3PLってどういう意味?導入するメリットや注意点などをご紹介

 2022.09.05  株式会社システムインテグレータ

 近年はECの利用者が増えたこともあり、企業にとって安定的な物流体制の構築が重要性を増しています。しかし、自社で物流を管理運用することに限界を感じている企業は多いことでしょう。そのような場合に有効なのが、外部企業に物流業務を委託する「3PL」の導入です。本記事では、この3PLについて詳しく解説します。

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3PLとは

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3PLとは「3rd Party Logistics」の略称で、自社の物流(ロジスティクス)に関わる一切の業務を第三者に当たる外部企業に外注する物流体制のことです。3PLを利用することで、物流に必要な資産を自社で保有・管理したり、物流業務を行ったりする必要がなくなります。

EC業者や通販業者にとっては、「フルフィルメントサービス」という言葉の方が、聞き覚えがあるかもしれません。ただし正確に言えば、フルフィルメント業者が物流以外にも注文受付やサポート対応といった付随業務を広く提供するのに対して、3PL業者は物流に特化したサービスを提供するという違いがあります。 

ECにおける物流についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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3PLを導入するメリット

3PLを導入することで、企業は「コアビジネスへの専念」「物流コストの最適化」「物流品質の向上」などのメリットを得ることが期待できます。

コアビジネスに専念できる

3PLがもたらす大きな利点として、自社のコアビジネスに専念できるようになることが挙げられます。物流業務には商品の入荷作業から始まり、ピッキング、検品、梱包、出荷作業、返品処理など多くのプロセスが含まれます。こうした物流業務を行うには多くのリソースがかかるため、自社のコアビジネスに必要なコストを圧迫しかねません。

また、物流業務に特化した人材を育てる場合でも一定の時間や労力が必要になるでしょう。しかし、3PLを導入すれば自社で上記のような業務をこなす必要がなくなるため、その分の労力やコストをメインのビジネスに費やせるようになります。

物流コストの最適化が図れる

物流コストの最適化を図れることも魅力的な点です。自社で物流業務を完結させようとすると、物流倉庫を筆頭に、運送車両や物流システムなどの高額な導入コストおよびランニングコストが必要になります。3PLを導入することで、自社で高額な資産を保有する必要がなくなるため、無駄な固定費を支払う必要がなくなるのです。また、3PLでは荷物の量が少ないときには、その分だけ費用が抑えられます。このように、月々の費用が固定費ではなく流動費になることが大きなポイントです。

物流品質が向上する

物流品質の向上も3PLの導入効果として挙げられます。先述のように、物流業務には多くのプロセスが含まれますが、これらの業務を効率的かつ高品質に行うためには、豊富なノウハウが欠かせません。自社で構築するには困難を伴いますが、3PLを導入すれば物流のプロフェッショナルが一連の作業を遂行してくれるため、さまざまな点で物流品質の向上が見込めます。例えば、納品までの時間短縮やミスの減少などが予想される効果として挙げられるでしょう。業者によってはプレゼント用のラッピングなど、オプションのサービスを提供している場合もあります。

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3PLを導入するデメリット

上記のような多くのメリットがある一方で、3PLにはデメリットもあることに留意しておく必要があります。ここでは、緊急時の対応と自社ノウハウの蓄積に関する課題をピックアップします。

緊急事態が起きた際に対応が遅れる

3PLを導入している場合、緊急事態発生時に対応が遅れる可能性があります。外部企業に委託する分、どうしても自社と物流現場との情報共有に、タイムラグや齟齬が生じやすくなってしまうからです。例えば、物流現場で何らかの緊急事態が起きた場合でも、自社にその情報が伝わるまでに時間がかかってしまうかもしれません。

また、自社物流であれば柔軟に対処できるようなことでも、3PLの場合だとマニュアルに記載されていないことには対応できない可能性があります。いずれにしても、3PLを導入する場合には、委託先の企業としっかりコミュニケーションが取れるのかを確認しなければなりません。

自社ノウハウが蓄積されない

物流に必要なノウハウを自社に蓄積できなくなる点も考慮する必要があります。3PLを導入すると自社の従業員が物流業務を経験する機会が減少するため、物流関連のノウハウが得られにくくなります。そのため、将来的に自社物流を確立したいと考えている場合は、物流に長けた人材の育成に支障が出る可能性を考慮しなければなりません。

3PLは2つの種類に分けられる

3PLは業態によって大きく「アセット型」と「ノンアセット型」の2種類に分けられます。それぞれの違いや長所・短所を解説します。

企業のシステムや施設を使用するアセット型

アセット型は、3PL業者が独自の資産(アセット)を利用して、物流業務を代行するタイプの業態です。ここでいう資産には、倉庫や運送車両、配送センター、物流システム、人材などが該当します。

アセット型の強みは、3PL業者が保有する施設などを利用するため、ミスの少ない高度な物流品質が確保しやすいことです。その一方、アセット型の業者は設備にかけた多額の投資を回収するため、設備をできるだけ活用する方向で物流方法を考案する傾向にあります。そのため、物流の管理運用方法が保有設備に制限されてしまい、それぞれのクライアントに対して最適な物流体制を構築するための柔軟性に欠けていることが難点として挙げられます。

企業がシステムや施設を保有していないノンアセット型

ノンアセット型は、3PL業者が物流に要する独自の設備やシステムを所持しないタイプの業態です。その代わりに、他の倉庫会社、トラック会社や配送センターなどに関する専門知識や契約交渉の技術を駆使して、クライアントにとって最適な物流体制のコーディネートを行います。

そのため、ノンアセット型は柔軟に物流体制を構築できるという点で優れています。一方で、実際の管理運用においては、3PL業者を挟んで複数の会社が関与することになります。そのため、調整に時間がかかったり、クライアント側で物流現場の状況を把握することが難しくなったりするデメリットが想定されるのです。

3PLを導入する際の注意点

ここまで解説したことを踏まえて、3PLを利用する際に気をつけたいポイントを解説します。

まず重要なのが、3PL業者と円滑なコミュニケーションを取れるようにすることです。3PL業者との情報共有が機能していなければ、何らかの問題が生じた際にも連携がうまく取れなくなってしまいます。そのため、3PLを導入する際には、自社と3PL業者がお互いに緊密な連携が取れるようにすることが重要です。

また、繁忙期や閑散期などの状況に応じて、3PL業者が柔軟に対応してくれるかどうかを確認する必要もあります。例えば、繁忙期に自社の物流量が3PL業者の処理能力を超えた場合、納品の遅延や物流品質の低下などが懸念されます。また、閑散期にも平時と変わらぬ委託費用が生じるようでは、せっかく3PLを導入しても物流コストの最適化ができません。

3PLを導入する際には、これらの点に注意した上で、信頼できる3PL業者を慎重に選ぶことが大切です。

まとめ

物流業務を第三者の企業に委託する「3PL」を利用することで、物流品質の改善やコストのスリム化などが見込めます。しかし3PLにはご紹介した通りデメリットもあります。最大の利益を得るためには事業者と密にコミュニケーションをとったり、自社に最適な種類を選んだりする必要があります。

いずれの場合でも3PLを導入する際は複数の事業者に話を聞き、メリットを最大化できるか検討しましょう。

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