スポーツ用品といえば、一昔前はスポーツ用品店で購入することが一般的でした。
実際にスポーツ用品店で商品を試着したり、実際に試し利用したりするなかで、商品購入するという人も多いのではないでしょうか。
とはいえ昨今ではECサイトの普及に伴い、スポーツ用品もECサイトで購入する人が増えてきています。
矢野経済研究所のスポーツ用品市場に関する調査では、スポーツ用品分野別国内出荷市場規模推移が2020年1兆4,008億円だったのに対して、2021年は約1兆5,000億円と前年比 約110%と増加しています。
コロナ禍でなかなかスポーツを行える機会が減っているにも関わらず、スポーツ用品の市場規模は拡大傾向にあるのです。(2020年は新型コロナウイルスの影響により、スポーツ用品の市場は縮小したものの、2021年以降は増加に転じています)
また、令和3年度 産業経済研究所委託事業(電子商取引に関する市場調査)によると、物販系分野⑥衣類・服装雑貨等(スポーツウェアなど)のBtoC-EC市場規模は2020年で2兆円2,203億円だったのに対して、2兆円4,279億円と前年比より9.35%増加しています。
引用:https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005-h.pdf
このように年々堅調に拡大しているスポーツEC。そこで今回は、EC構築ベンダの目線からスポーツEC市場について解説をしていきます。
大手スポーツEC事業者の取り組みなども併せてご紹介するので、
- 今後スポーツECにチャレンジしていきたい
- スポーツECでの売り上げを拡大していきたい
とお考えのEC事業者様はぜひ参考にしてみてください。
スポーツECの特徴
ここではスポーツECならではの特徴をご紹介していきます。
店舗での購入に比べてニーズをFITさせづらい
スポーツ用品の場合、一般的な洋服とは違い「フィット感」を求める傾向が多いです。なぜなら、スポーツの特性上、自分に合った用具を利用することでパフォーマンスの向上を期待できるからです。
そのためECではなく、店舗のような直接スポーツ用品を手に取って購入するという人が少なくありません。人によっては欲しい商品がECにあっても、店頭でわざわざ試着してから購入する人もいます。
また、テニスのガッドなど購入の際に店舗で「加工」して購入する商品もあります。そういった商品の場合は、店舗での密なコミュニケーションによる微調整を行うことが可能なので、どうしてもECでは対応しきれない領域になってきます。
そのため、あくまでも欲しいものが決まっていて調整などが要らないもの、フィット感を強く気にしないという人にスポーツECが向いていると考えられます。
細かな微調整やフィット感を気にする一般消費者層にはなかなか浸透しづらいと考えられるでしょう。
ファンビジネス要素
スポーツECにはファンビジネスの要素は欠かせません。なぜなら顧客自身が競技を行っている場合、すべからくスター選手に憧れます。
そのため、
- スター選手に貢献したい
- スター選手の真似をしたい
- スター選手の思想を学びたい
など、選手への強い興味がファンビジネスの土台となります。
具体的には、テニスのスター選手の利用している「ラケット」を自分を利用したいから購入する、といったものです。こういったファンビジネスは、少数の熱狂的なファンによって大きな売上が生まれており、ビジネスが支えられています。
大手スポーツEC企業の取り組み例
次に、大手スポーツEC企業が行っているECの取り組みについてご紹介していきます。アプリなどECに関連するデジタル施策も含め、解説します。
ミズノ
ミズノは、ミズノ公式オンラインというECサイトを運営しています。
Men、Women、Junior/Kids、Sports、Lifestyleといった各属性に合わせて
競技用具やウェアなどを販売をしています。
ミズノのECサイトの特徴は2点あります。
1点目はUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用していることです。
UGCを利用することで、顧客起点で商品をマーケティングすることが可能です。
具体的には、ミズノで商品購入した顧客が自身のInstagramにその商品についての画像をUPすると、他の顧客がその投稿を見たときに画像やコメント、商品が表示されて、ECサイトにスムーズに遷移されるようになっています。
2つ目の特徴は、ミニアプリの導入です。
ミズノでは、店頭などでQRコードを読み取るだけで「LINEミニアプリ」の仮会員のバーコード発行&LINE公式アカウントへの友達登録ができるようになっています。
また、LINEのログイン機能を利用して本会員登録とLINE IDを連携させて、ECと店舗でのお買い物をシームレスに実施できます。
従来、スポーツの店舗とECのCRM一元化は簡単ではありませんでしたが、こういった取り組みにより、店舗だけでなくECの需要も堅実に増えてきているといえるでしょう。
アンダーアーマー
米国のアンダーアーマー社のパートナーシップのもと、株式会社ドームが日本の総代理店を務め、「アンダーアーマー公式ショップ」というECサイトを運営しています。
ドームが運営している公式オンラインショップでは、オンライン試着サービス「バーチャサイズ」を提供しています。
バーチャサイズは、オンライン試着による洋服と身体の比較で、より詳しいフィット感を確認できるサービスです。
他にも、顧客のサイズにあった商品のレコメンドや、商品同士の購入検討比較も可能なので、店舗で購入せずともフィット率が高い商品購入ができるといったメリットがあります。
また、アンダーアーマーの主力商品であるレギンスなどのコンプレッションウェアはについては、独自ロジックを活用して身体によりフィットするように設計されています。
そのため、
より消費者の身体とのFIT率が高い製品を提供することが可能です。
ヒマラヤ
ヒマラヤは2024年8月までの3か年で「ECおよび既存店の販売力強化と新規出店による規模成長」を掲げるスポーツ専門店です。
株式会社ヒマラヤが運営するヒマラヤオンラインストアは、
- ランキング
- スポーツ、レジャー
- アイテム
- ブランド
別に商品が分かれており、豊富な商品ラインナップを取り揃えています。
ヒマラヤオンラインには、ヒマラヤメンバーズというサービスが存在し、会員になることで店舗およびオンラインストアにてお得なサービスが受けられる仕組みになっています。
具体的には、メンバーズ限定のセール招待や、気に入った機能のお気に入り、マイ店舗登録などヒマラヤでお買い物するのであれば、登録しておきたいものになっています。
また、ヒマラヤオンラインの特徴の1つに「店頭受け取り」があります。
店頭受け取りなら、受け取り時に試着をすることができ、気に入らなければそのまま返品も可能です。
きちんと納得した商品を購入いただくという姿勢が評価され、ヒマラヤ社自体も年々事業を成長させています。
スポーツECのまとめ
今回はスポーツECをテーマにEC動向とトレンド、大手企業の取り組みについてご紹介してきました。
コロナウイルスの蔓延に伴い、店舗中心だった購買がデジタルシフトしていっていることがわかります。
こういったデジタルの取り組みは今後も益々進化していくと考えられるでしょう。
その中で今後自社でスポーツECをはじめたい、スポーツEC事業を伸ばしていきたいとご検討されているEC事業者様はぜひ一度SI Web Shoppingにお問い合わせくださいませ。
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