PG BATTLE 2022 「企業の部」4位に入賞した、エムシーデジタル『全身がMC Digital』チームの皆様にインタビューを行いました!
PG BATTLE 2021に続き、企業の部4位入賞チームには、Prizeスポンサーであるサイバージムジャパン様からのご厚意で「サイバージムトレーニング券(各国のハッカーと対決する券)」の個別賞が贈呈されました。サイバージムジャパンの田中様にもご参加いただき、PG BATTLEはもちろん、トレーニング当日の様子や興味深いお話をお伺いしましたので、ぜひご覧ください!
●PG BATTLE 2022 ホームページ
https://products.sint.co.jp/pg_battle_2022
●PG BATTLE 2022 Twitter 結果発表会 まとめ
https://togetter.com/li/1971168
エムシーデジタル『全身がMC Digital』チームのご紹介
※個別賞4位インタビューということで、4位のポーズでキメてくれた『全身がMC Digital』の3名様!後方には、PG BATTLE 2021とPG BATTLE 2022で優勝した仲間のトロフィーも輝いています!
(左) 佐藤英一郎氏:ましゅまろ担当
(中) 伏下直哉氏:かつおぶし担当
(右) 松崎照央氏:せんべい担当
『全身がMC Digital』チームはPG BATTLE 2022「企業の部」最多191チームの中で、4位に入賞されました。合計点:270点/300点、タイム:265分50秒/270分という好成績は、全378チーム中11位という素晴らしい結果となっております。(かつおぶし担当の伏下さんは、PG BATTLE 2021の「企業の部」の優勝メンバーです)
インタビュー:PG BATTLE 入賞までの道のり
PG BATTLE 2022の4位入賞、そして「各国のハッカーと対決する券」の獲得おめでとうございます!参加の経緯を教えてください。
(伏下) 前回は僕が参加した1チームだけの参加だったのですが、それ以降、社内で競技プログラミング(以下競プロ)をやっている人が増えたので、PG BATTLE後に感想戦ができればいいなと思って社内のSlackで広く募集しました。そこで集まったメンバーからチームを編成し、計4チームが参加しました。
(記者) 具体的にどのようにチーム編成したのですか?
(伏下) 割と無慈悲に、AtCoderのレートが高い順から機械的に編成しました。(笑)
(松崎) だから1位のチームが一番強くなっています。
(記者) 難易度の担当分けもレート順ですか?
(伏下) そこはチームにお任せしました。
(記者) チームが組まれて「初めまして」となったメンバーもいらっしゃったんでしょうか?
(伏下) そこまではないにしても、ちゃんとコミュニケーションを取るのは初めてのメンバーはいたかもしれないですね。
(記者) 社内での声掛けがきっかけで、それまで関わることがなかった人たちがコミュニケーションをとるようになったのはいいですね!
当日までの練習方法は?
(松崎) 社会人になってから練習はできてないですが、学生時代は、AtCoderや参加する大会の過去問を解いていました。
(佐藤) 僕も同じです。社会人になってからは時間がとれないので。
(伏下) 最近はコンテスト外の練習はできていないです。AtCoderやタイミングが合えば海外のコンテストに参加したりしています。
(記者) 松崎さんと佐藤さんは久しぶりの競プロだったそうですが、感覚を取り戻す為に何か対策されましたか?
(松崎) 僕は前日か当日にAtCoderのABC(AtCoder Beginner Contest)に取り組んで感覚を取り戻した感じです。
(佐藤) ましゅまろ担当ということで多少ナメてかかっていたので、準備しないで参加したら時間がかかって申し訳なかったです。(一同笑)
(伏下) TOPSICのシステムは確認してたよね。
(佐藤) そうですね、最低限のサンプル問題を解きました。
(記者) 提出のシステムがAtCoderとは違うので、それに慣れている人たちは直前にちゃんと確認してからPG BATTLEに参加されているようですね。
プログラミングや競プロを始めたきっかけは?(伏下さんのきっかけは2021優勝者インタビューをご覧ください)
(佐藤) 高校のパソコン部でプログラミングを知ったのがきっかけです。そこではゲームの開発をしている人が多く、プログラミングとは何たるかを学びました。でもその時は肌に合わなくて止めてしまいました。その後、数学研究部に入ったら競プロが強い人たちがいて、そこから競プロの世界にのめりこんでいきました。
(松崎) 小4ぐらいの時にゲームクリエイターになりたいと思っていました。算数が得意だったので、最初はHSPという初心者向けの言語を中学まで触っていて、高専に入ってからは部活で競プロをやり始めました。
(記者) 部活というのは・・・?
(松崎) 情報工学研究部とゲーム制作同好会で、その両方でプログラミングを教えてもらいました。
プログラミングの勉強方法は?
(松崎) 以前は大会に向けてひたすら問題を解くみたいなことはありましたが、特別なことはやってないですね。
(伏下) 技術書を買って、仕事が終わった後や休日に読んだりするくらいです。
(佐藤) プログラミング好きな人たちがSNSで面白い記事を拡散してくれるので、それを読んでいます。
(松崎) Twitterで競プロの新しい知識とかを得られたりするよね。
(佐藤) そういう人たちのアカウントをフォローして、よい情報収集ができるようにしています。
(伏下) あと、プログラミングの勉強とは直接結びつかないかもしれませんが、会社でも有志が集まって論文をひたすら読むという勉強会を行っています。
初心者がアルゴリズムに強くなる方法は?
(松崎) 難しいですね・・・。僕自身は情報オリンピックの過去問を解いて少しずつできるようになっていったのですが、高専で部長になって後輩に教えるようになった時に、すぐに理解できるようになるのは意外と難しいんだなと思いました。なので簡単な方法は思い浮かばないですが、大会やAtCoderのレートなどを目標にするとモチベーションを維持しやすくて頑張れるんじゃないかと思います。
(伏下) 僕がAtCoderを始めた時は、ひたすらAtCoderの過去問を解いたり、蟻本(プログラミングコンテストチャレンジブック)をやったりしていました。今は入門書のような競プロの参考書が増えていると思うので、それを読むのがいいかなと思います。
PG BATTLE当日はどうでしたか?
(伏下) 佐藤さんが初参加だったので、AtCoderと比べて提出方法など気を付けることをSlackで伝えました。
(記者) AtCoderと異なる提出方法だと分かった時はどう思いましたか?
(佐藤) 「PG BATTLEは、出したら終わりという普通のコンテストとは違う緊張感がある」とTwitterで見て認識はしていました。実際本番では、一番簡単なましゅまろ担当ということもあり、チェックを怠らないように二重三重と実施しました。
(伏下) PG BATTLEが終わった後はみんなで報告をし合ったのですが、松崎さんから「せんべいの4問目が難し過ぎた」と報告があって、かつおぶしより難しかったんじゃないかって・・・。
(松崎) 難しかったですね~。最初から捨ててすぐ提出していれば順位ももう少しよかったのにと思うと少し悔やまれます。
(記者) 今回のせんべいは早く切り上げたもの勝ちみたいなところがありましたからね。チーム全体を見ても正解者は少なかったし、3問解いて14分で提出した方もいらっしゃるほどでした。
(伏下) 開始前に、「分からなかったらすぐ打ち切った方が順位は高くなる」という話をしたのですが、「解けなそうでもギリギリまで粘った方が楽しいんじゃない?」という話もしてしまったので、作戦通りと言えば作戦通りです。(一同笑)
(松崎) 来年からはすぐに切り上げようと思います。(一同爆笑)
PG BATTLEに参加してよかったことや反省点はありますか?
(佐藤) 一番簡単な難易度担当だったのに、ちゃんと準備をせず時間をかけたことが反省点です。嬉しかったことは、強い人とチームを組めたことで4位が取れたことです。自分1人参加だとこんな高い順位は取れないので。
(記者) チーム戦についてはどう思いますか?
(佐藤) 個人参加のコンテストは世の中にたくさんあるので、チーム戦がいいという人もいると思います。僕も、もしPG BATTLEが個人戦だったらたぶん参加していないですね。
(松崎) うちの会社はチームが組みやすいから有利ですね。
(伏下) こんなに競プロerがたくさんいる会社も珍しいと思います。メンバー募集の声掛けにすぐ反応して沢山の人が集まってくれるって幸運ですよね。
(松崎) 会社によっては1チームも組めないところもあるでしょうからね。
(記者) あと1人どうしても足りなくてチームが組めないということがあるようなので、そこは運営側としては切なくて申し訳ないと思っています。
PG BATTLEの相談禁止ルールについてはどう思いますか?
(伏下) 僕は相談ありの方が好きですね。社会人のチーム戦は少ないのでチーム戦があるのは嬉しいですし、相談できたらもっと嬉しいなと思います。相談なしだと失敗した時の申し訳なさがあるので・・・。
(松崎) 相談ありだと、知ってる人と組まないとやりづらいところがあるかも・・・。
(伏下) そっか。でもそしたら社内コミュニケーションの活発化になるし、知らない人と組んでも楽しそうじゃない?
(松崎) そうですね、そうなると事前にチーム練習とかするかもしれないですね。
(佐藤) 実力がある程度揃ってたら相談しやすいけど、差がありすぎると相談ではなくなってしまうかも。今回で相談可だったら、僕はたぶん伏下さんに聞いてたと思うので・・・(一同笑)
競技プログラミングは実務にどのようなメリットがあると感じられますか?
(佐藤) ヒューリスティックコンテストに似た内容に関連するプロジェクトに関わっているので、あらゆるところで常に競プロの恩恵を授かっています。
(松崎) そうですね。業務で扱う問題自体、ヒューリスティックっぽいものが多いので、プロジェクトの内容理解にも競プロは役立っていると思います。
(伏下) プログラムを書くのが苦手といった人があまり社内にいないので、開発に役立っていると思います。
チーム名『全身がMC Digital』の由来は?
(松崎) 誰が言い出したか分からないんですが、弊社に入社して働きだすと「全身がMC Digital」になるらしいという内輪ネタから誕生したチーム名みたいです。(一同笑)
結果発表はご覧になりましたか?
(佐藤) 見ていて、自分たちが3位入賞するかどうか気になっていました。
(松崎) 少しだけ見ていて、自分たちの順位と他の部門の順位を確認しました。Twitterを見ながら発表会を見ると、みんな実況していて面白いんですよね。
(伏下) たぶん見ていたと思います。(笑) 社内でも参加者同士で「PG BATTLEどうだった?」という話をしていて、結果発表の前に満点のチームがいたのを知っていたので、自分達よりそっちの順位の方が気になっていました。
●PG BATTLE 2022 結果発表会
インタビュー:ハッカーとの対決
サイバージムジャパン様からのご厚意で「各国のハッカーと対決する券※」を獲得されましたが、ハッカーと対決すると知っていかがでしたか?
(佐藤) 最初に思ったのが、トレーニングは有休でできるのかということです。(笑)
(松崎) 業務内トレーニングみたいな扱いで出勤日にしてもらえてよかったのですが、思いとしては3位以内に入賞して賞金を取りたかったです。
(伏下) ハッカーと対決というとセキュリティの分野で競プロとは異なるので、できるわけないじゃないかと思っていたのですが(笑)、前回、同じ賞を獲得したチームのインタビューを読むと、最初は不安だったけどやってみたら楽しかったと書いてあったので救われました。(笑) あと社内の人たちから「ハッカーとの対決インタビューを楽しみにしてます」と言われました。
(※「各国のハッカーと対決する券」とは、サイバージムジャパン様のトレーニングプログラム「Cyber-Threats and Defense Essentials」のこと。実際のサイバー攻撃を受け、複数の検出・監視ツールを駆使してサイバー攻撃を検出し、その分析を行うためのスキルを習得するのが目的。トレーニング期間は事前座学と当日実践の2日間。『全身がMC Digital』チームの皆さんは防御側のブルーチームとして、攻撃側のレッドチームのサイバー攻撃に立ち向かいました)
ハッカーとの対決当日の様子を教えてください。
(松崎) ハッカーと対決というか、ハッカーにボコられる回でしたね。
(伏下) 思っていたより楽しかったです。対決前にツールの使い方などを教わって、そのうえでボコられたんですけどね。佐藤さんはどうでしたか?当日は一番楽しんでたみたいだったけど。
(佐藤) 大学時代、周りにセキュリティ好きな人が多く、その影響を受けていたので楽しめました。
(松崎) 結構自分たちのレベルに合っていたし、専門の人がデータの見方などをしっかり教えてくれたので、セキュリティのことについてそこまで詳しくなくても楽しめる内容でした。ボコられたけど面白かったです。
(記者) 前回の4位チームも守り切れてなかったですよね。
(サイバージムジャパン) そうなんです、こちらのトレーニングで防御側が守りきれた回は一度もありません。みなさんやられて帰られる感じなんです。(一同笑)
(記者) 何分生き延びられるかという感じになりそうですね。
(伏下) PC上に異常が起きているのは分かるのですが、対処方法を考えているうちに、更なる異常が起きて気づいたら大変なことになっていました。
(松崎) IDとPWを入力する見覚えのない謎のフォームがでてきて、さすがに怪しいなと思っていたら、他の人が入力しちゃって、どんどん攻撃を許してしまいました。(笑)
(サイバージムジャパン) 受講者の皆様でのグループワーキングになるので、基本的にはコミュニケーションを取りながら取り組んでいただくのですが、つい反射的に入力してしまうんですよね。そういう弱いところからどんどん水平展開をされていってしまうというのが常套手段で、それをリアルに体験していただけたと思います。
(記者) 当日は他社様と併せて何名ぐらいだったのですか?
(伏下) 10名ぐらいでした。
(サイバージムジャパン) 演習中はずっと攻撃が続きますので、事前に守るというよりも、攻撃されているものに対してどう対応していくかを考えるという状態が継続している感覚だったかと思います。
(記者) 対決が始まって終了までの時間はどのくらいですか?
(佐藤) 3時間くらいでした。
(サイバージムジャパン) ハッカーが2、3年かけてやってくることを2、3時間に凝縮して体験していただいています。
(記者) 3時間の攻撃となると、終わったらグッタリでしたか?
(松崎) 最初何もしてこないなと思ったら突然攻撃してきて、びっくりして終わる感じでした。僕ら反撃できないんで。(一同笑)
(サイバージムジャパン) 皆さんのお仕事がセキュリティ側ではないのは前提なのですが、Wiresharkなどのツールを触られたのは今回が初めてでしたか?
(伏下) 僕は、ほぼほぼそうでした。以前、趣味でWiresharkを触ろうとして結局触らなかったので。
(松崎) 僕も似た感じですね。以前、Wiresharkを触ろうとしたけど分からなかったので、今回触れてよかったです。
(佐藤) 業務レベルではないですが、触ったことはありました。
(サイバージムジャパン) ちょっとした刺激にはなりましたか?
(伏下) Wiresharkはこういうツールで監視とかをするんだよ、こういう通信が攻撃されているサインかもしれないよ、というのを教えてもらえて面白かったです。
(松崎) セキュリティ研修という名前は面白くなさそうだったけど、実際やってみたら面白くてよかったです。
(サイバージムジャパン) 普段の開発業務に何か気づきというか、繋がりそうなことはありましたか?
(松崎) レイヤーが違うので直接的にはないですが、バックエンドやフロントの開発者だと、感じ方は違うかもしれないです。あと、会社の業務だとお客さんが使うだけだけど、たくさんの人が使う普通のネット公開サービスとかは大変だろうなと思いました。
(伏下) 普通に怖いなと思いました。
(サイバージムジャパン) 今回の研修は、情報システム部やセキュリティ部の人たちが受けることが多い「Cyber-Threats and Defense Essentials」というプログラムだったのですが、開発者向けに、「Secure Coding for Developers」というのもご用意しております。ご自身がコーディングされたものに対してハッカーが攻撃を仕掛け、脆弱性があったらどうするかというもので、その他にもいろいろなプログラムがあるのでご興味があればぜひ・・・
(伏下) 自分が書いたコードに攻撃を仕掛けられるのは面白そうですね!
(サイバージムジャパン) 何においてもセキュリティが無関係ということはないと思うので、今回の体験をよい機会として捉えていただけたら大変ありがたいなと思います。今回提供させていただいたプログラムが、受講されたみなさまのインタビューによって毎年少しずつ紐解かれ、「なんだこれ?」という状態から、「面白そうだな」というようにランクアップできると嬉しいなと思っています。弊社の講師も、毎年PG BATTLEの入賞者の方が受講されるのを楽しみにしています。通常は情報システム部などセキュリティに特化した方々の受講がメインなのですが、みなさまのような違う視点をもった技術者の方が来られると講師もくすぐられるところがあるみたいで、専門は違っても技術者同士の交流にも繋がっている点もとても嬉しく感じています。
PG BATTLE 2023も開催予定です。参加していただけますか?
(伏下) もちろん参加したいと思っています!新しい競プロerが入社してきたので、その人たちに負けないようにしたいですね。
(松崎) おそらく1位のチームが連勝しそうなので、2位狙いで行きます!(笑)
(佐藤) 参加できればいいなと思います。分不相応な順位が取れたりするので、ぜひいろんな人に挑戦してもらいたいです。(笑)
※本文中では敬称を省略させて頂きました。また記事内容は取材当時(2023年5月)のものです。
最後に
お忙しい中インタビューに参加して下さったサイバージムジャパン様、『全身がMC Digital』チーム様、誠にありがとうございました!エムシーデジタル(株)様は、2021年に1チーム初参加で初優勝を飾られ、2022年には4チームご参加で、優勝と今インタビューの個別賞を獲得されています。我々も、まさか同じ企業様から優勝と個別賞の2チームのインタビューを行えるとは思っておらず大興奮。社内にPG BATTLEのトロフィーやステッカーなども大切に飾って頂き、大変感激しております。2023年もたくさんのチームのご参加を楽しみにしております!
PG BATTLE 2022「企業の部」には全体で最多の191チーム(573名)の皆様にご参加いただき、誠にありがとうございました。飛び賞(スポンサー賞)も充実しておりますので、我こそは!と思われる方はぜひご参加をお待ちしております。
●PG BATTLE ホームページ
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