導入事例:富士通セミコンダクター株式会社 様
(現:富士通株式会社 様)
グループ3社同時にERP導入する大規模プロジェクトを成功させたポイント
富士通セミコンダクターグループでは、富士通セミコンダクター株式会社、富士通エレクトロニクス株式会社、富士通デバイス株式会社の3社同時にGRANDITを導入して2018年1月より運用を開始しています。2年に渡る大規模プロジェクトを成功した秘訣のようなものをお聞きしました。
富士通セミコンダクターグループについて |
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富士通セミコンダクターグループは、FRAM(強誘電体メモリ)やReRAM(抵抗変化型メモリ)といったシステムメモリ製品およびファウンドリーサービスを通じて、お客様の多様なニーズに対し高信頼かつ最適なソリューションを提供するLSI専業メーカーです。 |
ホストコンピュータからERPに切り替えた理由
-今回、ERPを導入することにした背景をお聞かせください。
上野氏:主な理由は2つあります。1つは変化への対応です。30年近くホストコンピュータを使い、手組みのシステムでオペレーションを行っていたのですが、グループの構造が垂直統合から水平分業型に変わり、スクラッチ開発で作ったシステムでは、そうした変化への対応が難しくなってきました。
もう1つはグループ内のシステムリソースをアウトソーシング化することです。
標準的なERPを導入することにより開発・運用体制の見直しを図ることを考えました。
-運用コストが大きくなっていたわけですね。
上野氏:はい、継ぎ足し、継ぎ足しで対応しているうちにスパゲッティ状態になってしまい、これをきれいにするしかないと判断しました。運用コストの削減は、プロジェクトの大きな目的の1つでしたが、GRANDITに切り替えたことにより想定通り大幅にコスト削減できました。
ERP導入までのプロセス
-ERPベンダーを決めるまでのプロセスを教えていただけますか 。
上野氏:2015年5月に切り替えようと経営判断し、コンサルティング会社に依頼しました。
-ERP導入におけるコンサルティング会社の役割はいろいろありますが、今回はどのようなものでしたか 。
上野氏:私たちがお願いしたのは次の3つでした。
- 事業構造が変化する中で、当社にとって最適な形はどのようなものか提示してもらう
- それを実現するのに、どのようなERPが適しているか候補を示してもらう
- 具体的にERPベンダーの比較検討およびベンダー選択の支援・アドバイスをもらう
実際は、ベンダー決定後の要件定義の一部まで関わってもらい、プロジェクトがうまく進む目途が付くまで支援してもらっています。
-RFPの作成もお願いしたのですね。
上野氏:はい、RFI(Request For Information)やRFP(Request For Proposal)も作成してもらいました。こちらは不慣れだったので、ポイントをうまく整理してまとめていただき、とても助かりました。
GRANDITに決めた理由
-GRANDITに決めていただいたポイントはどのあたりでしょうか。
上野氏:海外ERPなども含む5社くらいに依頼させていただきました。各社から魅力的な提案をいただいたのですが、その中で
- 国産ERPである
- 低コストである
という2点からGRANDITに決めました。RFPに書いた機能を実現できるのなら、コストの小さい方がいいのは当然で、コストメリットは大きな決め手になったと思います。
-どのような決め方をしたのですか。
上野氏:採点表方式です。客観的に比較できる採点表を作って各社のチームメンバー10人くらいでプレゼンを聴き、比較表を作った上で決定しました。そして、2015年10月に要件定義をスタートしたのです。
-導入にあたっての方針はどのようなものでしたか。
佐藤氏:1つは標準化です。前のシステムは、ユーザーの意見を取り入れ過ぎて複雑になってしまい、結果的にランニングコストが膨れ上がってしまいました。業務にシステムを合わせるのではなくERPに業務を合わせる。その方針を貫いた結果、業務の標準化が実現できたのです。
もう1つは脱属人化です。前のシステムは、特定な人しかわからないような属人化が進んでしまっていました。さらに、COBOL技術者も少なくなってきたので苦労しました。今回、ERPという標準システムを導入することで、少人数でもやっていけるようになりました。
稼働までの道のり
-カスタマイズもそれなりに行いましたが…
佐藤氏:販売管理システムの方では、お客様に応じた仕組みが必要ですので、それなりにカスタマイズが発生しました。ただ、実は以前、ある外国製ERPの導入を試みて、アドオンが膨らんで頓挫したことがあったのですが、それに比べればかなり標準のままでまかなえたと思います。
-約2年のプロジェクト期間の中で大変だったことは?
上野氏:初期の段階では、やはり要件定義が大変でした。業務側がなかなか要件を定義できず、後になってから「なんでこれが入ってないんだ」って話になったりすることもありました。
-要件定義あるあるですね。
上野氏:でも、システムインテグレータさんが業務目線でいろいろと提案してくれたおかげで、要件が膨れ上がらずにすみました。信頼関係ができて、現場もかなり頼りにしています。いろいろ相談に乗ってもらい、親身になって応えていただいたと思います。
カットオーバー間際では、現場への浸透でしょうか。慣れ親しんだシステムから標準的なパッケージに切り替えるわけなので、ユーザーからの問い合わせが多く発生しました。
-問い合わせは、どれくらいで収束しましたか。
上野氏:だいたい3か月くらいで収束しました。1年以上たった今でも、毎月報告会を行っているのですが、月に数件程度と非常に少ない状態になっています。
-ユーザーの反応はどうだったでしょうか。
上野氏:画面の操作性やレスポンスは、以前のシステムに比べてかなり改善されました。また、Web画面からデータをCSVで取得できるのも喜ばれています。以前は、データが欲しいと思っても、システム部門に依頼して対応してもらう必要があったので、自分でデータを扱えるようになったのは高評価です。
SI社のサポートに関して
-最後に、当社のメンバーに対して忌憚のないお言葉をお願いします。
上野氏:常に当社の業務の立場、目線で対応していただきました。また、一緒に成功させようという気持ちで仕事をしていただき、とても感謝しています。
石塚氏:SIさんの人たちは、会う人、会う人、みんなとても感じがよくてびっくりします。ここまで、そろってみんないい感じってなかなかないことだと思います。
-ありがとうございます。
インタビューア&記事 システムインテグレータ 梅田弘之
富士通セミコンダクター株式会社
GRANDIT 導入事例集