導入事例:株式会社東海理化クリエイト様
ペーパーレスと入力省力化で残業時間大幅削減
株式会社東海理化クリエイトについて |
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自動車・産業車両の部品開発、金属材料や設備機器も扱い、「工業資材」「電装部品」「産業車両」「民生機器」の4事業部門と技術部門を持つ独自の開発提案型ファブレスカンパニーです。1960年7月に東海理化の関連会社として設立され、国内外の市場に参入し規模を拡大。現在は上海、蘇州、フィリピン、タイ、インドネシア、インドでグローバルに事業を展開。原材料提案から開発、設計、品質保証、納入管理までトータルサポートし、変化に対応した競争力のある魅力的な製品を提供しています。 |
インタビューにご協力いただいた東海理化クリエイトの皆様
左:植村 英司様(うえむら えいじ)
役職:専務取締役 DX推進本部長 民生機器営業部 担当役員
2020年度から「基幹システム推進室」のプロジェクト統括者として参画
以降「基幹システム推進室」の最高責任者
左:石黒 建嗣様(いしぐろ たつし)
役職:参与 DX推進部 担当部門長
GRANDIT稼働後の2022年4月から「基幹システム推進室」室長
左:武末 恭一郎様(たけすえ きょういちろう)
役職:DX推進部 IT推進グループ グループリーダー
2017年のプロジェクト発足当時から参画し、以降も「基幹システム推進室」にてプロジェクト開始から終了まで参画
迫りくる、
オフコンのメーカーサポート終了期限
GRANDIT導入の背景と決定要因
SI:
GRANDIT導入前の背景や課題について教えてください。
植村様:
GRANDIT導入前は、長い間オフコンと呼んでいる自社システムを使ってきましたが、オフコンの開発や保守ができるCOBOL技術者が少なくなり、技術者の高齢化も進んでいました。
武末様:
技術者不足に加えて、ハードウェアの面でも大きな課題がありました。
具体的にはオフコンの部品が手に入らなくなり、メーカーのサポートも2020年までが限界だと言われていました。
当時は雷が落ちるたびに休日でも出社してオフコン本体の無事を確認する必要がありました(苦笑)。
そこで2017年に新しいシステムを導入するプロジェクトが始まりました。
SI:
弊社がRFPを受領したのが2017年12月だったと思います。
武末様:
当時RFPの作成、ベンダー各社への配布、ベンダー選定にあたっては外部のコンサルタントに入ってもらいました。
作成したRFPを2017年の12月に各社へ送付し提案をいただきました。
提案いただいた内容を社内で精査し、2018年8月にSI社に決定しました。
SI:
弊社を含めて2社が最終選考に残っていたと思いますが、GRANDITを採用いただいた決め手は何だったのでしょうか。
武末様:
最終選考では事前に決めていた評価項目に沿ってSI社ともう1社の評価を行いました。
SI社は「カスタマイズ性」と「課題解決力」の評価が高かったです。
プロジェクト推進者の本音としては、柔軟に対応できるシステムが望ましかったのです。
SI社からは要件への対応可否だけでなく、代替案も多く提案していただきました。
今だからこそいえるのですが、SI社のプレゼンテーションが非常に上手だったのも決め手の一つです(笑)。
プロジェクト推進のコツは
ペーパーレス化を前提とした機能要件の断捨離
導入中に苦労したこと
SI:
2021年6月のGRANDIT稼働から4年目を迎えましたね。
導入中での苦労したことを教えてください。
植村様:
もともと2018年10月の要件定義開始時点では、稼働予定を2020年4月としていました。
しかし増加した機能要件への対応やマスタデータの準備に時間がかかってしまったこと、さらにコロナ禍も稼働に向け足かせとなったことから、2020年の末頃に稼働予定を2021年6月に遅らせることになりました。
武末様:
当時のプロジェクト事務局ではシステム利用者が希望する機能をすべて盛り込んであげたいという思いから、要件定義以降でも追加の機能要件を聞き入れた状態でプロジェクトが進んでおり、スケジュールとコストの調整に苦慮していました。
当時のプロジェクト事務局では機能要件の制御がうまくいかず、その際、植村にプロジェクトの統括者として入ってもらいました。
植村様:
当時(2020年の年末)、2021年6月に稼働予定を変更したものの、このままの機能要件数では更なるスケジュールの延伸とコストの増加が避けられない状況と判断したので機能要件の断捨離に着手しました。
武末様:
権限のあるリーダーに断捨離を決断してもらったため、プロジェクトのスピードが格段に上がりました。
それが成功に結び付きました。
機能要件の優先度や費用対効果を考慮した上での決断でしたが、機能要件を切り捨てることは容易ではありません。
そのためトップダウンで指示を出せるリーダーの存在が不可欠でした。
植村様:
断捨離は実行しましたが「ペーパーレス化」「入力作業の省力化」に関する必須の要件については当然残しました。
注文書や請求書を郵送する業務をなくしたかったのです。
武末様:
弊社は事業も幅広く取引先様も多いため、GRANDIT導入前は紙の送付や受領が必要な業務が多くありました。
当時はコロナ禍にも関わらず、社員のリモートワークがままならず焦りを感じていました。
しかしコロナ禍という状況とGRANDITの導入が、会社全体のIT化への取り組み意識を大きく変えたきっかけにもなりました。
SI:
マスタデータの準備にも大変苦労されていたと思います。
武末様:
カスタマイズ・アドオンにより利用するマスタの数も増加していましたし、商品マスタなどは日々増えていきます。
締切日は設けていたのですが、締め切り後に各所から届く最新のマスタデータを反映すべく作業していた情報システム部の担当者が大変苦労しておりました。
機能要件の断捨離に着手すると同時に、マスタデータの締切日も厳守させるようにしました。
残業時間が大幅削減、
定着化のカギは社内教育にあり
GRANDIT導入の効果と社内の変化
植村様:
一番大きな変化は残業が減ったことです。
GRANDITを導入してから一部の社員は残業時間が半分以下になりました。
これには「ペーパーレス化」と「入力作業の省力化」が大きく影響しています。
もちろん導入当初はオフコンとGRANDITの差に戸惑っていた部分はありました。
「ペーパーレス化」は、GRANDITと電子帳簿管理システム「Paples」の連携が寄与しています。
GRANDITの画面に用意した「印刷ボタン」を押すことで、取引先様にメールやFAXで注文書や請求書などを送れるようになりました。
おかげで注文書や請求書を郵送する業務が、ほとんど不要になりました。
「入力作業の省力化」は、GRANDITのファイル取込による伝票登録機能の拡充に加え、内製のサブシステムによって伝票入力作業が効率化されたことが大きな要因です。
これにより画面への入力作業が減り、残業時間の大幅な削減に繋がりました。
もう一つの大きな変化はデータの活用が進んだことです。
現在、社員の業務をより効率化するために、DX推進部では「社内教育」に力を入れており、Excelなどのスキルアップ教室を開いています。
GRANDITの汎用データ出力から欲しいデータを抽出し、Excelで加工する方法を教えています。
これにより社員一人ひとりが見たいデータを自分で見たい形式で見られるようになりました。
以前は情報システム部門に依頼しなければできなかったデータの抽出や加工を他人に頼らずにできる人が増えています。
SI:
GRANDITの定着に加え社内全体のITスキルの向上が、そのまま業務改善と効率化に反映されたということですね。
IT投資は全社員のストレスをなくすための手段
今後について
SI:
今後さらに取り組んでいきたいことや目標について教えてください。
植村様:
「AIの活用」です。
現在はAIによる文字認識に取り組んでいます。
ペーパーレス化は進めておりますが、取引先様からのFAXによる注文書も未だに多くあります。
AI技術を活用しFAXによる注文書をデータに変換することで、手入力を削減できます。
武末様:
先日、植村よりDX推進部の目標は「全社員のストレスをなくすこと」だと聞きました。
植村様:
GRANDITやAI技術を活用したITシステムは、業務を効率化しストレスなく仕事をするための手段に過ぎません。
DX推進部には非常に優秀な人材が集まっています。
そのためシステム運用のサポートだけをDX推進部の主な業務とするのは違うと感じています。
ルーティンワークに埋もれ、やらされている感覚ではDX推進部としての役割を全うできません。
共通の目標や目的を持つことで、自ら考え行動できる集団になると信じています。
GRANDITの導入はその基礎を作ってくれたようにも思います。
今後も社員のストレスを減らすためのIT投資は積極的に行っていきます。
最後に
石黒様:
弊社はこれまで事例を受けたことがなく、SI社が初めてのインタビューとなります。
植村様:
実はSI社から「なぜ去年は事例インタビューを断ったのに、今年は受けてくれたのか?」という質問が来るかと思っていました。
SI:
改めてありがとうございます。なぜこのタイミングだったのでしょうか?
植村様:
導入して3年が経過しましたが、トラブルゼロというのが大きな理由です。
他の企業様のシステム導入では、なかなかうまくいかないという話も耳にします。
基幹システムを刷新するというのはそれほど大変なことです。
3年トラブルゼロというのが安定稼働の一つの目安でもあったわけです。
SI社の皆様のご協力が実を結んだ結果だと思っています。
SI:
お褒めいただき大変光栄に思います。
御社と一丸となって導入を進められた結果だと思っています。
また基幹システムに関するプロジェクトがございましたら、ぜひご一緒させていただきたく思います。
植村様:
今後また基幹システムの導入プロジェクトがあれば、若手社員をメインに据えて進めていきたいと思っています。
弊社には優秀な人がたくさんいますので。
その人たちがこれからの東海理化クリエイトを創っていくわけです。
もしまた基幹システムの刷新があるならば私が残す言葉は、「ERPは極力カスタマイズしない」「マスタデータはシンプルにする」ですね。
株式会社東海理化クリエイト
GRANDIT 導入事例集