バリュープロポジションとは?重要性や作り方、メリットを紹介

 2022.06.21  株式会社システムインテグレータ

新規ビジネスの立ち上げを成功させるには、顧客に価値を感じてもらえるプロダクトを提供することが何よりも重要となります。顧客ニーズにマッチしたプロダクト開発・販売を行いたい場合に役立つのが「バリュープロポジション」です。

当記事では、バリュープロポジョンの概要や重要性から、活用するメリット、作成方法、活用事例まで幅広くご紹介します。

顧客ニーズを汲み取ったプロダクトの開発を行いたい方、新規ビジネスの成功確度を高めたい方は、ぜひご参考ください。

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バリュープロポジションとは

バリュープロポジションとは

バリュープロポジションとは、「顧客が自社の製品を購入してくれる理由」です。厳密な定義がなくさまざまな解釈がありますが、一般的には「顧客が製品を手にいれることで得られる価値」「顧客が購入を決定する際に企業が提示できる価値」という意味となります。これらの要素をまとめて図式化したものをバリュープロポジションキャンバスといいます。バリュープロポジションには自社の独自性や競合との差別化という要素も含まれており、他社にはない自社ならではの提供価値を設定することが重要となってきます。

ビジネスシーンにおいては、上記の設定を言語化したものを顧客に対して発信したり社内で共有したりして活用します。

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バリュープロポジションはなぜ重要なのか

バリュープロポジションが重要視される理由は、プロダクトの提供側である企業とプロダクトの利用者側である顧客と、どちらかの視点に偏りすぎることによる顧客が求める価値と企業が提供する価値のミスマッチを防ぐためです。

実際にプロダクトを購入・利用するのは顧客です。顧客に価値を感じてもらうためには顧客視点を意識したプロダクトの開発・販売を行う必要があります。提供側の一方的な視点のみでプロダクトの開発・販売を行うと、顧客ニーズを満たせず販売不振や顧客離れを招く可能性があります。

顧客に自社の価値を届けるためにも、売上の確保に繋げるためにも、顧客視点を理解し把握できるバリュープロポジションを活用する重要性は高いといえます。

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バリュープロポジションを作るメリット

バリュープロポジションを作るメリット

バリュープロポジションを作成すれば、ビジネスにおいてさまざまなメリットを得ることができます。ここでは、具体的にどのようなメリットを得られるのかについて解説します。

これからバリュープロポジションの活用を検討している方は、ぜひご参考ください。

自社の強みが明確になる

バリュープロポジションを作成する大きなメリットは、顧客視点から競合他社が提供できていない独自の価値を見いだし、自社の強みを明確化できることです。

自社の強みが明確になれば、不要な競争や無駄な施策を行う必要もなくなり、優位性を活かしたマーケティングを展開し、安定的にプロダクトを販売して売上の向上に繋げることができます。

近年では、企業間競争の激化・製品寿命の短命化により、無理のあるマーケティング施策を実施してリスクを負う事例が多く見られます。自社の強みを活かした的確なマーケティングを実施できることは、現代のビジネスシーンにおいて大きなメリットといえるでしょう。

顧客のニーズと企業の提供価値のズレが明確になる

顧客が求めていないプロダクトを開発してしまう理由は、顧客ニーズと企業が提供している価値の間にズレが生じていることが大きな原因として挙げられます。

バリュープロポジションを活用すれば、企業の主観的視点ではなく顧客視点で自社独自の提供価値を言語化できるため、現状の顧客が求める価値と企業が提供する価値のズレを明確に把握できます。

作成したバリュープロポジションの共有を行い、両者のズレを修正して顧客ニーズに合わせたプロダクトの開発・提供を行えば、自社が提供できる価値を向上させ、不要な製品を開発してしまうリスクも回避することができます。

バリュープロポジションを作る際の注意点

バリュープロポジションを作る際の注意点

バリュープロポジションを作成する際は、以下2つの注意点について留意しておきましょう。

客観性のある情報を根拠として作成を行う

バリュープロポジションを作成する際には、データや顧客の意見の収集を行い、客観性のある情報を根拠とすることが重要です。自社の目標・理想・イメージなど曖昧な情報をもとに作成を行うと、現状にそぐわないバリュープロポジションができてしまう可能性があるため注意が必要です。

状況が変われば再度作り直す

新たにプロダクトの開発を行う場合や消費行動に変化が見られた場合など市場の状況が変わった際には、既存のバリュープロポジションが有用性を発揮できないケースがあります。状況が変わった際には、情報を集め直して現状に合わせた新しいバリュープロポジションを再度作り直すことが重要となります。

バリュープロポジションの作り方

続いては、バリュープロポジョンの作り方についてステップごとに解説します。

バリュー・プロポジション・キャンバスを作る

バリュープロポジションの作成にあたっては、バリュー・プロポジション・キャンバスと呼ばれるフレームワークを活用するのがおすすめです。以下のようなテンプレートを埋めることで、顧客側・企業側両方の視点を比較・整理して、提供すべき価値を設定することができます。

バリュー・プロポジション・キャンバスを作るバリュー・プロポジション・キャンバス

Value Proposition(企業側が提供できる価値)

  • プロダクト&サービス
  • ゲインクリエーター
  • ペインリリーバー

Customer(顧客の視点・ニーズ)

  • 顧客のジョブ
  • ゲイン
  • ペイン

以下に、バリュー・プロポジション・キャンバスを活用したバリュープロポジションの作成手順についてご紹介していきます。

STEP1:ターゲットの設定と顧客情報の記入

まずは上記テンプレートの顧客側に対して、ターゲットとなる顧客を設定します。バリュー・プロポジション・キャンバスでは簡単に設定しても構いませんが、具体的に顧客を想定したい場合はペルソナ設定を行っておくのも良い方法です。

ターゲットを設定したら、以下3つの項目を順に埋めていきます。

  • 顧客のジョブ:顧客が解決したいこと
  • ゲイン:顧客の利益
  • ペイン:顧客の悩み

顧客情報の設定は、バリュープロポジションを作成する前提となる重要な部分です。イメージ・憶測ではなく実際の調査データ等を活用したリアリティのある情報を記入することがポイントとなります。

STEP2:企業が提供できる価値を記入

続いて、上記の顧客情報をもとに、企業が提供できる価値について以下3つの視点から検討します。

  • プロダクト&サービス:製品・サービスの特徴
  • ゲインクリエーター:顧客の利益になるもの
  • ペインリリーバー:顧客の悩みを解消するもの

特に、企業が提供する価値の主軸となるプロダクト&サービスに関しては、顧客情報で設定した顧客のジョブに対応させることが重要なポイントとなります。

STEP3:両者の情報を比較検討、提供できる価値を明確に言語化

顧客側の情報と企業側の情報を記入してテンプレートをすべて埋めたら、両者の間でズレがないかを確認します。バリュープロポジションでは顧客ニーズと企業が提供する価値のギャップを埋めることが重要であるため、ズレがある場合は修正・調整を行います。

ズレが解消されたテンプレートが完成したら、その情報をもとに言語化されたバリュープロポジションの作成を行います。

バリュープロポジション作成のポイント

バリュープロポジション作成のポイント

バリュープロポジョンは漠然と作成を行っても、あまり有用性・効果性を発揮することができません。質の高いバリュープロポジションを作成するためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

短くわかりやすい言葉でまとめる

バリュープロポジションは、誰が見ても即座に理解できるように、分かりやすく短い言葉を用いて作成することがポイントです。

できるだけシンプルに作成することで、顧客に対して解決できる課題やプロダクトを購入するメリットを伝えやすくなります。

曖昧な表現をしない

バリュープロポジションは、曖昧な表現を避けて明確な表現で作成することが非常に重要です。

顧客に対して発信する場合もダイレクトにメッセージが伝わりますし、社内で共有する場合も目指すべき方向性をイメージしやすくなるためです。

明確に表現して具体性を高めることは、良いバリュープロポジションを作成するための重要なポイントであるため、必ず意識するようにしましょう。

他社と差別化する

バリュープロポジションは、プロダクトの競争優位性を発揮する目的も含まれているため、差別化を意識して作成することも重要なポイントです。

競合が提供できていない価値、自社ならではの提供価値を見極めて、他社との差別化に繋がる要素を含めて作成しましょう。

専門用語を使わない

バリュープロポジションは顧客に提供する価値を言語化したものであり、社内で共有するだけでなくセールスコピーのように社外に向けたメッセージとして発信する場合もあります。そのため、専門用語・業界用語等は使わずに、一般の方が理解できる言葉で作成することが重要となります。

顧客視点に立つ

バリュープロポジションは、顧客のニーズにフォーカスすることが前提となるため、顧客視点に立って作成する必要があります。

社内視点のみで考えて、顧客視点が抜け落ちてしまわないように注意しましょう。

バリュープロポジションの事例

バリュープロポジションの事例

バリュープロポジションは、概要だけを学んでも理解が難しいため、実際の活用事例を参考にすることがおすすめです。ここでは、バリュープロポジションのおすすめの参考事例についてご紹介します。

ヤマトフィッティングステーション

ヤマトフィッティングステーションは、オンラインショップで購入した商品を、実際の店舗で受け取り・試着・お直しができるという、配送業者のヤマトと洋服のお直し業者が提携して提供しているサービスです。

同サービスでは、以下の2種類の顧客をターゲットとして設定しており、それぞれが課題を抱えています。

アパレルECサイトの顧客

  • 実際に商品を試着できないため、サイズ・色合いなどを正確に判断できない
  • 受け取りのために自宅で待機しなればならない
  • 返品を行うのが手間

アパレル系ECサイト事業者

  • 実店舗を用意するには莫大なコストがかかる
  • 返品対応に応じるには一定の時間が掛かる

ヤマトフィッティングステーションでは、両者の課題を同時に解決できる「あなたのショップで注文された商品のお渡し・試着・お直し承ります。」というバリュープロポジションを設定。ECサイトの顧客はヤマトの提携店舗で購入した商品の受け取り・試着・お直しができ、希望と異なる商品は試着後に店舗へ渡すだけで返品できるという利便性に優れたサービスを提供しています。

Airbnb

Airbnbとは、オンライン上で宿泊する部屋を探している方と空き部屋を貸したい物件オーナーをマッチングするサービスです。同サービスも、ターゲットは以下の2種類で、それぞれに課題を抱えています。

宿泊先を探している方

  • できるだけ手間・コストを省いて宿泊先を探したい

部屋を貸したい物件オーナー

  • 入居者のいない部屋をマネタイズしたい

Airbnbは、両者の課題を同時に解決することができる、空き部屋を一時的に宿泊施設として貸し出すという画期的なシステムを考案。世界中どこでもオンライン上で手軽にマッチングできるサービスとしてリリースすることで爆発的な普及・拡大を見せました。

まとめ

新規にビジネスを始めるにあたっては、顧客ニーズに応えられるプロダクトを開発・販売することが重要なポイントです。顧客ニーズと提供価値のギャップが大きいプロダクトをリリースしてしまうと、ビジネスの成功確度も低下してしまいます。

今回ご紹介したバリュープロポジションは、顧客視点でのプロダクトの開発・販売を行うのに効果的な方法です。新規ビジネスの立ち上げを検討している方はぜひ活用してみてください。

また、新規ビジネスの立ち上げにつながるアイデアの発想法についてまとめた資料もございますので、ぜひご覧ください。

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