「2025年の崖」とは?問題と対策をわかりやすく解説

 2022.01.11  株式会社システムインテグレータ

IT業界において、「2025年の崖」と呼ばれる問題がせまっていることをご存じでしょうか。昨今日本全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれていますが、2025年の崖とはDXが実現しなかった場合に起こる問題を表している言葉です。

今回は「2025年の崖」と呼ばれる問題と、それを回避するための対策についてわかりやすく解説します。

2025年の崖とは?

「2025年の崖」とは、経済産業省(以下、経産省)が2018年9月に発表した「DXレポート」に記載された、DXが今後日本で推進されなかった場合に発生する企業の急速な競争力の低下を意味する言葉です。

 

image1引用:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~


DXレポートによると、このままDXが推進されなければ、DXが実現できないばかりか、2025年以降現在の約3倍にあたる最大年間12兆円もの経済損失が生じる可能性があると言われています。

そればかりか、ITシステムを利用するユーザー、ITシステムを開発するベンダー双方にも多大なリスクを伴います。

ユーザーには、以下のようなリスクが考えられます。
● 急速に増加するデータ量を活用しきれず、デジタル競争で勝ち残れない
● 老朽化した現在の業務基盤を維持していくことが困難になる
● 災害やセキュリティ事故によるデータ損失や情報漏洩のリスクが高まる

また、ベンダーには以下のリスクが考えられます。
● 老朽化したシステムの運用・保守を続けざるをえない
● 人月商売による受託型業務から脱却できない
● 最新技術に精通した人材を確保できず、市場から取り残される

このように、既存システムの利用および運用・保守からいつまでも抜けられず、また日々急速に進むIT技術の進歩の流れに追いつけなくなる結果、2025年以降から企業の競争力は崖から落ちるように急速に低下し、大きな経済損失を生むといわれています。

DXが進まない理由

ではなぜ、日本国内でDXが進まないのでしょうか。DXの必要性は、多くの経営者が感じているものの、さまざまな課題があり思うように進んでいないのが現状です。では、DXが進まない理由はなにか、その課題について解説します。

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レガシーシステムの存在

現在は企業の約8割がレガシーシステムを使用しているといわれています。レガシーシステムとは、長い間使い続けて老朽化、肥大化、複雑化したシステムや、そのシステムに詳しい人材がおらずブラックボックス化システムのことを指します。このレガシーシステムの存在がDXの足かせになっているとされています。

レガシーシステムは運用、維持には多大なコストがかかるだけでなく、トラブルやセキュリティの問題によるデータ損失など、さまざまなリスクを伴います。

また、レガシーシステムを刷新するにも多大なコストがかかるだけでなく、複雑化・ブラックボックス化したシステムを把握することは困難です。まったく新しいシステムに刷新すると、使い勝手が変わることや新しい技術の習得が必要となり、従業員の負担へと繋がります。

このように、現在のまま企業を経営していくためには、レガシーシステムを使い続けざるを得ないことが大きな課題です。

 IT人材の不足

続いてDXが思うように進まない要因の1つとしてあげられるのが、IT人材の不足です。経産省が平成28年に発表した資料によると、2015年は17万人不足しているといわれていたIT人材は、2025年には43万人まで拡大するといわれています。

レガシーシステムをいつまでも使い続けなければならない理由として、そのシステムで使われている古いプログラミング言語を知っている人材を供給できないことがあげられます。たとえば、レガシーシステムで利用されるCOBOLやFortranといったプログラミング言語を扱っていた人材は、企業から退職したり2025年までに定年を迎えたりすることで不足に陥ります。

逆にDXを推進しようと思っても、最新技術を習得している人材も不足しています。日本ではITエンジニアが一般企業よりもSIerやベンダー企業に所属していることが多く、一般企業ではSIerやベンダー企業に依頼しなければ人材が得られません。

このため、レガシーシステムの運用・保守に多くの人材が投入されており、レガシーシステムを捨てDXを推進しようと思っても、それを実現する十分な人材がいないという課題があります。


技術面での課題

海外ではGAFA(Google、Apple、FaceBook、Amazon)をはじめ多くの企業がDXを中心に新しいビジネスを展開しています。日本のビジネスではIT費用の90%が現行システムの運用・保守が中心となっており、新しい技術を求められる状況にありません。

このような国内と海外のビジネスモデルの乖離によって、日本のIT技術はどんどん遅れています。

DXを推進していくための対策

DXレポートでは、2025年までにDX実現を目指すための「DX実現シナリオ」を打ち出しています。これまで解説した課題に対して対策を行い、このDX実現シナリオを行うことで、2030年実質GDP130兆円超の押上げを目指しています。

image2引用:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~


ここからは、DXレポートで提示されている対策について、分かりやすく解説します。

 現在の状況を確認し、DX推進の計画をたてる


経産省では、企業に向け「DX推進システムガイドライン」および「DX評価指標」を策定・提供しています。

image3引用:経済産業省「「DX 推進指標」とそのガイダンス

image4引用:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン

企業経営者はこれらを指標やガイドラインを活用して自社のDX推進状況を確認し、経営戦略を立てていきます。

また、レガシーシステムの刷新には単純に新しい技術を取り入れればよいというものではありません。本当に必要な機能がないか確認し、刷新するものや破棄するものを選別して優先度を決め、段階的なシステム刷新を検討する必要があります。このため、経営者踏まえ事業部門含めた体制づくりが必須です。

ユーザー企業とベンダー企業の関係改善

現在はシステムの運用・保守が中心であり、それを行っているほとんどのIT人材はベンダー企業であるといわれています。なぜなら、ユーザー企業にシステムの内容を把握している人材が不足していることや、ユーザー企業がベンダー企業に対してシステム構築・運用を丸投げしている状況があるからです。この結果、ユーザー企業にとってシステムがブラックボックス化していきます。

このようなことを防ぐため、ユーザー企業でデジタル化を実現できる人財の育成や、ユーザー企業がシステムの構築・運用に深く関わり、ベンダー企業の関係を改善することが必要とされています。

まとめ

本記事では、経産省が発表したDXレポートに記載された「2025年の崖」について解説しました。2025年はもう間近にせまっており、既存のレガシーシステムを刷新し、DXを実現しなければ、最大年間12兆円もの損失が出るとされています。

このような状況を回避するには、さまざまな課題に対応してDXシナリオ実現へ動かねばなりません。ユーザー企業、ベンダー企業問わず業界全体で対策を打ち出し、DXを推進することが重要です。

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