新しいプログラミング言語を学習するにあたり、どの言語を選ぶかを重要視している人は多いでしょう。1つのプログラミング言語を習得するまでには多くの時間が必要ですし、せっかく習得したのならば、直接ビジネスに繋げたいと考えるのがごく自然です。そうした考えも多いなかで、ここ数年、多くの人に選ばれているプログラミング言語が「Python(パイソン)」です。
その理由としては、圧倒的な求人数が挙げられます。求人検索エンジン「スタンバイ」が発表した、プログラミング言語別年収ランキング2018によると、Pythonの平均年収ランキングでは1位Go、2位Scalaに続く第3位にとどまりますが、求人数ではGo、Scalaの4倍以上の数を誇っています。C言語やRubyといった、世界的なプログラミング言語と並び、全言語のうちトップレベルであると推測されます。
では、Pythonとは一体どのようなプログラミング言語なのでしょうか?本稿ではPythonの特徴と、その概要をご紹介します。
Pythonとは
Pythonの歴史は古く、1991年にオランダ人開発者のグイド・ヴァン・ロッサム氏によって開発されています。ここ数年で一気に注目されたプログラミング言語ですが、実は昔から存在しているのです。
Pythonの特徴を簡潔に説明する「少ないコード量で簡単にプログラムが作成でき、ソースコードが読みやすい」ことでしょう。AI分野を中心に、Web開発分野や教育分野など、幅広い分野で使われています。要するに、かなりオールラウンドなプログラミング言語ということです。
Pythonを使うメリット
文法がシンプルで書きやすい(=読みやすい)
Pythonはソースコードの書きやすさ・読みやすさを追求したプログラミング言語です。文法が非常にシンプルで必要最低限のものしか用意されていないため、エンジニアにとって書きやすく、かつ読みやすい言語となっています。特定のプログラムを作成するのに何通りもの書き方は用意されていないので、他人が書いたソースコードも読みやすいのが特徴です。他の開発者が書いたソースコードを読みやすいということは、開発現場において非常に重要なことですよね。
さらに、文法のシンプルさから初心者にも分かりやすく、学びやすいプログラミング言語だとされています。近年では、世界各国の大学など高等教育においてPythonを使用するケースも増えています。
字下げに意味があるオフサイドルール
Pythonのソースコードをシンプルにしている仕組みの1つが「オフサイドルール(Off-side Rule)です。これは、if文などのブロックを字下げ(インデント)で指定するというもので、この仕組みによって誰が書いても同じソースコードになることから、Pythonを書きやすく読みやすくしています。
専門分野における実績が高い
プログラミング学習を始めようと考えている方の中には、AI分野の特に「ディープラーニング」に興味を持っている方が多いかと思います。ディープラーニングを学習する際は、その基礎知識となる機械学習について知る必要があります。
Pythonはシンプルなソースコード、初心者の習得しやすさ、計算・統計処理で使用できるライブラリなどの特徴からAI分野で多用されているプログラミング言語であり、ディープラーニングを学びたい方に最適です。
ちなみにYouTubeやEvernoteなど世界的に利用されている大規模なWebサービスもPythonで開発されており、実績は十分だと言えます。
実用的なライブラリで開発を高速化できる
ライブラリとは開発に役立つプログラムをまとめたものであり、Pythonには機械学習などに使う機能をまとめたライブラリがたくさん用意されています。そのライブラリを上手く活用することで、ソースコードをゼロから書く必要がないため、開発を高速化できるメリットがあります。
Webサービスを簡単にリリースできる
Pythonはライブラリだけでなく、使いやすいWebフレームワークが用意されているのも特徴の1つです。Webフレームワークとは、Webアプリケーションを制作するために必要な機能を詰め合わせたツールのことで、便利なWebフレームワークが多数開発されています。
これにより、Webサービスを簡単かつ高速に開発でき、リリースまでの時間を大幅に短縮できます。
以上のように、Pythonは他のプログラミング言語に比べて多くのメリットがあるため、高い人気を集めており、初心者にとっても扱いやすい言語となっています。
Pythonでできること
では、結局のところPythonを学習することで何ができるようになるのでしょうか?先にも触れましたが、Pythonはオールダウンダーのようなプログラミング言語なので、基本的にはどんなソフトウェアやサービスでも作れてしまいます。一般的なもので言えば、次のようなことができます。
- AI/機械学習
- Webアプリケーション
- デスクトップアプリケーション
- 組み込みアプリケーション
- ゲーム
これだけのものをPythonひとつで開発できるため、プログラミング市場において需要が高いのもうなずけますね。YouTubeやEvernote以外にも、InstagramもPythonで作られているサービスの1つです。
AIに興味がないという方でも、Webアプリケーションやゲームを開発する際にPythonがおすすめできます。前述のように、Pythonには多数のWebフレームワークが用意されており、ゲーム分野においても多数のライブラリが用意されているので、どちらも効率的に素早く開発できるのが特徴です。さらに、Pythonは世界中で人気の高いプログラミング言語であることから、開発者が多く様々なライブラリが共有されているため、素早く開発するための環境が整えられています。
プログラミング言語選びは目的から!
Pythonは世界的に見ても非常に需要の高いプログラミング言語であり、さらに学習しやすいため、初めて学習する言語としても最適です。
ただし、スマートフォンのネイティブアプリなどの特定の用途の開発には必ずしも適しておらず、その場合、SwiftやKotlinなどの方がおすすめであったりもします。オールラウンダーといっても何でもできるわけではないため、プログラミング学習を始める方は、まず目的を明確にしてから学習するプログラミング言語を選択しましょう。
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