導入事例:株式会社アイナボホールディングス様

業務の強みをシステムに落とし込む作業は困難を極めましたが、丁寧な対応によって洗練されたシステムに成長しました


株式会社アイナボホールディングス
株式会社アイナボホールディングスについて

株式会社アイナボホールディングスは、建材や住宅設備機器の販売・工事を行う企業グループです。
長年にわたるカスタマイズで複雑化していたシステムの標準化や、販売と工事のシステム一元化などのため、新システムとしてGRANDITを採用されました。
GRANDIT導入の経緯や選定理由、導入後の効果などについて、システム導入プロジェクトを牽引されていた情報部ヘッドマネージャーの清水様に話を伺いました。


開発の内製化に限界を感じる中、
システムの標準化と一元化を目指す

-最初に会社のご紹介をお願いします。

当社は1924年にタイル、レンガの工事請負業として阿部梅吉商店を創業したのが始まりです。その後、1992年に商号を株式会社アベルコとし、同業他社の吸収合併、吸収分割を経て、2013年にホールディングス体制へ移行、株式会社アイナボホールディングスとなりました。
現在は、戸建てから商業ビルまで、幅広い建築物を対象としたタイルや石材などの建材関連と、浴槽や洗面化粧台などの什器・設備関連の販売・工事が主な事業となっています。

-GRANDITを導入する前は、どのようなシステムをお使いで、どのような課題をお持ちでしたか?

以前は、販売、工事、会計でそれぞれ別のシステムを使っていました。使用歴は30年近くにわたりましたが、社内でRPG言語を使ってカスタマイズを続けてきた結果、複雑化・属人化が進んでしまったのです。
企業や、企業を取り巻く環境が変わっていく中で、システムや業務手順も変えていく必要があります。しかし、現場のニーズに対応してシステム改修するためには、ソースの解析から行わなければならず、手間とコストが嵩んでいました。
また、テクニカル的にも最先端の技術への対応が難しく、人材の面でも後継者問題を抱えていたため、開発の内製化は限界にきていました。またハード面ではオンプレミスによる機器管理、保守管理のコスト増に改善が必要でした。

-どのようなきっかけでリプレイスを検討されたのですか?

ホールディングスになった当初、会社の業績としては好調で、今後M&A戦略によって対応エリアの拡大を図っていくという方針が決まっていました。

M&Aを進めていくにあたり、既存のシステムでは業務の標準化や、バックヤード業務のシェア、システムのシェアができないため、全面的に基幹システムを見直すことになったのです。ハード面では事業会社の拡大に伴うスペックアップを容易にするため、クラウド環境での構築が必要と考えました。

また、人材の面でも、販売を担当する社員と工事を担当する社員の境界がなくなり、一人で販売も工事も両方できる人材を育てる必要がありました。その際に、販売システムと工事システムが別々だと非効率だったことも、システム刷新の要因になっています。

当社の業務と真剣に向き合い、
ワクワクを感じさせてくれたSI社を選定

-プロジェクトのスケジュールとベンダー選定方法について教えてください。

株式会社アイナボホールディングス上記のような理由で基幹業務システムの刷新を図るにあたり、RFP(提案依頼書)を作成する必要が生じました。そこで、コンサル会社に入ってもらい、業務を一から棚卸して、標準的な業務手順を作り直し、RFPを作成したのです。

完成したRFPを基にコンペを開催したのが、201410月。9社に声をかけ、当社の会議室で説明会を開催しました。

60にわたる審査項目を設け、半年間かけてベンダー選定を実施。9社中3社が2次審査まで進み、あらためてプレゼンを受けた上で、最終的に20154月に依頼先を決定しました。

-GRANDITを採用いただいた決め手は何だったのでしょうか?

 そもそも、当社の業態に完全に適合するパッケージソフトはなく、カスタマイズは必須という前提でした。

当社の業務上の強みは工事の管理にあり、工事管理のノウハウをどうシステムに落とし込むかが、システム刷新にあたっての大きな課題となっていたのです。その上で、販売と工事がオールインワンになっている使いやすいシステム、というのが大まかな要件で、GRANDITはその要件に合致していました。

 パートナーとしてシステムインテグレータ社(以下、SI社)を選んだのは、審査項目のうち、他社と比べて飛び抜けていた項目が2つあったからです。

一つは、「当社が提示したRFPに対して独自の改善提案があるか」という項目です。これに対してSI社は、私たちが提示してない潜在的な課題にまで踏み込んだ上で、その課題に対する解決策を提案しました。

このような提案は、本当に当社の立場に立ち、業務のことを真剣に考えていなければできない提案です。これには社内のメンバー全員で感心しました。

SI社が飛び抜けていた審査項目の二つ目は、「提案へのワクワク感があるか」という項目です。

半年にわたるベンダー選定の過程で、SI社の担当とメールを通じてディスカッションをする際に、言葉にならないワクワク感を感じたのです。

もちろん仕事なので、きっちりと進めるのは前提ですが、その中にもいい意味での遊びやチャレンジがあるのは大事なことだと考えています。

このように、当社の業務に真剣に向き合ってくれたことが感じ取れたからこそ、この会社とならいい仕事ができると思い、SI社をパートナーに選んだのです。

長期間にわたる生みの苦しみを経て、
グループ9社で安定稼働

-GRANDITが稼働に至るまでの問題点や苦労などがあれば、教えてください。

正直言って、本稼働までは苦難の連続でした。当初、20154月から2年間で導入を行い、20174月に稼働のスケジュールでしたが、予定は大幅に遅れ、実際に稼働したのは20181月です。

稼働が遅れた最も大きな原因は、アイデアを盛り込み過ぎたこと。当初想定していたアイデアや機能を詳細設計に落とし込む際、思った以上に技術的に難易度が高かったのです。また、アイデア段階では良かったものの、そのアイデアで実際に業務を行ったときに、思った通りに進まないこともありました。

試行錯誤を繰り返す内に、いつの間にかシステムが複雑になってしまい、バグやエラーを改修するのにも非常に時間がかかりました。

また、給与関係以外の全ての業務システムをグループ会社3社同時に刷新しようとした点も稼働までのハードルを引き上げました。

システムを変えるということは、業務手順が変わるということです。それはつまり、組織の体制が変わることを意味します。人員配置にも影響が出るため、人事の問題も発生しました。

しかし、変化に対応していかないと、企業は世の中に取り残されてしまいます。そういう意味で、今では貴重な経験をしたと思っています。

稼働してからも、最初の内はトラブルが多発していましたが、その都度SI社と一緒にバグやエラーを丁寧に改修していき、現在は非常に順調に稼働しています。

-GRANDITが稼働してから、以前と比較してどのような点にメリットや効果を感じていますか?

極力パッケージの良さを生かしたいと思いつつ、当社の工事の強みをどうしてもシステムに落とし込みたいという希望があり、カスタマイズが想定以上のボリュームになってしまいました。

しかし、無理に見切り発車をするのではなく、丁寧にバグを改修し、品質保証を担保した状態でスタートしたのは良かったと思います。

本稼働後も大きな機能改修をその都度行っていますが、そのような改修や軽微な要望への対応を積み重ねて、現在はとても洗練されたシステムになりました。

導入社数は当初の3社から6社増え、現在はグループ会社9社でGRANDITを使っています。今後もグループ会社が増えれば、随時導入していく予定です。

グループ全体でシステムを統一できたので、バックオフィスの業務が統一されて、グループ会社間でフォローができるようになったのは大きなメリットです。グループ内のA社でオペレーションの人員が不足しても、B社から応援を呼んで対応する、というようなことが可能になりました。

また、販売のシステムと工事のシステムが一元化されたことで、社員研修も非常にスムーズに行えるようになりました。

時代の変化に応じて変われる企業でありたい

-今後の業務改善の予定や目標について教えてください。

今後も、M&Aによってグループ会社が増えれば、その都度GRANDITを導入していくことになるでしょう。

また、当社の業務も時代に合わせて変わらざるを得ないので、そういった変化への対応は当然必要になってきます。

例えば、私たちの業界では、今まさに半導体不足やウッドショックという変化が起きています。そういった変化は困難な状況を生みますが、それをチャンスと捉えて変われる企業と変われない企業の差は大きい。システムや業務手順も同様です。当社は、SI社と一緒にディスカッションを重ねて、変化し続ける企業でありたいと思っています。

-SI社に対する要望などはありますか?

毎月やっている保守定例会では、SI社から今のシステムの状況や問い合わせの傾向などの報告がありますが、これは非常に有意義ですし、続けていきたいと思っています。

私が懸念しているのは、取引が長期にわたり、担当が変わったりすると、仕様だけが引き継がれて、「なぜ」が消えてしまうのではないかという点です。

私たちは要望として「こういう機能がほしい」と言いますが、本当にほしいのはプラスアルファの熱量です。ベンダー選定のときのように、真剣に当社の業務と向き合い、当社の立場で考えて機能に落とし込む「なぜ」の部分を忘れないでほしいと願っています。

-お忙しい中、ありがとうございました。

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