チャージバックとは?発生する原因や不正を防ぐ対策を解説

 2022.06.16  株式会社システムインテグレータ

クレジットカードはECサイトの決済の半数以上を占めている必須の決済手段です。ほとんどのEC事業者はクレジットカード決済を導入しているのではないでしょうか。
カード決済はニーズが高く利便性も高い反面、不正利用されてしまうとチャージバックが発生し、売上も利益も得られないというリスクが伴います。

当記事では、チャージバックの概要・件数増加の背景・発生時の流れと対応から、チャージバックが発生する原因と対策方法までを解説します。クレジットカードを利用しているEC事業者の方は、適切なリスクヘッジを行うためにも、ぜひご参考下さい。

チャージバックとは

チャージバックとは?発生する原因や不正を防ぐ対策を解説 1

チャージバックとは、不正利用・商品の不良等の理由によりカード所持者が決済に異議申し立てを行った場合に、クレジットカード会社が売上の取り消し・返金を行うことです。

消費者を保護するために設けられた仕組みですが、加盟店であるEC事業者は商品を提供しているにも関わらず売上を受け取れないというリスクが生じます。

近年ではECサイトにおけるチャージバック発生件数は増加傾向にあるため、EC事業者はチャージバックに関する正しい知識・発生原因・適切な対処法について知っておく必要があります。

チャージバックに関して理解を深めるには、まずはクレジットカードに関する基本的な知識を押さえておくことが重要です。以下の記事にて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

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チャージバック件数が増えている背景

チャージバックとは?発生する原因や不正を防ぐ対策を解説 2

クレジットカードのチャージバック件数は年々増加傾向にあり、事業者にとって大きな脅威となっています。ここでは、チャージバック件数が増加している背景について解説します。

年々増加するクレジットカードの不正利用

チャージバック件数が増えている最大の原因が、クレジットカード不正利用の増加です。情報漏洩・流出等によりカードを不正利用された被害者は、基本的にカード会社に売上の取り消しを求め、その結果チャージバックが行われます。

一般社団法人日本クレジットカード協会が公表している資料によると、不正利用被害額は以下のように推移しています。

西暦

不正利用被害額合計

2016年

142億円

2017年

236.4億円

2018年

235.4億円

2019年

274.1億円

2020年

253億円

2021年

236.9億円

出典:一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の集計結果について

データによると、2016年までは100億円台であった被害額が、2017年以降は一気に200億円を大きく突破しており、高止まりを続けています。

クレジットカードの不正利用件数が増え続ける限りは、チャージバック件数も比例して増え続けていくでしょう。

個人間取引の拡大

個人間取引のプラットフォームが整備されたことによりCtoC市場が拡大したことも、チャージバック件数が増加した遠因となっています。クレジットカードの不正利用で購入した商品を転売することにより、容易に利益を得られる環境が整ったためです。

実際にフリマアプリ等で転売が行われている事例も多数確認されており、不当に利益を得ようと考えるものが今後増加する可能性も考えられます。

チャージバックに国際ルールが導入

チャージバックの国際ルールとは、クレジットカード会社の判断により、加盟店との協議を経ることなく不正利用の支払いを拒否できるという国際ブランドが定めるルールのことです。

従来の日本国内におけるクレジットカード運用においては、クレジットカード会社と加盟店が協議を行ったうえでチャージバックが実施されていたため、EC事業者の意見が反映される余地もある程度ありました。

現在では日本国内でも国際ルールの導入によりEC事業者の意見に依らずチャージバックが実施されるため、以前よりもチャージバックが発生しやすい状況となっています。

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チャージバック発生時の流れ

クレジットカードのチャージバックが発生すると、事業者にも対応が求められます。そのため、チャージバックが起こる流れについて把握しておくことも重要です。

ここでは、チャージバックが起きる流れと事業者が取るべき対応について解説します。

クレジットカード会員がクレジットカード会社に連絡

チャージバックは、ECサイトで商品を購入してクレジットカード決済を行った顧客が、商品・サービスへの不備やカード不正利用等を理由にクレジットカード会社へ支払い拒否・異議申し立てを行うことから始まります。

クレジットカード会社がチャージバックを実施

クレジットカード会員から連絡を受けたカード会社は、異議申し立ての内容について調査を行い、チャージバックの可否を決定します。

加盟店であるEC事業者の意志とは関係なく、チャージバックの可否はカード会社の独断になります。

チャージバックの実施が決定された場合は、EC事業者にもその旨が通知されます。

売り上げ取り消し・クレジットカード会社への返金

チャージバックの実施が決定されると、EC事業者に通達された後、売上の取り消しが行われます。既にクレジットカード会社からEC事業者へ売上代金が支払われている場合は、返金対応を行う必要があります。

EC事業者への商品の返品

チャージバックの原因が商品の不良・不備である場合は、EC事業者は顧客に商品の返送を依頼します。商品の返送依頼についてはEC事業者の任意であるため、クレジットカード会社を介す必要はありません。

チャージバックの原因となるもの

チャージバックとは?発生する原因や不正を防ぐ対策を解説 3

チャージバックを防ぐ対策を検討するのであれば、まずはチャージバックが発生する原因を把握しておくことが先決です。ここでは、チャージバックが発生する主な原因について解説します。

これから対策を行う事業者の方は、ぜひ確認しておいて下さい。

不正利用

クレジットカードの情報が悪意の第三者の手に渡ることにより不正に利用されると、カード名義人からの申し立てによりチャージバックが発生する原因となります。クレジットカード情報が他人の手に渡る原因には、以下のようにさまざまなものがあります。

  • 盗難・紛失
  • スキミング
  • コンピューターウイルス
  • フィッシング詐欺

クレジットカード情報の漏洩・流出による不正利用の被害件数は増えており、ECサイトでチャージバックが発生する最大の原因となっています。

フィッシング詐欺については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、併せてご参考下さい。

フィッシング詐欺とは?利用者・運営者それぞれに必要な対策を解説

不正利用以外

チャージバックは、クレジットカードの不正利用以外の原因で発生するケースもあります。ECサイトでは、次のような原因が多く見られます。

商品未受領

クレジットカード決済を行ったにも関わらず手元に商品が届かないと、顧客がカード会社に異議を申し立てて売上の取り消しが行われる場合があります。出荷遅延・発送ミスなどEC事業者側の不手際による原因となるため、運用体制には注意しておく必要があります。

支払い拒否

購入した商品に不良・欠陥がある場合や、商品説明との齟齬がある場合に、顧客が支払いを拒否してチャージバックが発生するケースもあります。

決済ミス等

顧客が誤って複数回のカード決済を行った場合や、カード会社が承認していない請求を行った場合など、決済処理上のミスがチャージバックの原因となることもあります。

カード不正利用時に狙われやすい商材

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クレジットカードの不正利用を行う者は、購入した商材を自身で利用するケースは少なく、主に転売により利益を得ることを目的としています。そのため、以下のような高額商品や転売によるニーズが見込める商材は特に狙われやすい傾向にあります。

  • パソコン・周辺機器
  • 家電
  • ブランド品(アパレル・アクセサリー等)
  • ゲーム機
  • トレンド・ブームとなっている商材

上記のような商材が大量に注文されたり頻繁に注文されたりした場合は、特に注意する必要があります。

近年では、サプリメント・化粧品などあらゆるものがターゲットとされているため、扱う商材に関わらずECサイトを運営するのであれば不正利用への対策は必須です。

チャージバックを防ぐ対策

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クレジットカードのチャージバックが発生すると、加盟店である事業者にとっては大きな損失となるため、適切な対策を講じて少しでもリスクを低減することが重要です。

ここでは、チャージバックを防ぐ具体的な対策について解説します。

本人認証サービス(3Dセキュア)による認証

本人認証サービス(3Dセキュア)とは、カード利用者が事前に登録しておいたパスワードをカード決済時に入力させることで、不正利用を防ぐ方法のことです。

クレジットカード番号だけでは決済を行うことができないため、第三者に不正利用される可能性を大幅に低減することができます。

クレジットカードのチャージバックは、本人確認が行われていない場合は加盟店が負担、本人確認が行われている場合はカード会社が負担するのが一般的です。そのため、3Dセキュアによる本人確認を行えば、万が一チャージバックが発生した際の損失回避にも繋がります。

セキュリティコードによる認証

セキュリティコードとは、クレジットカード番号とは別に裏面に記載されている3・4桁の番号のことです。決済時にカード番号だけでなくセキュリティコードの入力を同時に求めることで、不正利用ならびにチャージバックが発生する可能性を低減することができます。

ただし、セキュリティコード認証は盗難・紛失等によりクレジットカードが物理的に他人の手に渡ると悪用されてしまうため、他の対策との併用を行う必要があります。

不正使用を検知する仕組みの導入

クレジットカードが不正利用される場合には、明らかに不自然な行動が確認されるケースが多くあります。例えば次のようなケースです。

  • 購入金額が高すぎる
  • 同じ商品を大量に注文している
  • 短時間で同じサイトから何度も注文している
  • 複数の住所に発送している

このような行動は目視でも不正と見破ることはできますが、多くの注文が寄せられるECサイトで人の手によるチェックを行うのは現実的ではありません。

不正検知システムとは、顧客情報・行動履歴・IPアドレス・端末情報等の複数の情報を自動で分析することで、上記のような不正に繋がる行動を検知できるシステムです。ECサイトに導入しておくことで、不正利用・チャージバックが発生するリスクを低減することができます。

まとめ

ECサイトでのチャージバック発生件数は増え続けており、EC事業者にとっては大きな脅威となっています。最悪の場合は売上も商品も同時に失ってしまうため、少しでもチャージバック件数を減らすためにも万全の対策を講じておく必要があります。

ECサイトの運営では、チャージバック以外にも様々なリスクに対処する必要があるため、セキュリティ全般を高めておくことが重要です。弊社では、セキュリティを含むECビジネスを基本から学べる資料を無料で提供していますので、ぜひこちらもご活用下さい。

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