勤怠管理とは?重要性や管理手法のメリット・デメリット、注意点を解説

 2022.08.31  株式会社システムインテグレータ

勤怠管理は企業で欠かせない業務のひとつです。勤怠管理が不十分だと残業手当の未払いや過重労働といった問題にもつながりかねません。政府が進める働き方改革を実現するためにも、適切な勤怠管理の実施が重要視されています。この記事は勤怠管理の基本や重要性、勤怠管理の主な方法のメリット・デメリットを分かりやすく解説します。 

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勤怠管理とは

勤怠管理とは?重要性や管理手法のメリット・デメリット、注意点を解説

勤怠管理とは企業が従業員の就業状況を適正に把握し、適切に管理することを言います。管理する項目は始業から終業までの時刻、時間外労働、有給休暇の取得状況などで、具体的には、タイムカードやICカードを利用した勤怠管理システムを導入するのが一般的です。

適正な勤怠管理は適正な賃金支払いに必要なだけでなく、働き過ぎの防止や法令遵守にもつながります。 

勤怠管理の対象

勤怠管理の対象を、事業所と従業員に分けて見てみましょう。

対象となる事業所は、労働基準法における労働時間の規定が適用される事業所です。従業員を雇う企業において勤怠管理は基本的に必要であると覚えておきましょう。

従業員は管理監督者以外が対象です。管理監督者とは、従業員の労務管理において一定の責任がある工場長や部長などの責任者や秘書などを指します。 

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勤怠管理の必要性

勤怠管理は給与の計算に必要ですが、従業員の過重労働の防止のためにも必要です。労働時間には法定労働時間が定められており、1日8時間・週40時間までと上限が設定されています。また、時間外労働は36協定を締結しなければ行うことはできず、36協定を締結していても時間外労働には上限が設定されているので、従業員を過度に労働させることは法律でも禁止されています。従業員の健康を守るためにも正しく勤怠管理を行う必要があるのです。 

勤怠管理の管理項目とは

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勤怠管理では、労働時間・休憩時間・時間外労働・有給休暇などの幅広い管理項目があります。

それぞれの管理のポイントをチェックしましょう。 

労働時間・休憩時間

勤怠管理で最も重要なのが従業員の労働時間の管理です。労働時間の管理は従業員数に関係なく、すべての企業が実施の義務を負っています。ルールも細かく定められているので、基本をおさらいしましょう。

まず、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の法定三帳簿は原則3年間保存しなければなりません。

次に、労働時間の記録は管理者による現認かICカードなどの客観的な記録が推奨されており、自己申告は原則認められていないので注意しましょう。

また、休憩時間についても正しく理解しておく必要があります。休憩時間は労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を最低でも付与するようにと労働基準法で定められています。従業員が休息のために労働から完全に解放される休憩時間をしっかりと確保しましょう。 

時間外労働・深夜労働・休日労働時間

そもそも時間外労働とは法定労働時間を超過して働くことです。時間外労働は従業員の健康に直結する項目です。法令遵守だけでなく従業員の状態を正しく把握して時間外労働を行わなくてはなりません。さらに、時間外労働に対しては25%以上の割増賃金の支払いが必要なため、給与計算の観点でも適切な管理が求められます。

また、時間外労働に関連して、深夜労働と休日労働時間についても確認しておきましょう。深夜労働とは午後10時から午前5時までの労働を指し、賃金の割増率は25%以上です。休日労働時間とは法定休日に出勤して働くことを指し、賃金の割増率は35%以上です。 

出勤日や欠勤日

出勤日と欠勤日も適切に管理しましょう。出勤日と欠勤日の把握は給与計算や評価だけでなく、有給休暇の付与などにも関わる重要な項目です。

まず、出勤日とは全労働日のうち実際に就労した日を指します。遅刻や早退で労働日の所定労働時間の一部しか就労していない場合でも出勤日として取り扱わなければなりません。

次に、欠勤日は労働義務のある日に勤務を欠いた日を指し、給料が支払われない休みを意味します。給料が支払われる有給扱いとは異なるため注意しましょう。 

有給休暇の取得状況

企業は従業員に有給休暇を適切に取得させる必要があります。2019年4月施行の働き方改革に関連する法改正では、年次有給休暇の取得が義務化されました。年に10日以上の有給休暇が付与されている従業員は、必ず年に5日の有給休暇を取得させなければいけません。

義務化の背景には日本企業の年次休暇の低い取得率が挙げられます。有給休暇の取得状況の把握を把握するとともに、有給休暇を取得しやすい環境を構築しましょう。 

勤怠管理の主な方法

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勤怠管理の手法にはさまざまな方法がありますが、そのなかでも代表的な4つの手法の特徴を見てみましょう。 

タイムカード

紙の打刻シートをタイムレコーダーに差し込んで打刻する方法です。1枚のシートで1か月分の勤怠状況を管理する場合が一般的です。 

メリット

タイムレコーダーを導入してしまえば、打刻シートを購入するだけで済むので維持費用がほとんどかかりません。操作も簡単で誰でもすぐに利用できる点も魅力です。 

デメリット

多くは始業・終業時間しか記録できず、休日や残業時間の管理に課題があります。深夜残業や休日出勤など、幅広い項目がある勤怠管理にタイムレコーダーだけで対応するのは難しいと言えます。また、タイムレコーダーは社内に設置するため、テレワークのような社外での勤務時にはリアルタイムでの打刻ができません。多様な働き方を実現するためにはタイムレコーダーは障壁になる可能性があります。 

紙・手書きの勤怠管理表

紙のフォーマットに手書きで勤怠情報を整理する手法です。出退勤・残業時間・休憩時間・遅刻・早退・休日など、必要な情報を手書きで書き込みます。 

メリット

準備が簡単でコストもほとんどかからない点がメリットです。紙とペンがあれば勤怠管理表を作成できるので、緊急時などでも柔軟に対応できます。壁や掲示板への掲示もすぐに行えるので、一時的な代替手段としても活用されています。 

デメリット

自己申告の内容を手書きするため、不正申告やサービス残業など実態と乖離した申告の温床になりかねません。厚生労働省のガイドラインの「適正な労働時間の把握」とならない可能性があります。やむなく自己申告制とする場合には、一定の条件をみたせば客観的記録と扱われます。しかし、そのための措置として、労働者・管理監督者の双方に十分な説明を行う、実態と乖離していないか実態調査を行うといった条件を満たす必要があり、負担を伴います。 

ExcelやGoogleスプレッドシート

ExcelやGoogleのスプレッドシートで作ったフォーマットに出退勤時刻を従業員が入力する方法です。セルに関数を設定すれば、労働時間の計算を自動で行えます。 

メリット

ExcelやGoogleのスプレッドシートであれば、誰もが使ったことのあるサービスなのでスムーズに導入できます。さらに、職場のPCにExcelがインストールされていたり、Googleドキュメントにアクセスできるインターネット環境が整っていたりすれば初期費用も抑えられます。 

デメリット

紙・手書きの勤怠管理表と同様に自己申告であるので客観的な記録とは扱われません。また、使用に応じて管理するシートが増えればリスクも増えます。例えば、計算する関数に思いがけないエラーが発生したり、単純な入力ミスが生じたりするかもしれません。さらに、法改正などにより残業代の割増率が変わるとシートに設定した関数の修正も必要となりメンテナンスにも手間がかかります。 

勤怠管理システム

タイムレコーダーやスマートフォン、パソコンなどと連携して打刻、集計、分析まで一元的に集約できる専用のシステムを導入する方法です。クラウドによるサービス提供も充実しており、インターネット環境さえ整っていれば場所を問わずに使うことができ、連携できる打刻手段やデバイスも幅広く整っています。 

メリット

リアルタイムで打刻管理ができ、集計や分析も自動で行ってくれます。給与システムへの連携に対応していれば、給与計算のミスも削減できます。分析結果に基づき、働きすぎている従業員にアラートを発信するといった機能を持つものもあります。クラウドサービスであれば、インターネット接続環境さえあれば、従業員が社内外のどこで勤務していても勤怠管理が可能です。 

デメリット

サービスの導入には一定のコストが発生するケースがほとんどです。特に、自社専用の勤怠管理システムを構築する場合はコストも高額になり、開発に時間がかかると認識しておきましょう。 

ERPは勤怠管理にも活用できる

専用のシステムではなく、勤怠管理機能がついているERPを勤怠管理に活用することも可能です。

ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、統合基幹業務システムを指す言葉です。ERPは、企業の会計業務・人事業務・生産業務・物流業務・販売業務などの基幹業務を統合し、情報の一元化・有効活用を実現するシステムとして誕生しました。ERPなら基本的な勤怠管理だけでなく、例えば給与管理システムと連携させるなど、他システムと連携した活用が可能になります。

また、クラウド型のERPならば社内以外の場所でも打刻が可能です。フレックスタイム制だけでなく、在宅勤務など働き方改革に応じた多様な働き方に対応できます。

詳しくは以下の記事でもご紹介しています。

勤怠管理をERPで対応するメリットとは? 

勤怠管理の注意点

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勤怠管理にはいくつかの注意点があります。スムーズな勤怠管理を行うためにも以下のポイントには気をつけましょう。 

勤務形態や雇用条件に応じた対応が必要

雇用形態や働き方が多様化した近年は、勤怠管理は勤務形態や雇用条件に応じた対応が求められます。特にパート・アルバイトなどの勤務形態や、扶養控除内で働くことを希望している従業員には注意が必要です。

パートやアルバイトの場合は基本的にシフト制のため、勤務時間も日によって異なります。勤務希望をもとにシフトを作成し、勤怠管理を行いましょう。

扶養控除内で働きたい従業員に対しては、所得税が発生する「103万円の壁」や、社会保険への加入が必要になる「130万円の壁」などに配慮しなくてはなりません。扶養控除内といっても具体的な控除の範囲を良く確認て勤怠管理を行いましょう。 

テレワークや在宅勤務中の勤怠管理

テレワークや在宅勤務中の勤怠管理でも注意が必要です。異なるロケーションでの勤務のため、アナログなタイムカードやICカードによる打刻は適用できません。代替え手段としてはPCへのログイン・ログアウト時刻や、チャットツールへのログイン・ログアウト時刻を使っての勤怠管理が考えられます。しかし、場合によっては自己申告に頼らなければならない場合もあり得るでしょう。

厚生労働省のガイドラインでは、自己申告は客観的な勤怠記録とは認められていません。例外として容認する場合、申告の方法についての十分な説明や申告内容の点検を条件に認めています。また、自己申告による勤怠管理を行う場合、正しい労働時間の申告を妨げるような制度を設けてはならないと定められているので注意しましょう。 

勤怠管理システムの選び方

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勤怠管理システムにはさまざまな種類があります。勤怠管理システムの選定で失敗しないためのポイントをまとめました。 

オンプレミス型とクラウド型

勤怠管理システムは大きくオンプレミス型とクラウド型に分類できます。オンプレミス型は企業ごとの専用システムを開発して自社で運用を行うサービス形態です。自社の業務に対してシステムカスタマイズの柔軟性が高く、中規模から大規模の企業で導入されるケースが目立ちます。ただし、ハードウェアやソフトウェアの購入費用など、それなりの初期費用が発生してしまいます。

一方、クラウド型はインターネットを経由してシステムやソフトウェアの利用ができるサービス形態です。自社でのサーバー構築は不要で初期費用も抑えられるため、サービスの導入ハードルも高くありません。中小企業やコストカットを実現したい企業がクラウド型のサービスを選定しています。ただし、自社ならではの機能をカスタマイズするには限度があるので注意しましょう。 

使いやすさやミス防止の工夫

勤怠管理システムは会社の全員が使います。誰にでも簡単に使える使い勝手のよいものを選びましょう。操作が複雑で分かりにくい勤怠管理システムでは現場で活用されません。説明書を読まなくても苦労せずに勤怠管理のデータ入力が行えるサービスが理想的です。機能面だけでなく使いやすさを重視して勤怠管理システムを選定しましょう。

また、入力などのミスを防止するための機能も大切です。例えば、顔認証システムと勤怠管理システムを連携できるサービスも登場しています。PCのカメラで顔認証を行うと、出勤や退勤の時間が勤怠管理システムに記録される仕組みです。入力ミスやなりすましの防止にも効果を発揮します。人為的なミスが発生しにくい勤怠管理システムに注目してみましょう。 

データ収集の手軽さ

データを収集する際の手軽さも重要です。勤怠情報は、給与計算の基礎となるデータです。適正な給与計算・支給のためには、時間外労働や休日労働も含め、勤怠情報を漏れなく把握できることが必要です。データ収集に手間がかかるようだと業務への支障も軽視できません。勤怠情報が分かりやすく手軽に収集できるシステムを選定しましょう。 

まとめ

勤怠管理は企業の従業員に優れた労働環境を提供するうえで欠かせない業務です。勤怠管理に問題があれば正しい賃金を支払えないだけでなく、従業員の健康問題にも影響を及ぼします。長時間労働を是正して多様な働き方を実現するためにも勤怠管理は大切なのです。

勤怠管理を行うにはさまざまな手法がありますが、勤怠管理システムの導入が一般的です。勤怠管理システムであれば効率的に管理を行えヒューマンエラーも抑制できます。特に、企業全体の業務改善を推進したい場合は、ERPの勤怠管理への活用を検討してみましょう。

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