ECサイトのスマホ決済対応について考える

 2019.05.09  佐藤 嘉彦

こんにちは。
システムインテグレータの佐藤です。

昨年末からスマホ決済の話題を目にしない日はないというくらい、今スマホ決済が盛り上がっていますね。
もともと極力現金を使いたくない派の私もキャンペーンに釣られていろいろなスマホ決済を試しています。
皆さんはスマホ決済どれくらい使っているでしょうか。 

今回はスマホ決済とはなんぞやというところと、ECサイトとして対応する意味について考えていきたいと思います。

スマホ決済とは

今回スマホ決済というタイトルで記事を書き始めましたが、まずは改めて「スマホ決済」という言葉について考えてみようと思います。

「スマホ決済」とはなんなのか。
それは読んで字のごとく「スマホで出来る決済」になるわけですが、皆さんご存知の通り、スマホでECサイトを開いてクレジットカードで決済することをスマホ決済とは呼びません。
スマホを端末にかざす、あるいはスマホの決済用アプリを使ってQRコードを読み取るなどを行って支払いをすることを「スマホ決済」と呼びます。
意訳すると「スマホを”モノ”として使う決済手段」とも言えます。 

次に考えたいのが、「スマホ決済とはスマホでしか出来ない決済方法なのか」というと、必ずしもそうではないということです。
例えばiPhoneユーザであればApple Payという決済機能を使って会計をすることが出来ますが、プラスチックのカードをかざすかiPhoneをかざすかの違いでしかなくて、実際の決済はQUICPayであったりSuicaだったりするわけです。
どちらもキャッシュレス決済ではあるものの、極端な話、決済機能のついていないスマホであってもスマホケースにプラスチックのカードを入れておけば、スマホ決済風に使えてしまうわけで、そう考えると「スマホ独自の決済がスマホ決済」というわけではなく「スマホでも出来る決済」も含んでいると言えます。 

つまりスマホ決済とは、「スマホでも出来る決済」と「スマホでしか出来ない決済」の両方を指す、「スマホを”モノ”として使う決済手段」となります。
分かりづらいので整理しようと思うと、スマホでしか出来ない決済こそ「スマホ決済」と呼びたくなりますが、「スマホ決済」=「QRコード決済」としてしまうと、それはそれで違和感があります。
これは感覚の話で調査したわけでもなんでもありませんが、QRコード決済しか使わないというユーザよりもApple Payなどの非接触型の決済も使うスマホユーザの方が多いだろうからです。

なので、実は私個人としては「スマホ決済」という表現に違和感を覚えつつも、QRコード決済はいいとして、「スマホで行う非接触型決済」という表現は収まりが悪いので、一旦はスマホ決済という言葉に落ち着こうと思います。 

スマホ決済の種類

ここまでで「スマホ決済」の言葉の意味について書いて来ましたが、ここからは具体的にスマホ決済にはどのような手段があるのかを整理してみたいと思います。

「スマホでも出来る決済」と「スマホでしか出来ない決済」という分け方をしていましたが、これを言い換えると「非接触型決済」と「QRコード決済」となります。

非接触型決済

対応したスマートフォンのアプリにクレジットカードやSuica、ポイントカードを連携させることで、スマホを端末にタッチするだけで支払いが可能となる決済方法です。
もともとプラスチックのICカード乗車券やクレジットカードで実現出来ていた支払い方法なので、馴染みのある支払い方法かと思われます。 

代表的なアプリ

QRコード決済

自身のアプリに表示されるQRコードを読み取ってもらう、あるいは自身のアプリで支払いのQRコードを読み取ることで支払うことの出来る決済方法です。
非接触型と比べるとアプリを立ち上げるひと手間があるものの、スマホ決済に限らない他のキャッシュレス決済と比較し、販売者側の導入のコストが低いことで普及が見込まれている決済方法です。
利用者側としても、記事執筆時点では多くのQRコード決済が魅力的なポイント還元のキャンペーンを行っており、お得という観点でも浸透してきています。 

代表的なアプリ

なぜスマホ決済が注目されているのか

なぜスマホ決済が注目されているのかを考えるとき、キャッシュレス化を進めようという文脈とQRコード決済を普及させようという文脈という、2つの大きな文脈があると思っています。

まず、キャッシュレス化を進めようという文脈についてですが、インバウンド消費を考えたとき、外国の方がキャッシュレス化が進んでいるため、国内もキャッシュレスに対応しないと外国人観光客の皆さんに消費してもらいづらい、というのがこの文脈の基本的な論点です。
他にも現金を取り扱う管理コストを抑えたいという論点もあるのですが、ここではインバウンド消費について考えていきたいと思います。

そして、ここでのポイントは「キャッシュレス」=「スマホ決済」ではないということがポイントです。
クレジットカードでの支払いも当然キャッシュレスで、いわゆる諸外国で進んでいるキャッシュレスというのはその多くがクレジットカードでの支払いのことを指しています。
なので、インバウンド消費を活性化させるためにキャッシュレス対応を検討、スマホ決済を導入、という表現だと実はちょっと違うのです。

もちろん中国ではQRコード決済がかなり普及しているので、中国からの観光客の方からするとWechat Payなどに対応出来ていると嬉しいと思うのですが、例えばアメリカからの観光客の方がQRコード決済を求めているかというとそういうわけではないみたいですからね。

じゃあどのお店もクレジットカード決済に対応すればいいじゃないという話なのですが、実はそれが結構大変みたいです。

何が大変かというと、クレジットカードを利用する手数料が大変と言われています。
具体的な手数料率は契約によって様々ですが、一般的にはクレジットカードを利用することで発生するお店側の手数料は販売金額の2%前後と言われています。
言ってしまうとこれまで現金だった支払いが全部クレジットカードに変わってしまうと、それだけで利益率が2%前後落ちてしまうということになるため、利益率の低い業態ではなかなか導入が難しいというわけです。 

一方、QRコード決済の方はどうだというと、会社によって異なるのですが、例えばPayPayでは決済手数料をユーザが読み取る支払いの場合2021年9月30日まで無料としており、LINE Payは据置端末、プリントQR、LINE Pay 店舗用アプリを申込みの場合、2021年7月まで無料としています(記事執筆時点の情報です)。
手数料率がクレジットカード決済よりも低いため、利益率の低い業態でのQRコード決済の普及が期待されているというわけです。 

また、多くのQRコード決済はポイント還元キャンペーンを行っているので、お店側だけでなく消費者側からも大きな注目を集めております。
還元率の大きいキャンペーンが多かったこともあり、キャンペーン後急速に利用者が増えたと言われています。 

といったように、インバウンド消費を増やしたい、手数料と抑えたい、ポイント還元してもらいたい、といった背景で今スマホ決済に注目が集まっているというわけでございます。 [RELATED_POSTS]

ECサイトとしてスマホ決済を対応する意味

ECサイトでは非接触型決済を行うことが出来ないので、スマホ決済対応とは必然的にQRコード決済への対応ということになるわけですが、そもそもサイトとして決済方法を増やす目的とは何かというと、カート離脱を防ぐことにあります。
せっかく商品をカートに入れてもらったのに、購入フローの中に使いたい決済方法がないために離脱されてしまう、といったことを無くすために多くの決済方法を用意するわけです。

他にも積極的に手数料の安い決済手段をユーザに使ってもらって利益率を改善する、といった検討もありますが、主要の論点はカート離脱防止といっていいでしょう。

ですから、ECサイトとしてQRコード決済の導入を検討する際のポイントは、導入することでどれほどカート離脱を防げるのかになります。
つまりQRコードで支払いがしたいというユーザがどれほどいるのか、なぜそのユーザはQRコードで支払いたいのか、というところを考える必要があります。

集客という観点においてはどうだという観点もありますが、QRコード決済を利用するユーザ側のインセンティブが大きく、他社が対応していない場合、そのQRコード決済に対応しているというプロモーションを行うことで集客につなげるということはもちろん出来ますが、決済手段の対応による効果というよりはプロモーションの意味合いが強いので、ここではユーザ離脱防止について考えていきます。 

利便性だけでいうと、クレジットカード番号を入力するのと、スマホを取り出して表示されたQRコードを読み取るのとどっちが楽かというと、初回コンバージョンに限ってはQRコード決済の方が手軽かもしれません。
ただし、「スマホでブラウズしている場合どうやってカメラで読み取るの?」という話になり、QRコードを一度画像として保存してアップロードするというやり方もあるようですが、あまり便利とは言えません。

また、QRコード決済アプリの中にはID決済機能を用意しているものもありますが、スマホ決済とはまた違う話になってくるので、ここではID決済には触れません。

ですから、ユーザ側で気になるポイントは、利便性というよりはこれまでのように魅力的なポイント還元の仕組みがあるかどうかと考えられます。
そして、大きなポイント還元キャンペーンはQRコード決済アプリのユーザ獲得の手段と考えると、ユーザが増えた後はそこまでの還元率ではないと考えるのが自然です。
気軽に決済手段を増やしたり減らしたり出来るものであれば良いですが、多くのQRコード決済アプリが乱立する中で、なかなか気軽に対応できるものではありません。 

スマホユーザにとって利便性の高い手段ではなく、将来的にポイント還元目当ての利用者は減ると考えられ、多くのQRコード決済アプリが乱立している、ということを考えるとECサイトにQRコード決済の導入は気軽には出来ない、ということになりますが、その前提が変わればもちろんやるべきとなります。
とあるQRコード決済が、他の追随を許さない魅力的なポイント還元をキャンペーンではなく継続的に行うとなったら、対応しない理由がなくなります。 

今がそうかというとそういうわけではなさそうなので、実際私もお客様からQRコード決済に対応したいというお話を聞いたことは今のところありません。

個人的な感想に過ぎませんが、キャッシュレス決済はリアル店舗に関する話が中心なので、ECサイト向けにQRコード決済を普及させる仕組みを作ろうとはあまりならないような気がしています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「キャッシュレス」「スマホ決済」というキーワードが注目を集めているので、ECの視点で整理してみようということで本記事を書いてみましたが、ユーザの視点に立ってみると「今の状況って余計ややこしいことになっていない?」と思ってしまいました。

個人的には早く財布を持たずスマホだけで外出しても困らないようになって欲しいなと思っているので、QRコード決済はウェルカムなのですが、いつになるんでしょうかね、と全然まとめになっていませんが、締めくくりとしたいと思います。

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