サブスクリプションモデルの5つの特徴とサブスクモデルを活用したSaaSの事例3選

 2021.12.20  株式会社システムインテグレータ

こんにちは、システムインテグレータでVOICE TICKETSを担当している岸です。

最近「サブスク」「サブスクリプション」という言葉をよく聞くようになりました。それもそのはずで、一般消費者向けのAmazonプライムやNetflixだけではなく、CMで流れているSansanや楽楽精算など、最近はBtoBにおいてもさまざまなサービスがサブスクリプションモデルを採用して展開されています。

ただ仕事で関わりがなければ、サブスクリプションモデルが具体的にどういったものなのか分からない、というのが正直なところではないでしょうか。実は私も当社に転職するまでは理解できていませんでした。「サブスクって結局何なの?」「うちの会社とは関係ないや」と思っている方も多くいると思います。

本記事ではサブスクリプションモデルの概要と特徴を簡単に説明します。また、サブスクモデルを取り入れている日本国内の代表的なSaaSをご紹介します。

サブスクリプションとは

Businessman sitting at white table with hand drawn business concept background-2

サブスクリプションモデル(subscription model)は、略してサブスクモデルと呼ばれており、日本語では「定額課金制の会員サービス」を意味します。定額課金制自体は新しいものではなく、身近なところだと今までも新聞や雑誌の定期購読などで適用されてきました。

簡単にいうと「月額(年額)○○円を支払っていただければ、このサービス(製品)を使っていいですよ」といったサービス形態のことです。

通常は「モノを購入する」ことで使用できますが、サブスクでは「モノを使用する権利にお金を払う」といったイメージです。

また、サービスの提供側からすると、従来のモノを販売して得られる収益モデルは「フロー型」、対してサブスクはモノを使用する権利を販売して定期的な収益を得られる「ストック型」と呼ばれています。

まず下記のGoogleトレンドの人気動向のグラフをご覧ください。これはいったい何のトレンドでしょうか。

Googleトレンドの人気度動向のグラフ

このグラフは、日本国内で2019年1月1日~2021年12月20日までに、Googleでどれだけ「サブスクリプション(青)」「サブスク(赤)」と検索されたかを表したものです。

グラフを見てみると2つの線が2020年頭を境にクロスしています。2019年までは「サブスクリプション」というワードで検索されることの方が多かったですが、サブスクのサービスが広がるにつれて「サブスク」と検索されるようになったことが推測されます。サブスクという言葉は、意外とごく最近広まった言葉だったのですね。

思い返してみると、2019年頃からサブスクのサービスが増えて、TVや雑誌にも多く取り上げられていたように感じます。私も職場の隣席の人との会話でサブスクの話題が出てきて、後でこっそり調べた記憶があります。

2019年頃からのサービスの広がりに加え、2020年になってからは新型コロナウィルスの感染拡大を背景に、家で過ごす時間が多くなりました。いわゆる巣ごもり需要が増えて、Netflixで映画を鑑賞し、夕ご飯は出前館やUberEATSなどで宅配してもらい、ECを使って買い物をするといった生活スタイルが一気に広まったのです。

ビジネスの面では移動の制限がかかり、出張や客先への訪問が激減しました。その代わりにZoomをはじめとしたWEB会議ツールを使用して打ち合わせをすることが増えました。また、DXの機運も高まり、新たに導入するソフトウェアツールもオンプレミスでの導入ではなく、クラウドサービスが多くなりました。

例えばSaaSもサブスクリプションモデルを採用してビジネスモデルを構築しており、富士キメラ総研の発表によると、SaaSは年平均13%の成長率を遂げているようです。(出典:富士キメラ総研「ソフトウェア新市場2020年版」)

ただし、実はもっと大きな時代の流れが背景にあり、根底にある理由として以下が挙げられます。

  • 消費者が、所有することよりも利用することや体験に価値を感じるようになった(モノ消費→コト消費への消費者ニーズの変化)
  • 技術の進歩により、低価格で良質なサービスを提供できるようになった

サブスクモデルの特徴

以下に、サブスクモデルの主な特徴を記載しました。1つずつご説明します。

  1. 売上予測が立てやすく、定期的な収益を見込める
  2. ユーザー数を増やしやすい
  3. 契約後に顧客との関係がスタートする
  4. 継続的なサービスの改善が必要
  5. SaaSモデルと相性がいい

①売上予測が立ちやすく、定期的な収益を見込める

サブスクリプションモデルは、月額5万円または年額60万円といったように定期的に売上が立つモデルです。そのため、常に新規顧客をイチから獲得する売り切りモデルと違い、現在の顧客数と顧客単価をベースに売上の見通しを立てることができます。

こうした形態はストック型と言い、不況に強い安定性の高いモデルとされています。

ストック型は売り切り型と比べて短期的に大きな収益を見込むのは難しいです。しかし、解約されなければLTVは積み重なっていくため、長期的に見ると売り切り型よりも大きくなります。

subscription_modelフロー型とストック型の売上比較

簡単な例で比較してみましょう。上のグラフは、フロー型が1式100万円の売上、ストック型が毎月5万円の売上で、毎月1社ずつ契約できるとしたものです。

はじめは売上に大きな開きがありフロー型の方が勝っていますが、20カ月目には単月売上が同額となり、それ以降はストック型が追い越して差は大きくなっていく一方です。累積売上が逆転するまでは、まだ時間を要しますが、少なくとも20カ月経った時点では同じ売上高にまでなったわけです。

注意していただきたいのは、上記には解約したユーザーは含まれていませんので、もちろんこの通りにはいきません。ですが、ユーザー数が増えていくことで加速度的に売上も上がっていくことはイメージできたのではないでしょうか。

サブスクはユーザー数と原価が比例するわけではないので、在庫などを必要としないSaaSなどインターネット関連企業を中心に広がっていきました。しかし最近では製造業でもサブスクを展開している企業が増えてきており、代表的なものにTOYOTAの新車を定額で利用できる「KINTO ONE」というサービスがあります。

②ユーザー数を増やしやすい

サブスクリプションは購入に比べて初期費用が安くなります。ユーザーにとっては購入するよりもイニシャルコストを安く抑えられるため敷居が低くなり、気軽に契約ができます。

また、「無料プラン」や「期間限定のお試しプラン」を準備しているサービスも多いので、契約する前に使用感を確かめることができます。この期間にサービスの機能や使い勝手に魅力を感じてもらえれば、そのまま契約につながります。

一方で、契約の敷居が低いということは裏を返せば解約の敷居も低いということです。顧客が改善・成長しないサービスを使い続けることはなく、提供企業側が何もしなければ競合他社に移ってしまいます。

ユーザーの解約を防ぎ、使い続けてもらうためには製品・サービスの継続的な充実が欠かせません。顧客満足度を向上して解約率を下げるためには、これまでのカスタマーサービスの機能に加えて、いろいろなユーザーの要望を拾い上げて短いサイクルで製品・サービスを改良し続ける「カスタマーサクセス」が必須になるのです。

③契約後に顧客との関係がスタートする

サブスクリプションでは、従来のようにモノを販売したらおしまいではなく、契約後に本当の顧客の関係がスタートします。

顧客との関係が重要なのは古今東西変わっていませんが、サブスクリプションモデルではこれまで以上にその重要性は増します。顧客に解約せずに長期的に顧客に使い続けてもらわなければ収益が得られないからです。また、特徴①のグラフは解約率0%として比較したものですが、解約を計算に入れると実際はストック型でフロー型の収益に追いつくための期間は20カ月より長くなります。

④継続的なサービスの改善が必要

解約率を下げるために、例えばSaaS企業では「カスタマーサクセス」という専門チームを設置するケースが増えてきました。これはカスタマーサービスという従来からあるチームとは異なり、こちらから積極的に顧客に働きかけて顧客の成功を導くことをミッションに持つチームです。

顧客の成功のためには、それぞれの顧客のニーズに応じたサポートを行い、よりこまめに製品を改良していかなければなりません。基本的にコストセンター部門となるので、このチームのコストも収支計画に含める必要があります。

カスタマ―サクセスについては、弊社代表 梅田によるブログシリーズでも解説していますので、ぜひご覧ください。
実践!カスタマ―サクセス

⑤SaaSモデルと相性がいい

SaaS(サース)とはSoftware As a Serviceの略で、ベンダーが提供するサービスをインターネット経由で使用できるサービスを指します。サブスクリプションはSaaSと相性がよく、クラウドサービス形態をとる企業が多いです。

これまでのビジネスはオンプレミス(On Premises)といって、端末ごとにソフトウェアをインストールしていました。しかし、SaaSではインストールなどの環境設定作業は必要なく、クラウドにアクセスすることでサービスを使用できます。そのため運用の手間がかかりません。

また、クラウドで提供される共通のサービスを各ユーザーが利用する形態なので、基本的にユーザーごとのカスタマイズは行いません。これはIT化を進めていく中でとても大切なことです。日本は、要望に応じて顧客ごとにカスタマイズする風潮が強く、製品・サービスに業務を合わせるという発想が希薄でした。これが日本におけるIT発展を疎外する要因にもなっていたのですが、SaaSが普及してようやく製品・サービスをそのまま使うスタイルが広がってきました。

サブスクモデルの採用はバージョンアップの際にも大きなメリットがあります。ユーザーは追加費用を払わずいつでも簡単に最新バージョンを利用できるのです。長い間ノウハウが蓄積された業務の形に合わせてシステムをカスタマイズする方が、やり方を大きく変えずに済むという点で気が楽なのかもしれません。しかし、ビジネスを取り巻く環境が急激に変化する現代においてその変化に素早く対応していくにはSaaSを使用する方が合理的・効率的といえるでしょう。

サブスクモデルを採用した国産SaaS3選

double exposure of businessman hand drawing virtual chart business on touch screen computer-2

最後に、サブスクリプションモデルを採用しているBtoB向けの国産のSaaSを3つご紹介します。

(1)SmartHR

「SmartHR」は株式会社SmartHRが扱う人事労務ソフトウェアです。CMや電車の広告などでご存じの方も多いと思いますが、具体的には社員が入社する際の手続きや、雇用保険などの役所への手続きをウェブ上で行えるサービスです。

「SmartHR」もサブスクリプションモデルをとっており、2020年11月の段階で導入社数は30,000社を超えました。未上場ながら今年の6月には推定時価総額1,700億円のユニコーン企業となっています。

SaaSベンダーの重要な指標であるARR(※)も45億円にのぼり、継続利用率は99.6%。サブスクリプションモデルで成功し、なお成長し続けているようです。

※ARR:年間経常収益。ストック型ビジネスで見込める年間売上高のこと。

(2)楽楽精算

「楽楽精算」は株式会社ラクスが提供する経費精算システムです。滝藤賢一さんと横澤夏子さんが出演されているテレビCMでもおなじみですね。ラクスは経費精算のほか、販売管理、労務、電子請求書発行などバックオフィス業務を支援するさまざまなサービスを扱っています。こちらは2021年の5月末の段階で導入者数は8,000社を超えたとのことです。時価総額は驚異の6,000億超えと、SaaS関連企業では日本一です。(2021年10月15日現在)

6,000億の時価総額というのは、伊藤園や凸版印刷など歴史ある大企業と同じくらいの企業価値と評価されています。ARRや解約率などは公表されていませんが、実績を見る限り日本で最も成功しているSaaS企業のひとつといえます。

(3)LegalForce

株式会社LegalForceが提供するLegalForceは、主に契約書レビューをAIの力を借りて効率化・平均化できるサービスです。最近よく聞くようになった「リーガルテック」という言葉をご存じでしょうか。これはリーガル(法律)とテック(テクノロジー)を掛け合わせた造語で、法律関係の業務にITを活用する製品やサービスの総称です。

導入社数は2021年9月末時点で1,000社を超えたことが発表されました(法律事務所も含めると1,250社)。「LegalForce」が選ばれる理由のひとつとして、「お客様の課題を解決する新機能の追加・改善を早いサイクルで行っていること」が挙げられています。
(出典:https://legalforce-cloud.com/news/13

未上場のため、時価総額、ARR、解約率など未公開ながら、非常に勢いのあるSaaSベンダーといえます。

まとめ

本記事では、以下の3章にわたってご説明しました。

  1. サブスクリプションモデルについて
  2. サブスクリプションの特徴
  3. サブスクリプションモデルを採用しているSaaS企業例

サブスクリプションモデルは、BtoCのみでなくBtoBにも広く普及してきています。提供者側からするとユーザー数を増やしやすく安定した売上を見込めることや、利益の見通しが立ちやすいことが大きなメリットです。

今回はサブスクの例としてSaaSを取り上げ、国内SaaS事業者を3社紹介しましたが、それ以外にも多くの企業がSaaSを運営しており、コロナ禍でも安定して高成長を続けています。また、SaaSだけでなく、例えば製造業でサブスクモデルのビジネスを開始する企業も続々と登場しています。(トヨタ、リコー、コマツ、パナソニックなど)

今後も新しいサブスクリプションモデルのビジネスが次々と登場していくことでしょう。

サブスクモデルを成功させるには顧客にサービスを使い続けてもらう必要があります。そのためにはカスタマーサクセスがカギとなりますが、カスタマーサクセスを成功させるためには顧客の声を聞くことがとても大切です。

「VOICE TICKETS」は顧客の声を拾い上げ、双方向のコミュニケーションが取れるツールです。カスタマ―サクセスやVoCの収集にご興味がありましたらぜひ資料をご覧ください。

CTA

RELATED POST関連記事


    RECENT POST「サブスクリプション」の最新記事


    サブスクリプション

    チャーンレートとは

    サブスクリプション

    チャーンレートの計算方法

    サブスクリプション

    カスタマーサクセスとは

    サブスクリプション

    カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違い

    サブスクリプションモデルの5つの特徴とサブスクモデルを活用したSaaSの事例3選
    CTA

    RECENT POST 最新記事

    RANKING人気記事ランキング