導入事例:和同産業株式会社

データ未連携の課題を解決し、経営判断のスピードを向上

和同産業株式会社について |
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除雪機・草刈機・農業機械の開発・設計・製造・販売までを一貫して手がける完成機メーカーです。1941年に設立され、1960年代には除雪機や農業機械の生産を開始。大手企業向けの製品開発も行いながら、2018年には日本初の自動雑草刈りロボット「KRONOS」を開発し、全国で1,000台以上の導入実績を誇るなど、革新的な技術を取り入れながら成長を続けています。 |
データ未連携による
アナログ業務と進捗の見づらさ
GRANDIT導入の背景
SI:
GRANDIT導入以前の課題について教えてください。
和同産業様:
当社では、生産、調達、販売は一つのシステムで管理していましたが、会計は別のシステムを利用していました。
しかし、この仕組みにはいくつかの課題がありました。
まず、システム間のデータ連携をしておらず発注、仕入、販売、経理といった業務は紙ベース、または人の手を介して行われていたため、情報の統合が難しく、リアルタイムでの状況把握が困難でした。
特に、販売や仕入の進捗は締めのタイミングにならないと金額ベースで確認できず、そのたびに手作業でデータをまとめる必要がありました。
また、生産、調達、販売の連携はExcelを介して行っており、各システムにはそれぞれ手入力で情報を登録する運用をしていました。
こうした運用になっていた背景には、旧システムを生産、調達、販売の順に段階的に導入してきたという経緯があります。
その際、各業務ユニットで使っていたマスタを、そのまま整合性を取らずに移行してしまったことが、大きな要因となっていました。
そのため、今回のシステムの入れ替えに際しては、マスタ体系を整理し、生産、調達、販売で一気通貫した運用ができる点を最も重視しました。
また、旧システムはレコードロックの影響で同時入力ができず、業務の進行に支障をきたすこともありました。
加えて、OSやサーバーのサポート期限が迫っていたこともあり、システム刷新を検討すべきタイミングに来ていました。
消費税やインボイス制度など、法改正への対応も求められており、それも後押しとなりました。
導入後も見据えた信頼できるパートナーを求めて
ベンダー選定のポイント
SI:
ERP導入の際、どのような基準でベンダーを選定しましたか?
和同産業様:
システム導入にあたっては、機能面だけでなく、サポートの質も重視しました。
以前のシステム導入時にサポート対応で苦労したことがあり、トラブル発生時に打ち合わせを急にキャンセルされるような場面もありました。
こうした経験から、導入後も安心してサポートを受けられる体制が整っていることを最優先に考えました。
また、中小企業向けの導入・対応実績があるかどうか、緊急時に対面で打ち合わせができるよう地理的に近いかどうかもポイントでした。
求めていた機能と安心のサポート
GRANDIT導入の決め手
SI:
GRANDITを選んだ理由を教えてください。
和同産業様:
実はRFPを振り出す前に展示会でいくつかのERP製品を見て回っていました。GRANDITもその一つでした。
GRANDITについては、ブラウザで利用できる点、多段階かつ複数工程を持つBOMを管理できる点、そして生産、調達、販売といった業務を一貫して管理・運用できる点を高く評価していました。
もちろん他社の製品でも同様の機能を有しているものはあったのですが、最終的にGRANDITを選んだ最大の理由は、SIが信頼できる会社であり、サポート体制に安心感があったからです。
ベンダー様から提案いただくにあたって、当社からQA対応をお願いしたり追加の情報提供依頼を行ったりしたのですが、SIは常に真摯かつ迅速に対応してくれたことが印象に残っています。
また、SIの導入提案で、岩手にあるIDS社と共同で導入を進め、その後の保守はIDS社が担当するという提案もあり、万が一トラブルが発生しても迅速な対応が受けられるという点も大きな魅力でした。
さらに、SIには旧システムの開発経験者が在籍しており、当社の業務を深く理解した上で導入をサポートしてもらえる安心感もあり、こういった点を総合的に評価してGRANDITの導入を決定しました。
マスタ整備の壁
導入中に苦労したこと
SI:
GRANDITの導入において、苦労されたことを教えてください。
和同産業様:
一番の課題はマスタ整備でした。旧システムではマスタの整合性が取れておらず、その影響で属人的な対応やアナログ作業が多く発生していました。
GRANDITでは、生産、調達、販売のマスタが統合的に管理されるため、導入にあたってはシステムのコード体系に合わせた再設計が必要でした。
この作業に多くの時間を割くことになりました。特に、取引先コードと倉庫コードについては大きく見直しを行いました。
また、生産領域ではBOM(部品表)の移植にも対応しました。システムの稼働時期が決まっていたため、移行期間に合わせてマンパワーでの対応を進めました。
経営判断のスピードと正確性の向上
導入による効果
SI:
GRANDIT導入後、どのような効果を感じていますか?
和同産業様:
導入後にまず大きく変わったのは、やはり生産、調達、販売のやりとりが非常にスムーズになった点です。
以前のExcelを介したやりとりが不要になり、システムで処理した後は、必要に応じて電話やチャットで連絡するだけで済むようになりました。
また、システムの入れ替えと合わせてハンディターミナルも導入したため、現場への作業指示と実績入力における効率化も実現することができました。
このほかに大きく効果を感じているのは原価計算のスピードと正確性です。
以前は複数のデータを手作業で統合しなければならず時間がかかっていましたが、今ではシステム上でリアルタイムに計算できるようになりました。
その結果として決算処理のスピードも向上しました。
単月決算が従来よりもはるかに早く完了し、経営判断を迅速に下せるようになったことも大きなメリットです。
SI:
サポート面においてはいかがでしょうか?
和同産業様:
以前のシステムの時にはサポート契約の範囲が不明確で、対応も迅速ではなかったため、社内で処理せざるを得ない場面が多くありました。
現在は、問い合わせ管理で利用しているOBPMやチャット、メールを通じて迅速に対応いただけており、非常に助かっています。
また、継続して行っている二次・三次開発においても、OBPMに履歴が残ることで過去のやり取りをすぐに確認でき、運用面でも大きく改善されています。
※OBPM:システムインテグレータ製品、プロジェクト管理ツール
情報活用の高度化を目指す
今後の展望
SI:
今後、さらに改善していきたいことはありますか?
和同産業様:
まず、部門ごとの採算をより細かく可視化できる仕組みを整えていきたいと考えています。
あわせて、経理業務の負担軽減に向けて、伝票入力の自動化にも取り組む方針です。
たとえば、GRANDIT上で、スマートフォンで撮影した伝票をクラウドへアップロードし、AIが内容を自動で認識・入力。
そのうえで最終確認を行うといった業務フローが実現できれば、非常にありがたいと感じています。
また、部門間の連携を強化し、製販一体で業務全体の効率化を図ることも重要なテーマの一つです。
さらに、長納期の発注管理をよりスムーズに行うために、MRP(資材所要量計画)の導入も検討しています。
AI活用による新たな業務改革
今後の期待
SI:
最後に、弊社への期待や要望をお聞かせください。
和同産業様:
まず、AI技術の活用には大きな期待を寄せています。
具体的には、GRANDITにAIチャットボット機能が搭載され、操作方法や不明点についてリアルタイムでガイドしてくれる仕組みがあると、社員一人ひとりの業務がよりスムーズに進められると考えています。
また、アナログ業務の自動化やペーパーレス化を進めるうえでも、スマートフォンでの操作性向上を期待しています。
外出先からでも伝票の確認や登録が行えるようになることで、業務のスピードや柔軟性がさらに高まるはずです。
特にiOS対応の強化には、今後いっそうの改善を期待しています。
今後もGRANDITを活用しながら、業務の効率化を一層進めていきたいと思います。
SI:
本日は貴重なお話をありがとうございました。

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