こんにちは。
システムインテグレータの佐藤です。
ここ数年Amazon Web Services(AWS)のようなクラウド環境がすっかり普及したことで、最近では「どこにECシステムを乗せますか?」とお聞きすると「とりあえずAWSで」というお答えが返ってくることが多くなってきました。
AWSじゃなくても、クラウド環境が良いというお客様がかなり増えてきており、自前でサーバを立てるというケースは少なくなってきたように感じます。
今回は自前でサーバを立てる、いわゆる「オンプレミス」について考えていきたいと思います。
オンプレミスとは
最近オンプレミスが減ってきた、というお話をしましたが、そもそもオンプレミスという言葉が使われ始めたのも実は割と最近です。
オンプレミスをアルファベットで書くと、”on premise”となり、そのまま訳すと「敷地内に」という意味です。
つまりオンプレミスとは、自社内にサーバを立てることを意味する言葉です。
自社内にサーバを立てるのが当たり前だった頃は、そもそもオンプレミスという言葉を使う必要がなかったのですが、クラウドコンピューティングが普及して自社内に置かないという選択肢が一般化したタイミングで、クラウドとの対義語のようなイメージでオンプレミスという言葉が使われはじめました。
実際「オンプレミス」という言葉がどのくらい検索されているのかを見てみましょう。
2008年から2012年にかけてグッと検索されることが増えて、2018年末も2012年くらい調べられているみたいです。
最近オンプレミスが減ってきたと言いながら不思議ですね。
同じように「クラウド」がどのくらい検索されているのかも見てみましょう。
こちらも「オンプレミス」と同様2008年ごろから検索されることが増え始め、緩やかに増え続けているように見えます。
検索回数はずっと「クラウド」の方が多いのですが、「クラウド」の話をするから「オンプレミス」という言葉も使われるようになったというのはどうやら本当のようですね。
自社のサーバは自社のサーバだけど、場所は社内ではなくてデータセンターである、いわゆるハウジングもオンプレミスと言っていいでしょう。
オフィスだって賃貸と考えればサーバの置き場所を借りて置いているのも、自社内みたいなものですからね。
ですから、サーバも含めて事業者から借りるホスティングはオンプレミスではない、となります。
オンプレミスのメリット
オンプレミスのメリットは、自由度が高いことです。
クラウド環境やホスティングは自前でサーバを用意する必要がないので、利用のハードルはオンプレミスと比較すると低いのですが、用意されているものから選ぶしかないので、なんでもかんでも自社のやりたいようにというわけにはいきません。
例えばセキュリティの要件がとても高く、適切な運用がなされているか定期的に監査を行いたい、といった場合、クラウドだとそもそもサーバが置かれている場所を公開しておらず、見に行く事自体NGというケースがあります。
そこまで求めるEC事業者様は多くはないかもしれませんが、官公庁などセキュリティの要求が高く秘匿性が高いデータを扱っているケースではそもそも外にデータを置けないという理由でオンプレミスを選択されます。
もちろんEC事業者様にとってもお客様の個人情報は秘匿性の高いものになるのですが、個人情報だからクラウドにおけない、というケースは少なくなってきていると感じます。
クラウドが出たての頃は「まだよくわからないから怖い」と言った反応が多かったですが、今は「みんな使っているし、とりあえずクラウド」みたいに劇的に変わってきています。
サーバやネットワーク機器を指定して使わなくてはならないケースでも、当然クラウドでは全てが自由にはならないので、その場合はオンプレミスの自由さがメリットとなりますが、そこまで求められるケースは正直あんまりない印象です。
自由度の高さが、オンプレミスのメリットではありますが、肌感としてそこまで求められるケースは多くはないのでは、といったところであります。
オンプレミスのデメリット
自由度が高いのがオンプレミスのメリットであるのですが、一方自由な反面自分たちで面倒を見なくてはならないのがオンプレミスのデメリットの一つです。
ハウジングの場合はある程度お任せに出来るものもありますが、本当に自社内に置いている場合は全部自分たちで保守・運用しなくてはなりません。
当然内部コストは発生しますし、サーバやネットワークの保守が出来る専門性の高い社員がいなくてはなりません。
またコストという観点ですが、内部コストだけではなくサーバを購入するコストも発生します。
ホスティングやクラウドはサービスの利用料を支払うことでサーバを利用することが出来ますが、オンプレミスではサーバを買って来て設置、設定しないと当然サーバを利用することが出来ません。
ただし賃貸と持ち家ではないですが、買ってしまえばずっとお金を払う必要がないという風に考えると、オンプレミスの方がコストメリット高そうに思えます。
ここで考えなくてはならないのが、サーバ本体の老朽化です。
延々と使い続けることは出来ないので、数年に1度はサーバを買い換えないとなりません。
また、定常的にかかるものではありませんが、地震や火災でサーバを置いている会社が被災した場合の復旧コストも考えなくてはなりません。
こういった保守の内部コストと買い替えを踏まえた外部コストを勘案すると、多くの企業がクラウド型の方がコストメリット高いという判断をされます。
どうやらしっかりサーバを管理することを考えると、オンプレミスを選択するデメリットはコストと言えそうです。
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結局どっちを選ぶべきか
コストを重視するならばクラウド、コストでなく自由度を選ぶのであればオンプレミス、といった判断になりますが、場合によってはハイブリッドという選択肢もあります。
例えばECサイトでいうと、個人情報を持つデータベースはオンプレミス、Webサーバはクラウドといったイメージです。
その場合、クラウド環境のWebサーバとオンプレミス環境のデータベースサーバとのネットワークをどうするか考えなくてはなりませんが、クラウド環境では満たせない自社のセキュリティ要件を満たしつつ、クラウド環境のコストメリットを享受するといったことも可能です。
サーバに入れるデータベースやソフトウェアのライセンス形態によっては、クラウド環境のサーバにインストールすると割高になってしまうケースもあり、そういった場合もハイブリッド型が検討に乗ってくるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
サーバ全てをオンプレミスというケースはだんだん少なくなって来ましたが、メリット・デメリットを理解した上でどのような構成が自社にとって最適なのかを検討する必要があります。
SI Web Shoppingはオンプレミス環境でもクラウド環境でもご利用頂けます、と最後にちょっとだけ宣伝させてもらい、まとめとしたいと思います。
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