声や音を認識する(音声認識)
声や音を認識する(音声認識)
近年のAI技術の研究、発展により、声や音を認識する音声認識をはじめとする音声技術はさらなる進化を遂げました。AIを活用した音声技術は、スマートフォンの音声アシスタント機能や家庭で使うスマートスピーカーなど、既に私たちの身近で活躍しているものも多く、ビジネスで最も注目される技術のひとつです。
具体的に、音声認識技術とはどのようなものでしょうか?
音声認識とは
音声認識とは文字通り、人間が言葉として意味を持たせた音声を、そのままコンピューターが認識(テキスト化)することです。そして、コンピューターが認識し受け取ったテキストの意味を理解する処理を自然言語処理と言います。
音声認識と自然言語処理は異なるものですが、世の中の人々が思う音声認識(例えばスマートフォンの音声アシスタント機能など)は、両者を組み合わせたものが一般的です。
よって、ここでは音声認識と自然言語処理を明確に区別しませんが、それぞれが別の役割を果たしていることを知っておくと良いでしょう。
音声認識の活用例
音声認識の具体的な活用例にはどのようなものがあるでしょうか?
利用シーン別にいくつかの例を挙げてみましょう。
・ビジネスパーソン向けの効率化ツール
- 課題:会議の議事録作成作業を効率化したい
- 活用:会議中の発言を音声認識し、可読なテキストに変換
- 結果:議事録作成作業の負担を低減
・コンシューマー向けの音声アシスタント
- 課題:製品の複雑な操作を直観的な操作に変えたい
- 活用:ユーザーの問いかけを音声認識し、アシスタントが応対・操作
- 結果:ユーザビリティの向上
さまざまな業種・分野において応用が期待できそうです。
では、具体的にAIはどのように音声認識を実現しているのでしょうか?
AIはどのように音声を認識するのか
音声認識の用途を理解したところで、それを実現するAIについて触れていきましょう。
- 入力
AIに供給されるデータ、入力に相当するものは音声です。ただし、人間の音声とは空気中を伝う音の波ですので、音の波をコンピューターで扱える形に変換してから入力する必要があります。よって、人の音声をマイクなどの入力装置で録音(データに変換)した後、ノイズや雑音など、不要な音声を取り除くなど、信号処理を施します。
- 処理
音声をテキストに変換するには以下のような処理をするのが一般的です。
①入力から音素を特定する(例:さようなら、また明日 →さ-よ-う-な-ら-ま-た-あ-し-た)
②音素の並びを特定して単語に変換する(例:ま-た-あ-し-た → また 明日)
③単語のつながりを予測して文章化する(例:さようなら また 明日 → さようなら、また明日)
AIはこれらの特定や予測において、従来用いられていた統計モデルに置き換わる、または組み合わせる形で使用されています。大規模な音声やテキストデータによって学習されたAIを使用することで、統計モデルよりも高い精度で特定や予測を行うことが可能になっています。
さらに最近では、①~③の処理を1つのAIモデルで完結させるような新しい枠組みも提案されてきています。
音声認識は近年の飛躍的な精度の向上によって、当たり前の技術となりつつあります。今後はさまざまな機械製品に音声認識が取り入れられ、機械と人間のリアルな共存が実現する日が訪れることが期待できそうです。