防止に効果的です。ハンディターミナルで読み取る情報を基本とした在庫管理は、手入力の機会を大幅に減少させ、ヒューマンエラーが起こりやすい環境そのものを改善できるでしょう。

在庫管理にバーコード・QRコードを活用するデメリット

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バーコード・QRコードで在庫管理することに多くのメリットがある一方で、少なからずデメリットもあります。しかし、何かしらのデメリットがあったとしても、システムの長期運用で得られるメリットの方が上回るケースがほとんどです。

ここからは、バーコード・QRコードを導入のデメリットとその解決方法をご紹介します。

コストが発生する

バーコード・QRコードとシステムを利用した在庫管理体制を構築するには、導入コストと運用コストが発生します。在庫管理を行う拠点にはハンディターミナルなどのハードウェア、本社や店舗には在庫管理システムを導入するコストが必要です。

運用にあたってもハードウェアやシステムのランニングコストのほかにも、在庫する商品にバーコードが貼り付け・印字されていない場合は自社でバーコードを付与するためのコストが発生する可能性があります。

しかし、メリットの項目でもご説明したとおり、バーコードとシステムを利用した在庫管理は業務効率化に貢献します。人員の再配置などでコストの最適化が実現すれば、長期的な目線で大きなコストメリットが期待できます。また、リアルタイムの在庫管理で在庫管理状況を可視化すれば、適正在庫を保つことも可能です。適正在庫を保つことは経営の健全性を促し、収益の改善にも影響を与えてくれるでしょう。

作業ルールの定着に時間がかかる

システムを運用する新しい作業ルールが在庫管理の現場に定着するには、多少の時間を要するでしょう。ルールの定着を短期間で済ませられなければ、システム導入で得られる恩恵が少なくなってしまいます。

また、バーコードとシステムを活用したとしても、ヒューマンエラーを完全にゼロにすることは困難です。コードの貼り間違いや印刷ミスなど、手作業が必要な業務はミスが起こりがちですが、こうした場面においても作業ルールの徹底が鍵を握ります。

システムをスムーズに導入し効率的に運用するには、運用マニュアルをもとにしたシステム導入研修が重要です。まずは研修などを通じて、新しい在庫管理体制への移行にメリットがあることを周知徹底するところからはじめましょう。マニュアルと研修を通じて十分な教育を現場担当者に行えば、より早く作業ルールが浸透し、運用も効率的に進むでしょう。

まとめ

在庫管理の効率化やヒューマンエラーを防止する方法として、今回ご紹介したバーコードやQRコードなどの自動認識技術の活用が挙げられます。このような自動認識の技術は、今回ご紹介したとおりそれぞれ特徴やメリットが異なります。そのため、特徴をよく理解し、自社に合う技術を導入するようにしましょう。

また、自社の在庫管理システムを活用する場合は、それぞれの特性を踏まえて選択することが重要です。また、自動認識技術で読み取ったデータは、在庫管理システムと併用することで在庫状況の一元管理が実現します。

さらに、在庫管理機能を保有した「ERP」を活用することで、在庫以外のデータも一元化できるため、よりシームレスな管理が実現します。

以下のページでは、ERPに関するお役立ち資料を公開しているので、ぜひお気軽にご利用ください。

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