ITの新卒採用でスキル判定ツールを利用していますか。ITの新卒採用ではスキルの判定が難しいことは常にいわれており、優秀な人材を逃してしまうことや人材確保のモデルとしてツールによる判定は効率的な採用に役立ちます。
今回はITの新卒採用で利用すべきスキル判定ツール、利用することのメリット、実際に判定に使えるおすすめのツールについて記述し、新卒採用に利用可能なスキル判定ツールについて解説します。
ITの新卒採用におけるスキル判定の難しさ
ITのスキルは幅広く、プログラミング言語だけでも多数あります。それ以外にも言語に付随するフレームワーク、あるいは作成されたシステムのセキュリティやハードウェアやネットワークなど、スキルを判定する領域が様々存在する中で、果たしてその候補者が自社にマッチするのか、スキルと人物像の両方から見極めることが必要とされています。
しかし人事の担当者では自社エンジニアがどのような技術を利用しているのかの概要は理解していても、実務として開発の経験がない場合、目の前の人材が自社が求める人材かどうかを判断するために、エンジニアチームから人員を借りるなどして判断をすることが必要になっているのが現状です。
ITエンジニアとして中途で採用する場合はすでに経歴やスキルシートなどを持っているため、スキル判定が容易な面がありますが、新卒採用においては経験からのスキル判定が難しいため、基本的にはコミュニケーションスキルなどや学歴などを始めとする基礎的な学力が優先されてしまいがちといえるでしょう。
ITにおけるスキル判定ツール利用のメリットとは
スキル判定ツールを利用するメリットは、ビジネスの目標達成にどれほどの人材が必要かその目安のモデルとなること、業務の中で必要なスキルを持った人材がどれほど必要かそのギャップがわかること、人材育成のための体制を作ることができることなどが挙げられます。
必要な人材かどうか定量的に判断することができる
ビジネスには目標があり、その目標を達成するためにはどの程度の人材がどれくらい必要なのかといった観点から採用の計画を立て、育成や採用を進める必要があります。そのためには採用したい人材モデルを定義する必要があり、スキル判定ツールを利用すると、能力が定量的に評価されるため、モデルの定義が可能となります。「5年前に入社したAさんくらい優秀な人」ではなく「○○のテストで○点以上」といったように、より具体的に必要な能力を定義することで求める能力を有しているかを判断することができるようになります。
闇雲にスキル判定を候補者に受けてもらうのではなく、自社が求める人物モデルを予め定量的に設定することが重要で、比較するものがない状態でスキルの判定だけ行っても判断することはできません。
スキル判定ツールを効果的に使うには、まずモデルを定義しましょう。
人材育成の指標になる
採用時に候補者のスキルを判定することで自社に必要なスキルを持った人員を増やすことも、ギャップを埋める解決策の1つですが、自社の社員を教育することでもギャップを埋めることができます。
定義した採用したい人材モデルは、そのままたどり着いて欲しい成長のモデルとも言えます。スキル判定ツールを利用することによって、人材育成計画を立案し、実施、投資効果の把握・評価、改善を行うPDCAサイクルを作成するための指針を作成することが可能です。スキル判定ツールで今のスキルを評価した後に、育成計画を立て、実施して、一定期間が経過したのちに、再度スキル判定ツールを利用する、といったサイクルを回すことで、人材育成計画が問題なく成立しているか、あるいは効果がなかったかを判断することができます。
効果がなければPDCAサイクルによって改善を加えて再度人材育成の計画を立案することができるため、最終的に人材育成、人的投資計画の効率的な運用モデルが完全に確立されるというメリットがあります。
スキル判定ツールについては定期的に行うことによって、その人物の能力の不足や一定のスキルレベルを保持しているかの確認にもなるため、効果的に利用することが期待されるでしょう。
ITにおける具体的なスキル判定ツールを5つ紹介
ITにおける具体的なスキル判定ツールを5つ紹介します。それぞれの特徴や、どのような利点があるのか、それらを客観的に理解することによって、利用用途によってスキル判定ツールを選択的に利用することが可能です。
50言語以上に対応しプログラミングスキルを把握できる「TOPSIC」
「TOPSIC」は世界的な競技プログラミングサイトを運営しているAtCoder社が提供する優れた問題でプログラミングスキルを判定できるクラウドサービスです。50以上の主要なプログラミング言語に対応しています。入社試験に利用することで採用後に失敗だったとならないようにレベルごとにスキルチェックができることなど、ミスマッチを防ぐことにも役に立つスキル測定のためのツールです。
また、TOPSICはデータをテストごとに残していることで本人や管理職などが成績を確認することができ、成長を客観的に確認することができます。また、採用・教育向けなど対象者や利用シーンにて選択ができるだけでなく、クラウドサービスなので採点もその場で自動的に行われることから効率的にテストの実施、フィードバックを行うことができます。新卒採用の場面だけではなくその後も利用できるツールとして重宝するといえるでしょう。
TOPSIC:https://products.sint.co.jp/topsic
3部の問題から構成されスキルを測定できる「Italent」
「Italent」は以下のような3部の問題から構成されているスキル測定ツールです。
・情報知識問題
・プログラミング基礎問題
・アルゴリズム実装問題
この3つについてスキル測定ができることから、エンジニアとして働くうえで必要とされる基礎的な知識の問題から、プログラミングの基礎、アルゴリズムの実装問題までを測ることができ、基礎力がついているのかどうかをプログラミングの基礎、アルゴリズムなどの問題から測定することができるツールであるといえるでしょう。
ITの新卒採用で利用するにはレベルの調整が難しいため、実際の学習が始まって研修が終わったあとなどに測定するために利用するべきツールといえます。
知識やプログラミング力を測る「track」
「track」は知識・プログラミング力・実務力・応用力によって問題が分かれており、様々なレベルの人材に対してスキル判定を行うことが可能であるといえます。また、知識問題は選択形式・穴埋め形式・記述にて回答することができ、プログラミング問題は記述式にさせることなどが可能なため、個々の問題によって回答方式や測定方法を変化させることができます。
またプログラミング力を図るだけではなく、学習教材としての一面も持っているため、言語の基礎を学習するための機能も備えています。試験問題については、新卒採用などでは知識を測る「Quiz」の機能によって新卒レベルでも知っていて欲しい知識が備わっているかを試すことが可能なツールといえるでしょう
3段階の分野で試験カテゴリを分けてレベルを見極める「codecheck」
「codecheck」はプログラミング基礎、Web実装、IT・Web知識の中から試験カテゴリが設計されています。試験カテゴリとしては、基礎的なレベルと一見すると見えそうですが、IT・Web知識についてのみ、情報リテラシーや情報セキュリティの内容について見極めることができるため、codecheckは新卒採用の試験においてはIT・Web知識を問う問題でのみ利用可能と考えるのが良いでしょう。
Web実装や、プログラミング基礎については、ITの新卒採用で行うテストとしてはレベルが高いと考えられる。また、結果的に現場エンジニアがひとりひとりのコードの出来栄えを見ることが推奨されているため、効率的に採用するための客観的な点数化で見るために利用するにはあまり適しているとはいえないツールでしょう。
コーディング力によってランクが振り分けられる「paiza」
「paiza」はIT/Webエンジニアに特化されたコーディング転職サイトです。転職サイトというとまずはエージェントとの会話があり、スキルチェックが行われるという流れですが、paizaでは最初に登録したあとプログラミングスキルチェックを受け、スキルに応じてpaizaランクが付与されます。
上位60%のCランクに入ることで初めて一部の企業において書類選考なしで面談・面接に進めることが公式に表記されています。スキルチェックを行うという名目でpaizaを紹介しましたが、paizaのレベル感は転職サイトであることから、新卒のスキルチェックをすることにはあまり向いていないといえます。
しかしながら、paizaのデータは残るため、ランクが上がっていくことを客観的に把握することができるため、入社後に機能として利用することはコーディング力を測るのに利用しやすいと考えられるでしょう。
まとめ
ITの新卒採用におけるスキル判定の難しさから、スキル判定ツールを利用するメリット、そして具体的なツールついて用途ごとにポイントを解説しました。企業の新卒採用の方式によって、評価の基準は違うと考えられますが、規模や試験を行いたい言語の種類、またレベル感に合わせてスキルチェックができるツールを利用することで効果的なスキルチェックが可能となります。
データが残ることで成長を確認できる機能などを持つシステムを利用すれば入社前の時点から成長を追うこともできるため、用途や企業のスタイルに合わせてツールを選択することが望ましいでしょう。
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