アフターデジタル時代の施策「OMO」の最新事例をチェック

 2020.08.31  株式会社システムインテグレータ

デジタルマーケティングの最先端の施策として、オンラインとオフラインの情報を融合する「OMO」という手法があります。この記事では、OMOの概要やコンセプトについて詳しく解説します。また、中国や米国などOMOが進んでいる海外の実例を紹介します。

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OMOとは

OMOとは「Online Merges with Offline」の頭文字を取ったもので、「オンラインとオフラインの融合」を表しています。これはオンラインとオフラインの垣根を超えてよりよい顧客体験を提供するビジネスを構築していこうという新しいマーケティングの概念を指しています。

Googleチャイナの元社長でベンチャー投資家の李開復(リ・カイフ)氏が、英経済誌「The Economist」の2017年年末特集号「2018世界はこうなる」に寄せたコラムでOMOという言葉でこの概念を定義し、広く知られるようになったのです。

オンラインとオフラインの垣根を超えたマーケティングとしては、ECサイトでの購買記録と実店舗での売り上げを統合して一つの顧客データとして扱い、実店舗での購入履歴をもとにしてユーザーの好みに合いそうな商品をECサイトでおすすめするなどの事例が当てはまります。

公共料金から屋台での支払いまで、スマートフォンによるキャッシュレス決済が浸透している中国の都市部では、スーパーマーケットなどで消費者が商品に付けられたバーコードやQRコードにスマホをかざして商品の情報やレビューを見られるようなシステムが普及しています。これもオンラインとオフラインが融合したOMOマーケティングの一例です。

OMOによって、企業側は消費者が情報を確認した商品と、実際に購入に至った商品の情報をすべて把握することができます。これらすべての情報を元に消費者のニーズを探り出して、消費者一人一人に合わせたキャンペーンやサービスを行うなど、OMOを利用したマーケティングの個別化が進んでいるのです。

OMOについては以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:OMOとは?意味やマーケティング施策の事例、O2O・オムニチャネルとの違いについて解説

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OMOの最先端を走る海外の事例を紹介

中国や米国では一足先にOMOを利用したビジネスが急速に普及しつつあります。ここでは、海外で実際に行われているOMOの例を紹介します。

中国「Alibaba」

中国の大手Eコマース企業のアリババグループ(Alibaba Group、阿里巴巴集団)はスマホのデータと連動した新世代のスーパーマーケット「フーマーフレッシュ(Hema Fresh、盒馬鮮生)」を運営しています。

フーマーの店舗の商品には値札にバーコードが表示されています。このコードをスマホアプリで読み取ると、調理方法やユーザーレビューなどの詳しい情報を確認することができるのです。買いたい品物の読み取りアプリの買い物カゴに入れて、そのスマホアプリをレジで表示すればキャッシュレス決済が完了します。さらに店舗から3km圏内なら無料で配達してもらうことができます。スマホ一つで入店から退店までのあらゆる手続きを行うことができる上に、商品をカゴに入れたり、レジで順番を待ったり、買った商品を自宅まで持ち帰ったりする必要がないのです。

フーマーでは買った素材をその場で調理してもらい、店舗併設のレストランで食べられる「ロボットレストラン」のサービスなど斬新な付加価値の創設にも挑戦しています。

このようにフーマーでは、スマホを最大限に利用し、従来型のスーパーマーケットで欠かせないと考えられていた手順を省き、顧客にとって利便性の高いサービスを提供しているのです。

中国「平安保険(PING AN)」

世界最大規模を誇る中国の保険会社「中国平安保険グループ(PING AN)」の子会社に、約2億人のユーザーを抱える医療アプリ「平安好医生(Ping An Good Doctor)」があります。このアプリには

  1. アプリを介したチャットでいつでもドクターに無料相談できる
  2. 医師の診察が必要な場合、医師の論文歴や受賞歴など客観的な評価や病院の所在地を確認してアプリで診察予約ができる
  3. ウォーキングによるポイントプログラムを実施している

などの機能があり、ユーザーを引きつける魅力的なものになっています。平安保険側はアプリを通して、ユーザーが悩んでいる症状や病気に関する情報などのデータを把握し、そこからニーズを割り出して顧客に合った保険を勧めることができるのです。

アメリカ「Amazon GO」

世界中で利用されているECサイトのAmazonは、無人のスーパーマーケット「Amazon GO」を米シアトルやサンフランシスコ、ニューヨークなどに計26店舗(2020年7月時点)展開しています。

Amazon Goでは専用アプリをダウンロードし、Amazonのアカウントを登録して、アプリが発行する二次元コードを入り口のセンサーに読み取らせて入店します。店舗にはショッピングカートとレジがなく、商品を手に取ってバッグに入れれば店内各所のカメラセンサーがすべて読み取って計上し、退店後に自動で支払いが行われるのです。もちろん、Amazon Goの購買データはAmazonECサイトのデータと連携されており、Amazonサイトで消費者一人一人のニーズに合わせた商品を勧めることができるようになっています。

アメリカ「Shopkick」

「Shopkick」は米国で人気の位置情報型買い物アプリです。このアプリの大きな特徴は、オンラインのECサイトとオフラインの実店舗のどちらでもポイント獲得ができることです。オンラインの場合、商品の購入はもちろん、ECサイトの訪問や広告のクリックでもポイントを貯めることができます。実店舗ではアプリで店舗の商品や購入したレシートをスキャンすることでポイントを貯めることができます。獲得したポイントはAmazonやスターバックスなどのギフト券に交換が可能です。このようにShopkickもオンラインとオフラインのデータを融合し、顧客体験を作り出すOMOの好例の一つであると言えます。

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日本でもOMOへの取り組みが進行中

OMOを取り入れる試みは日本でも進行しています。サントリーが東京・日本橋で手掛けるコーヒーショップ「TOUCH-AND-GO COFFEE」もその一つです。

これは自分の好みに合わせてカスタマイズしたサントリー「BOSS」ブランドのボトルコーヒーをLINEで事前に注文しておき、指定した時間に受け取り用のロッカーに取りに行くというスタイルのOMOです。受取時間は5分単位で選択可能で、支払いはクレジットカードまたはLINE Payで行います。味やラベルのカスタマイズが可能で、並ぶことなく商品を受け取れることから多くのユーザーに支持されています。

消費者と企業のどちらにとっても大きなメリットがあるOMOは、今後も世界的に広がっていくと考えられています。日本でもOMOを取り入れた施策が始まってはいますが、オフラインの市場規模が大きいこともあり本格的な浸透はまだこれからという状況です。OMOを最大限に生かせるようなサービスの登場が待たれています。

まとめ

オンラインとオフラインの情報を融合する新しいマーケティング手法のOMOは中国や米国などで急成長を遂げています。インターネットやスマートフォンが身近になったことで、今後も世界中にOMOの考え方が浸透していくと考えられます。OMOを取り入れたサービスは、今後日本でも本格的に普及が拡大していくでしょう。

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