現在、IT需要の伸長に伴いプログラマーの需要も増大しています。そうしたなか、学習指導要領の改定により、2022年から小学校から高校までのプログラミング教育が必修化されました。プログラミングに興味を持つ人が増えることが期待されていますが、プログラミングの学習をさらに深めていこうと考えた場合、独学によるプログラミング学習は時間と体力を必要とするため失敗しやすいと言われています。
プログラマーになるために効果的な学習を進めるには、プログラミングのオンライン学習サイトが有用です。そこでこの記事では、オンライン学習サイトによるプログラミング学習の詳細・適切な学習サイトの選択方法・学習時の注意点などを紹介します。
プログラミングのオンライン学習サイトを活用するメリット・デメリット
オンライン学習サイトで勉強するメリットとして、初心者向けのものが多く、プログラミングを始めやすい点が挙げられます。
まず、多くの学習サイトでは、基本的なプログラミング学習が無料となっています。
動画による講習形式を取っていたり、学習内容をスライドで流したりなど、サイトによってさまざまな学習方法が用意されています。無料で気軽に試すことができるため、自分に合った最適な学習方法が選べるでしょう。
初心者以外の方にも、オンラインサイトによるプログラミング学習は効果的です。プログラミングのスクールに通う場合と異なりネットにつながる場所であれば閲覧できるため、通勤中や帰宅途中、休憩中などの時間帯であっても学習が可能です。
一方、オンラインのプログラミング学習サイトを活用するデメリットは、不明点の解説を行っていない場合がある点です。そのため、オンラインサイトによる学習では、学習通りに行ったはずのプログラミングで発生してしまったエラーの解消などに時間を費やしてしまうことがあります。
また、独学では、学習手順がわからなかったり、実際にスキルが身についているか分からなかったりすることも珍しくありません。こうした背景から、モチベーションが維持しづらいことも、プログラミング学習の課題として挙げられます。
なお、この記事ではこうした課題への対処法についても触れています。詳しくは「プログラミングのオンライン学習サイトを利用する際の注意点」をご覧ください。
プログラミングのオンライン学習サイトを選ぶポイント
プログラミングのオンライン学習サイトは、自身のタイミングや用途に合わせて勉強できるというメリットがあります。サイトごとの具体的な違いは、学習したいプログラム言語の有無、学習方法と講習の難易度との相性、利用料金の有無などです。
ここではプログラミングを勉強する学習サイトの選び方について説明します。
学習したいプログラミング言語の講座があるか
プログラミング言語によって使用目的が異なります。まずは、どのようなプログラマーになりたいかを考えてみましょう。
(使用例)
・Webサービス開発:「HTML/CSS」「JavaScript」「PHP」「Ruby」
・ゲーム開発:「JavaScript」「C#」
・iOSアプリ開発:「Swift」
・AI開発:「Python」
・Androidアプリ開発:「Kotlin」「Java」
目的が決まったら、勉強したいプログラミング言語に対応しているオンライン学習サイトを選択すると良いでしょう。
学習方法が自分に合っているか
プログラミング学習サイトにはさまざまなスタイルがあり、主に以下の3つのものが挙げられます。
・動画
視覚的に学習できるため、読み物が苦手な方におすすめです。また、動画投稿サイトで公開されている動画は、無料で視聴できるコンテンツが多いことも特徴です。
デメリットはテキストなどと同様に内容が古くなってしまう可能性がある点で、勉強をする段階で最新の動画であるか確認するようにしましょう。
・ゲーム
最大のメリットは「勉強する」という意識ではなく、ゲームで遊びながらプログラミングを学べる点です。大人だけでなく小中学生なども触れやすく、プログラミングを学ぶことで論理的な思考が身に付くという特徴があります。
一方で、動画や講座などと比べて扱っている範囲が狭いこともあり、より深い学習には向いていない場合もあります。プログラミング学習の入り口として活用するとよいでしょう。
・講座
講師との授業形式でプログラミングを学べます。オンラインの授業であればインターネット環境さえあればどこからでも受講できます。少々費用はかかりますが、自分が学びたい言語を丁寧に学びたい方におすすめです。
上記を踏まえて、自分に合っている学習方法を探してみましょう。
講座の難易度が自分に合っているか
初心者が高難易度のプログラミング学習から開始すれば挫折しやすく、経験者が初歩的な講座を受講するのは時間の浪費になってしまいます。そのため、自らのレベルに合った難易度の講義を受講することが重要です。難易度の選定には、受講前の準備と自身の実力を推測する視点が大切です。
また、オンラインでプログラミング学習を行う際は、自らのPCのハードウェアとソフトウェアで環境構築が必要となる場合があります。環境構築は手間がかかる作業となるため、初心者は環境構築が不要の学習サイトがおすすめです。
学習サイトを比較する際は掲載コンテンツのチェックのほかに、クチコミサイト等でそのサイトの評価を参考にするとよいでしょう。また、学習サイトで扱う内容の範囲を確認し、学習範囲が文法どまりか、実践レベルまでか、実務レベルまで掘り下げているかといった点に着目することで、目的に沿った学習サイトを選びやすくなります。
料金
対象となるプログラミングの全範囲が無料で学べるオンラインサイトもありますが、ほとんどの学習サイトではどこかの段階で利用料金が発生します。効果的な学習サイトの選択は金額だけではなく、無料で利用できる範囲と料金支払方法の確認が大切です。
このうち支払方法は一括払いと月額制に分けられます。自分の学習スタイルとプランを見据えて、適した支払方法を選びましょう。
プログラミングのオンライン学習サイトおすすめ8選
数多くあるプログラミング学習サイトの中から代表的なオンライン学習サイトを挙げ、内容を比較します。学習サイトの詳細説明と合わせて確認してください。
学習サイト |
無料講座 |
料金(税込) |
学習方法 |
対応言語 |
ドットインストール |
有 |
1,080円(月額) |
動画+講座+実践 |
多数 |
Udemy |
有 |
1動画1000円~3万円程度 |
動画+講座 |
多数 |
Progate |
有 |
1,078円(月額) |
スライド+実践 |
多数 |
paiza動画ラーニング |
有 |
1,078(1ヶ月)~7,200円(12ヶ月) |
動画+テキスト+実践 |
多数 |
Schoo |
有 |
980円(月額) |
動画 |
多数 |
PyQ |
有 |
月額3,040~8,130円 |
スライド+実践 |
Pythonなど |
Skill Hacks |
無(※1) |
69,800円 |
動画 |
HTMLなど5言語 |
AtCoder |
(※2) |
無料 |
実践 |
多数 |
※1:YouTube内に講義動画の一部を収録したサンプル動画が存在します。
※2:AtCoderはコンピュータプログラムのコンテストであり、講座は存在しません。
ドットインストール(株式会社ドットインストール)
ドットインストールでは動画を視聴してプログラミングの学習を行えます。
2022年7月現在公開されている7,119 本の動画はすべて1本あたりの時間が3分以内であり、少しの空き時間や意欲が盛り上がらない時などでも気楽に取り掛かれるよう工夫されています。
- 3分動画でマスターできる、プログラミング学習サービス
- プレミアム会員なら、レッスンでわからないところを先生に質問できる
Udemy(Udemy,Inc)
Udemyは講師への質問ができる講座形式の学習サイトです。動画を購入する形式でもあるため、講座終了後も何回でも見直せます。
料金は1動画につき1,000円から3万円程度ですが、一部の動画は無料で視聴できます。また、月平均で2・3回動画価格の割引セールが実施。過去には価格が最大で20分の1となるセールも実施されました。万一効果が期待できない講座であっても、動画購入から30日経過するまでは動画の返品・返金が可能です。
- 200,000以上の動画コース
- モバイルでもデスクトップでも学習期間の制限なし
- コースはすべて30日間返金保証付き
Progate(株式会社Progate)
Progateは「初心者でも独学で、挫折せずに学べる」ことを目指したプログラミング学習サイトです。
例えば、プログラミングの際に誤ったコードを記入した場合、Progateではミスの場所だけではなく間違いの理由や対処法も合わせて日本語で示してくれます。そのため失敗した原因が分かりやすく課題の解決も簡単となります。また、学習開始前の環境構築も不要なため、登録するだけで勉強が可能です。
スマートフォンやタブレットでもProgateのアプリをダウンロードすればプログラミングの学習ができます。作業中はプログラムの完成度合いがパーセント表示されるため、モチベーション維持にも効果的です。
- 紙の本よりも直感的で、動画よりも学びやすい、「スライド学習」を採用
- 実際にプロダクトを作りながら学び、使えるスキルが身につく
- 「創れる人」になるために必要なレッスンを、最適な順番で受けられる
paiza動画ラーニング(paiza株式会社)
paiza動画ラーニングは動画とテキストを同時に視聴して学習できるサイトです。動画以上に詳細な説明をテキストで補い、テキストでは分からない部分を動画で視覚的に理解できるため、効果的にプログラミング学習を進められます。
paizaによるプログラミング学習には2つの特徴が挙げられます。1つ目はゲーム形式のプログラミング学習サイトが豊富に用意されていることです。「コードガールこれくしょん」というタイトルのゲームで、プログラミングを楽しく学び続けられます。ほかのゲーム形式サイトで教わるスクリプト言語だけではなくC言語やJavaなどのコンパイラ言語にも対応している、本格的な構成のゲーム教材が魅力です。
- 環境構築不要。5秒で開始
- 3分動画で毎日続けられる
- 不明点はエンジニアに質問できる
Schoo(株式会社Schoo)
Schooはプログラミングなどの講習を生放送形式で視聴できる動画配信サービスです。生放送は無料で視聴でき、月額税込980円のプレミアム会員に加入するとすべての録画講習の受講・倍速再生・ダウンロードを行えるようになります。また、生放送中の講習ではチャットでの質問も可能です。
- 双方向ライブ形式の授業
- ユーザーのコメントで授業が変化するから、常にオリジナル
- 19のカテゴリ7,000本以上の授業をいつでも受講可能
PyQ(株式会社ビープラウド)
PyQはプログラミング言語のPythonに特化した学習サイトです。Pythonの習得のために1,500問以上の問題が用意されています。なお、PyQの利用にあたって環境構築は必要ありません。
月々税込3,040円の個人ライトプランに加入することで、すべての問題に回答できるようになります。月々税込8,130円の個人スタンダードプランでは、個人ライトプランのサービスに加え、現役エンジニアからのサポートが受けられるPyQ学習サポートの利用も可能です。
- 技術書1冊分の価格
- Python独学プラットフォーム
- 興味に寄り添う、1500問以上から選べるコンテンツ
Skill Hacks(株式会社スキルハックス)
Skill Hacksはプログラミング言語であるHTML・CSS・Bootstrap・Ruby・Railsを動画形式で教える学習サイトです。69,800円の一括支払いにより、これら5つの言語の学習に必要な動画94本を購入して学習する形式です。
購入後はLINEを通じ無制限に質問を行えます。動画1本あたりの時間は10〜20分と短めで、学習しやすいシステムが特徴です。
- 最短・最速、初心者向けの動画講座
https://skill-hacks.co.jp/skillhacks/
AtCoder(AtCoder株式会社)
AtCoderは厳密にはプログラミングの学習サイトではなく、コンピュータプログラムのコンテストを開催するサイトです。そのため、AtCoderではプログラミング言語の講習は行っていません。
ただし、Atcoder社が問題を提供しているTOPSIC-PGにおいて、AtCoderの初心者・初級者向けのコンテストであるAtCoder Beginner Contestの過去問題が公開されています。AtCoder社による公式の解説も掲載しているため、プログラミングの技量を図る方法として活用してみてください。
その他おすすめのプログラミング学習サイト
Udacity
Viscuit
テクノロジア魔法学校
Scratch
SKILLHUB
Code Avengers
CodinGame
SAMURAI TERAKOYA
sololearn
Techpit
本気のパソコン塾
Code.org
Rubyプログラミング少年団
D-SCHOOL
プログラミングゼミ
コードクロニクル
Springin’(スプリンギン)
プログラミングのオンライン学習サイトを利用する際の注意点
プログラミングに限らず、学習の達成には明確な目標が必要です。目標を達成させるために、場合によっては学習サイト以外の方法を検討する必要もあります。
ここでは、学習目的の設定とモチベーション維持の方法、学習サイト以外のプログラミング学習方法の詳細を説明します。
学習目的を明確にしよう
適切な目標を設定することで計画的に勉強を進められ、スキルを効果的に習得できます。目標を達成することでモチベーションも維持できるため、次に選ぶゴールに向けても頑張ろうと意欲をキープできます。現状と目的の間に細かい目標を設けつつ、一歩ずつ確実にゴールへ向かっていくのが効果的でしょう。
目的の設定には学習するプログラミングでできることと、自分が実現したいことの見極めが必要です。この2つの把握が終わった後に目的の具体化と予想されるハードルを整理しましょう。
モチベーションの維持に気を付けよう
プログラミングのオンライン学習に対するモチベーションを維持する方法として、学習期間の目標設定が挙げられます。
オンライン学習は講習形式を除き、指導や助言を行う相手が存在しません。そして、独学であるために学習予定は自ら設定する必要があるため、効果的な目標設定と実行には自制心が求められます。
いつまでに学習を終わらせるという期限を具体的に定めることで、勉強への集中力がアップし効果的です。
学習サイト以外の活用もおすすめ
学習サイト以外に、YouTubeの動画視聴やスクールの無料体験、プログラマーとの交流を通じて学びを深める方法もおすすめです。
YouTubeでは無料で学習内容を視聴できるだけでなく、近年ではプログラマーによる講習動画も増えています。しかし、動画の質の保証はされていないため、自己責任で学習対象とするコンテンツを判断しなくてはなりません。加えて、投稿日が古く最新の情報が反映されていない動画もあるため、投稿日などはよく確認しておきましょう。
スクールの学習では講師との1対1となるきめ細かい講習や、プログラミングに関する学習以外の質問も行えます。また、講習内の最終目標としてオリジナルプログラムの制作を課すスクールが多いため学習目標の設定にも困りません。プログラミング教室やオンラインスクールの体験講習で自分に向いているというスクールが見つかれば、スクールの料金に見合った効果を上げられるでしょう。
プログラマーに相談することで、プログラミングに関する疑問点や不安などを解消する方法もあります。周囲にプログラマーがいない場合はSNSやオンラインサロンで相談できますが、オンラインサロンでは利用料金が発生することに注意してください。
まとめ
ここまで、プログラミングを独学で習得する際にオンライン学習サイトを使うメリットや種類、学習効果を高めるためのポイントについて説明しました。適切な学習を実施する過程では定期的に成果を測定し、自分のレベルの把握がモチベーション維持にもつながります。
より効果的にプログラミングの学習を進めたい方は、ぜひTOPSICをご活用ください。TOPSICはプログラミング能力を客観的に計測するオンライン試験です。TOPSICではプログラミング学習の入門編となる冊子「教養としてのプログラミング入門BOOK」もダウンロードできます。
冊子は全37ページで短く分かりやすくまとめられているだけでなく、必要な部分のみを読んで役立てることが可能です。
また、本冊子ではプログラミング言語のPythonが使われています。Pythonは2021年10月のプログラミング言語ランキングで1位となるなど、世界中の業務で頻繁に用いられている言語です。以下のリンクから冊子をダウンロードして、プログラミング学習を成功させましょう。
- カテゴリ: