ビジネススキームとは?スキーム構築のコツや注意点をご紹介

 2023.06.09  株式会社システムインテグレータ

ビジネススキームを構築しておけば、経営戦略の見直しに利用できるほか、資金調達にも活用できます。ただ、そのためには正しいポイントを踏まえたビジネススキームの構築が必要です。本記事では、ビジネススキームの概要や構築のコツ、注意点などについて解説します。

ビジネススキームとは?

スキームは、ビジネス用語のひとつであり、計画や構想などの意味をもつ英単語、Schemeに由来しています。ビジネス用語として使用されるスキームには、枠組みの意味も含まれるため、ビジネススキームは「ビジネスの全体的な枠組み」と解釈できます。

もっと分かりやすく説明すると、ビジネススキームとは「ビジネスに関わるリソースの流れ」です。ビジネスに関わるリソースには、人材や資金、商品、情報などが挙げられます。これらのリソースが、商品開発やマーケティング、営業活動、販売戦略などでどのように流れているのかを整理したものがビジネススキームです。

ビジネススキームを分かりやすく表現するため、スキーム図を用いるケースも珍しくありません。スキーム図は、事業で資金や人、情報がどのように流れているのかを図式化したものです。テキストだけで説明するのに比べ、直感的にリソースの流れを把握できるのが魅力です。

ビジネススキームとビジネスモデルの違い

ビジネススキームと混同されやすいビジネスモデルですが、意味が異なります。前者はビジネス全般における全体の枠組みや流れを示すのに対し、後者は事業で利益を得るための仕組みを指します。よく知られるビジネスモデルは、サブスクリプションモデルや販売モデル、広告モデルなどです。

ビジネススキームの作成によって、事業の全体像やリソースの流れは把握できますが、どのように利益を得るのかの仕組みを捉えることはできません。そのため、一般的にはビジネススキームで事業全般について検討してから、収益を生み出すための具体的な仕組み、ビジネスモデルを考案するフェーズへとシフトします。

なお、ビジネスモデルについてもう少し詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。ぜひご覧ください。

ビジネスモデルとは?作り方や仕組みについてわかりやすく解説

ビジネススキームを構築するメリット

ビジネススキームは、必ず構築しなければならないものではありません。ただ、ビジネススキームを構築すれば、経営戦略の見直しにつながるほか、資金調達に活用できるメリットもあります。

経営戦略の見直しにつながる

企業のビジネスは、事前に打ち出した経営戦略に沿って取り組むものです。ただ、経営戦略は必ずしも完全なものではなく、改善が必要になるケースも珍しくありません。問題のある経営戦略のままビジネスを展開し続けると、資金の枯渇、顧客の信頼やブランディングの低下など、さまざまな弊害を招くおそれがあります。

ビジネススキームを事前に作成しておけば、経営戦略の見直しが容易です。ビジネスの全体像を可視化、図式化しておくことで、客観的な視点で問題点の抽出や改善ポイントを見つけられます。

資金調達の際に活用できる

企業の資金調達では、銀行や信用金庫などの金融機関をはじめ、ベンチャーキャピタルや投資家なども利用します。資金調達を成功させるには、新たに立ち上げようとしているビジネスの魅力や事業内容などを分かりやすく説明しなくてはなりません。このとき、作成したビジネススキームが役立ちます。

実際のところ、出資を求める企業に対し、金融機関やベンチャーキャピタルが事業スキームの提出を求めるケースは珍しくありません。金融機関やベンチャーキャピタルにとって、もっとも危惧すべきは出資した資金が戻ってこないことです。出資しても大丈夫なのか、メリットがあるのかを判断するために、事業スキームの提出を求めます。

事業の概要や魅力が伝わりやすい事業スキームを作成しておけば、金融機関やベンチャーキャピタルのモチベーションアップにつながり、出資してもらえる確率が高まります。

事業スキームを作成する際のポイント

行き当たりばったりで事業スキームを作成すると、読み手に伝わらないビジネススキームになりかねません。ポイントを踏まえたうえで、スキームの作成に取りかかりましょう。

1. 事業の内容を分かりやすく説明する

事業スキームを作成する際には、誰が読んでも内容を理解できるよう注意しましょう。事業スキームに目を通す人には、社内だけでなく金融機関やベンチャーキャピタルの担当者など、外部の人も含まれます。そのため、事業の内容を簡潔に分かりやすく説明することが大切です。

ただし、分かりやすさに注力しすぎると、ダラダラと冗長な文章になりかねません。冗長な長文にしてしまうと、何を伝えたいのか分かりにくくなるおそれがあります。分かりやすさを重視するのは大切であるものの、できるだけ簡潔にまとめましょう。

また、専門用語の使いすぎにも注意が必要です。社内の人には通じるかもしれませんが、社外の人は必ずしも自社が属する業界やビジネスについて精通しているとは限りません。業界人しか理解できないような専門用語の使用は控えましょう。

事業スキームを作成したら、一度全体に目を通してみましょう。専門用語や難しい言い回しが使われていないか、冗長な表現がないかなどを確認します。不要な部分があれば、大幅に文章をカットすることも検討してみましょう。

2. 客観的な事実を盛り込む

事業スキームに説得力をもたすため、客観的な事実を盛り込みましょう。社内で事業スキームを作成していると、これまでの苦労や経緯などを盛り込みたくなるかもしれませんが、基本的にこれらの情報は不要です。

客観的な情報を盛り込むことで、事業スキームの信頼度が高まります。予測ばかりになってしまうと、金融機関や投資家から希望的観測である、机上の空論であるとネガティブな印象を抱かれかねません。その結果、出資してもらえないおそれもあるため、客観的な根拠となる情報を盛り込みましょう。例えば、市場規模や競合他社の実績などが含まれます。

3. 現場の声を大切にする

事業スキームの作成にあたっては、現場の声を疎かにしてはいけません。実務を担うのは現場の従業員であるため、現場の声を疎かにすると実現性のない事業スキームに仕上がるおそれがあります。
部署間の連携がとれているか、話し合いの場が設けられているかなども確認し、現場の声を積極的にスキームへ反映させます。

事業スキーム作成をスムーズにするには?

事業スキームの作成をスムーズに進めるには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。事業のコンセプトや事業領域、収益化の方法、自社の魅力や強み、財務計画などです。これらのポイントを踏まえたうえで、スキームへ落とし込んでいきましょう。

また、事業スキームの構築にはフレームワークの活用もおすすめです。フレームワークは知っているもののうまく活用できないという方はでは以下の資料もぜひご覧ください。

新規事業を正しく構想するためのリーンキャンバスの使い方

まとめ

ビジネススキームは事業全体の枠組みであり、作成すれば経営戦略の見直しに使えるほか、資金調達にも役立てられます。行き当たりばったりで作成しても意味がないため、事業内容を分かりやすく説明する、客観的な情報を盛り込むなど、ポイントを踏まえて作成しましょう。

事業スキームの構築にフレームワークを活用したいものの、どう使えばよいのか分からない、新たなビジネスのアイデアが思い浮かばない、といった企業経営者や担当者の方は、ぜひ以下の資料もご覧ください。アイデア出しで陥りやすい罠をはじめ、アイデアをさらに発展させるポイントなども紹介しています。

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