はじめに
Excel 2021で導入された「LET関数」は使い方次第でより効果が増す魅力的な関数です。本記事では、LET関数の応用として、IF関数やXLOOKUP関数との併用例をご紹介します。
LET関数とは?
LET関数は、数式内で一時的な名前(変数)を定義し使用できる関数です。これにより、複雑な数式を分かりやすく整理し、計算効率を向上させることができます。
=LET(名前1, 値1, [名前2, 値2, ...], 計算式) 名前: 変数名を指定します。分かりやすい名前を付けましょう。 |
LET関数の基本については、以下の記事をご参照ください。
LET関数の使い方・具体例【Excel2021の新関数】
応用例:条件付き計算(目標達成判定)
この例では、売上の合計が目標を超えているか、超えていないか IFという関数を用いて結果により目標を判定しています。
LET関数と併用することで「売上」「目標」「達成率」が一目でわかり、項目が増えた時には選択範囲を広げたり、「目標」の値を変更したりすることで変化に対応した設定ができます。
=LET(
売上, SUM(B2:B10),
目標, 1000000,
達成率, 売上 / 目標,
IF(達成率 >= 1, "目標達成", "未達成")
)
変数の定義:
1.名前1=売上、値1= B2:B10の合計
2.名前2=目標、値2= 1000000
3.名前3=達成率、値3= 売上 / 目標
達成率は(B2:B10の合計)/ 1000000 という意味です。
計算式:
IF(達成率 >= 1, "目標達成", "未達成")
条件式IF 達成率が1以上なら目標達成、それ以外は未達成という式です。
結果:目標達成(達成率は1.34 = 134%)
応用例:XLOOKUP関数との組み合わせ
次に、XLOOKUP関数と組み合わせた例を見てみましょう。 ここでは2つの表を使用します。
=LET(
商品ID, A3,
価格表, XLOOKUP(商品ID, 商品マスタ!A:A, 商品マスタ!B:B),
数量, B3,
合計金額, 価格表 * 数量,
TEXT(合計金額, "#,##0円")
)
■注文データ
■商品マスタ
変数の定義:
1.名前1=商品ID、値1=A3セルの値(注文データシートのA3になります)
2.名前2=価格表、値2=XLOOKUP(商品ID, 商品マスタ!A:A, 商品マスタ!B:B)
XLOOKUP関数を使用して商品マスタシートから商品IDに対応する価格を検索
3.名前3=数量、値3=B3セルの値(注文データシートのB3になります)
4.名前4=合計金額、値4=価格表 * 数量
計算式:
TEXT(合計金額, "#,##0円"): 合計金額を日本円形式でテキスト出力
結果:4,000円
この関数で実現できることは以下の通りです:
1.A3セルの商品IDを読み取り、別シート(商品マスタ)から対応する価格を検索2.検索した価格とB3セルの数量を掛け合わせて合計金額を計算
3.計算結果を日本円形式(3桁区切りのカンマ付き)で表示
LET関数を使用することで、複数のステップを含む複雑な計算過程を明確に整理できています。各変数に意味のある名前を付けることで、数式の意図が理解しやすく表現されます。
また、この方法には以下のような利点があります:
- 商品IDや数量のセル参照を変更する場合、定義部分を修正するだけで済みます。
- XLOOKUP関数の結果を中間変数(価格表)として保存することで、同じ検索を複数回行う必要がなくなり効率的です。
- 数式の各部分が明確に分かれているため、デバッグや修正が容易になります。
このように、LET関数は他の高度な関数と組み合わせることで、複雑な業務ロジックも整理された形で表現できるツールとなります。
まとめ
さいごに以下の点について振り返り&確認をして記事を締めくくりたいと思います。
今回学んだ内容の振り返り
- LET関数とIF関数の組み合わせ
- LET関数とXLOOKUP関数の組み合わせ
LET関数が特に威力を発揮する場面
- 財務モデリング: 複雑な財務計算の整理
- データ分析: 大量のデータ処理の計算効率向上
- 条件付き計算: 複数条件の計算過程の明確化
本記事を参考に、日々の業務にLET関数を積極的に取り入れ、効果を出していただければうれしいです。
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