EC市場が急速に発展し、競争が激しさを増す中、自社ECサイトを成功させるにはどのような施策を講じればよいのでしょうか。本記事では、大手ECサイト5社の取り組みを参考に、集客や売上を向上させるための秘訣を探っていきます。
ECサイト構築については以下の記事で解説しています。
ECサイト構築を徹底解説 | 費用相場・方法・制作手順から会社の選び方まで
拡大するEC市場
アパレル業界や食品業界をはじめ、さまざまな業界が人口減少の煽りを受けてマイナス成長を強いられる中、際立って存在感を増しているのがEC市場です。経済産業省の発表によると、2019年の国内BtoC-EC市場規模は前年比7.65%増の19兆3,609億円と、この10年で2倍以上に成長を遂げています。さらに、全商取引に対するEC取引の市場規模の割合を指すEC化率も、前年比0.54%増の6.76%と増加傾向にあります。
かつてはEC化が進んでいる産業とそうでない産業に二極化しており、衣服や家電、書籍などの分野に比べ、食品や医薬品などはEC化が遅れていました。しかし、最近ではコロナ禍の影響で巣ごもり需要が増えているほか、実店舗での対人接触を避けたいという消費者意識の高まりに後押しされる形で、実店舗に依存した収益構造を見直す必要に迫られている産業も増加しています。
そのため、これまでEC販売に力を入れていなかった産業でもEC化を強化する動きが加速しており、今後は産業を問わずEC化が進んでいくとみられています。また、新規参入事業者の増加にともない、EC市場内での競争も激化しています。
(参照:https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html)
大手ECサイト5社の特徴やユニークな機能
国内で特に利用者の多い大手ECサイトのうち、Amazon・楽天市場・ZOZOTOWN・ビッグカメラ・ユニクロの5社の特徴や機能をご紹介します。
Amazon
Amazonといえば、世界屈指の利用者数を誇り、物販系ECサイトの代表ともいえる存在です。商品購入サービスだけでなく、有料会員向けのサービス「Amazonプライム」も充実しており、年間プラン(税込4,900円)もしくは月間プラン(税込500円)を契約すると、配送特典や動画配信サービス、音楽配信サービスなどが利用できます。
モバイルアプリでは、画像スキャン検索や音声検索ができるほか、商品画像を長押しすれば欲しいものリストに追加できるなど、スマホ特有の機能を活かしたサービスが利用可能です。また新規出店がしやすく、他社がすでに登録している商品であれば、新たにアイテムを登録しなくても、在庫や価格を設定するだけですぐに販売できます。
料金プランは「大口出品」「小口出品」の2種類です。個人や小規模企業向けの小口出品プランは、毎月の出品数が49点までで、商品ごとに100円の費用がかかります。50点以上を出品したい場合は大口出品を利用します。費用は月額税抜4,900円で、一括出品や広告の出稿、独自の配送料の設定なども行えます。
楽天市場
会員数やアプリの利用者数が突出しており、ネット通販市場全体でも高いシェアを占める、Amazonにとって最大のライバルといえる国内ECプラットフォームです。ネット通販以外の場所でもポイントが貯まる「楽天ポイント」を展開しており、クレジットカードや格安スマホ、旅行予約など複数のサービスで共通して利用できます。
Amazonなどでは商品ページのフォーマットが固定されているため、ユーザーはどの出品者から購入したかを意識することが少ないのに対し、楽天市場では店舗ごとに特色を出したページを設計しやすく、リピーターを作りやすいのが特徴です。
出店プランは「がんばれ!プラン」「スタンダードプラン」「メガショッププラン」の3種類から選択可能です。がんばれ!プランは月額出店料が19,500円と割安なため、ネットショップの運営経験が少ない事業者でも始めやすいでしょう。スタンダードプランはランニングコストが割安で、140万円以上の月商を目指す事業者に向いています。メガショッププランは、登録可能な商品数や画像の容量が無制限で、より多くの商品を出品したい場合におすすめです。
ZOZOTOWN
ZOZOTOWNは、2020年4月時点で7,600以上のブランドが出店しているアパレル専門ECモールです。ファッション系のECモールとしては国内最大規模を誇り、集客とブランド認知度の向上が期待できます。
ZOZOTOWNのECサイトでは商品の検索機能が充実しており、ブランドやアイテムはもちろん、価格やカラー、サイズ、素材などでも細かく絞り込むことが可能です。一般的なアパレル系のECサイトと異なり、カラーとサイズを同時に選択できるようにするなど、ユーザーのアクションを効率化する工夫も施されています。
出品方法は主に、「受託ショップ」「買取ショップ」「ZOZOUSED」の3種類です。出店者がテナント形式で出店する「受託ショップ」では、商品の在庫をZOZOTOWNの物流拠点で預かって管理してもらえます。売れ残りのリスクなどは出店者が負担しなければなりませんが、商品の検品や写真撮影、出荷・梱包はZOZOが担当してくれるので、出店者の手間が少なくて済むのが特徴です。
一方「買取ショップ」は、ZOZOが複数のブランドから商品を仕入れ、自社で在庫を持ちながらZOZOの運営ショップで販売する事業形態です。そして「ZOZOUSED」では、ZOZOが個人のユーザーから古着を買い取って販売してくれます。
ビッグカメラ
家電量販店の大手・ビックカメラが運営するECサイト「ビックカメラ.com」。中でもスマホ版は、日用品や家電を扱うECサイトの中でも、特にユーザビリティが高く評価されています。その理由のひとつが、店舗とネットを連携させて販売機会を促進するオムニチャネルです。
たとえば、公式アプリを使って店頭商品のバーコードを読み取ると、アプリに履歴が残り、ECサイトで商品情報を確認できます。さらに、店舗の電子棚札にNFC(近距離無線通信規格)を搭載しているのも特徴です。電子棚札では、ECでのレビュー件数や評価を表示でき、スマホをかざすと商品情報が閲覧できます。
最近ではオンライン接客ツールを活用し、コロナ禍により実施が難しい実演販売をECサイト上で実現しています。対象商品のページに設置したリンクをクリックすると、商品に詳しいオペレーターが、実演を交えてユーザーの疑問や質問に答えてくれます。
ユニクロ
国内で800店舗以上、世界で2,000店舗以上を展開するSPA(製造小売業)のユニクロは、ZOZOTOWNと並ぶ大規模なファッションECサイトを展開。リアル店舗・デジタルを問わず、あらゆるメディアで顧客との接点を作るオムニチャネル施策を軌道に乗せています。
特徴的なのが、クーポンとレビューです。モバイル会員を対象に店舗で使えるクーポンを発行することで、店舗への来店促進につなげています。一方のレビュー機能では、実際に商品を購入・着用した人にサイズ感や素材感などについて感想を書き込んでもらうことで、購入前に試着できないというネット通販の弱点がうまく補われています。身長や着丈、腕の長さなどをマイサイズとして登録しておけるため、試着しなくても自分の体型にフィットする商品が探せるのも強みでしょう。
さらにユニクロでは、ユーザーの役に立つ情報を発信する読み物コンテンツにも力を入れており、トレンドやコーディネートに関する悩み解決の方法を紹介するページ「today’s pick up」なども運営しています。
ECサイトを成功に導く3つの秘訣
事業者だけでなく個人のユーザーでも気軽に出品しやすい仕組みが整えられていることもあり、EC市場は拡大の反面、競争も激化しています。数あるECサイトの中で安定した集客と売上を実現するためのコツをご紹介します。
コンテンツマーケティング
「コンテンツマーケティング」とは、ユーザーに価値のある情報を発信して購買を促すWebマーケティング手法のことです。商品に対するニーズが顕在化した客ではなく、どちらかというと潜在的なニーズをもつ層に対し、コンテンツを通して自社のサイトを知ってもらうことで購買につなげていきます。
なお、コンテンツマーケティングを成功させるためには、「SEO(Search Engine Optimization)」対策が不可欠です。SEOとは、検索エンジンで上位に表示させるためのさまざまな施策のことです。有益で価値の高い情報を提供することはもちろん、ニーズの高いキーワードを記事の文章中に盛り込む、動画や画像を使用して商品の特徴をわかりやすく説明するなど、あらゆる側面からのアプローチが必要です。
新しくシステムを開発したり設備を整えたりする必要がないため、大きなコストをかけずに済みますが、その分継続した取り組みが欠かせず、効果が出るまでには時間と労力がかかります。
ECサイトのSEO対策については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
オムニチャネル戦略
「オムニチャネル」とは、リアル(店舗)とネットを融合させて相互送客を図り、シームレスな購買体験を提供する販売戦略のことです。顧客接点を増やすことで機会損失を減らせるうえ、自社サイトやアプリなどを通じて顧客データや購買データを効率的に収集できます。また、それらを用いたより細かい顧客分析も可能です。たとえば、店頭に在庫がない商品をその場でオンライン注文できるようにすれば、売り逃しを防げます。
オムニチャネルは企業側にメリットがあるだけでなく、顧客の満足度やロイヤリティを高めるうえでも効果を発揮します。ただし、デジタルに注力すればするほどECでの購入比率が高くなり、店舗での売上が減少する傾向にあるのが難点です。「店舗に来店してもらうためにデジタルの力を活用する」という視点をもち、店舗で購入した人だけが受け取れる特典を用意するなどの工夫を考える必要があります。
オムニチャネル戦略についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
オムニチャネル戦略とECサイトの位置づけ
越境ECの展開
「越境EC」とは、海外の消費者に向けて国内の商品を販売する通販戦略をいいます。日本の製品は品質に優れ、安心して利用できるという理由で、家電や衛生品を中心に海外で高い評価を受けています。日本国内市場が縮小する中で、海外に活路を見出す企業が増えており、越境EC市場のさらなる活性化が見込まれています。
越境ECのメリットは、リアル店舗を海外に出店するのと比べて、低リスク・低コストで商圏を拡大できる点です。ただし、越境ECで成果を出すためには、相手国の法律や文化、商習慣などへの理解が欠かせません。国境を越える取引では関税も発生するため、関税に関するさまざまな規制も頭に入れておく必要があります。
越境ECを成功させるためのポイントについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
越境ECを成功させるためのポイントを解説
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まとめ
ECサイトを軌道に乗せるためには、コンテンツマーケティングやオムニチャネルに力を入れて顧客満足度を高め、販売を促進する方法が有効です。商圏拡大と新規顧客の獲得を狙い、越境ECに挑戦する企業も今後は増えていくと予想されます。プロジェクト管理ツールなども活用しながら、効率的なECサイト運営を実現させましょう。
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