ERPとは何か?MRPとの違いや、管理手法の変遷を解説

 2017.08.28  株式会社システムインテグレータ

ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)とは、企業経営に不可欠な基幹システムの集合体であり、それを統合管理することで、情報活用促進や業務効率向上などさまざまなビジネス価値を生み出すためのITシステムです。

日本語では「統合基幹システム」とも言われ、現在多くの企業に導入・注目されています。今回は、このERPについて詳しく説明していきます。

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ERPとは?

まず、ERPの概要についてもう少し説明しておきます。冒頭で「基幹システムの集合体」と紹介しましたが、そもそも基幹システムとは何でしょうか?それは、会計システムや生産管理システムなど、企業によって対象が異なります。しかし「事業を遂行する上で不可欠なシステム」という点においては、どんな企業でも共通です。

主な基幹システム

これらの基幹システムは、業種や業態に左右されない普遍的なものが多くを占め企業運営に欠かせないものと言えるでしょう。

ERPとは、これらの基幹システムを統合管理するためのITシステムです。つまり、ERPを導入するということは、これら複数の基幹システムを同時に導入する、という意味でもあります。

ERPの歴史

ERPが登場した歴史的背景は諸説ありますが、1980年代のMRP(Material Resource Planning:資材所要量計画)が発展したというのが最も有力な説です。 

MRPとは生産管理手法の一種で、BOM(Bill of Material:部品表)をもとにした生産計画を立案し、それに合わせて部品調達や生産日程を立てるものです。MRPは、在庫品の過不足を無くす画期的な生産管理手法として、多くの製造業に取り入れられました。さらにMRPは、その概念を人材や設備にまで拡大した、MRP2へと発展していきます。

 MRP2では人材や設備、あるいは資金などのすべてを「生産能力」と捉え、そのすべての最適化を目指すことでスムーズかつ低コストな生産を目指しました。

 ERPは、こうしたMRPやMRP2を人事や経理にまで発展させて、生産工程に関係ない業務の最適化も目指したことが登場のきっかけです。今でこそ、基幹システムを統合したITシステムをERPと言いますが、そもそもは企業全体の業務を最適化するための管理手法として、ERPが確立したのでした。

後にERPはシステム化され、基幹システムを統合した今日のERPに至ります。 

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日本でのERP普及

日本でERP普及が始まったのは、1990年代後半です。当時、多くの日本企業では業務ごとに「部門最適型システム」がメインで稼働していました。経理部門には経理システムを、人事部門には人事システムをなど、部門ごとに最適化されたシステムを構築することで、それぞれの業務効率を向上させコスト削減を行っていました。

しかし、こうした部門最適型のシステムは、多くの問題があります。それは、分断化されたシステム環境による情報活用の問題と、業務非効率の問題です。

業務というものは、すべてが部門ごとに完結しているわけではありません。たとえば請求書発行業務では、営業が顧客から受注し、経理部門に申請し、それから請求書が発行されます。請求書の送付に関しては、総務部が行うこともあるでしょう。

このように、一つの業務が複数の部門をまたがり、複数の部門責任者の承認を得なければならないということも少なくありません。

一見、部門ごとに最適化されて業務効率がアップすると思われている部門最適型システムも、部門をまたぐ業務には対応できず、業務非効率を生んでしまう原因になっていました。例えば、各部門の担当者が各部門に設置された部門最適型システムに対して同じようなデータを2重3重で入力するような無駄が発生してしまいます。

さらに、分断化されたシステム環境では、各部門最適型システムからの情報収集が難しく、情報活用に大きな問題を抱えてしまいます。例えば、経営者が意思決定を行うためのデータが欲しい場合でも、各部門最適型システムから情報を抜き出しExcelなどで加工すると言ったような作業が頻発するため、意思決定スピードが遅延したり古いデータで間違った意思決定を行ってしまったりしてしまいます。

こうした企業の問題を解決するために注目されたのが、BPR(Business Process Re-engineering:ビジネスプロセス再構築)です。BRPは既存業務を抜本的に改革するための手法として、世界中に浸透しました。このBPRを実現する手段として注目されたのがERPなのです。

日本企業の多くは、ERPを導入し基幹システムを統合することで、部門最適型システム特有の問題を解決しようとしました。

実は失敗ばかりだった日本企業のERP導入

1990年代後半に広まった日本企業のERPは、結果として多くの企業が失敗しています。その最たる原因は、当初ERPと言えばSAP、Oracle EBSなど海外製ばかりで、これらの導入手法である海外企業の「ベストプラクティス」導入にトップダウンの決断で飛びついてしまったことです。

ベストプラクティスとはいわば「成功の集合体」です。ある目的を達成するための最も効率良い手法、プロセス、活動とも言えます。日本初のERP流行では、多くのEPRベンダーの「海外先進企業のベストプラクティスを導入できます」という謳い文句のもと、ERP導入が進みました。

しかし、ここに落とし穴があったと言われています。SAPやOracleといった海外製ERPの多くは、海外企業の商習慣に合わせたものばかりでした。そもそも、海外企業と日本企業の商習慣には契約や決済などたくさんの大きな違いがあり、業界ごとの法規制も独特なものがあります。多くの企業がこうした基本な海外ERPのコンセプトを見落とし、ERPを導入しました。

その結果、自社の特徴や日本の商習慣、法規制に合わせるために膨大な追加開発やカスタマイズを行うことになるのですが、ここで海外ERPにはもう一つ大きな問題を抱えています。

海外ERPはカスタマイズを行うことができません。そのために合わない部分は新規に開発し、それをERPの外側にどんどん付け足して繋いで使います。最終的には、日常的に使う画面のほとんどが追加開発で、非常に高価なERPはただのデータ蓄積ツールと化していきました。

またERPもソフトウェアですからバージョンアップやアップグレードなどを必要とします。そのたびに多大なコストと労力を必要とするため多くの企業ではERPを塩漬けするようになり、最新のビジネスプロセスに対応できないという本末転倒な事象も頻発しています。 

日本企業のERP再熱

1990年代後半のERPの流行は、多くの日本企業が導入失敗に陥ったことで、急速に下火を迎えました。そんなERP業界も、現在では毎年規模が拡大している成長市場です。そのきっかけとなったのが、国産ERPの登場でした。

システムインテグレータが提供する国産ERP「GRANDIT」は、その一つです。日本では、1990年代後半から日本企業の商習慣に合わせた国産ERPが次々とリリースされてきました。国産ERPのメリットは、初めから日本企業の商習慣に合わせた機能が実装されているので、効果的な追加開発やカスタマイズができて、最小限の業務変更でERP導入ができることです。 

追加開発やカスタマイズを最低限に抑えられれば、相対的に導入コストが下がります。そして、バージョンアップやアップグレードといった必ず発生する将来の運用も最低限のコストで済むようになるのです。国産ERPは現場に定着しやすく、スムーズな業務効率アップが狙えます。こうした国産ERPのメリットによって、日本企業のERP導入が見直されました。

GRANDITは2004年7月にリリースされた、14社のプライムパートナーからなるコンソーシアム(共同事業体)方式で運営されているERPです。IT企業14社のノウハウを集結させ、日本企業の商習慣に特化したERPを完成させました。

システムインテグレータはGRANDITの製品企画段階から携わるコアメンバーの1社であり、2011年、2013年、2014年、2016年にGRANDIT販売実績No.1の称号である「GRANDIT AWARD」を受賞しています。 

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まとめ

ERPは、単に基幹システムを統合したITシステムではありません。企業が持つ多くの経営課題を解決し、経営者の意思決定を迅速化するためのソリューションです。ERPを導入することで、多くの企業が既存システム環境を刷新し、スムーズな業務改革を行うことができます。業務効率を改善し新たなビジネスチャンスを生むためのシステム環境として、国産ERP導入をぜひご検討ください。

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