クリティカルシンキング(批判的思考)とは?

 2021.02.15  株式会社システムインテグレータ

クリティカルシンキングという言葉をご存知でしょうか?

クリティカルシンキングは何かしらの課題がある場合に、その真因を見つけ、課題解決を推進していくのに役立つ思考法です。本記事では、クリティカルシンキングの概要や活用例についてご紹介します。

クリティカルシンキングとは?

クリティカルシンキング(批判的思考)とは、ある考えについて前提となる事実を明らかにしながら、多角的・論理的に考える思考法を意味します。

「クリティカル = 批判的」というと否定的な印象を受けるかもしれませんが、そうではありません。論理を支える事実はあるか、あるいは矛盾する事実はないか、といった事実ベースの思考、そして矛盾する事実などをベースとした論点整理および新たな論理の構築をしていくことで、より物事の本質に近づこうという試みがクリティカルシンキングなのです。

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ロジカルシンキングとの比較

クリティカルシンキングと似た思考法として、ロジカルシンキングがあります。こちらは論理的思考と訳されるとおり、ある事象に関し、論理の筋道を立てながら考えていくことです。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングを比較して見てみましょう。

ロジカルシンキング

ある事象に関して、MECEな(重複なく、もれなく)切り口から論点を整理し、各論点について因果関係を深掘っていく思考法。論点の切り口がMECEであり、論理的につながった因果関係を深掘りできていればOK。

クリティカルシンキング

論理的に正しいだけでなく、課題の本質的な解決につなげるための思考法。論点の切り口がMECEかつ、因果関係がきちんと論理的につながっているというだけでは不十分で、関係する事実に基づき、課題や切り口の設定を再考し、さらに矛盾する事実がないかも含めて検討していくことが必要になる。

クリティカルシンキングをするメリット

物事の本質に近づくことができる

クリティカルシンキングをするメリットの一つ目は、物事の本質に近づくことができる点です。

論理というのは表面的な事象をもとに構成していくことも可能ですが、真の課題解決に向けては物事の本質にできる限り近づいていくことが必要です。表面的な事象から、クリティカルシンキングをすること、すなわち「どうしてこうなるのか」「異なる事実はないか」といった問いを重ねていくことで、物事の本質に近づくことができます。

誤った意思決定を避けられる

クリティカルシンキングをするメリットの2つ目は誤った意思決定がされにくくなる点です。クリティカルシンキングは事実をベースに論理を展開していくため、関係者の先入観やバイアスをできる限り排除することとなるので、誤った意思決定になりづらいです。

クリティカルシンキングの進め方

ステップ1:ロジカルシンキングで論点整理

上述のように、クリティカルシンキングはロジカルシンキングの発展形ともいえる形で、事実と論理の両側面から課題解決を目指す思考法となっています。クリティカルシンキングをするうえでは、ロジカルシンキングのように課題をMECEに切り分け論点を整理したうえで、それを叩き台とし、批判を加え、事実で論理を補強していく形でクリティカルシンキングをしていくのがよいでしょう。
ここでは、クリティカルシンキングの対象として「課題設定」「切り口」を考えてみましょう。

「課題設定」に対してクリティカルシンキング

クリティカルシンキングの一つ目のステップは「課題設定を批判する」です。課題の設定が間違っていると、本質に近づくことはできません。課題を解決した未来は本当に求めた未来なのかという問いを出発点として、もっと適切な課題はないのか、という試みをすると、より本質に近づくことができます。

「切り口」に対してクリティカルシンキング

クリティカルシンキングの二つ目のステップは「切り口を批判する」です。ロジカルシンキングですと、切り口がMECEであればOKということになりますが、クリティカルシンキングはMECEであるだけでは不十分です。時には、課題を解決するために様々な切り口を試してみることも必要になります。

ステップ2:仮説に反する事実を探す

課題と切り口の設定を整えたら「仮説に反する事実」を探しましょう。クリティカルシンキングは原則として事実(統計データなど)に立脚しながら論理を組み立てる考え方です。原因として考えた仮説を支持する事実集めはもちろん、「~~が原因ならば、xxという事象が起きるはずだが、xxは起きているのか?」といった視点があると、より本質に近づくことができます。

さらに、この例でいえば「xxという事象ではなく、○○という事象が起きている」という事実を探し、「○○が起きているのはなぜか?」という問いをしていくことで、考えがよりブラッシュアップされます。

ステップ3:「なぜそうなる?」を繰り返す

課題と切り口の設定を整え、論理を事実で補強したら、あとは「なぜそうなる?」を繰り返しましょう。これはロジカルシンキングにも通用する話ですが、「なぜ?」を繰り返さなければ、表面には表れない本質的な課題を突き止められませんし、その原因を突き止めることもできません。

日本を代表する企業であるトヨタ自動車ではトラブルが起きると、「なぜ?を5回繰り返せ」というポリシーがありますが、この例にならって5回は「なぜ?」を繰り返すようにしましょう。

仕事での活用例

新規事業の企画

ビジネスにおけるクリティカルシンキングの活用シーンの一つ目は新規事業の企画です。新規に事業を起こす場合は、まだ解決されていない世の中の課題を見つけ、その解決法を考える場面があると思われます。そういった場面では表面的な事象から、なぜその課題が発生していくのかを深く掘り下げることが必要なので、クリティカルシンキングが使えます。

抜本的な業務プロセスの見直し

ビジネスにおけるクリティカルシンキングの活用シーンの二つ目は抜本的な業務プロセスの見直しです。小手先の見直しではなく、抜本的な改革を行う場合、きちんと課題を深掘りし、それに対応するソリューション案を出さなければならないため、やはりクリティカルシンキングを活用して深い課題を掘り下げておく必要があります。

まとめ

以上のように、クリティカルシンキングはロジカルシンキングを発展させ、より物事の本質に近づこう、より深い課題を解決しようという試みです。時間も労力もかかりますが、少しだけでも批判的な視点で考えるチャレンジをしてみながら、癖づけていくことができるので、ぜひ少しずつチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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