ヘッドレスコマースとは?従来型ECとヘッドレスの違い

 2020.10.15  今江 圭希

最近耳にすることが増えてきた、ヘッドレスコマース。
今、「ヘッドレスコマース」という考え方が、デジタルを活用した顧客接点の拡大と購入体験の提供において、トレンドの一つになっています。
ヘッドレス・コマースとはどのような仕組みなのか?
どのようなECサイト、ECビジネスに適した考え方なのか?
本記事では「ヘッドレスコマース」について、その特徴やメリット、デメリット、実現方法などを詳しく解説します。

ヘッドレスコマースとは?

ヘッドレスコマースの「ヘッド」とは、顧客とのタッチポイントになるフロントシステムを意味します。
フロントシステムとは「顧客と接触するフロントのシステム」ですので、自社ECサイト、外部モール、スマフォアプリ、ブログ等がフロントシステムとして挙げられます。
ヘッドレスコマースとは、このヘッドが“レス(無い)”の状態を表しています。
つまり、ヘッドレスコマースとはフロントシステムとバックオフィスシステムを分離して、別の仕組みにするECサイトのシステム構成、アーキテクチャのことを意味します。

今、自社EC、モール、ブログなどのマルチサイト、そして、PC、スマートフォン、アプリ、さらには、スマートスピーカーやVR・ARなどの仮想技術等が今後普及する時代において、デジタルとアナログを横断して様々なチャネルでの購入体験の提供する必要があり、対応すべきカスタマージャーニーが複雑化しています。
こうした背景からタッチポイントとなるフロントシステムとバックオフィスシステムを切り離すことで柔軟なシステム構造とし、複雑な顧客の購入体験に対応するヘッドレスコマースという発想が注目を浴びています。
例えば複数のECサイトや店頭向けシステム、メディア型ECの運営など多角的に行うのであれば、フロントシステムとバックオフィスシステムが一体化になっていない方がシステム対応やデザイン、サービス開発・拡張などがシステム制約が少なくスピーディーにかつ柔軟に対応することができます。

 

ヘッドレスコマース概要

ヘッドレスコマースのイメージ

従来型ECとヘッドレスコマースの違い

ここまで話した通り、ヘッドレスコマースはフロントシステムとバックオフィスシステムが分離しているシステム構成です。
従来のECシステムはフロントシステムとバックオフィスシステムが一体型になっていました。
これはモノリシック(1枚岩)と呼ばれており、ヘッドレスコマースと対をなす考え方です。

従来型ECであるモノリシックコマースと、新しい考え方であるヘッドレスコマースはどのような違いがあるのでしょうか。
ヘッドレスコマースと従来型のモノリシックコマースの違いをメリットとデメリットに分けて見ていきましょう。

 

ヘッドレスコマースとモノシリックコマースの違い

ヘッドレスコマースとモノリシックコマースの構成の違い

ヘッドレス・コマースのメリットとデメリット

メリット

フロントシステムとバックオフィスシステムが分かれていため、バックオフィスシステムに影響されることなく、フロントシステムを柔軟に変更・拡張することできます。
つまり、市場に合わせて売り方や見せ方を素早く変更でき、フロントシステムを増やすというスケーラビリティが高い構成となります。結果、顧客に合わせていろいろなサイトを提供することができます。

デメリット

フロントシステムとバックオフィスシステムの開発の両方を考えなくてはならない点がデメリットとして挙げられます。
ロジック修正や新しいサービス開発などのカスタマイズが発生した場合、フロントとバックの両方変えなくてはならないことになり、また、APIでフロントシステムとバックオフィスシステムを連携する形のため、テスト工数が増えることになります。

従来型ECシステム(モノリシック構成)のメリットとデメリット

メリット

フロントシステムとバックオフィスシステムが一体型となっているため、システム構成がシンプルで、ヘッドレスコマースと比較し、開発難易度も高くなく、テストなどの工数も少なくて済むと言えます。

デメリット

フロントシステムとバックオフィスシステムが一体型となっているため、フロントを増やす場合に、複数のフロントシステムとが連携するバックオフィスシステムのアーキテクチャの拡張やデータ整合性の考慮等が必要となります。

ヘッドレスコマースがマッチするビジネス

ヘッドレスコマースのメリットは、複数のフロントサイトを構築し、素早くメンテナンスできるようにすることです。
すなわち商品のレコメンド表示というレベルのパーソナライズではなく、サイト単位でのパーソナライズした購入体験が求められるECビジネスに向いています。
例えば、複数ブランド展開するアパレル業はわかりやすい例でしょう。
受注後のバックオフィス業務は共通化する一方、複数のフロントサイトがあり、ブランド毎に見せ方や売り方が異なるべきですし、スマホアプリや店頭での体験など対応しなければならないチャネルは多岐に渡ります。

 

アパレルサイトでのヘッドレスコマース

 

他にも専門店のような見せ方が顧客の心を掴む場合もマッチします。
それまでサイト内の1カテゴリに過ぎなかったものが、専門サイトという見せ方をすることができます。
例えば、酒類の専門ECサイトでそれまでは数ある商品カテゴリの1つだったウイスキーを、「ウイスキー専門サイト」として切り出せば、ウイスキー愛好家の心を掴むことができます。
もちろん、バックオフィス業務は何も変わりません。
単なるカテゴリページや特集ページの枠組みを超えて、サイト全体でそのアイテムに最適化された体験を提供することが顧客とより深い関係を築くことにつながるビジネスであればマッチすると言っていいでしょう。
つまり、元々専門店のようなビジネスを展開している場合、もちろんスマホアプリの対応などはしなくてはなりませんが、あまりヘッドレス・コマースを採用する必要はないでしょう。
従来型のモノリシックな構成で問題ないと考えます。

ヘッドレスコマースのアーキテクチャ

ヘッドレスコマースの実現には、フロントとバックを繋ぐ仕組みとしてAPIが必要です。
APIを介することによって、フロントシステムが必要とする情報をバックオフィスシステムから呼び出すことができます。
こういった構成はマイクロサービスアーキテクチャのような考え方に近いものがあります。
マイクロサービスアーキテクチャのようにECビジネスに必要なバックオフィスシステム側の業務にフォーカスすると、商品管理、在庫管理、受注管理、出荷管理となり、これら大枠だけ考えると昔ながらの販売管理システムの領域にも見えてきます。

しかしながら、販売管理システムはECでの販売が想定されていない、あるいはヘッドレスコマースの目的である個別最適された購入体験の提供が想定されていない仕組みであり、なおかつ柔軟なカスタマイズに不向きな構成や環境であるため、昔ながらの販売管理システムをそのままフロントシステムと連携するということは現実的ではありません。
業務単位ではなく、目的別システムの単位でマイクロサービスアーキテクチャを考えたとき、フロントのWebアプリと既存の基幹システムをAPIで連携すれば実現できると思えるのですが、こうした事情があり、結局「ECのバックオフィスサービス」として、フロントの柔軟性と効率的なバックオフィス業務の連携を実現する独立した別システムが求められています。
最近だとヘッドレスコマースと異なる文脈でも、デジタル上の複数チャネルのバックオフィスを統合するOMSが求められ始めています。

OMSについては、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。よろしければご覧ください。

ヘッドしかないコマースとOMS

従来の販売管理システムがECビジネスにあまり向いていないという文脈だけでなく、海外製のコマース製品がECのバックオフィス機能を持ち合わせていないという理由でも、こうしたEC専門のバックオフィスシステムが求められるケースが増えてきています。
そういった観点ではこのようなバックオフィスシステムを備えていない海外製のコマース製品は「ヘッドのみ」のコマース製品と言えます。
なので、この場合は必然的にヘッドレスコマースを想定したバックオフィスシステムが必要となります。
もちろん海外製コマース製品をカスタマイズする形でバックオフィスシステムを構築することは可能ですが、ないものを開発して作ることになるので往々として開発費用が高額になってしまいます。
もちろんここまでご説明してきた通り、ヘッドレスコマースの構成においてはフロントシステムを改修する場合でも、APIを介することでバックサイドに影響を与えることがなく改修を行うことができるというメリットがあるのですが、ヘッドしかないコマース製品とスクラッチ開発するバックオフィスという構成では、最初に構築する際のコストが高額になりがちです。

ヘッドレスコマースを実現させるには

現在のところ、ヘッドしかないコマース製品はあっても、ヘッドレスコマースを想定した専門のOMSや販売管理システムはありません。
つまり、ヘッドレスコマースを実現させるためには、スクラッチで開発するか、ヘッドレスコマースにも対応できるECシステムを採用するしかありません。
どちらにも共通して必要になるのが、フロントシステムと連携するためのAPです。
APIを持ち、かつヘッドレス・コマースが必要となるビジネス背景にも適用できるシステム構築がポイントとなり、以下のようなポイントがシステムに求められます。

  • フロントのコマース体験に必要なAPIを持つバックオフィスシステム
  • 柔軟にメンテナンスが可能なCMS(単にフロントが独立しているだけでは、コマース体験の素早いアップデートはできない)
  • フロントとバックともに高いスケーラビリティ
  • 高い開発生産性(分離した仕組みなので、テストもリリースも大きな工数となるため、高い開発生産性が求められる)
  • 高可用性(複数のフロントシステムを共通したバックオフィスシステムで支えるため、システムに高可用性が求めらる)
  • 堅牢なセキュリティ(全体基盤としてのバックオフィスシステムであるため、堅牢性が重要)

APIの有無だけであれば、多くのECシステムが何かしらのAPIを持っています。
しかしここでポイントとなるのは、「柔軟な顧客体験を実現するには用意されているAPIを使うだけで十分なのか」という点です。
ヘッドレスコマースのメリットは、「フロントシステムとバックオフィスシステムを分離させることで、フロントシステムで柔軟な顧客体験が提供できること」です。
このメリットを最大限発揮させるには、バックオフィスシステムも柔軟な対応できないとなりません。
何故なら、ECビジネスを支えるビジネスロジックの多くはバックオフィスシステム側にあるためです。
つまりカスタマイズに向いていないシステムであれば、APIがあったとしても変更の利かないその限られたシステムの中でしか対応ができないことになり、ヘッドレスコマースで実現したい世界が実現できないかもしれません。
ビジネスはシンプルで変わることはないのであれば、フロントシステムだけ柔軟でバックオフィスは標準のまま利用するという構成でも問題ありませんが、バックオフィスだけ入れ替えるというのも簡単には行かないため、将来に渡って問題ないかは検討する上での重要なポイントとなります。

ヘッドレスコマースに対応したSI Web Shopping

SI Web Shopping は、従来型のモノリシックなECサイト構築にもヘッドレスコマースにも対応できるユニークなパッケージです。
フロントシステムを持ちつつ、別途ECサイトにおけるフロント機能に必要な機能を提供するAPIを標準実装しています。
そのため、新規ECサービスや新しくフロントシステムを追加構築する場合にも、標準で用意されているAPIを活用し、新規サービスの垂直立ち上げをスピーディに実現することができます。

加えて、ヘッドレスコマースは様々なシステムと連携する必要があるため、オープンなプラットホームであることが求められます。
様々なフロントからのデータが集約されるバックエンドシステムとなるため、集約されたデータをマーケティング、販促、経営企画に活用するために取り出すためにそのデータを活用できるデータ基盤である必要があるからです。
SI Web Shoppingは様々な製品との連携が容易なだけでなく、データベースを公開しているため、データベースに集約されたデータを活用してよりビジネスを加速させることが可能です。

また、ヘッドレスコマースは複数のフロントシステムと連携するため、高い可用性が求められます。
SI Web ShoppingはAWS(Amazon Web Services)に対応しており、AWSが用意したサービスを用いて高いスケーラビリティを提供することができます。

それだけでなく、高いセキュリティを担保している点もスクラッチで作るヘッドレスコマースと大きく異なります。
SI Web ShoppingはIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の定める「安全なWebサイトの作り方」に準拠した作りになっており、さらに異なる2社の第三者機関による脆弱性診断も行ったセキュアなシステムです。

標準でご用意しているフロントシステムもCMSと連携させることができるので、ユーザー側での柔軟にフロントシステムの変更が可能となっているだけでなく、バックオフィスシステムとしても高いカスタマイズ性を誇り、様々なビジネスに柔軟に対応することができるため、ヘッドレスコマースに最適な製品となっています。

 

SI Web Shopping ヘッドレスモデル

SI Web Shoppingを活用したヘッドレスコマースのイメージ

SI Web Shopping をご採用いただいた株式会社虎の穴様では、複数のフロントサイトをSI Web Shoppingで構築いただいております。よろしければ事例インタビューもご覧ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
ヘッドレスコマースのシステム構成は今後採用されることが増えていくでしょう。
ただし、間違えてはならないのは「本当に自社のビジネスを成長させるために必要なのかどうか」です。
流行ってきているからといって、あまり検討せずに採用してしまうとあまりメリットがなかった、普通の構成で良かったと後悔してしまうかもしれません。

ご説明差し上げた通り、弊社が提供するECサイト構築パッケージSI Web Shoppingはヘッドレスコマースにも向いている、従来型ECサイトも構築できるユニークなECサイト構築パッケージです。
必要な機能を備えているだけでなく、これまで1,100サイト以上の構築にご利用いただき、また多くのお客様のECサイトを構築してきた実績から、お客様に合わせた最適な構成でご提案することができます。

ヘッドレスコマースを検討してみたい、ECビジネスの成長にどのようなシステム構成が必要なのか聞いてみたい、という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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