在庫管理システムをクラウド型で構築すると、比較的低コストで業務を効率化することが可能です。そのため、昨今は多種多様な業種・業態でクラウド型在庫管理システムが普及しています。
しかし、一口にクラウド在庫管理システムといっても幅広く、システムによって機能・特徴は異なるため、低コストだけを理由に導入してしまうと、自社のニーズに合わないこともあります。
そこで、本記事ではクラウド型在庫管理システムを導入するメリットやシステム選定のポイントを詳しくご紹介します。在庫管理システム導入の際の比較検討にお役立てください。
在庫管理システムの機能
市場や需要がめまぐるしく変化する昨今、適正に在庫管理を行わなければ販売機会の損失にもつながります。在庫管理システムは正確なデータで在庫を管理し、必要なときに必要なだけ在庫を持つことを実現するシステムです。
在庫管理システムの機能のひとつである「入出庫管理機能」では、入荷・出荷時に商品バーコードを読み取り、商品データはリアルタイムで在庫管理システムに反映されます。入出庫管理機能をはじめとする在庫管理システムの機能を活用することで、適正な在庫管理を維持し、多様化するニーズに対応することが可能になります。
在庫管理システムの機能は各ベンダーのシステムやパッケージによって異なりますが、代表的な在庫管理システムの機能には以下のようなものがあります。
- 入出庫管理
- 在庫一覧
- 検品
- 返品管理
- 棚卸調整
- 在庫分析
- データ抽出
- マスター管理
クラウド在庫管理システムのメリットは?
近年、在庫管理システムは「クラウド型」がひとつのトレンドです。
クラウド型サービスは、インターネットを介してクラウド上のサービスを利用する仕組みのことです。在庫管理システムのみならず、多くの業務支援システムのクラウド化が進んでいます。
しかし、クラウド在庫管理システムが自社の業務に最適かどうかは十分な検討が必要です。ここからは、ご紹介するクラウド在庫管理システムのメリットをご紹介します。クラウド型のメリットを把握し、最適な選択肢になるかしっかりと確認しておきましょう。
低コストで導入できる
自社拠点内やデータセンターにシステムを構築する「オンプレミス型」と比較したとき、クラウド型は低コストでシステムを運用しやすい特徴があります。オンプレミス型で在庫管理システムを運用する際には、システム開発費用やサーバー構築に約数十万~数百万のコストがかかります。
一方で、クラウド型は、比較的低コストでシステムを利用することが可能です。また、クラウド上のシステムは基本的にサービス事業者によってメンテナンスが行われます。
したがって、クラウド型在庫管理システムにはオンプレミス型のシステムで必要な保守運用にかかる費用は必要ありません。
インターネット環境さえあれば利用できる
クラウド型の在庫管理システムは、インターネットに接続できる環境があれば、場所を問わず在庫状況を把握したり共有したりできます。
クラウド型システムのサービスはサーバー上で提供されるため、クラウド上の管理システムにログインするだけで在庫状況をいつでも・どこでも把握することでできます。クラウド型は本社と倉庫の距離が離れている場合の運用はもちろん、繁忙期に臨時で拠点を増強した場合など、さまざまな利用シーンに柔軟に対応可能です。
また、クラウド型は仕入先の「在庫を確認したい」というニーズにもスムーズに対応できます。仕入先側にクラウドサービスにアクセスしてもらい、在庫状況を直接確認してもらうことも可能です。仕入先と国内外問わず、工場や倉庫の在庫情報を簡単に共有可能にするのは、インターネットを利用したクラウド型だからこそできるメリットです。
リアルタイムの情報反映
入出庫、受発注、在庫数量、ロケーション情報の更新は、リアルタイムでクラウド型システムに情報反映されます。リアルタイムで状況を可視化できるようになると、発注すべき在庫の数量や倉庫に必要なスペースの把握も容易になります。
最新の出荷情報から将来の出荷予測を立て、必要な在庫を出荷しやすくするなどニーズに合わせた在庫管理が実現できるでしょう。
そして、リアルタイムで在庫情報が反映されるクラウド型システムでは、手作業の場合に生じていた理論在庫と実在庫に差異が生じることを防ぎます。リアルタイムに在庫状況を把握するクラウド型システムは、信ぴょう性の高いデータを共有できます。これにより、正確かつスムーズな受発注業務が可能になり、実在庫を確認するための時間と手間を削減にも効果を発揮します。
おすすめクラウド在庫管理システム5選
クラウド型在庫管理システムには、各社それぞれの特徴や機能があります。
ここからは、おすすめの製品を5つご紹介します。それぞれの導入コストや機能を比較して、在庫管理システム選びを比較検討する際にご利用ください。
ZAICO
株式会社ZAICOが提供している「ZAICO」は、Windows・Mac、iOS・Andoroidなどマルチプラットフォームに対応し、誰でも簡単にシンプルな在庫管理をスタートできるクラウド型在庫管理ソフトです。ZAICOを利用すれば面倒な入出庫業務や棚卸し業務は、スマートフォンやタブレットのカメラで商品をスキャンするだけで完了します。スキャンした在庫情報は即座に共有され、何の商品がいつ、どこに、いくつあるのかが一目瞭然です。
月額980円からサービスを利用可能で、ハンディターミナルなど高額なハードウェアを導入する必要がありません。ただし、ソフトをインストールするスマートフォンについては、別途社内用を契約する必要があるでしょう。
ロジクラ
株式会社ロジクラが提供する「ロジクラ」はiPhoneでピッキング、検品、出荷を行えるクラウド型在庫管理ソフトです。読み取ったデータはPCのブラウザから確認できるため、複数拠点や複数ユーザーが同時に在庫情報を把握することが可能です。なお、Android端末には対応していません。
ロジクラは基本機能のみの利用に関しては永久無料のサービスです。しかし、無料プランには登録拠点と出荷件数など、機能制限が設けられています。無料版は試用での利用に留め、長期的に運用する際には有料プランを契約するとよいでしょう。
また、スキャナとしてiPhoneまたは連携したハンディターミナルを導入する必要があります。
楽楽販売
ラクスグループが提供する「楽楽販売」は、クラウド型業務改善システムです。
楽楽販売は部署、工場、倉庫間などで発生する情報共有の手間を大幅に削減、メールや電話を使わずとも在庫情報の共有を可能にするシステムです。誰でも簡単に帳票を作成可能なため、入出荷指示書などの帳票関連業務の属人化を防ぐ特徴があります。在庫情報はシステムで一元管理され、在庫数や受発注情報が可視化される上に、アラート通知で在庫切れを防止します。
楽楽販売の導入には初期費用150,000円と月額費用60,000円が必要です。なお、月額費用はシステム利用状況によって異なります。
eee CLOUD
テービーテック株式会社が提供する「eee CLOUD(イークラウド)」は、卸売業から製造業やサービスまで、あらゆる業種のニーズに対応した在庫管理システムです。
受発注、入出荷管理や棚卸しなどは標準機能のみで利用可能となっており、汎用性の高さからさまざまな業種で適正在庫の維持と余剰在庫の圧縮を実現します。eee CLOUDは現在庫数のみならず、入出庫のデータをもとに将来発注する在庫の管理を行えます。
この機能を活用すれば、在庫不足や納期遅れを防ぎ、取引先と安定した関係の構築が可能です。
eee CLOUDは初期導入費用100,000円、月額利用料20,000円から利用可能なほか、ハンディターミナルなどハードウェアの導入もオプションで対応しています。
flam
株式会社フリップロジックが提供する「flam」は、販売・仕入れから在庫管理まで、簡単でスムーズな一元管理体制を構築できる販売管理システムです。
販売管理では見積書から売掛金の回収予定管理、仕入れ管理では発注から買掛金の支払い予定管理、そして在庫管理では在庫状況の把握や棚卸し業務を実施できます。各業務の連携を簡単に行えるため、案件の進捗状況を可視化して把握でき、作業効率向上が期待できます。
さらに、flamは数多くの業種・業態にマッチングできる高い拡張性を備える上に、システムを利用する担当者と管理者の目線の直感的なUIが特徴です。
flamの月額利用料は利用可能なアカウント数とデータ保存容量によって9,300~49,800円/月額の利用料が必要になるほか、電話サポートやデータ容量追加がオプションで用意されています。
クラウド在庫管理システムの選び方ポイント
先にご紹介したクラウド型在庫管理システム5つ以外にも、数多くの在庫管理システムが各ベンダーからリリースされています。
では、自社の在庫管理業務に適したシステムはどのように選定すればよいのでしょうか。ここからはクラウド型在庫管理システムを選ぶ3つのポイントをご紹介します。
自社に必要な機能を洗い出しておく
数多くのシステムの中から自社にとって最適なものを選択するには、自社が解決したい課題を明確にし、その課題解決に必要な機能を洗い出すことが重要です。
前章では、低コストで運用可能な製品や業種・業態に必要なカスタマイズを施せる製品など、各ベンダーによってさまざまな特徴を持った在庫管理システムがあることをご紹介しました。
各ベンダーが提供するシステムはそれぞれ機能・特徴が異なるため、自が必要とする機能・特徴を備えていなければ、高い導入効果を発揮することは困難です。自社ニーズを洗い出すことは、導入目的を明確にして必要な機能を備えたシステム選定を可能にします。また、必要な機能はシステムを利用してみて気がつく場合もあります。
後々システム改修が必要になる事態を想定し、あらかじめカスタマイズ可能なシステムを選ぶこともひとつの手段でしょう。
操作性を重視する
在庫管理システムを活用した在庫管理業務の効率化に欠かせないポイントが、システム関連の操作性です。しかし、在庫管理システムの導入直後から業務効率化につながるケースは多くありません。その原因は、担当者がシステムを効率的に操作するためには、ある程度の時間が必要とされるからです。
しかし、操作性に優れていたり導入サポートが充実していたりするシステムを導入すれば、早い段階で運用が定着し、いち早く導入効果を得られます。また、ハンディターミナルの操作方法など管理業務にまつわるルールを定め、体系化することも欠かせないポイントです。
在庫管理システムが操作性に優れていれば、データ処理にかかっていた時間と手間の削減もできます。また、入力ミスによる誤発注などのヒューマンエラーも未然に防ぎ、業務効率化による生産性向上も期待できるでしょう。
サポートの充実度を確認する
クラウド型在庫管理システムは、在庫管理データは各端末ではなくクラウド上で運用されます。クラウド上のデータは強固なセキュリティによって保護されているとはいえ、データを社外に委託している以上はデータ漏えいなどのリスクがあります。
したがって、万が一の時に迅速なサポート体制が提供されるシステムを選ぶことは、ビジネス上重要なポイントです。
運用サポートが充実した在庫管理システムを見極めるためには、導入実績を確認したり、無料トライアルに登録したりする方法があります。無料トライアルを活用すれば、問題が発生した際にサポートが速やかに解決へと導いてくれるかどうかを見極めることができるはずです。
必ずしもクラウド型がいいというわけではない?
ここまで、クラウド型在庫管理システムのメリットなどについてご紹介してきました。
クラウド型には導入が容易なメリットなどがありますが、全ての企業と全ての事業で必ずクラウド型のシステムがマッチするとは言い切れません。システムを導入する際には、自社の要件にマッチしたシステムや管理方法を考える必要があります。事業規模など条件次第ではクラウド型のシステムではなく、オンプレミス型のシステムを採用するメリットが大きい場合もあるでしょう。
オンプレミス型で在庫管理システムを構築する場合のメリットは、他の基幹業務システムなど既に導入済みのシステムと連携しやすい点です。オンプレミス型のシステムは基本的に自社でシステムを構築するため、改良によって統合性の高いシステムを構築することが可能です。
また、社内ローカルエリア接続を利用するため、クラウド型よりも強固なセキュリティ環境をつくりやすいと言われています。インターネットを通じた情報漏えいなどのリスクを軽減したい場合は、オンプレミス型を使ったシステムを構築にしてもいいでしょう。
パッケージERP「GRANDIT」
「GRANDIT」は、経理、債権、債務、販売など、合計10の業務モジュールで構成された完全統合型Web-ERPです。
GRANDITでは販売・調達在庫・製造モジュールの連携によって、高度な在庫管理機能を提供しています。モジュールは基幹業務の全域をカバー可能な構成ですが、必要に応じて利用するモジュールを変更できます。自由なモジュール構成で現在最も必要なビジネスをサポートし、事業の成長に伴うモジュールの拡張にも対応します。
また、GRANDITは複数のシステムでデータ共有するだけではなく、極めて高い業務統合と一貫した操作性が特徴です。また、業種・業態に応じたカスタマイズを提供、アドオン・テンプレート開発など、高度なサポートであらゆる業務の課題を解決に導きます。
バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ
多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。
まとめ
今回はクラウドの在庫管理システムをご紹介いたしました。
クラウドシステムは、低コストで導入できたり、インターネット環境さえあれば利用できたりする利点があります。在庫管理システムをご検討の際は、自社にとってどのような機能が必要なのかを踏まえた上で、適切なシステムを選定しましょう。また、下記のページでは国産ERPパッケージの比較資料などもご用意してありますので、ぜひご活用ください。
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