Web3.0(Web3)とは?注目されている理由や取り組みの具体例

 2023.06.09  株式会社システムインテグレータ

ICT技術が著しい進化を遂げる中、目前に迫っているとされているのが新しいインターネット時代「Web3.0」の到来です。Web3.0が実現することで、社会やビジネスには大きな変化が出ると予想されます。

そこで本記事では、Web3.0の概要や特徴をはじめ、注目の理由やメリット、今後の課題などを解説します。

Web3.0(Web3)とは?

Web3.0(またはWeb3)とは、ブロックチェーン技術を活用した次世代(第三世代)のインターネットを意味します。ブロックチェーンとは、分散型のデータベースで、取引履歴などの情報をブロックと呼ばれる単位でつないで、改ざんなどの不正操作を非常に困難にする技術です。これにより個人情報の強力な保護や、信頼性の高いトランザクションの実現などが可能になります。

Web3.0の特徴を理解するには、それに先立つWeb1.0およびWeb2.0についても触れておかなければなりません。Web1.0は、1990年代後半から2000年代初頭にかけての初期のインターネットのことです。この時期のインターネットは大部分が静的なコンテンツで占められ、情報発信は一部のユーザーが一方的に発信するものでした。

他方で、2000年代半ばから現代にかけてのWeb2.0は、動的なWebページやSNS、クラウドコンピューティング、モバイルアプリなどの技術が登場し、ユーザー参加型のWebサービスが普及した時代です。また、ユーザーのデータは一部の巨大プラットフォーム企業へ中央集権的に蓄積され、個人情報の適切な管理や利用の仕方が社会的課題となりました。

これに対し、次世代のWeb3.0では、ブロックチェーン技術によって、ユーザーが自分で自分のデータを管理することが可能になると期待されています。現在では、世界中でブロックチェーン技術を用いた暗号資産などのトークンを活用するスタートアップなどが登場しており、Web3.0が近い将来に到来する兆しを見せています。

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Web3が注目されている理由

Web3.0が注目されているのは、複合的な理由によるものです。

まず、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)による中央集権的な情報管理への反発があります。現在のインターネットは、この5社が巨大なプラットフォームを構築し、大量の個人データを収集・管理している状況です。しかし、こうした状況はユーザー目線では、自分の個人情報がどこでどのように使われているのか、不透明感が感じられています。そのため、自分の情報は自分で管理したいというニーズが高まっています。その点、Web3.0では、分散型のブロックチェーン技術を活用することで、個人データを中央集権的にプラットフォーム企業に集約する必要がなくなり、ユーザー自身でセキュアな個人情報管理ができると期待されています。

また、Web3.0の実現に不可欠なNFTが普及したことも、Web3.0への注目理由のひとつです。NFTとは、Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略で、簡単にいうと、ブロックチェーン技術によって、そのデータがオリジナルのデータである保証をつけられる技術を指します。NFTを活用すれば、そのデータを誰が作ったものなのか保証・確認できるので、オリジナルデータとコピーデータを区別することが可能です。例えば、デジタルアート作品やデジタルチケットなどをNFT化することで、そのデータの真正性の確保を行い、デジタル資産としての価値を高められます。

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Web3のメリット

セキュリティの向上

Web3.0で期待されるメリットは、セキュリティの向上です。現在の体制だと、ハッカーは影響力のあるプラットフォーム企業をサイバー攻撃するだけで、非常に大勢のユーザーの個人情報を盗み取れます。また、そのプラットフォーム企業が、どこでどのように預けられた顧客情報を使っているのか、ユーザーからは見えにくいのも不安な点です。

Web3.0では分散型ネットワークによって、個人情報をプラットフォーム企業に預ける必要がなくなります。そのため、プラットフォームを狙ったサイバー攻撃の被害に巻き込まれる心配はなくなり、自分の知らないところで個人情報が使われているような事態も避けやすくなります。Web3.0においてデータの保存方法として期待されるブロックチェーン技術は、分散型ネットワークによってデータの改ざんや破壊などの攻撃が、事実上不可能であるとされるほど強固なセキュリティをしているので、それも安心できるところです。

サービスの安定

より安定したサービスの実現もWeb3.0で期待されるメリットです。まず、ブロックチェーンは、中央管理者が必要ない分散型のシステムです。このため、一部のノード(端末)が故障しても、他のノードが処理を代替することで、サービスの停止を防ぐことができます。

さらに、ブロックチェーンは、プログラムによって自動化されているため、プログラムが正しく設計されていれば、常に同じように動作します。例えば、ブロックチェーン上で実行されるスマートコントラクトは、事前にプログラムされた条件が満たされると自動的に処理が実行される仕組みです。つまり、Web3.0では人の手を介さずともシステムは自動で動作するため、プログラミングに変更などがなければメンテナンスの必要がありません。これによってメンテナンスによるサービスの一時停止なども最小限に抑え、メンテナンスコストなども削減できます。

Web3の取り組みの具体例

次世代ブラウザ

Web3.0に向けた次世代型のブラウザとして注目を集めているのが「Brave」です。このブラウザは、ユーザーのプライバシーを保護するために、トラッキングや広告のブロック機能を搭載しています。また、Braveは、仮想通貨と連携しており、ユーザーがWeb広告をブロックしない場合、広告料の一部を受け取ることが可能です。ブラウザの動作も従来のものより高速なので、ユーザーはより自由に自分の個人情報を扱いながら快適なWeb体験ができます。

ブロックチェーンゲーム

NFTを活用した魅力的なブロックチェーンゲームも増えつつある状況です。あるゲームでは、ダンジョンの探索によって手に入れたアイテムをNFTとして取得し、他のプレイヤーとの仮想通貨取引に使えます。つまり、ゲームが単なる娯楽としてだけでなく、経済活動としても機能するということです。ブロックチェーンゲームは、自分のアバターを使って自由にメタバース空間を探索し、他のユーザーと交流できるコミュニケーションツールとしての側面も持っています。

分散型取引所

分散型取引所(DEX)もWeb3.0で利用が広がると予想されているサービスのひとつです。分散型取引とは、ブロックチェーン技術を活用して銀行や仮想通貨の取引仲介業者などの中央集権的な管理者を排除し、ユーザー同士が直接取引を行う仕組みです。分散型取引所は、取引履歴や取引条件などがブロックチェーン上に記録され、取引に必要な手続きなどは自動化されています。中央集権的な取引所とは異なり、ユーザー同士が直接取引を行うため、手数料が低く、プライバシーを保護できるといったメリットがあります。

Web3.0のデメリット・今後の課題

Web3.0には大きな期待がかかっている一方で、その実現や普及にはいくつかの課題があります。

まず、技術的な課題として、ブロックチェーンはその仕組み上、利用者が増えるほどネットワークの負担が大きくなるというデメリットがあります。いくらセキュアなシステムでも、処理パフォーマンスが低ければユーザーは満足できません。

また、Web3.0では仮想通貨やNFTを利用した取引が広く用いられると想定されますが、これらの技術や取引方法はまだ歴史が浅いため、法制度や税制に未整備な部分がまだ多く、現状ではトラブルが発生したときに十分な法的サポートを得られない可能性があります。ユーザーはその点を留意したうえで、慎重に取引をしなければいけません。個人情報を自分で管理しなくてはいけないことも含め、Web3.0ではユーザー側に深い知識やリテラシーが必要となります。

さらに、NFTバブル崩壊のリスクも警戒すべき点です。一時期は非常に大きな成長をしていたNFT市場ですが、近年ではその勢いに陰りが見え始めています。NFTを軸にしたビジネスモデルが社会へ本当に浸透するかどうかはまだ未知数の部分が多いのが実情です。

まとめ

ブロックチェーン技術やNFTなどを軸としたWeb3.0が到来することで、インターネット体験は大きく変わり、ビジネスにもさまざまな影響が生じてくると予想されます。

こうした事態に備え、ECをはじめとする各種事業者は、将来的なビジョンを持っておくことが重要です。以下の資料では、これからの時代のECビジネスの成長に必要な条件がまとめられています。ぜひ参考にしてください。

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