ERPや生産管理システムでMPS(基準生産計画)の精度が上がらない理由と生産スケジューラの活用について

 2020.06.15  株式会社システムインテグレータ

グローバル化・ボーダレス化した経済環境では、目まぐるしく変わる市場動向を考慮した生産計画を立案することが非常に困難な状況になっております。このような状況下で市場動向を読み間違えると、在庫不足による販売機会損失や過剰在庫の状態を招くため、計画立案される部署・担当者の方々は日々頭を悩まされておられるのではないでしょうか。
便利で有益なシステムが数多くリリースされてますが、なかなか痒い所まで手が届くようなシステムがないのが実情のようです。

※本ブログではモノづくり業界でよく耳にする専門用語(アルファベット3文字略語)を多数使用しています。専門用語に関する詳しい説明はこちらをご覧ください。

なぜERPや生産管理で緻密な生産計画が行えないのか?

ERPや生産管理パッケージに搭載されているMPS(基準生産計画)はMRP(所要量計算)を回すための計画という意味合いが強く、また画一的なBOM(部品表)に基づく計算を行うため、現場の実態が考慮されません(ここでいうBOMは、生産数やロットサイズを考慮したリードタイム計算をせず、また生産資源の情報がありません)。つまりMPS自体を正しく入力するための判断機能が無いということになります。

不足した情報を補うために現場では何が行われているのか?

不足している情報でMRPを回しても生産数に基づいたリードタイム計算がされず、負荷山積された生産計画を調整(山崩し)する手間が発生します。
正確なMPSを実現するために、内示情報や販売計画が共有されて、個別品目レベルまで落とし込まれた情報をExcel等で作成・管理し、確定内容をERPや生産管理にアップロードするなどして運用回避されているのではないでしょうか。
このような二重管理を解消するために需給計画や在庫計画を考慮し、MPSの「いつ、何を、
どれだけ作るのか」を策定するために、生産スケジューラの活用が有効な手段となります。

新規CTA
新規CTA

有効な生産スケジューラの活用方法は?

これまでの生産スケジューラは、CRP(能力所要量計画)を行い、資源(設備や工員)の負荷調整・平準化を行う目的で利用されるケースが多かったと思います。
しかし、クローバル化・ボーダレス化された現在では、これまでの利用方法では不十分です。内示情報や販売計画を基に需給/在庫計画→MPS(基準生産計画)→MRP(所要量計算)→CRP(能力所要量計画)の流れで、より緻密な計画を立案するために生産スケジューラを活用すべきであると考えます。

需給/在庫計画に基づくMPS

MPSの対象品目をエンドアイテムやMPS対象品といいます。通常は最終製品ですが、中間品でもキーパーツやサービスパーツの場合があります。
実務的には製品別の大日程計画、中日程計画、小日程計画にあたりますが、ERPや生産管理パッケージでは、このMPSを基準としてMRPを展開することが多いため、システム的な要求としては、製造と原材料のリードタイムを合わせて最長の期間分のMPSが必要となります。
実務上の大日程、中日程計画については、製販会議で月単位の需要数、生産計画数を決める運用を行われているお客様が多いと思います。これをMPSとして登録する際に、それぞれのお客様によってポリシーがあるようです。例えば、7月の生産計画数に対しては下記のようなパターンを多く目にします。

(1)そもそも製販会議等が無く、受注予定をそのまま生産する
(2)7月末までに生産できればよく、順番は工場に任せる
(3)6月末には7月の生産計画数分の在庫を持つように、6月中に生産する

(1)は受注=MPSとすればよいケースであり、在庫を持たなくて良い受注生産や納期に余裕があるケースが該当しますが、代わりにキーとなる中間品がMPS対象になる場合があります。

(2)は需要の変動が小さいか、長納期で受注生産の色合いが濃く比較的高価なモノが多いケースです。

(3)は派生型も含めるとこのケースが一番多いと思います。短納期で需要の変動が大きく、特急飛び込みが発生し、扱っている品目数も多いイメージです。この場合によく耳にするのは、「需要予測が当たらないため在庫を持たざるを得ない」という工場側の愚痴であったりします。

海外製のERPにはMPSの機能としてタイムフェンスやATP、RCCP(ラフカットキャパシティプランニング:能力・負荷検証)等を備えているものもあるようですが、あまり有効に活用できているケースを耳にしたことがありません。

そもそも最初に製品の生産計画を立てるタイミングでは、上記の(3)のケースのように、引当元の需要と紐付いているわけではなく、月単位で目標とする在庫レベルを目指しつつ、直近では日々変わりゆく需要の変動に柔軟な対応が求められるため、なかなかパッケージの機能で対応できないのかもしれません。また、製品の計画タイミングで能力・負荷を検証するためには、一度MRPを回して各製造工程の生産計画まで落とし込まないと詳細の検証はできないにもかかわらず、ラフに検証するために詳細なマスタ設定が必要になるという矛盾もあります。

製販で合意したはずの月次生産計画ですが、工場側では実態として前月末に在庫を準備したり、経験則や統計値から独自の掛け率を持って安全在庫として余分に作り置きしたりするケースが多いと思います。このような状況への対応策としては、販売予測を単なる営業部門の目標も混ざった見込値ではなく、マーケティング部門やSCM部門といった関連する部門を横断することです。これにより正確な需要予測を行うことができます。

昨今のグローバル化や消費行動の多様化した社会において、特に工場側としては、需要の変動に強い仕組み作りが必要であることに異論がある方はほとんどおられないと思います。先に述べたとおり、変化に強くなるためにはすでに多くのお客様が行っているような、在庫で変動を吸収することが有効ではありますが、これも在庫が増えることによる外部倉庫費用の増加や置き場の問題、陳腐化のリスクが伴います。何より財務的に不健全な状態ですから、

在庫が少ないに越したことはありません。なるべく少ない在庫で、変化に強く、ということが求められるわけですが、業種や業界のポジションにより事情は様々で、どこのお客様でもベテランの生産計画担当者がこうした複雑な方程式に日々取り組んでいるのではないでしょうか。弊社でも今まで多くのお客様に生産スケジューラを導入してきましたが、実はこうした「一般的にはMPSを立案する部分での生産スケジューラ活用例」が非常に多いです。

生産スケジューラを活用した攻めの計画立案

生産計画業務は、需給調整、在庫計画や一部の物流在庫も含んだ広い範囲の業務知識が必要です。生産計画に使用する機能も、ERPや生産管理システムが持つ標準機能ではとても太刀打ちできません。そこで様々な要件にも対応可能で、汎用性も高く、プロトタイプを操作しながら業務要件を作りこめる生産スケジューラを導入することをお勧めします。

生産スケジューラと言うと、工程の日程計画のためのツールというイメージが強いかもしれませんが、その汎用性の高さから、これまで述べたような様々な需給調整・在庫計画の実現や、複数拠点・物流拠点も含めたSCP(サプライチェーン・プランニング)が行える攻めの計画立案ツールです。

まとめ

弊社は、製造予算計画・需給計画・PSIなど、生産計画システム導入に関するノウハウを多数保有しております。生産スケジューラの導入・システム化をご検討される際には、ぜひシステムインテグレータにお問い合わせ下さい。

新規CTA

新規CTA
新規CTA

RELATED POST関連記事


RECENT POST「ERP」の最新記事


この記事が気に入ったらいいねしよう!
新規CTA
【大阪開催】多様な働き方を支援する “進化系” ERP GRANDITハンズオンセミナー
失敗から学ぶERP導入プロジェクトの進め方

RANKING人気資料ランキング

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング