近年ではデジタル技術の発展により、マーケティングにおいてもデジタル技術が広く活用され、AIを駆使したマーケティングも活用され始めています。
そのため、AIをマーケティングに活用することでどのような効果があるのか、またどのような活用方法があるのか知りたい方もいるのではないでしょうか。
当記事では、マーケティングでAIが注目されている理由、活用するメリット、活用方法・活用事例について解説しています。先進的なマーケティングに興味がある方やこれから実践してみたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
マーケティングにおいてAIが注目されている理由
AI(Artificial Intelligence:人工知能)とは、人と同じように思考することができる知能・技術です。厳密な定義・統一された定義はありませんが、機械に疑似的に人と同じような働きをさせる技術と捉えておけばよいでしょう。
AIはさまざまな分野で活用されていますが、マーケティングは特に需要が高まっている分野です。その理由は、デジタル技術の発達によりマーケティングで扱うデータ量が増加していること、AIは大量のデータを取り扱うのに非常に適していることが挙げられます。
ビッグデータの取り扱いは徐々に一般化しつつあるため、マーケティング分野でのAIの活用は今後ますます活性化していくでしょう。
マーケティングにAIを活用することで得られるメリット
企業のマーケティングにおいてAIが活用されるシーンは増えてきており、GAFAをはじめとするトップ企業はAIを徹底的に活用していることで知られています。その理由は、AIがマーケティング・ビジネスのパフォーマンスに大きく貢献してくれるからにほかなりません。
ここでは、マーケティングにAIを活用することで得られる主なメリットについて解説します。
分析の効率化
マーケティングにAIを活用する代表的なメリットが、同業務に欠かせない分析・予測といった業務を大幅に効率化できることです。
AIは大量の情報を識別する識別系という機能や、情報をもとに思考を行い予測・判断を行う予測系という機能が備わっており、人に代わって処理や作業を行うことが可能です。マーケティングで取り扱うデータ量が大幅に増加した現代においても、データの分類・分析・管理を代替・サポートさせることで、大幅にマーケターの分析業務を効率化できます。
ビッグデータ・データマイニング等のデータ活用に注目が集まっている現代において、大量のデータ処理と親和性が高いことは、AIが持つ大きなメリットと言えます。
顧客対応の効率化
現代のマーケティングにおいては、顧客一人ひとりに対してデータを適用したりコミュニケーションを行ったりといった、パーソナライズされた対応が求められています。しかし、これらを人的リソースを用いて行うのは極めて非効率であり、時間・労力の観点から現実的ではありません。
AIを活用すれば、膨大な顧客データの分析を行い、パーソナライズされた情報をマーケターやオペレーターに自動で提示したり、接客ツール等のインターフェースから自動で顧客対応を行うことが可能です。
パーソナライズの精度向上
現在のあらゆるマーケティング施策は、以下にご紹介するような個々にパーソナライズされた施策を実施することが当たり前となりつつあります。
- 広告クリエイティブ
- レコメンド
- パーソナライズ接客
- パーソナライズDM
人の手により膨大なデータを分析して多数の顧客にパーソナライズされた施策を実施するのはまず不可能であり、精度を担保することも非常に困難です。
しかしAIであれば、顧客情報・行動パターン・利用状況などの膨大な情報を自動で分析して、最適なマーケティング施策を打ち出すことが可能です。精度の高いマーケティング施策を効率的に実施できることも、AIを活用する大きなメリットです。これからの時代のマーケティングにおいて不可欠であるとも言えるでしょう。
マーケティングにおけるAIの活用例
マーケティングにAIを活用することで、さまざまなメリットが得られることが分かりました。実際にAIを活用したマーケティングを実践してみたくなった方もいるのではないでしょうか。
ここでは、マーケティング分野におけるAIの活用方法の例をご紹介します。具体的にどのような活用方法があるのかを把握しておきましょう。
需要の予測
需要予測とは、膨大なデータを解析することで、将来的な需要を予測する技術のことです。短期的な予測だけでなく長期的な予測も行われます。
AIが持つ高い分析機能・処理機能を駆使して、売上・顧客・商品・業界・競合・季節・天候・時間帯などあらゆる情報を多角的に分析することで、精度の高い需要予測データを導き出します。
高精度な需要予測データを用いることで、的確な販売促進・在庫管理・人員管理が可能となるため、需要の変化に敏感な小売業・製造業をはじめとした業界のマーケティングで活用されています。
人流の分析
現代はスマホ端末で位置情報を取得し、そのデータを AIで分析することで、人流データをビジネスに活用する取り組みも行われています。
ショッピングモール・百貨店等のオフラインのビジネスにおいては、顧客一人ひとりの店内での動向を把握して、店舗のレイアウト・商品陳列・接客等に活かすことが重視されています。
AIであれば、多数のカメラによる膨大な画像情報を整合性を担保したまま処理することが可能です。導線・利用者数・行動傾向といった人流分析データを業務改善・戦略立案・課題解決に役立てることができます。
AIによる人流分析の技術は、ビジネスだけでなく防犯・防災・感染症予防等の分野でも活用が進められています。
接客
AIはユーザーからのリクエストに合わせて高度な対話・コミュニケーションを行うことも可能であるため、オンライン・オフラインともに接客のシーンでも多く用いられています。例えば、AIを活用した接客には以下のような事例が見られます。
オンライン
ECサイトにWeb接客ツール・チャットボットを設置して、ユーザーに合わせた提案を行ったり購買活動のサポートを行ったりといった活用方法が見られる。
オフライン
AIを搭載した接客ロボットにより、店舗の案内・問い合わせ対応・情報提供等を行わせるといった活用方法が見られる。
AIによる接客はオンライン・オフラインともに高い満足度・利用率を得ている傾向にあり、顧客満足度向上・販売効率向上・客単価アップ・リピート率向上といったさまざまなマーケティング効果が実証されています。
ECサイトにおけるAI活用ならびにAI接客に関しては、以下の記事にて詳しく解説していますので、ぜひこちらもご参考下さい。
ECサイトのAI活用例をご紹介!AI(人工知能)でECサイトはどう変わる?
導入が進むAI接客とは?メリット・デメリットや活用事例を徹底解説
顧客に合ったレコメンド
現代のマーケティングにおいては、個々の顧客の要望に合わせて商品・サービスの提供を行うパーソナライズという手法が重要視されています。ECサイト等のオンライン販売では、レコメンドと呼ばれる顧客情報・行動履歴等を活用して最適な商品をおすすめする手法が活用されています。
AIに顧客情報・行動履歴等を分析されることにより、個々のユーザーの趣味・嗜好に合わせた最適なレコメンドを行うことが可能です。AIによるレコメンドは販売促進や購入率・客単価の向上に大きな効果があることから、現在急速な成長を遂げている分野となります。
ECサイトのレコメンド機能についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
レコメンドとは?ecサイトでレコメンド機能を活用するメリット
AIをマーケティングに活用した事例
マーケティング分野でのAI活用は、既に実践して成果に繋げている企業もあります。ここでは、実際のマーケティングへのAI活用事例をご紹介します。
AIがどのように活用されているのか、どのような点で効果を発揮しているのかを理解するためにも、ぜひ参考にしてみて下さい。
アパレルECサイトの事例
アパレルECサイトを運営するA社では、データ分析業務に多大な時間・労力・コストが発生しているという課題を抱えていました。アパレルECはトレンドの移り変わりが早く、在庫管理・プライシング・商品ラインナップの入れ替え等を適切に行うことがビジネスの肝であるため、データ分析業務のパフォーマンスを落とすわけにはいきません。
A社は現状の課題を解決すべく、アナリスト・マーケターが担当していた分析業務をAIに代替。業務の多くを自動化・効率化することで、データ分析に要するリソース・コストを1/10以下にまで削減。分析の精度を落とさず大幅なスピードアップを実現することにも成功しました。
中古車販売店舗の事例
中古車販売をチェーン展開するB社は、店舗での販売促進・業務改善を図るために店舗用AI解析システムを導入しました。
同システムは、店舗内に複数のカメラを設置することで顧客の行動を可視化して分析・解析できるシステムです。顧客の行動パターン・属性・傾向などをデータとして視覚化することで、店舗内のレイアウト・商品ラインナップ・店内接客等の改善に役立てることができます。
B社がAIシステムを導入した店舗は、同社の他の店舗よりも1割以上も販売数が増加。1件当たりの単価が大きいビジネスであるため、大きな成果に結びついたと言えます。
マーケティングへのAI活用で重要なポイントとは
AIはマーケティングに大きな恩恵をもたらしてくれるテクノロジーですが、十分な効果を得るためには以下にご紹介するようなポイントを押さえておくことが重要です。
最も重要となるのは学習モデルの選択
ここで言うモデルとはAIのデータ解釈と学習方法のことで、主に「教師あり」「教師なし」「強化学習」という3つのモデルが活用されています。
学習モデルによってアルゴリズムは異なり、どのモデルを選択するかによって得意とする部分とそうでない部分も決まってくるため、モデルの選択はAIを活用するにあたって最も重要となるポイントです。マーケティングで成果を出すためには、実際の学習と実務に最も適したモデルを選択する必要があります。
AIに学習させるデータは慎重に選ぶ
AIに業務・処理を行わせるには、大量のデータを学習させる必要があります。ここで重要となるのが、どのようなデータを学習させるのかという点です。
誤った情報が含まれるデータや古いデータなど、低品質な学習データを用いると、当然ながらAIの学習精度は低下してしまい十分なパフォーマンスを発揮することができません。
そのため、AIに学習させるデータは実際の業務と関連性が高いものを選び、かつデータの質にも十分に注意しておく必要があります。また、学習させる前には欠損したデータがないか、データの粒度に違いがないかなどデータクレンジングを実施して、データの質を担保しておくことも重要となります。
ビジネス・マーケティングについて理解を深めておく
マーケティングにAIを活用するにあたっては、どのような業務・処理にAIを活用するのか、また適切にAIを活用するにはどうすれば良いのかを考えるために、AIを活用するマーケター・アナリストが対象となるビジネス・マーケティングについて理解を深めておくことが重要です。
単にAI技術・統計・分析・解析に強いだけでは、AIが持つポテンシャルを十分に発揮できないため、従事する人材の選定や育成には十分に注力する必要があります。
まとめ
現代はデジタル技術・デジタルツールの発展・普及により、ビジネスにおいて扱わなければならないデータの量も大幅に増加・複雑化しています。デジタル時代においては、この膨大なデータをいかに有効活用するかがビジネスの成長・成功の鍵となるため、AIを活用したデータ分析・予測が大きな注目を集めています。
弊社では、当記事でもご紹介したECサイトのパーソナライズ・レコメンドといったマーケティング戦略のポイントを解説した資料を提供しています。AIマーケティングに興味のある方は、ぜひこちらもご活用下さい。
- カテゴリ:
- EC市場・トレンド
- キーワード:
- 小売 dx