リバースエンジニアリングとは?概要と利用するメリットをご紹介

 2023.02.10  株式会社システムインテグレータ

主にソフトウェア開発にあたって、WordやExcelを使った設計書の作成など、業務効率性の課題を抱えているケースはよくあります。この課題を解決するには、リバースエンジニアリングを運用することも一案です。当記事では、リバースエンジニアリングの概要から運用するメリットの他、ソフトウェア業・ハードウェア業・製造業それぞれの業界での使われ方を解説します。また、著作権や特許権に抵触するケースと回避方法についても、参考にしてください。

リバースエンジニアリングとは?

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企業が新しい製品やソフトウェアを開発する際に、「リバースエンジニアリング」が使われることが多く見受けられます。以下では、リバースエンジニアリングとはどのようなもので、どのようなメリットがあるのかを解説します。

リバースエンジニアリングの概要

そもそもリバースエンジニアリングとは、すでに開発された商品やソフトウェアを細かく調査し、設計方法やソースコード、データの定義など、さまざまな仕様を明らかにすることです。通常の企画や設計を起点とする方法とは、真逆の方向で開発を行うため、「逆行工学」とも呼ばれています。

対象としては、他社が開発した製品やソフトウェアが中心です。専用ツールを使えば、プログラムファイルから仕様書を取り出すことや、使われているモジュールの把握が可能なので、互換性のある製品の開発や、自社製品の技術の盗用を確認する際によく運用されています。また、脆弱性やウイルスの検知により、セキュリティ向上に役立てられるケースも多いでしょう。

リバースエンジニアリングのメリット

では、リバースエンジニアリングを運用すると、どのようなメリットが期待できるでしょうか。

まず、幾度も検証を重ねながら開発を行うと、労力も時間もかかってしまいます。しかし、すでに確立された技術を参考にすることは、非常に大きなポイントであり、効率的な開発が可能です。つまり、開発段階において、無駄なトライアンドエラーを繰り返すことなく、開発までの期間短縮につなげられます。

また、既存の技術における改善すべき点を把握し、自社製品に反映すれば、市場での優位性を確保できます。よって、自社製品に対しても有効な方法です。脆弱性を検証したり、過去に開発した技術やノウハウを改めて見直したりすることで、より魅力的な製品の開発が短期間で行えます。
<h2>「リバースエンジニアリング」の意味は業界で多少異なる</h2>
ひと言でリバースエンジニアリングと言っても、その意味は業界によって、細かな違いがあるため、理解しておくことが大切です。以下では、主にソフトウェア業・ハードウェア業・製造業それぞれの違いについて解説します。

ソフトウェア業

ソフトウェア業界では、「逆アセンブル」や「逆コンパイル」などの作業を行い、完成したソフトウェアの解析・分析によって、人間が理解しやすいソースコードに戻すことを指します。技術を模倣することで、互換性のある製品開発にも運用されます。リバースエンジニアリングは、一般的にこの意味を表すことが多いでしょう。ソースコードや仕様書は、外部へ公開されないので、リバースエンジニアリングによる技術獲得は、非常に価値があるのです。

ハードウェア業

ソフトウェアと同様に、ハードウェア業界においても運用されており、完成品である機械そのものを分解し、メカニズムを解析することを意味しています。CADデータを解析し、試作を重ねて生産するサイクルが、通常の製造プロセスですが、リバースエンジニアリングでは、まず製品そのものの測定から始まります。

リバースエンジニアリングは法的な問題はない?

リバースエンジニアリングは、自社製品やソフトウェアなどの開発において便利な手法ですが、一歩間違えると法的な問題に発展しかねません。以下では、著作権と特許法に分けて、それぞれの法的リスクについて解説します。

著作権からみたリーバスエンジニアリング

リバースエンジニアリングそのものは、基本的には違法ではありません。しかし、製品やソフトウェアのプログラムは著作物と考えられ、著作権法で定められたルールを守る必要があります。つまり、創作物を作成した人の権利を侵すと、違法と見なされてしまうのです。例えば、プログラムや製品の設計図における、自社製品への流用は認められていません。

一方、純粋な意図として、研究や開発のアイデアを得るために、他社製品のリバースエンジニアリングを行うことは、基本的に問題はないとされています。しかし、意図を推測した線引きは困難であり、結果としては契約違反になる恐れもあります。

特許法からみたリーバスエンジニアリング

特許法は、発明を保護する権利を定めた法律であり、特許を出願して認定を受けたら、対象となります。

もし、リバースエンジニアリングの対象が、特許として認定されており、特許内容を脅かすような行為が認められれば、違法と見なされてしまうかもしれません。そのため、特許の対象かどうかを、事前に確認しておくとよいでしょう。

ただ、同法第69条では、「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。」とも定めています。したがって、あくまで自社製品の研究として、データの解析に取り組むのであれば、特許権に抵触ません。

リバースエンジニアリングをされないためには

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リバースエンジニアリングは自社のみならず、他社製品やソフトウェアを対象にしても、広く運用されています。よって、技術的あるいはセキュリティ上の観点で、見知らぬ相手からのぞき見されるのは、困ることでしょう。

しかし、現在は残念ながら、リバースエンジニアリングを完全に排除する方法はありません。視覚的に認知しにくくし、解読されるのを遅らせたり、意気消沈させたりする方法を講じることが最善策です。例えば、ソースコードを難読化して、解読に時間をかけさせる方法や、複合鍵でデータを暗号化させる方法などは有効として、一般的によく使われています。これらの対策を容易に処理できる専用のツールも提供されているため、必要に応じて使ってみるとよいでしょう。

まとめ

リバースエンジニアリングは、新しいアイデアを取り入れて、自社の製品やソフトウェア開発に活かせる点から便利である一方、相手からのアプローチはできるだけ阻止したいものです。


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