生産管理とは?

 2021.03.30  株式会社システムインテグレータ

生産管理とは、QCDを最適化させることを目的とした、どの製品を、いつまでに、どのくらい生産するか計画し、完了するまでの工程と人、物、金、情報を管理する、統制およびその活動のことです。
生産管理は製造業の業務の中でも、事業の根幹にかかわる重要な業務です。

しかし、正確でスムーズな生産管理を人間の力だけで行うには多くの課題があり、それらを解決するツールとして生産管理システム等のシステムを導入する企業が増えてきています。

本記事では、生産管理の業務内容の基本から、生産管理における業務上の課題、そしてその解決方法までご紹介いたします。

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生産管理とは?

生産管理とは? 1

まずは、生産管理とは実際にはどういった業務なのかをご紹介します。

生産管理を理解するには、生産管理以外の製造業の業務も含めてものづくりの全体像を理解する必要があります。

製造業の業務は、製造形態や業種によって業務内容は異なりますが、大きく分けると、「商品企画」「材料調達」「加工・製造」「流通」「販売」に分けられます。
生産管理は「材料調達」「加工・製造」に関わる業務を指します。

 生産管理の業務範囲である「材料調達」「加工・製造」がうまく管理できると、製造の効率化へと繋がります。結果的に、競合優位性を確保することができるので、企業の経営観点からみても重要な業務です。
その分、効率化をするためには専門的な知識や業務への深い理解が必要なため課題が多くあるのも現状です。

 最近では、コロナ禍において海外発注・海外に拠点を置いている工場の稼働が停滞したことで、必要な材料が配給されない、製品によっては受注・納品のキャンセルが相次ぐなどの事態がありました。
そのため、生産管理では、製造現場の状態と市場需要だけでなく、予想外の外的要因があった際の臨機応変も求められています。

需要と供給のバランスを最適化しながら、最大限の利益を確保することが、企業の売上にも大きく関わってきます。そのため、複雑な作業の管理こそが生産管理担当者には求められ、企業の課題にもなっています。

生産管理業務とは?

生産管理とは? 2

生産管理とは、「材料調達」「加工・製造」に関わる業務と述べました。
ここでは、生産管理業務を具体的にご紹介します。

生産計画

生産管理の起点となるのが、生産計画です。

生産管理の、いつ、何を、どれくらい生産するのかを計画する業務です。製造現場では、生産計画に沿って製品を生産します。
生産計画は販売計画と需要予測と製造現場のリソースを考慮して立案を行います。

販売計画

販売計画は企業が必要とする売上予算を達成するために、ターゲットの選定・商品やサービスの設定・商品の販売個数・金額を決めていく計画になります。いわば、企業の売上に関わる計画となります。
生産計画では、販売計画を考慮した製造数を加味しなければいけません。

需要予測

需要予測では、例年の在庫の推移を基にいつどの製品が売れているか、市場の動きから需要が高まる時期があるかを予測することです。
販売機会損失を最小限にして、過剰在庫による管理コスト増大を防ぐためにも、予測から的確な在庫数を確保しておく必要があります。

製造現場のリソース

リソースとは、製造資源を意味します。作業者スキル/勤怠・在庫の使用期限・設備や仕様・副資材・工具等のことです。
作業者のシフトや設備の稼働状況を加味した計画立案をします。

購買・調達計画

製品を製造するには、部品や原材料が必要不可欠です。

購買・調達計画では生産計画を基に、納期までに材料を手配します。
おもに最適な取引先の選定・適切な在庫保有・余裕をもった調達が重要となります。

最適な取引選定

部材が都度購買するものであれば、取引先を選定する必要があります。品質に問題がないのか、コストは適切かを判断しサプライヤーを選定します。
サプライヤーの選定を誤ると材料が届かず在庫不十分となり納期遅延につながり生産計画にも影響がでるため、安定な仕入ができることが重要な判断材料となります。

適切な在庫保有

部品や原材料が、製造現場へ十分に供給できなければ製造は停止してしまいますし、反対に、製造停止を避けようと大量の部品や原材料を仕入れ過ぎてしまうと余剰在庫となり、コスト高に見舞われます。
そのために、適切な在庫の保有が求められます。

発注リードタイムを意識する

発注リードタイムとはサプライヤーに発注をかけてから納品されるまでの時間(日数)を指します。部品の発注をする際には、サプライヤーと連携しながら、顧客への納期から逆算をして発注をしなければいけません。
また、顧客から依頼があった場合でも、リードタイムを加味し、無理な納期設定を行わないようにするリスク管理も必要です。

工程計画・管理

工程計画・管理とは、生産計画を基に、納期に間に合うよう製造現場での作業手順を計画・指示・調整を行うことです。

工程計画・管理が正しく管理できていると、納期遵守され、作業の標準化、生産のリードタイムの短縮、生産性向上、製造原価の低減になります

リソースを加味した作業計画

工程計画は、製品の製造手順を踏まえ、製造現場のリソースである作業者スキル/勤怠・在庫の使用期限・設備や仕様・副資材・工具等を加味した上で、人単位・工程単位に作業の計画をたてなければいけません。

進捗確認と調整

工程管理では、製造工程の進捗を行います。作業指示に対しての作業者の作業スピード、設備の稼働実績等報告を受け、計画と見比べます。予定より遅れている場合には、作業者の増員や手順の見直しが必要になります。

品質管理

品質管理では工程での手順が正しいか、一定の品質を備えていることを検査・検証し、保証することを指します。

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製造品の不備確認

品質の確認作業としては、工程管理の作業で適切な手順で製品が製造されているか、仕入品に不備がないかの受入検査、製品の出荷前には一定の品質を備えているか検品を行います。

不良品への対応

顧客から不良品の問い合わせやクレームがある場合には原因分析に努めなければなりません。また、不良品が出荷後に判明した際に、同材料を使用している製品を特定・追跡をするため、製造品をロット別や作成日別などで管理する必要があります。
品質の高い製品やサービスを、どれだけ効率的にコストをかけず製造・構築するかといった視点も必要になります。

生産管理はなぜ難しいのか?

生産管理とは? 3

上記で説明したように、生産管理の範囲は多岐にわたります。その全範囲を完璧にこなすことは想像以上に難しく、求められるスキルも違います。

生産計画

販売計画・需要予測・製造現場のリソースを把握した上で、さらに市場動向顧客のニーズを見極めた計画立案が求められます。
これらすべてを加味した計画であるとともに、市場や製造現場が変動すると生産計画も変更するため、常にリアルタイムでの現状把握するスキルが求められます。

購買・調達計画

計画した発注数が予想とはずれていれば、在庫不足は納期遅延に影響し、在庫過多はコストにも影響することから、購買・調達計画は正確性とリアルタイム性が求められます。
また安定的なサプライヤーを確保するには、今までの取引内容のデータが重要な判断材料になるので、データの管理・分析も重要になります。

工程管理

工程管理では計画したスケジュールと進捗状況を比較し、現状把握することが重要となります。製造は同時進行ですすんでいることが多いので、部材が工場に到着しているか、作業員のシフト調整が正しいか、機械の稼働は正常かを確認しながらも、最適な手順を考案・調整していかなければなりません。
そのため、現場の業務をすべて把握しどの工程が一番効率がいいかを判断する能力が求められます。

品質管理

多くの製造業では検査を人で行っているため、スキルをもった作業員のみが担当することになるなど、作業が属人化されています。専門的な知識が必要ですし、人が行う故に検査ミスやモレが発生することもあります。
またクレームがあった際には原因分析をしますので、データを使った分析能力が求められます。

このように各業務によって求められることが違う上に、製造現場常に稼働していますのでこれらの管理を常に同時進行で行うのは困難です。

また、生産管理は業種や業態によって違うがあるということがあげられます。

上記で述べた主要な生産管理業務は、基本的には同じですが、生産形態にも、「受注生産」や「見込生産」があったり、また、その中も「連続生産」や「バッチプロセス生産」があったりするのです。
そのために管理手法や業務プロセスが異なるために生産管理のスコープや内容を正確に捉えることは難しいのです。

企業が抱える生産管理の課題

生産管理とは? 4

では、それぞれの工程で企業が抱える課題とはなんでしょうか。

生産計画

計画に時間がかかる

上記で述べたように、生産計画には様々要因を加味しなければいけません。また市場の予測は過去データでは測りきれない部分もありますし、分析手法を用いる際には時間を要します。
そのため変更があった際に早急に計画に反映できないことも課題とされています。

属人化している

現場の実態にあった無理のない計画をするには、製造現場を把握しておく必要があります。自社の製品がどういった手順で生産されているのかはもちろん、作業者全体のスキル、設備の稼働状況や機能を理解したうえで計画に反映します。
必然と製造現場への把握ができる社員が長年務めることになります。

購買・調達計画

リアルタイムでの在庫確認

在庫過多はコストに、在庫不足は納期に影響する為、在庫数を適切に確保しておく必要があります。過不足がないように在庫の推移をリアルタイムで行うになは、倉庫の出荷・入荷のタイミングで在庫数を確認する必要があります。
そのため在庫の推移をリアルタイムに把握できるということが課題になっています。

工程管理

生産負荷(工程負荷)の標準化

作業員のスキルを加味した配置をしなければ、品質にもかかってきます。その上、生産を効率化する為にはベテラン・新人のスキルを一定にすることが求められます。
またベテランの離職問題もあるため、新人の教育、ノウハウの拡散はどの製造現場でも課題に挙がっています。

品質管理

対処法のマニュアル作成

製品の不備があった場合、その原因をつきとめなければいけませんが、その為には時間も要しますし、データを使用した分析・調査が必要となります。
品質トラブルが起こった際の対処法を事前に決めておく必要があります。

このように、生産管理の課題を挙げればきりがありません。そのため生産管理システムを導入する場合には、生産現場の実態を理解して、克明な製造プロセスが描けなければなりません。

生産管理を効率化するシステムとは?

生産管理とは? 5

これらの課題を解決するツールとして【生産管理システム】【生産スケジューラ】【MES】【ERP】があります。

生産管理システム

生産管理システムは、生産管理の計画から納期までをデータで管理できるシステムです。

具体的には、上記で述べた生産管理の業務内容である「生産計画」「調達・在庫管理」「工程管理」「品質管理」に加え倉庫の在状況がわかる「在庫管理」納期に間にあうように管理する「出荷管理」機能等があります。

生産管理業務をシステム化することによって、全体業務の管理を一つのシステムで把握できるようになり業務全体の可視化ができます。
それによって、急な納期変更があった際にも在庫の推移や、作業工程の負荷を確認ができ、素早い計画変更が行えます。

生産管理システム

MC Frame, AMMIC, TPiCS

生産スケジューラ

生産スケジューラは生産計画に特化したシステムです。

生産活動において必要な情報をもとに、今後のスケジュールを秒単位の精度で作成し、実行可能な作業指示を出力することができます。

生産管理とは? 6

弊社ソリューションの一つであるAsprovaを例に出すと、上記の図のように多品種多工程の製造業では受注情報の取込みや工程・部品表だけでなく、設備や作業員の能力も考慮し計画がたてられるため、よりリアリティな生産計画を高速に立案ができます。

生産スケジューラは計画に特化している分実績管理には向いていないので、実績管理を他システムで行い連携を行えれば、予実管理をさらに強化することが来ます。

生産スケジューラ

Asprova, Flexche, ASTplanner, JoyScheduler, ADAP

MES(製造実行システム)

MESとは製造実行システムのことで、製造工程の可視化・管理、作業者への支持を行うものです。

MESは生産管理の下流である生産ラインの工程管理を行い、資源の無駄を省き生産効率を目的としています。
生産ラインの各工程をデータ管理することで、製造現場の可視化がおこなえ、スケジュールの管理、品質管理、データ収集が行えます。

MESでは倉庫のデータ管理を行っているため在庫の変異をリアルタイムに把握し無駄なく消費することができます。
またトレーサビリティで製品の部品を生産段階まで追跡可能である為生産実績の管理、その内容までも把握できます

これにより、製造現場の作業内容を可視化することで、作業員の能力を標準化することも可能となっています。

MES(製造実行システム)

Meister MES、 MELNAVI

ERP(基幹システム)

上記の生産管理システムを単体導入する以外にも、ERPによる導入もあります。

ERPに内包された生産管理システムを使用すると、基幹システム同士の連携がされているため、受注情報をスムーズに連携し生産計画、手配、購買、売上まで管理することができます。

 

生産管理とは? 7

 

上記は例である生産管理に強いERP GRANDITのモジュール構成になります。
また、ERPでは同一のデータ基盤を用いているため、各業務での2重入力やデータ漏れを防ぐことができます。

ERP

GRNADIT、 GLOVIA iZ、 OBIC7、SAP

生産管理システムを中心としてERP導入を行う際の注意点とは

生産管理とは? 8

製造業に生産管理システムを中心としてERPを導入する際は、そのERPの生産管理システムが自社の業務形態・管理したい業務範囲に対応できるのかを見極めなければいけません。

ERPに内包している生産管理システムのメリットは上記に述べた内容になりますが、デメリットをあげると、生産管理を専門とするシステムには機能で及ばない部分があるという点です。例えば、生産スケジューラのように、設備や作業員のスキルを考慮した生産計画をERPで行うのは困難となります。

そのため、自社の生産管理の業務範囲をあらかじめ明確にし、対応可能かを判断する必要があります。また製造業でも食品・組立・加工など、業種が違うともちろん生産プロセスが違うので、システムの信頼度以外にも自社の業務形態に沿って運営が可能かの判断も重要です。
ただ、専門の生産管理システムでも同様に不十分な機能に関しては、場合によってシステムを組み合わせ、連携することも考慮しなければいけません。

まとめ

生産管理は、製品の製造から販売までを管理する業務であるため、企業経営に影響を及ぼす根幹ともいえる業務です。

生産管理を正しく行うことによって、製造現場の効率化、不要在庫の減少、顧客サービスの向上へとつながります。そして、その難しいとされていた生産管理の業務はシステムを使うことで、スピーディーに的確に行えるようになりました。
是非、生産管理の課題解決のために生産管理システム、並びにERPの導入をご検討ください。

弊社ではGRANDITを活用した生産管理における数多くの実績やノウハウがあります。詳細についてはシステムインテグレータにお問い合わせいただければ幸いです。

 

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