導入事例:ANA FESTA株式会社様

「相反する2つの要求を同時にクリアする“いいとこどり”のシステムを開発してくれました。」


ANA FESTA株式会社について
ANA FESTA株式会社について

ANA FESTA株式会社が全国の空港に展開しているギフト・フードショップ「ANA FESTA」の、新しい店舗業務管理システムにGRANDITが採用されています。

システムをリニューアルした背景やシステムインテグレータの評価について、同社店舗営業部 経理チームマネージャーの和田邦彦氏に詳しく伺いました。

ANA FESTA株式会社の事業

- ANA FESTA株式会社の事業について教えてください。

ANAが就航する全国34の空港ターミナルにギフト・フードショップ「ANA FESTA」を展開しています。

ANA FESTAでは、その土地ならではの特産品や地元の食材を活かしたお食事・お弁当、ANA社章入り商品や独自で開発した商品などを提供しています。

現在ANA FESTAは全国に約90店舗あります。ANA便が飛ぶ全国各地の空港に店舗展開している特徴を活かして、「全国的なキャンペーンやサービス」と「各空港でしか買うことのできない限定商品」の両方を提供できるのが、ANA FESTAの強みです。

システムインテグレータに依頼したこと

- ANA FESTA株式会社 店舗営業部では、システムインテグレータから何を導入したのですか。

ANA FESTAの各店舗では、売上管理・在庫管理・調達管理を担う「店舗業務管理システム」が稼動しています。この店舗業務管理システムのリニューアルをシステムインテグレータに依頼しました。

新システムは、システムインテグレータの提供するERPパッケージ「GRANDIT」をベースにして、ANA FESTA向けに開発しました。

これまでの店舗業務管理システムの問題点

- 従来までの店舗業務管理システムをリニューアルされた理由を教えてください。

いろいろな理由がありましたので、分けて説明します。

周囲のシステム環境の変化への対応

従来まで使っていた店舗業務管理システムは2001年に導入したものです。その後、全社の経理システムの変更や、POSレジの導入など周囲のシステム環境が変化してきました。

それによりコード体系の相違やマスタ管理の相違などが起こり、周辺システムとのデータ連携や整合性の確保に問題がありました。

運営データのリアルタイム参照

従来のシステムでは、2001年当時の細いネットワーク回線を前提にデータベースを分散させていました。ですから、たとえば店舗からのデータ集約は夜間に行うなどのタイムラグが生じていました。

現在の太くなったネットワーク環境に合ったシステムであれば、データの集約や参照もリアルタイムに行うことができます。それにより在庫状況の確認や入荷承認などの業務効率化を目指していました。

内部統制への対応

2008年に施行されたJ-SOX法により、システムレベルでの内部統制が求められるようになりました。業務処理の統制やプロセスの可視化といった、従来までの店舗業務管理システムでは十分に対応できていない部分をシステムに反映させる必要がありました。

以上のような理由からシステムのリニューアルが決定され、2006年前半あたりからシステム会社の選定を行いました。

業務理解力と技術力のある会社を選定

- 店舗業務管理システムのリニューアルを依頼する会社は、どのように選定したのですか。

和田氏
“先のことも考えて、
長くつきあっていける
力のある会社を選ぼう
と思っていました”

複数の会社に声をかけ、提案を求めました。

選定に際し重要視していたことが2つあります。まず、ANA FESTAの業務をどのくらい理解してくれるか。店舗運営業務全般はもちろんですが、ANA FESTA独自の要素もあります。たとえば、ナショナルブランドの飲料などは本部で一括して仕入交渉を行いますが、地元の特産品などは各拠点が個別に仕入交渉をおこない、本部がそれを承認するという形をとっています。

もう1つは技術力です。

実は以前までのシステムは、ANA FESTAという全国統一ブランドを立ち上げる前からある地域で使われていたものを、全国に広げていき繋げたものでした。開発した当初のシステム会社は、全国ネットワークの中での稼動に対応させられる技術力がありませんでした。ですから追加開発や修正などは、いくつかの他のシステム会社に依頼していました。

開発に携わっていない他の会社にシステムの現状を説明し、理解してもらい、追加開発をしてもらうのはかなりの手間でした。ですから今回は、技術力のしっかりした会社を選ぼうと思っていました。

システムインテグレータを選んだ理由

- 最終的に、システムインテグレータを選んだ理由は。

導入提案。リスク・コストが低い最適な解決策は?
システムインテグレータが作成した提案書
から抜粋した「新旧機能比較」の一覧表。
「自分たちで気づいていないこと、整理でき
ていないことまで、よくまとめてくれました」
(和田氏)

システムインテグレータは、先述の「追加開発を依頼していた別の会社」の1つでした。その当時から、技術力については評価していました。

加えてシステムインテグレータの提案書は、他に提案を依頼した会社と比較して、現状の課題がよく整理されていました。従来までの追加開発だけでなく、新システム開発の中心的な役割を任せても大丈夫だと判断しました。

またリニューアルに際して、当社では「データベースの一元化」と「クライアントサーバシステムと同等の操作性・レスポンス」という、相反する要求を両立させたいと考えていました。その点についてもシステムインテグレータは解決策を提示してくれました。

「いいとこどり」をしたい

- 「相反する要求を両立させたい」とは。詳しく教えていただけますか。

従来のシステムはデータベースを全営業所に設置していたため、各データベースのデータ保全や上位サーバとの整合性チェック、PC入れ替え時の作業などの負荷が大きいものでした。これらの負荷を軽減し、運営データのリアルタイム参照も実現するために、データベースは本社のみに置き、データの集約化・一元管理ができるWebシステムにしようと考えていました。

一方で、Webシステムにした場合の、クライアント側の操作性の悪さを心配していました。実際にシステムを使うANA FESTAの店舗スタッフは、従来のクライアントサーバ型システムの画面操作が体に染み付いています。ふだん、プライベートでPCを使いこなしているようなスタッフはあまりいません。

ですから、いきなり操作画面が変更したときのスタッフの不満や抵抗、ミスが無くなるまでの教育コストは容易に想像できました。どうにかして、操作感は今までどおりのもの、できれば今までとほとんど変わりのないものにしたいと思っていました。

以上のような、「いいとこどり」をしたシステムを望んでいました。

「いいとこどり」をするためのシステム設計

- システムインテグレータはどのようにして「いいとこどり」を実現したのですか。

「店舗での利用を前提としたクライアントアプリケーション」を、システムインテグレータはスクラッチで開発しました。このアプリケーションはリッチクライアント化されています。ですから心配していたような、Webシステム特有のレスポンスの悪さはありません。普通のソフトウェアを操作している感覚に近いです。

操作感も、従来のものと変わりません。見た目にも工夫を加えてくれて、たとえば業務カテゴリーやボタンの色分けや、赤伝入力時には背景も赤くなるなど「今、何の作業をしているか」がはっきりわかる、使いやすいものにしました。

店舗管理画面のユーザビリティ
システムインテグレータが作成した提案書から抜粋した「新旧機能比較」の一覧表。
[仕入入力(左)]から[返品入力(右)]に切り替えると、背景色も変わる。
「今、何をやっているか」が明確に。

一方、「本社側のシステム」はWeb-ERP「GRANDIT」で構築されました。 データは両システムとも「GRANDIT」のDBへ格納され、データベースの一元化を実現しました。

このシステムの評価できるところは、Webサーバから最新のソフトウェアが自動的にクライアント側にダウンロードされるところです(※)。それにより、プログラムを修正、更新する手間が削減されました。

※GRANDITはMicrosoftのアプリケーション開発プラットフォーム「.NET Framework」に対応しています。
本システムでは、「.NET Framework」により提供されているソフトウェアの配信・更新テクノロジである「ClickOnce」により、クライアントソフトウェアを配信しています。 システム起動時にWebサーバから最新のソフトウェアが自動的にクライアントにダウンロードされ、常に最新の状態が維持されます。

手間が削減されると、より良いシステムにするために積極的に更新しようという意識がはたらきます。「フォントを見やすくする」といった細かい所まで含めると、稼動してから現在までに86回の更新をしております。

システム構成。クラサバの良さを残し、データベース一元化

以上がシステムインテグレータが開発した、ANA FESTAの新店舗業務管理システムの概要です。

・・・実は、初めに説明を聞いたときは「GRANDITを使うのはちょっと嫌だな」と思っていました。
ですが、今では良かったと思っています。

はじめは抵抗があった「パッケージ導入」

- なぜ、当初はGRANDITを使うのが嫌だと思われたのですか。

ERP「パッケージ」だからです。
型通りのパッケージではなく、開発力を十分に発揮してもらい、ANA FESTAにピッタリのシステムを作ってもらいたいと思っていました。

- では、最終的にGRANDITを受け入れた理由は。

システムインテグレータはGRANDITを道具の1つとして使おうとしていました。「この部分についてはGRANDITを使えば、開発コストを抑えて要件が満たせられる。バグもつぶしきれている」という説明を聞き、形式的なパッケージを押し付けられることは無いとわかりました。

その「開発コストを抑えて要件が満たせられる」ことの1つは、内部統制への対応でした。
GRANDITに標準搭載されている電子承認ワークフローによって、発注や仕入伝票の承認を徹底することができました。また、GRANDITのアクセス権限設定や履歴管理は、ANAグループの厳しいセキュリティ方針にも十分対応できるものでした。

システムインテグレータへのメッセージ

- 最後に、システムインテグレータへのメッセージをお願いします。

導入プロジェクトメンバー
“この一体感を、これからも大切にして
いきたいです”写真右:
弊社ERPソリューション部
ERP営業グループリーダー 興津

リニューアルされた店舗業務管理システムによって、これまでのシステムの問題点は全て解決されました。さらに、店舗スタッフが慣れ親しんでいた操作性を維持し、メンテナンス性も向上させてくれました。稼動から1年ほど経ちましたが、いろいろな所で良さを感じています。

あと、システムインテグレータとの仕事には、いつも一体感がありますね。今回のシステムも、異物感の無い「自分たちが作ったシステム」だと感じられます。それはシステムインテグレータが、私たちと同じ目線で活動してくれるからだと思います。

今後とも、よろしくお願いします。

― お忙しい中、ありがとうございました。

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