皆さんはアイデアソンに参加したことはありますか?
弊社では先日、新入社員研修の一環として4月に入社した新卒社員20名を対象にアイデアソンを実施しました。運営側としても初めての試みで、期待と不安が入り混じるなか当日を迎えましたが、やってみると3時間で26個のアイデアが生まれました。
この記事では、アイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」を使って実施したアイデアソンの運営方法や当日の様子をご紹介します。
アイデアソンとは
皆さんは「アイデアソン」という言葉をご存じでしょうか。
アイデアソン(ideathon)とは「アイデア(idea)」と「マラソン(marathon)」を組み合わせた造語で、アイデアの創出を目的としたイベントです。短期間で個人やチームがアイデアを出し、そのなかから優秀なものが選ばれます。
もともと「ハッカソン*」の前段として行われるのが主流でしたが、最近はアイデアソン単独での開催も増えており、さまざまな企業や自治体などが主催して各地で実施されるようになりました。
*ハッカソン:ソフトウェア関係者がチームを組み、短期間で集中的にアプリやサービスなどを開発するイベント。アイデアソンと組み合わせて行われることが多い。
新入社員研修でアイデアソンを実施してみた
実施の背景
今回のアイデアソンは、製品企画室による新入社員研修の一環として行いました。
製品企画室の研修では例年、事業部の業務紹介などをしていますが、今回の研修内容を考えていくなかで「製品企画室らしい研修とは?」「新人の頃からアイデア出す習慣を身につけていた方がいいよね」と考え、アイデアソンを実施することにしました。
ゴールは「1人1つ以上のアイデアを出すこと」。アイデアの粒度や実現可能性などにはこだわらず、アイデア出しの過程や、出たアイデアをみんなで育てていくことの楽しさを実感することをサブゴールとしました。
当日の流れ
今回のアイデアソンは以下のスケジュールで進めました。ここからは具体的な運営の進め方を、当日の様子とあわせてご紹介します。
スケジュール表
個人ワーク
今回のテーマは「弊社(システムインテグレータ)で作ってみたい新製品」でした。
アイデアを出しやすい状態をつくるためには何よりも「アイデア出しの敷居を低くする」こと、そして、個人の頭の中で留めておくのではなく「思いつきも可視化してみんなで共有する」ことが大切です。そこで、この2点を実現できるツールとしてアイデアガーデンを使用しました。
ヒント登録
まずはヒントに「コロナ禍での学生生活」や「日常での困りごと・嫌なこと」を登録してもらい、ヒントをもとにアイデアを考えてみました。
IDEA GARDENでは段階的にアイデアを成長させる仕組みがあるので、最初から完璧なアイデアを出す必要はありません。良いアイデアを出す!というと、慣れていない人には特に心理的ハードルが高くなります。IDEA GARDENには「思いつきレベル」のアイデアも登録できるので、気軽に始められます。意識してもらったのは、「誰の」「どんな課題を」「解決する」アイデアなのか、です。
また、個人ワークと言っていますが1人で考えるよりもみんなでワイワイ話し合いながら考えた方が脳みそがよく働きますし、何より楽しいです。そのため、議論が活性化するように運営メンバーも声掛けしてちょっとしたヒントを与えながら進めました。
始めてみると続々とアイデアが登録されていき、複数のアイデアを登録するメンバーもいました。個人ワーク中には「みんなのアイデアが見れるのいいね」「困りごとからだと発想しやすい」という声が聞こえてきました。
一方で、なかなかアイデアが出ず苦労しているメンバーもいましたが、運営メンバーからの、「もともと登録してあるヒントや周りの人が登録したヒントも参考に考えてみて」「コロナ禍の学生生活で大変なことって何だった?」といったアドバイスが思いつくヒントになったようです。
発表・投票
個人ワークの成果は、1人1分の持ち時間で全体に向けて発表してもらいました。この時点のアイデアはまだ「種」の段階なので、発表内容は概要のみです。
発表後はそれぞれのアイデアにポジティブなコメントと、良いなと思うアイデアに「いいね」をつけてもらいました。コメントも相互尊重を意識してもらい、「今すぐほしい!」「発想が斬新」「こういう視点を入れるともっといいんじゃない?」など、前向きな内容で溢れました。
発表が盛り上がり時間が押してしまったことと、1人1票などの制限を設けなかったので「いいね」がつけ放題にだったことは、次回への課題ですね笑。
今回は「いいね」の数で順位を決定し、以下の4つのアイデアが上位に入りました。
グループワーク
順位が決まった後は「いいね」数上位4つのアイデアをみんなで発展させるグループワークを行いました。新入社員がちょうど20名だったのでそれぞれのグループ5名ずつとして、それぞれのアイデアの発案者がリーダーとなり、グループ一丸となってアイデアをブラッシュアップさせていきました。
個人ワークで考えたことは、「誰の」「どんな課題を」「解決する」アイデアなのか、でした。グループワークでは、リーンキャンバスの項目に従い「競合」「収益の流れ」「独自の価値観」をみんなで考えてもらいました。
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グループワーク時に運営メンバーからアドバイスしたのは「お金を払っても解決したい課題なのか」です。そうでないならば、「顧客は付加価値があればお金を払うのか」「その付加価値が自社独自の価値観になる可能性はあるか」「どんな収益方法ならビジネスとして成り立ちそうか」といったふうに壁打ち役として各グループを回りました。
また、このアイデアを成長させる段階では個人ワークの成果発表後にもらったコメントも参考になります。「今すぐほしい」「これ、私も思ってた」「こういう視点を入れるともっといいんじゃない?」など、みんなのコメントにはアイデアを発展させるためのヒントがちりばめられています。
IDEA GARDEN上ではグループワーク用に、リーンキャンバスに従った項目に応じてアイデアを「種」から「芽」「蕾」「花」まで昇華させる流れを作りました。「競合」「収益の流れ」「独自の価値観」まで考えたグループは「花」に向かってアイデアを成長させ、「販路」「優位性」「コスト構造」「ビジネスの評価指標」といった項目を時間の許す限り考えて埋めていきました。
発表・フィードバック
最後に各グループの成果を、IDEA GARDENに入力した内容をもとに発表してもらいました。
最初のグループの発表が終わったタイミングで会長が参加し、その後に順番が回ってきた発表者は少し緊張していましたが、無事に全グループの発表が終了しました。
それぞれのアイデアに対して、会長や製品企画室の室長からフィードバックがありました。マネタイズの方法やアイデアへの付加価値追加など経営視点の意見をもらえ、とても勉強になったようです。
短時間で全員が何かしらのアイデアを出し、企画の形に成長させられたのは新社会人としてはなかなか得がたい経験です。この経験をこれからの社会人生活に活かしてもらいたいですね。
まとめ
今回、3時間にわたるアイデアワークショップは新入社員研修の一環として初めての試みでしたが、結果として参加者20人全員が1つ以上のアイデアを出し、合計26個のアイデアの種が集まりました。当初のゴールは達成です!
アイデアソンの計画段階では、全然アイデアが出なかったらどうしよう、出なかった時のために保険のアイデアを考えておこう、などと動いていましたが取り越し苦労でした。我々では絶対に思いつかないようなアイデアがたくさんあり、改めて20代の発想力には驚かされました。
また、入社して間もないタイミングでしたので、新入社員同士のコミュニケーションの場としても役に立ったかなと思います。
最後に、参加者の声を抜粋して紹介します。
- 独創的な発想が得意ではなくアイデアソンには苦手意識がありましたが、ヒントからアイデアに育てるという考え方と助言をいただいたおかげで、すんなりとアイデアが出せたかなと思います。
- みんなで活発な意見交換ができてワクワクしました。
- ヒントをもとにアイデアを構築する習慣をつけたいと思った。物事を考えるときの良いチャートだと感じた。
- IDEA GARDENでみんなのヒントや意見を見られたことがいい刺激になった。同期のことを知ることができて嬉しかった。
「アイデアソン」といっても難しく考えて構える必要はありません。やってみると意外とアイデアは出るものです。気軽にできるので、新人研修を担当される方にもおすすめです。ぜひお試しください。
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