ECサイトを自社で構築するのか、それともモール型ECを利用するのか、迷うケースは少なくありません。本記事では、ECサイト構築を検討している経営者や担当者の方へ向けて、自社ECとモール型ECの違いを解説します。あわせて、自社ECサイトの構築に役立つプロジェクト管理ツールを紹介します。
自社ECとは
自社ECとは、文字通り自社でドメインを取得して自ら運営を行うECサイトを指します。構築方法には、「ASP」「パッケージ」「フルスクラッチ」などがあります。簡単にそれぞれの構築方法についてご紹介します。
ASPとは「アプリケーション サービス プロバイダ(Application Service Provider)」の略で、インターネット上でソフトウェアなどを提供するサービスおよび事業者を指します。利用者はASPにアクセスしてECサイトを構築します。そのため、手軽にECサイトを立ち上げられ、初期費用やランニングコストを抑えられることがメリットです。ただし、オリジナリティを打ち出しにくく、カスタマイズ性が低いことがデメリットです。
パッケージは、ECサイト運営に必要な機能がパッケージ化してあり、それを購入して構築する方法です。機能の追加や変更などカスタマイズ性に優れており、自由度の高いサイト構築を実現できます。多くのパッケージが販売されていますが、基本的にASPより高額になるケースがほとんどです。
ASPとパッケージの構築手法については以下でより詳細にご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
ECサイト構築手法のパッケージとASPを比較!|ASPとSaaSの違いとは?
フルスクラッチは、いわば完全オーダーメイドのECサイトです。何もない状態から構築するため、自社が求める理想的なECサイトを作れることがメリットです。しかし、完全オーダーメイドで制作するため、必然的に作成に時間がかかります。また、ほかの方法よりもコストが高くなるため、慎重に検討した方がいいでしょう。
ECサイト構築については以下の記事で詳しく解説しています。
ECサイト構築を徹底解説 | 費用相場・方法・制作手順から会社の選び方まで
自社ECのメリット・デメリット
自社ECは、利益の最大化を図れることが大きなメリットです。後述するモール型ECの場合、出店料や手数料などのコストが発生しますが、自社ECなら不要です。多くのライバルがしのぎを削るモール型ECでありがちな、価格競争に巻き込まれる心配もありません。
ブランディングしやすいのも、自社ECのメリットです。自社ECであればデザインやキャンペーンの実施などに制約がなく、自由度の高いサイト構築が可能です。そのため自社のカラーやコンセプトを前面に打ち出せ、自社ブランドが確立しやすいです。
また、自社ECなら顧客情報を最大限に活用できます。個々の購入履歴からおすすめの商品を提案する、メルマガで新商品の案内をする、といったことが可能となり、利益の拡大につなげられるのです。お客様一人ひとりに対してアプローチが可能なため、効率よくリピーターも獲得できます。
デメリットとしては、集客の難しさが挙げられます。自社に圧倒的なブランド力や高い知名度があれば話は別ですが、そうでない場合にはさまざまな方法を駆使して集客をしなくてはなりません。ホームページやSNS、Web広告なども積極的に活用する必要があります。
また、自社でECサイトを運営する場合、立ち上げてすぐに成果が得られないことが多く、長期的な視点で運営を行わなければなりません。
モール型ECとは
モール型ECは、いくつもの企業が1つのECサイトに集まって、出店したり、商品のみを出品したりしているビジネス形態を指します。ショッピングモールや百貨店をイメージするとわかりやすいかもしれません。現在、いくつものモール型ECがありますが、代表的なものではAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどが挙げられます。
モール型ECは大きく「テナント型」と「マーケットプレイス型」の2種類に分けられます。前者は楽天市場やYahoo!ショッピングなどが該当します。実際のショッピングモールや百貨店と同じような仕組みで、出店するサイトにテナント料として「出店料」を支払います。どのような企業でも出店できるわけではなく、審査をクリアしなくてはなりません。あくまでサイトを借りるだけのため、売上計上や商品の発送・管理は自社で行う必要があります。
マーケットプレイス型ECサイトで代表的なのはAmazonです。各企業が個別に販売ページをもつわけではなく、Amazonに商品を出品して販売します。テナント型に比べて手軽にECビジネスをスタートさせられるメリットがありますが、商品は他社と同じように扱われるため、オリジナリティを出すことはできません。
モール型ECのメリット・デメリット
モール型の最大のメリットは集客力の高さです。例えば、前述したAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどは抜群の知名度を誇っており、日常的に多くの人々がアクセスしています。また、大手企業が運営しているため、信頼度が高く、知名度がまったくない企業でも利益を得やすい環境が整っています。
出店難易度の低さもメリットといえるでしょう。自社でサイトを構築する必要がなく、特別な知識やノウハウがなくてもECビジネスを簡単にスタートさせられます。
デメリットは、価格競争に巻き込まれる可能性があることです。モールにはたくさんの企業が出店または出品しています。消費者は、サイトの中で最安値のショップ、商品を選ぶことも珍しくありません。他社が価格を下げたのなら、消費者がそちらへ流れないように自社も値下げを行う必要性に迫られます。
利益率が低いのも懸念材料です。ECモールへ出店、出品するにはコストがかかります。出店料や出品料をはじめ、売り上げに応じた手数料も支払わなければならず、ランニングコストがかさむのです。利用するモールや契約内容などによって発生するコストは変わるため、事前のリサーチが欠かせません。
また、ECモールが用意したプラットフォームを利用するため、ページデザインの自由度は低く、自社のカラーやコンセプトが打ち出しにくいのもデメリットといえるでしょう。消費者にとってはあくまでモール内の1店舗であり、認知度の向上もあまり見込めません。
自社ECとモール型ECの違い
ECサイトの構築を検討しているのなら、自社ECとモール型ECの違いをきちんと理解しておきましょう。以下、双方におけるサイト構築や費用、集客方法などの違いをまとめました。
サイト構築
自社ECは自由度の高いサイト構築が可能です。完全オーダーメイドで構築することもできるため、ブランドイメージに合ったサイトが作れます。一方で、サイト構築に相当な時間を要するケースが多く、運用開始まで時間がかかるデメリットがあります。
モール型ECは、事業者が用意したプラットフォームを利用できるため、短期間で運用を開始できます。ただし、デザインや機能変更はほとんどできず、独自性を出すこともほぼできません。
費用
自社ECでは構築方法によって構築費用が異なりますが、こだわるほどに構築費用がかかります。ほかにも、月額使用料や保守メンテナンスなど、運用費用が必要になります。
モール型ECは、出店料が初期費用として必要です。また運用費用として、手数料やロイヤリティなどが発生します。
集客方法
自社ECは、さまざまな手法を駆使して自ら集客を行う必要があります。例えば、ホームページやSNS、メルマガでの情報発信をはじめ、リスティング広告やコンテンツマーケティング、SEOなどで集客を図ります。
モール型ECは、ECモールの知名度や認知度の高さが武器です。有名なECモールは抜群の知名度があり、自然と多くのユーザーが集まります。モール内SEOやセールの開催などで、集客力を高めることも可能です。
ECサイトを決めるポイントとは
自社ECとモール型EC、どちらを選ぶかは自社の現状によって判断することが大切です。自社や商品のブランディングがすでに成功しているのなら、自社ECがおすすめです。消費者は、「〇〇社だから買う」と明確な意志をもつ方が多いと考えられるため、自社ECでも十分集客が見込めます。
一方、「認知度を高めたい」「顧客の新規開拓をしたい」と考えているのであれば、モール型がおすすめです。大手ECモールには多くの人々が集まるため、認知度の向上が見込めます。今まで接点がなかったターゲット層の目にとまる可能性も高くなり、新規顧客獲得にもつながるでしょう。
また、自社ECとECモールの両方を行うのも1つの手段です。同時に行うためコストはかかりますが、ECサイトで集客力の強化や売り上げを確保しなから、自社ECの認知度を高める効果が期待できます。
自社ECサイトの構築に役立つSI Web Shopping
自社でECサイトを効率的に構築するには、パッケージ利用が便利です。
SI Web Shoppingは1996年にリリースされた、日本初のECサイト構築パッケージです。安定性と堅牢性を備えており、すでに1,100サイトものECサイト構築に採用されています。
柔軟なカスタマイズ性が特徴で、標準連携可能な多様なソリューションと組み合わせることで、変化する顧客トレンドの変化にキャッチアップし続けることができる、ECビジネスの拡大に最適なパッケージです。
SI Web Shoppingを基盤とすることで、競合と差別化し、独自性のあるビジネスをデジタルを活用して展開していくことが可能です。
まとめ
自社ECとモール型ECにはさまざまな違いがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。ECサイトの構築を検討しているのなら、これら双方の違いとメリット、デメリットをきちんと把握した上で、自社のビジョン合ったECサイト構築を行いましょう。
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