近年、社会情勢の変化に伴って、人材獲得は困難の一途をたどっています。そのような状況における有効な人材獲得の方法として、「タレントプール」を活用した採用戦略が注目を集めています。この記事では、タレントプールについての概要や注目される背景、メリットなどを詳しく解説します。
タレントプール(人材プール)とは?
タレントプールとは、短期的または中長期的に、企業が将来自社で採用する可能性のある有望な人材の情報を集積・管理するデータベースのことです。「才能」や「人材」を意味するタレント(talent)と、「集まり」や「要員」という意味のあるプール(pool)を掛けあわせた言葉で、日本語で「人材プール」とも訳されます。また、単にデータベースとしてだけではなく、それを活用した採用手法を指す言葉として使用されることもあります。
対象者
タレントプールにどのような人材を含めるべきかについて、明確な定義はありません。しかしながら、一般的にはまず採用活動を通して自社と関係のあった人々が挙げられます。例えば、選考活動において評価は高かったものの何らかの事情で最終的には落選した人材、あるいは自社の内定を辞退した人材などです。こうした人材は、条件やタイミングがあえば、再度アプローチできる可能性があります。
また、消費者も含めて、自社と何らかの接点がある人材も含まれます。例えば、自社のメルマガに登録しているユーザー、SNSやブログで自社商品について言及している人、自社が必要としている技術・知識について情報発信している人材などです。また、元従業員や優秀な業界関係者なども例外ではありません。
さらに、社内の既存人材を加える場合もあります。これは従業員のスキルセットを可視化し、社内の人材運用や人材育成に役立てるためです。このように、誰をタレントプールに加えるかは、企業の目的やニーズに応じて柔軟な観点で見定める必要があります。
手法
タレントプールを構築・運用する前段階として、まずは自社が採用ターゲットに求めている人物像やスキル要件を明確にします。具体的には、経歴、保有スキル、保有資格、入社後に期待している役割などです。
それらを踏まえ、過去の求人に応募した人材や、SNSやセミナーなどでつながりのあった人材など、多様な接点を通じて得た情報をデータベースに登録していきます。自社の採用サイトなどを通して人材側に情報登録してもらう手法もあります。採用活動だけでなく社内のタレントマネジメントも行いたい場合は、社内人材の情報を登録することも欠かせません。
タレントプールに登録された人材に対しては、定期的な情報発信や交流会などを通して自社への関心を喚起します。とりわけ事前に明確化した人物像・スキル要件に適合している人材の動向は定期的に確認し、いつでもアプローチできるようにしておくことが望ましいです。
タレントプールが必要な背景
現在タレントプールが重要視されている背景には、複数の社会的要因があります。
少子高齢化による人手不足
少子高齢化による労働力人口の減少は、すでにさまざまな業界で人手不足を引き起こしています。限られた人材を獲得するために、企業間の競争は今後ますます激化していく見込みです。このような社会情勢の中、タレントプールは採用・入社に至らなかった人材にも再度アプローチを試みるといったように、柔軟かつ広範な採用活動を展開する方法として注目されています。
デジタル人材の不足
前段の人手不足を改善するためには、AIやIoTといった最新技術を活用してDXを推進することが重要です。しかし、DXを推進するための鍵となるデジタル人材自体が圧倒的に不足しているというジレンマに多くの企業が悩まされています。過去に接点を持った人材を継続的に把握・追跡するタレントプールは、転職市場に出ていないデジタル人材に対してもアプローチできる方法として効果が期待されています。
働き方の多様化
働き方の多様化もまた、タレントプールの注目度に大きく関係しています。近年では正社員以外にもフリーランスや副業といった多様な働き方が広がりつつあるほか、転職による人材の流動性が高まりつつあります。このような状況において採用活動を行うには、従来の方法だけでなく、多様な人材と中長期的に接点を持ち、ターゲット側の事情やニーズも尊重した上でアプローチすることが必要です。タレントプールは、それを可能にする方法として有望視されています。
タレントプールを活用する3つのメリット
タレントプールの導入により、企業は多くのメリットを得られます。
1.採用コストを削減できる
タレントプールに登録されている人材へのアプローチは、求人広告を出したり人材紹介サービスを利用したりする方法よりも、工数的にも経済的にも採用コストを削減できます。タレントプールを参照すれば、その人材がどのようなスキルや人格をもった人物かあらかじめ把握した上でピンポイントにアプローチできるからです。このような方法によって、求人の告知や書類選考などにかかる採用・選考プロセス、外部サービスの利用手数料コストを省け、スピーディーに必要な人材を採用できるようになります。
2.採用者の質を向上させられる
タレントプールを通じて継続的に関わりを持つことで、候補者と企業との間に相互理解が深められます。それにより、入社後のミスマッチのリスク低減や、採用者の質の向上が可能です。ミスマッチのリスクが減ることは離職率の低下にも寄与し、組織の安定的成長や人事担当者の負担軽減につながります。
3.潜在層にアプローチできる
タレントプールによって、就職・転職市場に出てこない潜在層にアプローチできる点も大きなメリットです。先述の通り、企業間の人材獲得競争が激化していく中、転職市場に出ている人材を確保することは今後ますます困難になっていく見込みです。タレントプールを活用して潜在的な転職希望者に対して他社に先んじてアプローチを取ることで、将来的な採用につなげられます。
タレントプール構築に役立つスキル判定サービス「TOPSIC」
タレントプールの構築にあたっては、登録する採用候補者のスキルを正確に把握することが重要です。例えばデジタル人材の代表格であるソフトウェアエンジニアの採用においては、プログラミングスキルの判定が必要になります。候補者のスキルを正確に評価するためのツールとしては、クラウドサービス「TOPSIC」がおすすめです。
TOPSICでは、各種言語のプログラミングスキルやSQLのコーディングスキルを可視化できます。例えばエンジニアの採用をする場面では、候補者のプログラミングスキルを正確に評価することが可能です。面接や書類選考だけでは判断しにくい実践的な技術力を、客観的なデータとして把握できます。
このようなスキルの可視化は、社内人材の教育を実施するケースでも役立ちます。現在のスキルレベルを可視化することで、それぞれのレベルに応じた学習計画を立てやすくなります。社内でプログラミングコンテストを開催し、従業員のスキル向上やコミュニケーションの活性化を促進する使い方もおすすめです。
このように、TOPSICはタレントプール構築において重要な要素となるスキルの可視化を可能にするだけでなく、採用から教育、社内イベントに至るまで、多角的なニーズに対応できます。
まとめ
社会全体で人手不足や働き方の多様化が進む中、採用戦略としてタレントプールを活用する重要性はますます高まっています。タレントプールの導入により、採用コストの削減、採用者の質の向上、潜在層へのアプローチなどのメリットを得ることが可能です。IT人材の採用においてはスキル判定サービス「TOPSIC」が役立ちます。タレントプールとTOPSICを組みあわせることで、効率的に質の高い人材確保が実現できます。
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