プロジェクト型ビジネス業界における基幹システムの姿

 2020.07.27  株式会社システムインテグレータ

「プロジェクト型ビジネス」とは、「プロジェクト≒案件」毎にこれに紐づけて各種取引を管理し、プロジェクト単位で取引の見込や実績を管理するビジネスです。
例えば、弊社のようなIT企業ではシステム開発の案件を1つのプロジェクトとして定義し、これに紐づく受注、売上や発注、仕入、経費などを管理します。これにより取引個別の採算だけでなくプロジェクト全体での採算、進捗、予実が管理可能となります。自社のビジネス全体を俯瞰することで現状と課題が明らかになり、経営計画や改善策を立てる一助にもなります。

IT企業のほかにも設備工事業や広告業などプロジェクトを単位として取引を管理するビジネスはプロジェクト型ビジネスといえますが、このプロジェクト型ビジネスを行う企業の業務特性にはどのようなものがあるでしょうか。

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プロジェクト型ビジネスの業務特性

プロジェクト型ビジネスにおける業務特性は以下のとおりです。

プロジェクトごとの管理

顧客から受注した案件を1つのプロジェクトとして管理します。
1つのプロジェクトでも、実施する作業工程の契約やプロジェクトにおいて利用される物品の契約など、得意先との複数の「売り」契約が紐づきます。また、契約した作業の一部または全部を外部委託先に発注したり、作業実行に必要な物品購買などを仕入するなど複数の「買い」の契約も紐づきます。さらに、プロジェクト内で計上される出張費などの経費も紐づきます。これらをそれぞれ単体の契約だけでなくプロジェクト全体として採算状況、進捗状況を管理します。

プロジェクトごとの原価計算、予実管理

プロジェクト型ビジネスではプロジェクトの予算を計画します。原価見積に基づきプロジェクト全体の採算数値から契約金額を試算し顧客と契約します。契約後は実行予算としてプロジェクトの予算を管理し、プロジェクト進行中に実行予算を適時見直しながらプロジェクト全体の採算を管理していきます。工期の長いプロジェクトでは月単位で予実、採算状況を管理することもあります。

ヒューマンリソースの管理

プロジェクトに投入するヒューマンリソース(要員)を管理します。
社内要員のほか、外部委託先要員ごとに単価を設定し、これを積み上げてプロジェクトの労務費を管理します。この時、発生する労務費だけでなく、要員毎のスキル(取得資格など)を管理し、適材適所で要員を配置するなどの調整も行います。社内外の稼働率を上げて、より高い生産性を維持するためにヒューマンリソースを適切に管理する必要があります。

外部業者との契約管理

一部または全部の作業を外部委託する場合には、委託先との契約条件を管理する必要があります。契約期間、要員1人あたりの単価、契約工数未達/超過時の精算条件、割増単価などを管理し、これと実績工数から委託費を算出し実績原価として計上します。

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プロジェクト型ビジネスにおける業務課題

このような業務特性をもつプロジェクト型ビジネスにおける業務課題を記載していきます。

プロジェクトごとの採算管理が煩雑

プロジェクトに紐づく各種取引の情報、実績情報の管理が煩雑になり、プロジェクト全体の予実、採算を適時把握することができない。工期の長いプロジェクトでは半年後、一年後の採算見込が立てられない。

二重入力や入力モレが発生

日々の伝票処理を行うシステムとプロジェクト管理システムが別システムであるために、一つの取引に関わる売上や調達の業務処理が二重管理となってしまう。そのためプロジェクトの予実数値を把握するのに時間を要してしまう。

プロジェクトごとの原価管理に手間がかかる

プロジェクト全体の原価集約、集計作業に時間を要してしまう。そのため原価を適時把握することができない。

プロジェクト型ビジネスの業務特性への対応が不十分

プロジェクトの進捗度合いに応じた収益管理ができない。プロジェクトに紐づくヒューマンリソース(要員)の管理が煩雑

プロジェクト型ビジネスにおけるシステム導入の実態

ここでは、このような業務特性、業務課題をもつプロジェクト型ビジネスにおいて導入されているシステムの実態について触れていきます。

実態① 業務ごとに個別システムがバラバラに動いている

・業務や部門ごとにシステムが個別に構築され、バラバラで動いている。業務や部門ごとにシステムが個別最適化されており、全体での整合性がとりにくい。
・データがシステムごとに個別管理され、この集約、集計に時間がかかる。
・システム間のデータ連携がリアルタイムでないため、全体数値把握に時間がかかる。

実態② 会計システムですべての原価管理をしている

・会計システム側で原価管理をしているため、プロジェクトの予実状況が会計システムの締処理をするまで分からない。
・プロジェクトの原価進捗や予実管理が適時できない。

実態③ 工事進行基準に対応していない

・導入しているシステムが工事進行基準に対応していないため、進行基準での売上、仕入計上はシステム外で行っている。
・そのため、原価進捗データをシステムから出力・集計して伝票計上処理をするなどの業務に時間を割かれ、非効率な状況となっている。

プロジェクト型ビジネスの業務要件とシステム要件

プロジェクト型ビジネスの業務要件に対して、システムが対応するシステム要件には以下のようなものがあり、このシステム要件の実現を目指して基幹システムの導入を検討します。

業務要件 システム要件
プロジェクトに関わる業務を統合管理
  • プロジェクト番号をキーにして発生する各種取引データを集約、データが適時参照できる
  • プロジェクトに関わる各種処理を1つのシステムで実行できる
プロジェクト別の損益・予実管理
  • プロジェクトの収支状況をリアルタイムで把握できる
  • 予算に対する見込、実績を適時把握できる
  • 予算見直し時に当初、最新予算における予実の確認ができる
収支着地見込の適時把握
  • 実績だけでなく、収支見込を把握できる
  • 月次レベルで見込、予実が把握できる
データの活用
  • 入力されたデータをユーザが見たい切り口で参照し、データの利活用ができる
統制管理レベルの向上
  • プロジェクトに紐づき発生する各種処理プロセスを全社統一し、業務処理統制を効かせた運用ができる
工事進行基準への対応
  • 原価進捗をシステムで管理し、進行基準売上の自動計上処理ができる

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

当社では業務統合型基幹システム「GRANDIT」を展開しています。
「GRANDIT」は、プロジェクト型ビジネス業向けの機能を搭載し、業界特有の業務要件、機能要件に対応可能な仕組みをご提供することができます。詳しくは、プロジェクト型ビジネス向けソリューションをご確認ください。

プロジェクト型ビジネスのお客様において、基幹システムの見直しをご検討の際はお気軽にお問い合わせください。

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