アルゴリズムはプログラミングの効率化に役立つ方法であり、プログラミングを学ぶ際には併せて学習しておきたい内容です。
この記事では、アルゴリズムの概要や役割、勉強方法をご紹介します。具体的な学習方法として、Webサイト・アプリ・本など例を豊富に解説するので、ぜひ参考にしてください。
アルゴリズムとは
アルゴリズムとは問題解決のための手順や方法のことを指し、プログラミングを行ううえで基礎となるものです。迷路で例えると「ゴールまでの進み方」がアルゴリズムに該当します。その手順に沿えば課題をクリアできるような、仕組みそのものを指しているのです。
アルゴリズムは、手順の数や組み合わせ方によっては処理速度や精度、使用する記憶容量などが変化します。しかし、手順が異なっていても問題を解決するものであれば、すべて「アルゴリズム」といえます。大量のデータを扱うプログラミング作業においては、さまざまな種類のアルゴリズムが活用されています。
ちなみに、アルゴリズムの中でも著名なものとして「ソートアルゴリズム」が挙げられます。これはあるデータの集合を、大小関係や何らかの規則性に応じて整列させる仕組みのアルゴリズムです。事務業務などで使用されるExcelなどにも並べ替え機能が搭載されていますが、こうしたソートアルゴリズムが組み込まれているのです。
アルゴリズムについて、こちらの記事でも基礎知識をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
アルゴリズムとは?プログラミングにおいての重要性、代表的なアルゴリズムの種類を紹介
アルゴリズムを学習する意義
プログラミングの効率や品質向上を目的としたアルゴリズムの学習は有効な方法です。プログラマーやエンジニアとして働く場合も、アルゴリズムは習得しておきたい知識のひとつです。
ここでは、アルゴリズムを学習するメリットを説明します。
プログラミングへの理解度が上がる
言語仕様や文法と併せてアルゴリズムを学ぶことで、問題解決に必要なプログラムの組み方を理解しやすくなります。
実際にプログラムを構築する際には、順次処理・繰り返し処理・条件分岐処理の制御構造を使い分けることが一般的です。なお、順次処理とはプログラムを順々に実行するもので、最も基本的な書き方です。繰り返し処理は指定した条件を満たすまで繰り返し実行する書き方で、ループ処理と呼ばれる場合もあります。条件分岐処理は指定した条件の有無で処理内容を変える書き方です。
アルゴリズムを学ぶことは、上記の制御構造を適切に組み合わせる練習になります。
プログラミングにおける課題解決能力が上がる
プログラムを作成する際には、処理速度やリソースの使用量などの最適化が重要です。プログラムの品質は業務効率に影響する要素のため、高品質なプログラムを組むにはアルゴリズムに関する知識が欠かせません。問題の内容に応じたアルゴリズムを用いることで、最適化されたプログラムを効率的に制作しやすくなるのです。
また、プログラミング言語にはさまざまな種類がありますが、基本的なアルゴリズムを学べば応用できます。そのため、ほかのプログラミング言語を習得する際でも、効率的に問題を解決できるようになるのです。
アルゴリズムのおもな勉強方法
アルゴリズムの勉強を行う際には、Webサイト・アプリ・本などの勉強方法を必要に応じて組み合わせることがおすすめです。ここでは、一般的な勉強方法のメリット・デメリットについて紹介します。
Webサイト・Webサービスを使った勉強方法
アルゴリズムの学習ができるWebサイトやWebサービスは無料のものが多く、通信環境と端末が揃っていれば勉強できます。
こうしたサービスの特徴としては、端末上でアルゴリズムの作り方を確認しながら学習を進められることです。そのため、学習からプログラム制作までをスムーズに行うことができます。また、初心者向けからエンジニア向けまで幅広いレベルのWebサイトがあるため、学習状況に合わせて使い分けやすい点も特徴のひとつです。
一部、利用料金が発生するWebサイトや、日本語対応していない海外のWebサイトも存在します。そのため、利用規約や料金、学習できる内容を事前に確認しましょう。
本で勉強する
アルゴリズムに関する本は種類が豊富で、学習する内容に合わせて使い分けられることが特徴です。特に、初級者向けの本はイラストや図解が充実しているものが多く、視覚的に理解しやすいようになっています。一通り読み解くことで、基本的な知識やアルゴリズムの組み方などを体系的に学べるでしょう。
本を選ぶ際には、勉強したい内容が書かれているか否か、自分に合った書籍であるか否かをしっかりと確認する必要があります。また、本は執筆から出版まで時間がかかるものもあります。出版されるまでに情報が更新されてしまうリスクも踏まえて、本での勉強を検討しましょう。
アプリで勉強する
アルゴリズムの勉強はアプリでも行えます。スマートフォンで勉強できるため持ち歩きやすく、場所を問いません。特徴としては、種類の豊富さや、学習内容に応じた選択肢の広さなどが挙げられます。また、基本的には無料でダウンロードできるアプリが多いので、使用するアプリを気軽に比較検討しやすい点もアプリならではの魅力です。
中には内容の一部が有料になっているアプリもあります。場合によって、ほかの勉強方法よりコストがかかるケースもあるため、よく吟味しましょう。
初心者におすすめのアルゴリズムが勉強できるWebサイト
Webサイトは無料で利用できるものが多く、イラストや動画の活用でより見やすくなっている点が特徴です。ここでは、プログラミング初心者が利用しやすいWebサイトをご紹介します。
AtCoder
AtCoderは、プログラミングのオンラインコンテストを開催しているWebサイトです。ほかのユーザーとリアルタイムで競い合ったり、コンテストの過去問に挑戦したりできます。プログラミングスキルを認定するランキングシステムがあり、現時点でのスキルレベルを視覚的に把握できるようになっています。アルゴリズム初心者を対象とした学習サービスや練習問題などもあるので、初心者から上級者まで幅広い層が利用できます。
ちなみに、Atcoder社が主催するアルゴリズム実技検定では、試験成績に応じて5種類のランク認定が受けられます。アルゴリズムの知識が問われる検定であり、知識やスキルを客観的に証明する方法として活用できます。
また、AtCoder社はシステムインテグレータ社が運営するサービス「TOPSIC-PG」の問題作成も担当しています。TOPSICはプログラミングスキルを客観的に測定できるクラウドサービスです。AtCoderの利用を検討する際には「TOPSIC-PG」の利用も併せてご検討ください。
VisuAlgo
VisuAlgoは、アニメーションによってアルゴリズムを視覚化して学習できるWebサイトです。
対応している言語は英語・中国語・インドネシア語で、ソースコードとアニメーションで学習内容が説明されています。必要に応じてアニメーションの一時停止や巻き戻し、早送りが行えるため、無理ないテンポで学習を進められるでしょう。語学の知識に関わらず、幅広い学習に活用できます。
初心者におすすめのアルゴリズムが勉強できる本
書籍はアルゴリズムの知識が体系的に記載されており、プログラミング初心者が基本的な知識を身に付けるのに適しています。ここでは、入門書籍としてアルゴリズムの勉強に適した本をご紹介します。
アルゴリズムを、はじめよう
伊藤 静香(著)、出版社:インプレス
線形探索法や二分探索法といった基本的なアルゴリズムを重点的に解説している本です。イメージとフローチャートを用いて解説する形式になっており、アルゴリズムの概要や必要性、定番とされるアルゴリズムなどが記載されています。基本的な知識をメインに解説している本なので、内容を理解することでプログラミングに応用できる知識や考え方を身に付けられる効果が見込めます。
アルゴリズム図鑑 絵で見てわかる26のアルゴリズム
石田 保輝 (著), 宮崎 修一(著)、出版社:翔泳社
基本的な26のアルゴリズムと7種類のデータ構造をイラストで解説している本です。アプリとして配信されている「アルゴリズム図鑑」を書籍化したもので、アルゴリズムを独学する人を対象に製作した本といわれています。
ソートや配列探索、グラフ探索や暗号などのアルゴリズムが幅広く記載されていることが特徴です。内容の多くがイラストで解説されており、初心者でもアルゴリズムの仕組みを理解しやすい工夫が施されています。本のもとになっているアプリは、スマートフォンとPCで配信されているので、必要に応じて適切な媒体を選びましょう。
世界でもっとも強力な9のアルゴリズム
ジョン・マコーミック (著), 長尾高弘 (翻訳、出版社:日経BP
実際に活用されている9種類のアルゴリズムについて、考え方と仕組みを解説している本です。2012年発売の書籍であり、公開鍵暗号や検索エンジンのインデクシング、データ圧縮などのアルゴリズムを分かりやすく解説しています。
この本は、ネットユーザーが日常的に使用しているアルゴリズムについて学べるため、アルゴリズムの基本的な勉強に適しています。
初心者におすすめのアルゴリズムが勉強できるアプリ
PCやスマホ向けのアプリは基本的に無料のサービスが多く、手軽に利用できるメリットがあります。ここでは、アルゴリズムを勉強できるものとして、プログラミング初心者に適したアプリをご紹介します。
アルゴリズム図鑑
アルゴリズム図鑑は、アルゴリズムの仕組みをアニメーションで解説するアプリです。スマホ向けとPC向けが用意されており、必要に応じて学習環境を選べます。解説のみを行う学習モード、自由に動作確認を行える実験モードの2種類が搭載されていることが特徴です。
ソートや探索などの基礎的な知識に加えて、ユークリッドの互除法、素数判定法といったアルゴリズムも掲載されています。そのため、資格勉強の補助ツールとしても活用できます。
無料でダウンロードできるアプリですが、すべてのアルゴリズムを確認するには所定の利用料金が必要です。
まとめ
アルゴリズムは問題解決に必要な手順であり、プログラミングの効率や品質に関わる要素です。アルゴリズムの基礎を正しく理解すれば、さまざまなプログラミング言語を効率的に使いこなせるでしょう。
特にIT領域は日進月歩の進化を遂げており、扱われる技術トレンドの変化も早い環境です。そうした中、個別具体の技術知見を深めるのではなく、根幹となるアルゴリズムそのものを知ることで学習効率も高められるはずです。
当社では、アルゴリズムを学びたいと考えている方に向けて、基礎となる部分をマスターしてアルゴリズムをビジネスで活用できるようになるための資料をご用意しております。アルゴリズムの仕組みに興味がある方は、TOPSICの資料をぜひ手に取って学習をスタートさせてみてください。