LET関数の使い方・具体例【Excel2021の新関数】

 2024.07.30  株式会社システムインテグレータ

 

はじめに

Excelユーザーの皆さん、業務効率を劇的に向上させる新機能をご存知ですか?そう、Excel 2021で導入された「LET関数」です。「複雑な数式をシンプルにしたい」「計算速度を上げたい」という悩みを持つ方にとって、LET関数の活用が役に立つはずです。

この記事では、LET関数の基本から活用まで、実践的な例を交えて徹底解説します。

LET関数とは?

LET関数は、数式内で一時的な名前(変数)を定義し使用できる関数です。これにより、複雑な数式を分かりやすく整理し、計算効率を向上させることができます。

LET関数の3つの主要な特徴
 1.複雑な数式の整理 難解な計算も、分かりやすい名前を付けて整理できます。
 2.計算効率の向上 同じ計算の繰り返しを避け、処理速度が向上します。
 3.変数の再利用性 定義した変数は関数内で何度でも使用できます。

LET関数の基本構文と理解のポイント

・LET関数の基本的な構文

 =LET(名前1, 値1, [名前2, 値2, ...], 計算式)

 (変数の)名前 変数名を指定します。分かりやすい名前を付けましょう。
 (変数の)  変数に割り当てる値や数式を指定します。
 計算式 定義した変数を使用して最終的な計算を行います。

 ・構文を理解するポイント

 ・関数の前半では、名前と値のペアを指定します。例:名前1, 値1, 名前2, 値2,
  名前と値のペアは、複数のペアを定義できます。

 ・関数の最後の部分で、定義した変数を使用した計算式を記述します。
  この部分がこの関数(このセル)の最終的な出力となります。

基本例(1) 円の面積の計算

まず従来通りのやり方で、半径5の円の面積を普通に計算するなら以下のようになりますが、この数式だけをパッと見たとき何のことか少しわかりづらいかもしれません。

=(3.14159 * 5^2)

そこでLET関数を使うと以下のように記述できます。

=LET(半径, A1, 円周率, 3.14159, 円周率 * 半径^2)

let_function_01

変数の定義:
 ・名前1=半径値1= A1セルの値(例:5)
 ・名前2=円周率値2=14159

 計算式:
 円周率 * 半径^2::定義した変数を使って面積を計算

計算結果:
 ・53975(円周率 * 5^2)

このように、LET関数を使用することで複雑な計算も整理して表現できます。

基本例(2) 利益率の計算

次に売上と経費から利益率を計算する例を見てみましょう。
まず、従来の方法での式を見てみます。

=TEXT((SUM(B2:B10) - SUM(C2:C10)) / SUM(B2:B10), "0.00%")

let_function_02

この式だと、一見して何を計算しているのか理解しづらいですね。
次に、LET関数を使用した式を見てみましょう。

=LET(
売上, SUM(B2:B10),
経費, SUM(C2:C10),
利益, 売上 - 経費,
利益率, 利益 / 売上,
TEXT(利益率, "0.00%")

let_function_03

変数の定義:
 ・名前1=売上値1= B2:B10の合計
 ・名前2=経費値2= C2:C10の合計
 ・名前3=利益値3= 売上 - 経費
  利益は上の2行で定義した計算値を使って計算しています。
 ・名前4=利益率値4= 利益 / 売上
  利益率も上で定義した計算値を使って計算できています。

計算式:
 ・TEXT(利益率, "0.00%"):利益率を百分率形式でテキスト出力
  つまり=TEXT((SUM(B2:B10) - SUM(C2:C10)) / SUM(B2:B10), "0.00%")と同じ計算が
  できています。

計算結果:
 ・37%

LET関数を使ったメリット:
 ・この式の最終的なアプトプットが利益率であることは即座にわかります。
 ・「売上」「経費」「利益」「達成率」を変数として宣言することで、式の意味・構成が
  理解しやすくなっています。
 ・「売上」や「経費」の計算を1回ずつにできるため、大量のデータでは処理速度が
  向上します。
 ・数式の一部を変更する際、該当する変数の定義のみを修正すれば良いため、保守性が
  高まります。

このようにLET関数を使用することで、複雑な計算過程も一目で理解しやすくなります。

LET関数の活用のコツと注意点

使ってはいけないケース

1.LET関数を明確に使ってはいけないケースとして、自分以外のユーザーがExcel2019以前の
 バージョンを使うことが想定される場合です。
 2024
7月現在、残念ながらLET関数はExcel2019以前ので使用不可なんです。

変数の命名規則

1.変数の名前に分かりやすい名を使用する:xyよりも売上利益のような具体的な名前を
 使いましょう。
2.変数の名前として既存の関数名や列名を避ける:SUMAなどの名前は混乱の元となるので
 避けましょう。
3.名前に空白を含めない:空白を含む名前は使用できません。代わりにアンダースコア(_
 等を使用しましょう。

複数の変数を使用する際のヒント

1.論理的な順序で変数を定義する:計算の流れに沿って変数を定義すると、他のユーザーが
 理解しやすくなります。
2.中間計算結果にも名前を付ける:複雑な計算の場合、中間結果にも名前を付けると追跡しやすくなります。

まとめ

LET関数は、Excelでの作業効率を大幅に向上させる可能性を秘めています。
応用によって様々なシーンで役に立つことでしょう。

主な利点を振り返ってみましょう。

 1.複雑な数式を整理し、可読性を向上させます。
 2.計算効率を上げ、作業速度を向上させます。
 3.変数を自由に再利用し、柔軟な計算を可能にします。

LET関数が特に威力を発揮する場面

 ・財務モデリング: 複雑な財務計算を整理し、シナリオ分析を容易にします。
 ・データ分析: 大量のデータを処理する際の計算効率を向上させます。
 ・条件付き計算: 複数の条件や段階的な計算を明確に表現できます。
 ・レポート作成: 複雑な指標の計算を整理し、レポートの作成・更新を効率化します。

LET関数は、Excelユーザーに新たな可能性をもたらす新機能です。複雑な数式の整理、計算効率の向上、そして柔軟な変数の再利用により、あなたのExcel作業を進化させてくれるでしょう。日々の業務にLET関数を積極的に取り入れ、その威力を体感してみてください!


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