【解説】掛売りとは?知っておくべき意味やメリット・デメリット

 2022.09.15  株式会社システムインテグレータ

企業間取引においては、各種業界でさまざまなルール・商習慣が形成されており、ビジネスを成長させるにはこれらを理解しておく必要があります。多くの業界で用いられている商取引のルール・仕組みのひとつが、今回ご紹介する「掛売り」です。
当記事では、掛売りの概要・具体的な方法や事例・掛売りを導入するメリット・デメリット、デメリットを払拭する方法について解説しています。

掛売りについて改めて理解を深めたい方や、掛売りをより効果的に活用していきたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

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掛売りとは

【解説】掛売りとは?知っておくべき意味やメリット・デメリット 1

掛売りとは、商品・サービスの代金を後日まとめて後払いで支払う仕組みのことです。俗にいう「ツケ払い」と同じ仕組みではありますが、掛売りはあくまで契約に基づく厳密な取引であるという点に違いがあります。

掛売りは企業間取引で用いられることが一般的ですが、企業対個人事業主・企業対消費者でも用いられるケースがあります。

売掛とは

掛売りと並んで用いられる用語に「売掛」があります。両者とも商品・サービスを提供した際にではなく後日支払いを行う後払いで販売することを指しており、用語の意味としてはほぼ相違ありません。

敢えて違いがあるとすれば、用語が使用されるシーンです。掛売りは商取引・商談を行う際に用いられることが多く、売掛は会計上の勘定科目として用いられたり、代金が回収できていない状態を指す際に用いられたりすることが多くあります。

販売側が掛売り、購入側が掛買いとなるように、売掛に対しては買掛という用語が用いられるため併せて覚えておきましょう。

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おもな掛売りの事例

【解説】掛売りとは?知っておくべき意味やメリット・デメリット 2

掛売りを活用する具体的な方法には、主にクレジットカード払いと請求書払いの2種類があります。前者は主にBtoCの取引で、後者は主にBtoBの取引で主に活用されています。

ここでは、主な掛売りの方法であるクレジットカード払い・請求書払いについて、それぞれ事例を交えて解説します。

クレジットカード払い

私たちがECサイトでのオンラインショッピングやWebサービスの利用に用いているクレジットカード払いは、企業が消費者に対して行っている掛売りとなります。私たちは、クレジットカードを用いることで、商品・サービスを掛買いで購入しているということです。

消費者は、手元に現金が無くてもクレジットカードを用いることで商品・サービスを購入することが可能となり、カード会社からの引き落とし期日まで支払いを猶予することができます。また、商取引を簡便化することも可能となります。

件数は少ないですが、企業と消費者の取引だけでなく企業間取引にクレジットカードが用いられる事例も存在します。

クレジットカード払いによる掛売りの例

  1. ECサイトAにて消費者がクレジットカード決済にて商品を購入
  2. ECサイトが決済代行会社へ決済処理を依頼
  3. 決済代行会社がクレジットカード会社へ決済処理を要求
  4. クレジットカード会社が決済処理を確認
  5. 確認を受けた決済代行会社がECサイトへ連絡
  6. ECサイトが消費者へ商品を発送
  7. クレジットカード会社が決済代行会社へ商品代金の支払いを行う
  8. 決済代行会社がECサイトへ代金を支払う
  9. クレジットカード会社が消費者に対して商品代金を請求
  10. 消費者がクレジットカード会社へ商品代金の支払を行う

クレジットカード払いについては、以下の記事でも解説を行っていますので、併せてご参考下さい。

クレジットカード払いの導入に必要な契約とは?

また、BtoB-ECについて詳しく知りたい方は、以下の記事にて解説していますので、ぜひご参考下さい。

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請求書払い

請求書払いとは、販売側が一定期間内で生じた商取引の売掛金を集計して請求書の作成を行い、商取引を行う者同士が取り決めた期日にまとめて請求を行うという掛売りの方法です。購入側は請求書に定められた期日までに代金の支払いを行います。

請求書払いは、企業間取引で一般的に行われている掛売りの方法となっており、販売側・購入側の双方にメリットがあるのが大きな特徴です。支払方法は銀行振り込みが多くを占めますが、口座振替・クレジットカード(法人・個人)等で支払いが行われる場合もあります。

■請求書払いによる掛売りの例

  1. A社(販売側)がB社(購入側)へ商品を販売
  2. A社が締め日・支払期日を設定してB社へ請求書を作成・送付
  3. B社は請求書に記載された代金・期日に従い、A社へ1月分の代金を支払う
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掛売りのメリット

【解説】掛売りとは?知っておくべき意味やメリット・デメリット 3

掛売りが商取引に多く用いられている理由は、売り手・買い手双方にメリットがあるためです。

ここでは、掛売りの主なメリットについて解説します。掛売りや商取引について理解を深めるためにも、ぜひご参考下さい。

取引の効率化

掛売りを導入する代表的なメリットが、商取引を大幅に効率化することができることです。

掛売りを導入せずに取引を行うと、納品を行うたびに請求書の発行から代金の回収といった業務が都度発生するため、取引件数が多いと業務が煩雑化します。一方で掛売りを導入しておけば、あらかじめ取引先と約束しておいた日時にまとめて請求を行うことができるため、商取引・請求業務を大幅に効率化することができます。

多くの取引が行われる企業間取引においては、このような事情から掛売りを行うのが一般的となっています。

手元資金がなくても取引が可能

掛売りでは請求・支払いを後日にまとめることができるため、取引の段階で手元資金が無くても商取引を行えることがメリットです。販売側の企業は取引先企業に手元資金が無くても販売を行うことが可能となり、逆に購入側の企業は手元資金が無くても購入を行うことが可能となります。

このような特性から、商取引を行う双方が機会損失を防ぐことが可能となり、ビジネスチャンスが大幅に拡大します。日本国内では掛売りが長年の商習慣として一般化しているため、掛売りでの資金の流れを前提にビジネスを展開している企業も多くあります。

高額の取引がしやすい

掛売りは上述の通り請求・支払いを後回しにすることができるため、高額の商取引を行いやすいことも大きなメリットです。

掛売りを導入していない場合は手元資金の範囲内でしか販売・購入を行うことができませんが、掛売りを導入していれば支払期日までに融通できる範囲まで取引金額を拡大できるためです。

ビジネスでは高額の商取引を行った方が良いシーンは多々あります。掛売を導入することで、販売側は売り逃しを防ぎ、購入側は買い逃しを防ぐことが可能となるため、ビジネスチャンスを大幅に拡大することができます。

掛売りのデメリット

【解説】掛売りとは?知っておくべき意味やメリット・デメリット 4

掛売りは商取引の効率化・利便化に役立つ支払方法ですが、あくまで売り手・買い手の信頼関係で成り立っている仕組みであるため、いくつかのデメリットが存在します。

ここでは、掛売りのデメリットについて解説します。

貸し倒れのリスク

掛売りの代表的なデメリットが、貸し倒れや支払いの遅延が発生するリスクがあることです。取引先に業績不振や何かしらのトラブル等が起こると、期日通りに売掛金が支払われず、遅延であればまだ対処することが可能ですが、最悪の場合支払いが行われないリスクもあります。

もし売掛金を仕入れや経費の支払いに充てる予定であった場合や、売掛金の入金を見込んで大きな投資を行った場合は、自社の資金計画にも多大なダメージを及ぼすため注意が必要です。

掛売りはあくまで取引先との信頼関係をもとに成立している仕組みであるため、必ず支払いが行われるとは限らない点に留意しておく必要があります。

与信管理が必要

掛売りには上記のようなリスクが伴うため、取引を始めるにあたっては相手の信用度を調査してリスクヘッジを行っておく必要があります。そのための方法が与信管理です。

与信管理とは、取引先の資本金・売上・取引銀行・取引状況・財務状況等を一定の与信基準に従って調査を行い、信用できる相手かどうか、また掛売りを行っても大丈夫な相手かどうかを判断することを言います。

与信管理には時間・労力が必要となるのがデメリットですが、取引相手の信用度が担保されていないまま掛売りを実施するのは非常に危険であるため、必ず実施しておくべき方策です。

また、取引先の状況は常に変化するため、取引開始前だけでなく取引開始後も定期的に与信管理を実施することが重要となります。

請求業務の負荷がかかる

掛売りは納品の都度決済を行う手間を省くことはできますが、毎月の請求書には月内の取引を漏れなく正確に記載する必要があるため、請求業務の負荷がかかる場合があります。

特に、取引の回数が非常に多い場合や取扱品目が多岐に渡る場合には、請求書の正確性を担保するのに大きな時間と労力が必要となります。もし請求漏れや過大請求を行ってしまうと、自社が損失を被ったり取引先との信頼関係にひびが入ったりする恐れがあるため注意が必要です。

掛売りの請求業務はいかに効率性・正確性を高めるかが鍵となるため、自社に合った会計ソフト・会計システム等を導入して業務改善を図るなどの工夫を行うことがポイントとなります。

掛売りのデメリットを解消する方法とは

【解説】掛売りとは?知っておくべき意味やメリット・デメリット 5

掛売りにはデメリットが伴いますが、日本国内の商取引で主流となっている支払手段であるため、デメリットを上手く払拭しながら活用していくことが重要なポイントです。

ここでは、掛売りのデメリットを解消する方法について解説します。

ファクタリングサービスの活用

ファクタリングとは、掛売りで発生した売掛債権をファクタリング会社へ売却することによって、売掛金を早期現金化できるサービスのことです。

ファクタリングを利用することで、販売側は確実に売掛金を回収できると同時に、予定よりも早い期日に現金化することが可能となります。その代わりに、ファクタリング会社に対して取引内容や信用度に応じた手数料を支払う必要があります。

ファクタリングの利用にあたっては審査が必要となりますが、銀行融資のように担保を設定する必要は無いため、資金繰りが悪化している場合や売掛金を確実に現金化したい場合には便利なサービスです。

ファクタリングについては、以下の記事で概要を解説していますので、こちらも併せてご参考下さい。
ファクタリングとは?仕組みやメリット・注意点をわかりやすく解説

請求代行サービスの活用

請求代行サービスとは、煩雑になりがちな請求業務を代行してくれるサービスのことです。請求書の作成・発行・送付から入金の管理まで、掛売りに伴う一連の請求業務をワンストップで代行してもらうことができます。

また、請求代行サービスでは、取引先企業からの入金が無い場合の催促や、回収不能の場合の保証も行ってもらうことができるため、売掛金を確実に回収することが可能です。請求代行サービスが実施する与信審査を通過した相手であれば、貸し倒れリスクを気にせずビジネスを推進することができます。

掛売りに伴うリスクを払拭したい方には、請求代行サービスは非常におすすめのサービスとなります。

ビジネスで活用される各種決済方法について知りたい方は、以下のページに掲載されている各コンテンツもぜひご参考下さい。

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まとめ

掛売りは、商取引の簡便化・効率化や機会損失の回避といったさまざまなメリットがある仕組みです。企業間取引においては一般的となっている支払い方式であるため、ビジネスを成長させるためには、不要なリスクを回避しつつ掛売りを上手く使いこなしていくことが非常に重要です。

近年普及しつつあるBtoB-ECにおいても、掛売りを含めたさまざまな決済手段への対応が急務となっています。弊社では、BtoB-ECのトレンド・技術や導入メリットなど、企業間取引のデジタル化推進に役立つ資料をご提供していますので、ぜひこちらもご参考下さい。

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