ECサイトの商品画像は、商品の特徴やイメージを視覚的に伝える重要な役割を持ちます。魅力的な商品画像を撮影したいけれども、なかなか上手くできないという課題をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
当記事では、商品画像の重要性から、魅力的な商品画像を撮影するコツ、ECサイト掲載時のポイントまでをご紹介します。
ECサイトの商品画像撮影テクニックを磨きたい方や、自社ECサイトの商品画像の見直しを行いたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
商品画像は売上を左右する
多くのECサイト運営事業者が商品画像の充実に力を入れている理由は、商品画像の品質が売上に大きな影響を及ぼすためです。
ECサイトは実店舗と異なり商品画像とテキストのみで情報を伝える必要があるため、いわば商品画像は実店舗のディスプレイそのものです。また、画像はテキストの7倍の情報量があり、人の記憶にも残りやすいと言われています。商品の魅力を伝え、認知を高めるためには画像の利用が有効でしょう。
ただし、商品画像に魅力が無ければ例え良い商品を扱っていたとしてもその魅力がユーザーには伝わらず購入にはなかなか結び付きません。反対に、商品画像が充実しているとユーザーにも商品の魅力を伝えることが可能となり、購入に結び付きやすくなります。
また、ユーザーはテキストよりも視覚的に情報を得られる商品画像から優先的にチェックを行う傾向があるため、商品画像に魅力が無ければテキストも読まれないという事情も、購入率を左右する要因となっています。
商品画像はサムネイル表示だけでなく商品ページに掲載されるものであるため、実際には商品ページのクオリティが購入率にダイレクトに影響を及ぼします。
ECサイトの商品ページ作成のポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご参考下さい。
商品画像の重要性についてより理解を深めるために、次章以降ではユーザー視点・店舗視点での商品画像の重要性についてそれぞれ解説していきます。
商品画像の重要性【ユーザー視点】
ECサイトで魅力的な商品画像を制作するには、ユーザー視点での商品画像の重要性を知っておく必要があります。ユーザーの視点を持つことで、ユーザーが商品画像に何を求めているのか理解できるため、商品画像の質や魅力も向上します。
多くの情報が得られる
商品画像は、テキストと比べて圧倒的に多くの情報を瞬時に伝えることができます。商品のディティールや利用シーンなど、テキストでの説明が難しい情報も分かりやすく伝えることが可能です。
ユーザーは興味を持った商品についてはできるだけ詳しい情報を得たいと考えるため、視覚的に多くの情報を伝えらえることは、商品画像が持つ大きなメリットと言えます。
もちろんテキストでの説明を行わなければ伝わらない情報もありますが、ユーザーが情報を得る手段としては圧倒的に商品画像の方が優先されます。
比較しやすい
ECサイトを訪れる多くのユーザーは、複数の商品を比較して購入する商品を絞り込みたいと考えるのが一般的です。商品画像は上述の通り瞬時に多くの情報を得ることができるため、短時間で多数の商品の比較検討を行えることが大きなメリットです。文字による比較よりも負担が少なくて済みます。
ユーザーにネットショッピングの利便性・効率性を提供するためにも、商品画像は必須であると言えるでしょう。
色違いなどのバリエーションがわかりやすい
ECサイトでは、同一商品のサイズ違い・色違い・バージョン違いを同時に販売するケースが多くあります。ユーザーがテキスト情報で商品バリエーションの違いを把握することは困難であり負担もかかりますが、商品画像であれば分かりやすくスムーズに違いを把握することが可能です。
昨今のユーザーは、ECサイトにおいて商品画像から商品バリエーションが把握できることは当然であると考えています。もしバリエーション画像が掲載されていなければ、ユーザーは比較検討を諦めて離脱してしまうでしょう。
利用シーンを想像しやすい
画像を活用すれば、テキストでの説明が難しい商品の利用シーンも視覚情報として容易にユーザーに伝えることができます。ユーザーは実際に自身が商品を利用している状態をイメージして購入の決め手とすることが多いため、利用シーンを視覚的に伝えられることは大きなメリットでしょう。
ECサイトでは、利用シーンの画像を掲載することが一般的となっています。販売促進や競合との差別化に繋げるためにも、ユーザーに具体的な利用シーンをイメージさせる画像を掲載することは非常に重要となります。
商品画像の重要性【店舗視点】
ECサイトを運営する店舗側にとって、商品画像が販促ツールとしてどのような役割・重要性を持つのか知っておくことは必須です。
ここでは、店舗視点での商品画像の重要性について解説します。
文字では説明できないことを伝えられる
商品画像がテキストよりも多くの情報を瞬時に伝えられることは、販売側であるECサイトにとっても大きなメリットとなります。利用イメージや使用方法、ディティールなどテキストでの説明が難しく文章量が多くなる項目も、商品画像であれば容易に伝えることができるためです。
余分なテキストを記載する手間が省けるため、その分セールスコピーや商品の特徴・魅力の記載に注力することも可能です。
商品画像とテキストの特性を活かし、両者を上手く組み合わせることで、より伝わりやすく訴求力の高い商品ページを作成することができるでしょう。
良い商品画像は売上を向上させる
商品画像が持つ販促効果は非常に高く、質の良い商品画像を充実させれば売上向上に繋がることも大きなメリットです。特に近年では商品画像の重要性が認知されつつあり、売れているECサイトでは10枚以上の商品画像を掲載することが当たり前となってきています。
商品画像のブラッシュアップやバリエーションの充実により売上が大幅に向上した事例も数多く確認されているため、ECサイトを運営する店舗側としては注力すべきポイントです。
商品画像を撮影する際の事前準備
魅力的な商品画像を撮影するには、事前準備が重要となります。
ここでは、商品画像を撮影する際に必ず行っておくべき事前準備について解説します。
各モールのガイドラインを必ず守る
多くのECモールでは商品画像に関してガイドラインが設けられているため、ECモールに出店している場合はガイドラインを遵守したうえで商品画像を掲載する必要があります。
ガイドラインには、例えば次のような項目が指定されています。
- 画像サイズ
- ファイルサイズ
- 利用可能な拡張子
- 背景色は白
- 枠線・囲み線の使用はNG
もし違反すると検索対象外・出品停止といったペナルティを課されるリスクがあるため、ECモールに出店している場合は最初にガイドラインの確認を行い、ルールの範囲内で商品画像を作成していきましょう。
また、ガイドラインには普遍的な画像活用ルールが記載されていることが多いため、自社ECを運営する場合においても参照しておくことをおすすめします。
必要な写真を検討する
ECサイトの写真撮影を行う際には、事前に必要な写真を検討しておくことで、実際の撮影をスムーズに行うことが可能となります。また、写真の不足や手戻りを防ぐことができます。
事前に次のような項目について決定しておきましょう。
- 写真の目的・用途(商品プロモーション・キャンペーン等)
- 必要な写真のイメージ(イメージ写真・本体写真・ディティール写真等)
- 必要となるカット数
- 必要となる備品(背景・小物・モデル・関連商品等)
撮影手法を決定する
ECサイトの商品画像の撮影をスムーズに行うためには、上記で決定した必要な写真に対して、どのような撮影手法を用いるのかも検討しておくことが重要です。例えば、次の2種類の撮影手法は必ず必要となります。
商品イメージ写真の撮影
実際に商品を利用しているイメージを撮影する手法のことです。アパレルであればモデル着用写真・コーディーネート写真、フード・ドリンクであれば食卓に並んだ写真などです。
イメージ写真の撮影には、撮影機材に加えて小物・背景等の小道具を準備しておく必要があります。
商品ディティール写真の撮影
商品ディティール写真とは、商品の細かい部分をアップにして撮影する手法です。例えばアパレルであれば、デザイン上のポイント・襟・ボタンなどのディティール写真が多く用いられています。
商品の特性・特徴によって、どのようなディティール写真が必要となるかを検討しておきましょう。
魅力的な商品画像を撮るためのポイント
ここでは、ECサイトの商品画像を撮影するために知っておきたいポイントを解説します。
撮影時に意識しておくことで、商品画像のクオリティや魅力を高めることができるため、ぜひご参考下さい。
光をうまく使う
商品画像を撮影する際に非常に重要となるのが、光の使い方です。光の強さ・色・方向などによって商品のイメージが大きく左右されるため、光の使い方は特に意識しておく必要があります。
光の使い方は突き詰めると非常に奥が深い技術となりますが、ECサイトの商品画像は商品本来の情報を正しく伝えることが目的であるため、室内の照明を消して自然光メインで調整を行うだけでも十分なクオリティの写真を撮影することができます。
撮影に慣れてきたら、照明やレフ版を活用してより細かい光のコントロールを行ってみるのもおすすめです。
基本の背景は白
ECサイトに用いる商品画像の背景色は、基本は白を選択しましょう。実際にECサイトでは白背景の商品画像が最も多く用いられており、白背景を義務付けているECモールも存在します。
白背景が多く用いられているのは、次にご紹介するような理由があるためです。
- 余計な情報が削ぎ落されるため、商品の見栄えが良く情報が伝わりやすい
- 背景色が商品本体の色味に干渉しないため、商品本来の色味を伝えやすい
- 上記の特性から売上に繋がりやすい
他にも、画像を流用する際に編集の手間が省けることや、都度画像の背景色を考えなくても良いといったメリットもあります。
白背景は視覚的に情報を伝えやすく売上に繋がりやすいことが証明されているため、特別な理由が無い限り商品画像は白背景で撮影するようにしましょう。
利用シーンを想起させる写真は背景や小物を活用
ECサイトの商品画像は、商品情報を伝えるだけでなくユーザーに「欲しい」「活用してみたい」と思ってもらう必要があります。そのためにも、利用シーンを想起させる写真は、背景や小物を駆使するなど、さまざまな工夫を盛り込んで撮影することが重要です。
- 【アパレル】他アイテムと組み合わせてコーディネートイメージを連想させる
- 【フード・ドリンク】皿・カップ・クロス等を用いて食卓を連想させる
- 【アクセサリー】背景に布やクロスを用いて高級感を引き立たせる
- 【雑貨】背景・小物を活用して実際に飾った状態を見せる
このように一手間加えると、よりリアルに利用シーンを想起させる画像を撮影することができます。ただし、あくまで主役は該当商品であるため、商品と合わない小物・背景を用いたり、過剰な演出でどれが商品かわからなくなったりしないよう注意しましょう。
構図やアングルに気を付ける
商品画像は、構図・アングルを変えると違った表情や雰囲気を演出することができるため、撮影の際にはより商品が魅力的に見える構図・アングルを模索することが重要です。
商品画像の撮影で多く用いられる構図・アングルには、次のようなものがあります。
構図
日の丸構図
画像の中心に商品を配置する構図。商品が目立ちやすく撮影しやすい。
三分割構図
3×3マスに構図を分割して、線が交わるいずれかのポイントに商品を配置する構図。バランス・安定感に優れている。
対角線構図
対角線上に複数の商品を配置する構図。奥行きや躍動感を演出することができる。
アングル
ハイアングル
上から見下ろすように撮影するアングル。商品の全体像を伝えやすい。
水平アングル
人と同じ目線で水平に撮影するアングル。安定感があり商品のサイズ感を伝えやすいのが特徴。
ローアングル
低い位置から見上げるように撮影するアングル。立体感・高さ・迫力を伝えることができる。
上記の構図・アングルに加え、カメラのポジションや距離を変えることで、同じ商品でもさまざまなバリエーションの写真を撮影することができます。
サイズ感や素材感が伝わる写真にする
ECサイトに掲載する商品画像は、特徴や魅力だけでなくサイズ・質感・色味など商品情報を適切に伝える画像を提供することも重要となります。ECサイトでは直接商品を手に取ることができないため、視覚情報によりこれらを伝える必要があるためです。
ユーザーが購入判断を行う際には、商品の特徴や魅力だけでなく、サイズ・質感・色味といった多角的な情報から判断を行います。例えば洋服であればサイズや丈感はどれくらいかといった点を考慮しますが、実際に着用している写真があると分かりやすくなります。
ECサイトに掲載する商品画像は、イメージを伝える画像と適切な情報を伝える画像を使い分け、視覚的にサイズ・質感・色味等が伝わる画像を必ず用意するようにしましょう。
商品画像をECサイトに掲載する際のポイント
ECサイトの商品画像は、作成時だけでなく掲載時にも留意しておきたいポイントがあります。次にご紹介するようなポイントを押さえておくことで、商品画像のパフォーマンス向上に繋がるため、ぜひご参考下さい。
バリエーションを豊富にする
ECサイトは画像を豊富にした方が売上に繋がることが実証されており、少なくとも5枚以上、多いサイトでは10枚以上の画像を掲載することが当たり前となっています。画像掲載枚数が少ないとそれだけで不利になってしまうため、ECサイトの商品画像は豊富に掲載することが基本となります。
ただし、ただいたずらに掲載枚数を稼ぐのは得策ではありません。あくまで商品画像をたくさん掲載するのはユーザーにより多くの情報を提供することが目的であるため、バリエーション豊かに掲載することが重要です。
例えば、商品画像にバリエーションを持たせるには、次のようなパターンがあります。
- 商品自体の画像(パッケージ・中身・ズームアップ・別角度など)
- 利用イメージの画像(イメージを連想させる画像)
- 共感を得る画像(商品生産工程・背景など)
商品画像のバリエーションを増やすと、商品ページの表情も豊かで魅力的になるため、必ず実施するようにしましょう。
A/Bテストを実施する
さまざまな工夫を凝らして商品画像を撮影・掲載しても、実際のユーザーの反響が予想と異なるケースも多くあります。そこで重要となるのが、複数のパターンを用意して効果測定を行い、良い方を選択するというA/Bテストの実施です。
商品画像に対してA/Bテストを実施することで、売上に貢献する商品画像を残すことが可能となり、また自社のユーザーに好まれる画像の傾向・パターンなども把握することができます。
A/Bテストの実施には手間と時間を要しますが、ユーザーの反響をもとに商品画像のパフォーマンス向上につながるナレッジが得られるため、ぜひ実施しましょう。
まとめ
商品を直接手に取ることができないECサイトでは、商品画像が実店舗のディスプレイと同様の役割を持ちます。上質な商品画像をたくさん掲載することで、ユーザーに商品の特徴やイメージを的確に伝えることが可能となり、購入へと結びつけることができます。
店舗視点だけでなくユーザー視点にも留意して、自社ECサイトの商品画像を充実させていきましょう。
ユーザーが求める情報を提供するECサイト運営を行うためには、商品画像以外にもさまざまなポイントを押さえることが重要となります。以下にご紹介する弊社の資料で詳しく解説しているため、ぜひご活用下さい。
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