近年は、TwitterやFacebookなど歴史があるSNS以外にも、InstagramやPinterestなどさまざまな新しいSNSが海外から輸入され、日本でも普及してきています。
そういったSNSとECを連携することで自然と顧客接点を生み出すことができるため、コマースビジネスにおいてSNSを使うことが当たり前の時代になっています。
そこで今回は、いま10代20代を中心に流行っている動画共有サービスのTikTok(ティックトック)のEC機能についてご紹介します。TikTokの概要からコマースの活用方法、活用例を中心に解説していきますので、今後TikTokを活用してビジネス展開していきたいEC事業様はぜひ参考にしてみてください。
TikTokとは?
TikTok(ティックトック)は、2016年に中国のユニコーン企業ByteDanceによってリリースされた短い動画共有アプリケーションです。ByteDanceはTikTok以外にもカメラアプリのUlikeや動画編集アプリのCapCutなど、日本で多く利用されているアプリをリリースしています。
TikTokでユーザーは15秒から1分までの長さの短い動画を作成し、共有することができます。音楽やダンス、コメディ、クイックハック、美容、料理、ペット、ファッションなど、テーマは多岐にわたります。
アルゴリズムによって動画をカスタマイズし、ユーザーの好みに合わせた動画を提供することで急速に人気を博しました。また、アプリは多言語に対応しているため、地域に関係なく世界中で多様なコンテンツが共有されています。
TikTokのEC機能
TikTokは、ユーザーがショッピングをするためのEC機能を導入していて、この機能は「TikTok Shopping」と呼ばれています。まだ日本では実装されていませんが、既にアジア圏では利用できるようになっています。
TikTok ShoppingはTikTok上でのショッピングを容易にすることを目的としており、クリエイターやブランドが直接アプリ上で商品を販売し、ユーザーが購入できるようになっています。ユーザーは動画内で見た商品をクリックして購入ページにアクセスすることが可能です。
また、TikTokは、ユーザーにとってより良いショッピング体験を提供するために、リアルタイムのライブストリーミング機能も提供しています。クリエイターやブランドがライブストリームで紹介した商品を、視聴者はリアルタイムで購入することができます。
さらに、TikTokは、ユーザーに商品を推奨するための個人化されたアルゴリズムを使用しています。これにより、ユーザーは自分の好みに合わせた商品を見つけることができるようになっています。
TikTok for Businessとは
TikTok for Businessは、TikTokが提供するビジネスやマーケターが広告キャンペーンを実施するためのプラットフォームです。広告の作成から配信、分析までを1つのプラットフォームで提供することで、TikTok上でのマーケティング活動をスムーズにします。
TikTok for Businessでは、さまざまな広告フォーマットを利用すること可能です。
例えば、
- インフィード広告
- トップビュー広告
- ハッシュタグチャレンジ広告
- ブランドエフェクト広告
などがあります。
これらの広告フォーマットは、TikTokの特徴である短い動画を活用したものであり、TikTokのユーザーにアプローチしやすくなっています。
また、TikTok for Businessでは、ターゲットユーザーの選定や、広告キャンペーンの配信方法などをカスタマイズすることができます。さらに、広告キャンペーンの成果を分析するためのツールも提供されています。これにより、自社ECへの流入を最大化して効率よく売り上げを立てることができます。
このようにTikTok for Businessは、ビジネスやマーケターがTikTok上でのプレゼンスを構築し、顧客との接点を増やすための重要なプラットフォームとなっています。
TikTok×EC機能の活用事例
ここではTikTok×EC機能を活用した企業の取り組み事例について紹介していきます。
サントリー
サントリー株式会社はTikTok上で夏場に向けた商品の販促として「#オトクーリング」キャンペーンを実施しました。キャンペーンでは、TikTok上で「#オトクーリング」をつけた動画を投稿することで、抽選で商品が当たるキャンペーンを行いました。
動画の投稿条件は、「自分がオトクな夏のクーリングアイテムを使っている様子をTikTok上で表現すること」。例えば、冷たいドリンクを飲んだり、クールな風を浴びたり、水遊びをする様子を撮影して投稿することがで抽選で300名にオトクな夏のクーリングアイテムが当選するようにしました。
キャンペーンは、TikTok上でのハッシュタグの拡散や、参加者による自己表現が促進されたことによって、多くのユーザーに注目されました。また、TikTok for Businessのプラットフォームを活用した広告配信により、特定のターゲット層に広告を配信し、商品の認知度を高めることもできました。
それにより、広告に興味を持ったユーザーがサントリーのECサイトへ流入し、ブランドやECの認知拡大に繋がりました。
三井住友海上火災保険
三井住友海上火災保険は、TikTok上で「#みんなでワンチャレンジ」というキャンペーンを実施しました。このキャンペーンは、ペット保険の販促を行うことを目的としています。
キャンペーンの内容は、TikTok上で「#みんなでワンチャレンジ」をつけた動画を投稿することで、抽選で商品が当たるキャンペーンを実施しました。
動画の投稿条件は、「自分の愛犬と一緒に楽しめるワンチャレンジをTikTok上で表現すること」。
例えば、
- フリスビーを投げて取りに行く
- お手やおかわりの仕草をする
- ワンちゃんと一緒に踊る
TikTok for Businessのプラットフォームを活用した広告配信により、ペット保険に関心があるターゲット層に広告を配信し、商品の認知度を高め、ECへ誘導するきっかけとなりました。
このように、三井住友海上火災保険はTikTokを活用し、ペット保険のプロモーションを成功させています。TikTokは、若年層を中心とした幅広い層にリーチすることができるため、特定のターゲット層に商品をアピールするための広告手段として有効であると言えます。
Chipotle(チポトレ)
チポトレは、アメリカ合衆国に本社を置く、メキシコ料理のファストフードチェーン店です。1993年にスティーブ・エリスによって設立され、現在では世界各国に店舗を展開しています。
チポトレは、TikTok上でのマーケティング活動に注力し、TikTok for Businessを活用して広告キャンペーンを実施しています。彼らは、ハッシュタグチャレンジを中心にキャンペーンを行い、TikTok上で人気のあるクリエイターとコラボレーションしています。
例えば、ハッシュタグチャレンジ「#ChipotleSponsorMe」では、ユーザーがチポトレのメニューを紹介する動画を投稿し貢献度が高かった優勝者には賞金が与えられました。
TikTokはECマーケティングに生かせる
今回はTikTokのECについて詳しく解説しました。ご紹介した事例からわかるように、TikTokではTikTok for BusinessなどTikTokの基盤を活用することで、ビジネスやマーケターはTikTok上でのプレゼンスを構築し、広告キャンペーンを実施することができます。
また、TikTok上でのコンテンツ制作に精通しているクリエイターとのコラボレーションも、TikTok for Businessの活用によって実現可能です。
今後はFacebookやInstagramといった媒体だけではなく、TikTokなど若手層にリーチしやすい媒体もECにより活用されていくと考えられるでしょう。
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