採用事例:三和ニードル・ベアリング株式会社

「今」に妥協しない、成長への事業基盤を
業績好調な今だから挑む、創業80年の精密部品メーカーの基幹刷新


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左から三和ニードル・ベアリング株式会社 芳賀様、藤野様、島田様

三和ニードル・ベアリング株式会社 会社概要

会社名

三和ニードル・ベアリング株式会社

設立

1946年7月

代表者

代表取締役社長 中村 卓也

本社所在地

茨城県つくば市上大島1904

従業員数

215名(2026年9月時点)

資本金

1億円

事業内容

精密金属部品(マイクロシャフト、コロ等)の製造

URL

https://www.tnksanwa.co.jp/

三和ニードル・ベアリング株式会社は、1946年の創業以来、マイクロシャフトやコロなど精密金属部品の製造を手がけてきた老舗メーカーです。サブミクロンレベルの研削精度を量産で実現する加工技術と、切削から研磨までの一貫生産体制を強みに、自動車、産業機械、医療機器など幅広い産業に部品を供給しています。
近年はEV関連部品やヘルスケア、ロボティクスといった成長分野にも展開。中国・福州にも製造子会社を持ち、グローバルな供給体制を築いています。

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主力製品のマイクロシャフト(左)とニードルベアリング用のコロ(右)

本記事では、同社がSAP Cloud ERPの導入を決断するまでの経緯と、その選定プロセス、そしてERP導入の先に見据える未来について、プロジェクトの中核メンバーにお話を伺いました。

今回インタビューに応じてくださった方

島田氏

上席執行役員 企画管理本部長 兼 営業本部長

藤野氏

企画管理本部 経営企画部 部長代理

芳賀氏

企画管理本部 経営企画部付 特任次長

 

好調だからこそ、足元を固める

三和ニードル・ベアリングでは、中期経営計画において、基幹システムの刷新を経営企画部の重点施策の一つに位置づけています。しかしその刷新の背景には、「システムが限界に達した」という切迫した事情があったわけではありませんでした。

——基幹システムの刷新を検討し始めた背景を教えてください。

島田氏:「実は今、会社が好調なんです。だからこそ、その好調を後押しするための土台をちゃんと固めたい。ただ、業務の仕組みやシステムの部分で、まだ整理しきれていないところがあるんです。まずは土台をしっかり作り直して、その上で確実に仕事を回せるようにして、3年目にレベルアップしていく。階段を一段ずつ登るイメージの中期経営計画になっています。」

事業が好調であるにもかかわらず、あえて基幹システムの刷新に踏み切る——。多くの企業では、システムの老朽化やトラブルが深刻化してから対応に動くケースが少なくありません。
しかし同社が選んだのは、「業績が好調な中で、足元がおろそかだったらまずい」という危機感に基づく先手の判断でした。

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30年以上稼働し続けたAS/400—「壊れた」のではなく「足りなかった」

——これまではAS/400を長く利用されてきたと伺っています。今回の「土台の整理」において、既存の基幹システムが課題になっていたのでしょうか。

同社がそれまで使用していた基幹システムは、IBM AS/400。IBMのオフコン(事務処理用の中型コンピュータ)上に、スクラッチ開発で自社業務に合わせて構築されたこのシステムは、導入から30年以上が経過していました。当時からの経緯を知る芳賀氏は、その安定性をこう振り返ります。

芳賀氏:「聞いている限り、大きな障害はなかったですね。アーキテクチャが堅かったんでしょうね。」

30年以上、目立ったトラブルなく稼働し続けてきた——それ自体が、スクラッチ開発で自社業務にフィットさせたシステムの底力を物語っています。しかし、課題はAS/400そのものではなく、AS/400がカバーしていない領域にありました。

芳賀氏:「システムを使う業務と、システムが対応していない業務が混在していて、対応していない部分は力技でやっていました。生産計画や原価計算は、まさにその力技の部分です。見積もり時点の原価計算はやっていたんですけど、実際にかかった原価はわからない。実績が追えていなかったんです。」

製造業にとって、実際原価が見えていないというのは根幹に関わる課題です。しかし、現場ではそれが長く日常として受け入れられてきました。月次の経営データの集計には10営業日以上を要し、製造の実績データを含めるとさらに時間がかかっていたといいます。

島田氏:「製造現場の見える化が全然進んでいないんです。可視化しない限り、どう改善するかという話にもならない。まずはそこからなんですよ。」

その先にあるのは、経営を数字で測れる状態です。しかし、測るにはまず、見えていなければならない。原価も実績も見えないままでは、その段階には進めません。同社が最初に登るべき一段は、そこにありました。

外部の目が映し出した「根っこ」

現場の実務課題、経営層が求めるデータの可視化——それぞれ別の場所で語られていた課題が、一本の線でつながる出来事がありました。約3年前に実施した、外部のセキュリティ診断です。

芳賀氏:「お客様からセキュリティ対策の要求があって、簡易的なものですけどセキュリティ診断を一度やったんです。そうしたら、Excelの二重入力とか、紙での処理とか、指摘がもうたくさん出てきました。これはもういっそ基幹ごと変えた方がいいんじゃないか、という話が社内であがったんです。」

洗い出された課題を整理していくと、そのほとんどが基幹システムの入れ替えで解決できるものでした。Excelの二重入力、紙での処理、実績が追えないという根本課題——いずれも、新しいシステムに集約すれば一気に解消できる。セキュリティという切り口から入った診断が、結果として業務とデータの根っこを浮き彫りにしたのです。この出来事も、基幹システム刷新の後押しとなりました。

製品選定からパートナー選定まで

——製品の選定はどのように進められたのですか。

芳賀氏:「その時点でコンサルさんとの接点があって、どう進めようかという話をしていました。私も大手メーカーの名前くらいは知っていたので、日本のメーカーと海外のメーカーをバランスよく混ぜて、将来性のあるものを選びたいと考えていました。『製造業ERP』でGoogle検索すると本当にいろいろ出てくるんですけど、そこから5社に絞りました。」

コンサルティングファームと連携しながら、まずはメーカーに直接RFI(情報提供依頼)を送付。その後、課題整理を経てRFP(提案依頼書)を発出し、各社からデモを受ける流れで比較検討を進めました。

——5社の提案を比較される中で、SAPの評価はどのようなものでしたか。

芳賀氏:「外資系の中では、SAPが圧倒的にバランスが良かったというのが強い印象です。もっと競り合うのかなと思っていたんですけど、生産管理から会計まで通して見ると、機能の差があるという評価でした。」

デモでは、各部門からの質問に対する回答の充足度においても、SAPの安定感が際立っていたといいます。自社の要件に照らして大きな弱点が見当たらない——特に同社にとって重要な生産管理領域の対応力に加え、会計まで一貫してカバーできる総合力が、最終的な決め手になりました。

パートナー選定—51対49の僅差が意味するもの

ERP製品としてSAP Cloud ERPを選ぶことと、導入パートナーを選ぶことは、別のプロセスです。同社はコンサルティングファームと連携しながら、複数のSAPパートナーの比較検討も進めていました。

——導入パートナーは、どのように絞り込まれたのでしょうか。

島田氏:「社長に判断いただく上で、SAPパートナー1社だけで進めるというのは、投資対効果の観点からもないかなと。必ず比較するというプロセスに入っていました。」

その中で同社が重視したのは、コンサルティングファーム・パートナー・顧客が一体となってプロジェクトを推進する体制でした。第三者の目線を入れながら、現場の声も拾える形で進めたいという意向です。

島田氏:「互いに補完しながらやるほうが良いと、当社の状況をみて判断しました。パートナーにはこの体制の方針に賛同いただけるのかというのも、気にしていました。」

——最終的な決め手は何だったのでしょうか。

島田氏:「あんまりシステムそのものに慣れている会社ではないので。社内で要件定義をするというのも、あまり得意じゃないんです。」

製造業として設備投資には慣れていても、ITシステムの導入は勝手が違う。しかも同社には、わからないことがあっても自分たちで考え抜こうとする風土があります。だからこそ、派手な実績や提案力よりも、同じ目線で並んで歩いてくれる相手が必要でした。

芳賀氏:「最後はもう、なんとなく人です。プロジェクトを継続して、うちの社員と進められそうかなという感覚ですね。もちろん金額も機能も、いろいろ比べたんですけど。」

機能、コスト、体制。あらゆる軸で比較を重ねた上で、最後に残ったのは「人」でした。社内の採決は最終51対49——そう表現されるほどの僅差だったといいます。社風が合うかどうかは、見る人によって判断が分かれます。だからこそ、最後まで揺れました。

複数の有力なSAPパートナーが並ぶ中で、最終的に評価されたのは実績の多寡だけではなく、同社の業務をどこまで理解しようとするかという姿勢と、一体となって並走していく体制づくりへの共感でした。

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Fit to Standard—「今のやり方がいいかどうか」という問い

SAP Cloud ERPの導入に際して、同社はFit to Standard——システムを業務に合わせるのではなく、業務を標準に合わせるアプローチを選択しています。長年のやり方を一度疑うことになる方針ですが、迷いはなかったのでしょうか。

——Fit to Standard、業務を標準に合わせるという方針は当初から持たれていたのですか。

島田氏:「実は最初から、そういう前提でERPを探していたわけではないんです。ただ、今の業務にシステムを合わせるというのはないな、と思っていました。そもそも今の業務がいいのかどうかもわからない。だったらシステムに合わせざるを得ない、という形に持っていったほうが、みんなも動くだろうと。」

最初からFit to Standardを前提にしていたわけではない。しかし、現行業務そのものへの問い直しが、結果としてこの判断につながりました。

80年の歴史と「変わらなければ」の空気

では、現場はどう受け止めたのか。ERP導入で最も摩擦が生じやすいのがこのフェーズですが、同社では目立った抵抗は起きませんでした。その背景を、芳賀氏と島田氏はこう分析します。

芳賀氏:「実は当社、80年の歴史があって、長いこと自社のやり方にこだわりを持ってやってきているんですね。それがゆえに、若干ガラパゴス化してしまった。通常の企業からすると違和感のあるやり方が、非常に多くなってしまっているのが現状なんです。」

島田氏:「メンバーがFit to Standardに従っている背景としては、おそらく今のやり方に正直疑問を感じている、限界を感じているというのが根底にあって。変わらなければな、という漠然とした思いがあるので、一旦は素直に聞き入れてみようと。大きく会社の状況も変わっているタイミングなので、そこを受け入れようというのがあるんじゃないかなと。」

同社の社風を一言で表すなら、「目の前のことを一生懸命やる文化」。愚直に取り組む真面目さが、変革に対しても前向きな受容につながっていました。

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外からの目が、気づきを加速させる

同社ではここ2~3年、中途採用を積極的に増やしています。島田氏も藤野氏も、その一人です。

島田氏:「中途の人が入って、プロパー(生え抜き)社員のいいところと、中途の新しい刺激みたいなものを融合させたい、というのはありますね。」

外から入った人材が、社内の「当たり前」を外の標準と比較することで、「あれ?」という気づきが生まれる。その積み重ねが、Fit to Standardへの抵抗をさらに下げていました。藤野氏も、標準化の意義をこう捉えています。

藤野氏:「スタンダードを取り入れることで、仕事がスムーズに進むようになる。その活動を通じて、今までの会社の意識改革みたいなところにもつながるといいかなと思います。」

導入するのはシステムでも、変わるのは会社そのもの。その認識が、経営層から現場まで共有されていたことが、同社の変革を支えていました。

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まず、測れる会社になる—投資効果を問われても、測る数字がない

ERP導入は、同社にとって大きな投資です。当然、経営層からは投資回収への関心が寄せられます。

島田氏:「ERPって結構大きな投資ですよね。やっぱり投資回収については、社長からも話がありました。」

しかし、投資効果を測ろうとした時、ある現実に直面します。

島田氏:「コンサルさんと話をする中で、KPIとして設定できる指標にはどんなものがあるのか、今うちで何が見えていて何が見えていないのかを整理したんです。結構な数のKPI候補をいただいたんですけど、ほぼほぼ見えてないんです。」

芳賀氏:「KPIの指標を頑張って決めて、ERP導入後に例えば今5%なのを10%にしよう、という絵を描こうとしたら、現状の数値がもう『-』ばっかりで(笑)。そもそもわからないという状況なんです。」

KPIを設定し、ERP導入後に改善していく——そういう絵を描こうとしても、比較すべき現状の数値がそもそも存在しませんでした。

島田氏:「経営判断を早くしたいというのが一番なんですけど、原価がわかっていないから、製品別もわからないし、顧客別もわからないし、分野別もわからない。どの分野にどれぐらい注力するか、どの製品のどこを改善すればいいのか、その着弾点が見出せないんです。」

ERPは「気づき」のための道具

だからこそ、まず測れる状態を作る。それが同社の出した答えでした。

島田氏:「いろんなものが見えていない中で、見えれば気づくじゃないですか。気づいたら疑問に思うようになる。それが行動につながる最初の入り口だと思うんです。だからERPは、その道具にはなるんですよ。」

可視化が気づきを生み、気づきが行動を変える。ERP導入はその起点であり、ゴールではありません。その「気づき」を生み出すプロセスの中で、パートナーの存在も大きいといいます。

——パートナーであるシステムインテグレータに期待することはありますか。

芳賀氏:「自社だけで進めるのが難しいところを見極めて、支援していただけること。技術面はもちろんですが、一緒に進めていける体制づくりも含めて期待しています。」

藤野氏:「業務の構造を可視化していただけたのは、非常にありがたかったですね。踏み込んで理解しようとしていただけている。そこは引き続きお願いしたいです。」

自社だけでは見えなかったものが、外部の力を借りることで形になっていく。その先に、同社はさらに大きな変化を見据えています。

藤野氏:「事業が拡大して人が増えてきた中で、システムを見れば会社の動きがわかる、という状態が望ましいなと。それが言語化されて、データになって、今度はAIへのデータ活用もできるようになる。今のままだと、AIとかDXの前に、まずやることがあるなと。」

ERPでデータの土台を整え、その上にAIを活かしたAX(AIトランスフォーメーション)を築く。そして人材の採用が難しくなる時代を見据え、人にしかできないことに集中できる環境を、今から数年かけて準備していく——同社が描く道筋は明確です。

ERP導入という「今」の判断が、この会社の数年先をつくっていく。プロジェクトはまだ始まったばかりです。その歩みを、システムインテグレータも並走する一員としてともにしていきます。

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左から三和ニードル・ベアリング株式会社 芳賀様、藤野様、島田様、株式会社システムインテグレータ 氏家、須永

 

三和ニードル・ベアリング株式会社

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