ECサイトのマーケティング手法として、パーソナライズは欠かせないものになってきています。顧客満足度の向上やリピート率の増加、売上アップなどの効果が期待できるからです。
本記事では、パーソナライズの概要やメリット、事例などをご紹介します。パーソナライズについて知りたい、EC事業の売上を伸ばしたい、人的リソースを割かないでよりきめ細やかなマーケティングをしたい、という方はぜひ参考にご覧ください。
パーソナライズとは?
パーソナライズとは、顧客の購買履歴やアクセス履歴、検索履歴、クリック履歴などのデータを元に、個々の顧客に合わせた最適なサービスを提案することです。McKinsey & Companyの2021年11月の記事によると、78%の消費者が、パーソナライズされたサービスを提供するブランドを選んだり、より多く支払ったりしたことがあるそうです。
ECサイトをパーソナライズすることは、顧客を惹きつけ、顧客体験の向上や売上の増加を目指す企業にとって、重要であることがわかります。
参照:The value of getting personalization right—or wrong—is multiplying
パーソナライズの3つのメリット
メリット1.潜在顧客の獲得に繋がる
Epsilonが2017年に行った調査によると、80%の顧客が、「パーソナライズされた体験を提供する会社から購入する可能性が高い」と回答しています。買いたいものはあるが特定の商品までは決まっていない、という顧客にとって、パーソナライズされているサイトは、購入の大きな動機となり得ます。
メリット2.顧客のロイヤリティが向上する
Funderaの2019年の記事によると、半数以上の顧客が「自分を理解してくれるブランドに対して、よりロイヤリティが高まる」と回答しています。パーソナライズされたサイトは、顧客を分析し興味がありそうな商品や情報を最適なタイミングで提案します。顧客に「そうそう、これが欲しかったんだよ」と思わせ、自分を理解してくれている、と感じさせることができます。結果、ファン化とロイヤリティ向上に繋がるでしょう。
参照:Keep Your Customers Coming Back: 13 Brand Loyalty Statistics You Need to Know
メリット3.売上が向上する
顧客の好みにあった商品や関心がありそうなコンテンツを提示することで、コンバージョンが増加する可能性が高まります。サイトに訪問して自分の興味のある内容が表示されると、サイトの滞在時間が長くなり、その分購入率も上がるでしょう。monetateの記事によると、パーソナライズされた体験を提供することで、平均20%の売上増を実現しています。
参照: The Tipping Point for Personalized Website Experiences
パーソナライズをしているECサイトの事例
ここからは、パーソナライズをしているECサイトの事例を3つご紹介します。
1.Amazon
Amazonでは、顧客によってトップページの表示を変えています。
例えば、未ログイン時とログイン後の画面を比較すると、ログイン前はKindleの宣伝やAmazon Primeの宣伝など、特に顧客の趣味嗜好に関係のない同一の画面を表示させています。一方、ログインした後の画面には「前に見た商品」や「再購入」といった欄が現れ、顧客ごとに合わせた商品が表示されます。顧客に合わせたサイト表示することで、興味を惹きつけ、コンバージョン率の向上を図れる仕組みになっています。
2.ベイクルーズ
株式会社ベイクルーズが運営するアパレルサイト「BAYCREW’S STORE」では、レコメンド機能が充実しています。
顧客が閲覧している商品の類似商品が「このアイテムに似ているアイテム」としてページに表示されます。例えば白いTシャツを探しているユーザーは、いちいち商品一覧から商品を探さなくても簡単に商品を比較しながら選ぶことができます。
また、「このアイテムを見た人はこちらもチェックしています」という欄では、顧客と趣味嗜好の似ているユーザーの行動履歴をもとに、関心度の高そうな商品を表示し、購買意欲を刺激する仕組みになっています。
3.エチュードハウス
アモーレパシフィックジャパン株式会社が運営する、10代~20代の女性に人気の韓国コスメを扱うECサイト「エチュードハウス」では、パーソナルカラー診断から、自分に合うコスメが探せるようになっています。
地毛や眉毛の色、友達から褒められる服やリップの色や雰囲気など、7つの質問に答えると、パーソナルカラーを診断してくれます。また、診断結果とあわせて、おすすめカラーや、似合うアイシャドウやリップなどのコスメを提案してくれます。気になった商品をクリックするとそのまま商品詳細ページへ遷移して購入することができます。
このように個々の診断結果をもとに商品をおすすめすることで、顧客は「自分に合った商品を購入する」という体験ができます。診断を使ったパーソナライゼーションはコスメのほかにも、ファッション系や美容系、食品系といったジャンルでも有効な施策と言えるでしょう。
パーソナライズの実現方法
1.レコメンドツールを導入する
レコメンドツールとは、顧客が興味を持ちそうな商品やサービス、コンテンツを提案するためのシステムです。顧客の属性や行動履歴、類似顧客を分析し、その情報をもとに最適化された提案を行います。
顧客に自分の興味に合った商品やコンテンツを提案することで、ユーザーエクスペリエンスの向上、売上拡大が期待できます。また「このサイトは自分を分かってくれている」と感じさせることでロイヤリティ向上にも繋がるでしょう。
従来、最適なレコメンドロジックを見つけ出すには、経験を積んだマーケティングの担当者が分析と成果の確認を繰り返すという、手間のかかるものでした。しかし、レコメンドツールはそういった作業を自動でやってくれるため、省力化やコスト削減に繋がります。
2.マーケティングオートメーションツールを導入する
MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、マーケティング活動を自動化するためのソフトウェアツールです。主な目的は、販売促進や、メールマーケティング、顧客管理などの業務を効率化することです。MAツールを導入することで、以下のような施策を実施できます。
- カートに商品を入れたままサイトを離脱した顧客にリマインドメールを送信する
- 購入履歴をもとにおすすめ商品を提案するメールを送信する
- お気に入り商品がセールになったときにお知らせメールを送信する
- 顧客ランクに合わせた限定クーポンやセール情報をお知らせする
事業者側の作業負担を大幅に削減しながら、顧客ごとに最適なコミュニケーションを定期的にとることで関係性を強化することができます。
3.診断コンテンツを導入する
診断コンテンツとは、顧客がいくつかの質問に答えることで、診断結果を表示するコンテンツのことです。主な例としては、事例3で紹介したパーソナルカラー診断や髪質診断などがあります。
診断コンテンツは、顧客を「自分にはどんな商品が合うんだろう」と考えさせることで探求欲求を刺激します。また、分析をもとにおすすめした商品は、顧客の納得感を生み、強く印象に残るでしょう。
今すぐECサイトをパーソナライズしよう
パーソナライズとは、顧客の購買履歴やアクセス履歴、検索履歴、クリック履歴などのデータをもとに、個々の顧客に合わせた最適なサービスを提供することです。メリットとして、潜在顧客の獲得、顧客のロイヤリティ向上、売上アップが挙げられます。
ECサイトをパーソナライズし、顧客との関係性強化に努め、売上をどんどん拡大させていきましょう。
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